ガビル達が立ち去ったあと、俺たちは執務家にて会議を行っていた。
内容はもちろん、リザードマンとの同盟と、オークの情報共有だ。
「リザードマンと同盟は組みたいけど...使者があれなんだよなぁ...」
俺の口からこぼれた愚痴。
普通であれば誰かしらから注意書きそうだが、今回はみんなしてはぁ...と溜息をついている
皆ガビルに関しては呆れているようだ
「リムル様」
「ん?どうしたソウエイ」
「オークの動向に着いて分かったことが少し...」
「あぁ、なら地図があった方がいいな。誰か地図を持ってきてくれ」
「地図...ですか...リムル様、地図とは一体...」
「え...」
あぁ、そうか。魔物からすれば地図なんて言ってもわかんないか...
「地図っていうのはね、この辺りの大まかな地形とかを記した絵みたいなものだよ。カイジンたちなら知ってると思うけど...」
おぉ!!メイルグッジョブ!!確かにカイジンたちなら...!!
「..知ってるにゃ知ってるが...国家機密レベルのもんはさすがに持っちゃいねぇよ。ましてや、このジュラの大森林に地図なんて持ってりゃそれこそどの国も喉から手が出るほど欲しがるってもんだ」
「そ、それもそうだよな...」
そうか...そりゃ、周りの国に攻められないようにするには地図なんて隠すよな...それに、人の手が加わってない森の地図なんてあるわけない...
「仕方ない。じゃあ大まかに行こう。俺たちの街の位置、ジュラの大森林の真ん中を流れるアメルド大河、その先にあるらしいリザードマンの領域のシス湖...あとは、オーガの里をある程度書いて...この顔を描いた石をオークに見立てる。ソウエイ、どのルートで進んで、何処をめざしているか大まかでいいから置いてくれ」
「わかりました...オークの数は、およそ20万。ルートは、アメルド大河にそって、ここより東に位置するリザードマンの支配領域であるシス湖周辺です」
「ふむ...オーク20万か...全然想像もつかないような量だな...」
正直、この量だと俺の捕食者とかを使ってもどれだけ葬れるか...
「...それにしても、20万なんて数のオークをまとめてるのは一体どんな方法なんだろうね...オーガの里を襲った時、まるで恐怖の心を持ってないように突っ込んできたんでしょ?」
「えぇ...あの時は気が付きませんでしたが...」
「その話を聞くと、まるで恐怖の心を誰かに食べられちゃったみたいだね...」
おそらくメイルの発言は、俺の捕食者に合わせて言ったつもりだったんだろうな...
でも、俺もそんな気がする...食われてるとまでは行かないけどまるで恐怖心を失ったような...
「恐怖心...そういや、今回の件昔にあったあのユニークモンスターと同じだな...」
「そういえば...」
「...やはり、そうなのでしょうか...」
カイジン、リグルド、シュナが立て続けに疑問を口にする。ユニークモンスター...?
『ユニークモンスター、進化とは別に、強力なユニークスキルなどをもち生まれた特殊個体を指す言葉です。』
特殊個体...俺やメイルみたいなもんか
『解、その通りです』
「ユニークモンスターって...?」
「...オークの中にまれに生まれる特殊個体です。
そいつの持つユニークスキルは【飢餓者】と言って、満たされることの無い飢えで味方の恐怖の心すら食ってしまうらしいです...もしかしたら...」
メイルの疑問にベニマルが答える。
ユニークスキル【
「今回もそのユニークモンスターが関係してるかもってことか...」
そりゃまた、一筋縄では行かなそうだな...
対策にしても、20万だからな...爆弾とかでも作って広範囲で潰すしか...
俺がそんな考え事をしていると
「...!?リムル様、少しよろしいでしょうか」
「ん?どうした?」
「分身体に接触してきた者がおりまして...リムル様とメイル様に取り次いで欲しいと」
「え...う〜ん...ガビルでお腹いっぱいだしな...変なやつならお断りしたいんだけど...」
「僕も...」
メイルも流石に俺と同じ考えだったらしい。
まぁ、あんなのがいきなり来ればな...
ともかく、どんなやつなのやら...分身体とはいえ、ソウエイに接触できた時点でそれなりの実力はありそうだ...
「変...ではありませんが...その...ドライアドなのです」
ドライアド!?それってあれか!?樹の精霊的なお姉ちゃんか!?
「ドライアド様が最後に姿をお見せになったのは数十年前ではなかったか?」
「あぁ...確かな...」
リグルドとカイジンが何かを言っていたが、俺はもうドライアドの方に興味津々で話が入ってなかった
「か、構わん!!お通しして!!」
ドライアドかぁ!!異世界と言えばエルフとドライアドって感じだよなぁ!!こんな時になんだが、やっぱり綺麗なお姉ちゃんは本能的に見たいもんなんだろうな〜!!
まぁ、スライムの本能は食べることだろうから本能と言うよりは理性の1番深いところだろうけど...
ただ、俺は少しはしゃぎすぎたようで...
「...リムル、変態」
「ぁっ...!!ち、違うって、ほら、管理者って言うからどんだけすごいのかなってさ..!?!?」
「鼻の下伸びてた...後でシュナに言っとくから」
「勘弁してください」
やべぇどうしよう...
俺の心配とは裏腹に目の前には突然木が生え、その木が丸みを帯び、少し膨らみが出来たかと思うと同時に弾けた。そして、その隙間から綺麗な黄緑色の髪を下ろした綺麗なドライアドが現れた
「"魔物を統べる者"リムル=テンペスト。そして、"魔物を見守る者"メイル=テンペスト。突然の訪問、相すみません。私は、ドライアドのトレイニーと申します。本日はあなた達にお願いがあって訪問した次第です」
「...お願い...?」
「はい。リムル=テンペスト、メイル=テンペスト。あなた方に、オークロードの討伐を依頼したいのです。」
「突然現れて、随分なものいいじゃないか。何故ここに来た。ゴブリンより強い種族などいくらでもいるだろう」
「そうですね。オーガの里が健在なら、そちらに赴いていたでしょう...とはいえ、この方々の所には変わらずに訪れていたでしょう」
「オークロードの討伐...えっと...僕らがですか...?」
「えぇ。その通りです」
「オークロードがいるってことすら、俺らの中ではまだ仮定だったんだが...」
「ドライアドはこの森で起こったことは大抵把握しているのです。居ますよ、オークロード」
その一言に、会議室は騒然となる。
どうやら、リグルドたちの言う通りドライアドってのは森の中でもかなり上の存在のようだ。
...とはいえ、こっちから仕掛けるつもりは...
「...返事は、少し待ってくれ。オークロードとの戦闘は避けられないと思っているが、こっちから突っ込む気もないんだ。これでも、ここの主兼メイルの兄なんでね。」
「...そうですね。でしたら、代わりに会議に参加してもよろしいでしょうか?」
「勿論だ。俺らには情報がないから、色々情報をくれるとありがたい。」
こうして、ドライアドのトレイニーさんが会議に参加することとなった。
まぁ、トレイニーさんの隣になったカイジンとリグルドは少し硬くなってるが、あんなに綺麗なお姉ちゃんの横じゃシカタナイナー。
構わず会議を続けるか!!
「オークロードについて何かあるやつはいるか?」
「リムル様、少しよろしいでしょうか」
「あぁ、構わない。意見があるならどんどん言ってくれ」
シュナが少し暗い顔で手を挙げたかと思うと、ソウエイを呼んだ
「...ソウエイ、私達の里...見てきてくれましたか?」
「...はい」
「...その様子では、やはりなかったのですね...」
オーガの里の様子?壊滅したって言ってたから、生き残りでも探しに行ったのか...?
でも"なかった"って言ったよな...?
「ソウエイ、一体何がなかったの...?」
メイルも気になっているようで少し申し訳なさそうに聞いている。
ソウエイとシュナの表情は決して明るくない。
つまり、見つからないのは良くないんだろう...
オーガの秘宝とかか..?
「...同胞のものも...オークのものも...ただのひとつも...死体を見つけることはできませんでした」
「うぇ?!」
「...ユニークスキル【
「リムルのはみんなを護る為のスキルです。
そんな化け物を生み出す様なスキルとは違う」
「...これは、失礼しました。その通りですね。」
トレイニーさんの発言に、メイルは力強く否定した。
本当に、俺の事を正しく沢山評価してくれるのはお前だけだな...とはいえ、ブラコンは直そうな。俺?俺はブラコンでもいいんだよ。
それにしても、ドライアドはこの森で起こったことは大抵把握してる...か...もしかしたら、ヴェルドラやシズさんのことも...食えないお姉ちゃんだ。
「オークがオーガの里を襲ったのは報復や森の上位種族の殲滅じゃなくて、喰ってその力を手に入れるためだったってことか...」
「そうなったら、ますます僕らは逃がして貰えないね。
ホブゴブリンに嵐牙族、鬼人。味はともかくとして、力を蓄えるなら絶好の餌場だよ」
「だな。こうなると、本格的にリザードマンとの同盟を組みたい...」
「お2人とも、1番のご馳走を忘れてやしませんか?」
「「んぇ?」」
「居るでしょう?最強の兄弟が」
「「何処に?」」
俺たちが聞き返すと、ベニマルは呆れたように笑みを浮かべ、みんなは微笑ましいものでも見るようにニコニコしてた。なんだってんだ...メイルはメイルであっ...って気づいたような反応してたし...俺だけ仲間外れにするなよな...
「...さて、こうなると本格的にリザードマンとの同盟を組んでおきたいが....使者がなぁ...」
「リムル様」
「ん?」
「リザードマンの族長に、直接同盟を取り付けても構いませんでしょうか」
すごいやる気!!ヤダイケメン!!
「できるのか?」
「容易いかと」
「おぉ〜いけめん」
メイル、言いたいのはわかるが声には出すな。
言ったところで伝わらないんだ
「なら任せた!!リザードマンの族長に直接同盟を取り付けて来てくれ!!」
「はっ...!!」
「よし、じゃああとはオークロードとの戦いに行く際の戦力だな...鬼人達は...」
「俺たちはシュナとクロベエを抜いた全員が前線に行きます。武器に関してはご心配なく。既にクロベエに頼んで製作途中です」
「んだ。リムル様達の武器も今製作中だども、決戦の日には必ず間に合うように精一杯作らせてもらってるだよ!!」
「そうか、わかった!!それなら、街の防衛にゴブリン部隊を残したいから...少数精鋭で行こう。いくらカイジンやクロベエがいるとはいえ、武器も十分にある訳じゃないからな。ゴブリンライダーの戦士100人を連れてくことにしよう。ゴブリンライダーなら、最悪敗走になっても逃げ切れるしな。メイルは街の防衛に...」
「やだ」
「いや前線は危ないから...」
「この為に武器も作ったんだもん。みんなと戦う。それに、もし仮にこれでリムル達が死んだら僕後追い自殺するからね」
「よし!!お前は俺と一緒に行動だ!!何かあっても俺と一緒なら何とかできるしな!!」
なんてこと言うんだこいつは
んな事言われたら置いてくに置いてけないだろ!!
はぁ...出来れば今回は着いてこさせたくはなかった...
とはいえ、実際武器もあるしな...でも、銃じゃさすがに20万のオークの物量には勝てなくないか...?
実際、技術も発達してた第二次世界大戦時の戦場でもだいたいアサルトライフルのマガジン1つで一殺レベルだったらしいし...
ハンドガンなんかで戦えるのか...?
不安もあるが、俺は連れてく事を決定しちゃったし、仕方ない...何かあればすぐに影移動で逃がせばいいか...
やっとリムルと戦える...!!
絶対誰も死なせない...そのために...
リムルが(僕のせいで)不安を感じる中、僕は1人新たな武器を記憶から引っ張り出し、対オーク戦に備えるべく準備を開始するのだった...
はい。あとがきです。
今回は特に書くことないけど強いて言えばなんだかリムルとメイルはお互いにブラコンになりつつありますね。
他の子達も話させなくては...って思うけど、なかなか難しいですね。あんまり話せないキャラが多いようならそのキャラとの絡みを描く意味でも短編増やすかもです。
それと今回の解説
アサルトライフルとアサルトライフルのマガジンについてですね。
第二次世界大戦当時と言いますと皆さんご存知の銃などの何代か前のモデルなどが登場しています。
弾数は25〜35辺りですが、前線ともなると戦って敵を殺す!!となると思われがちですが相手も人間なので殺すことを躊躇って足元を狙い、威嚇射撃をすることの方が多かったんですね。なので、20〜35発で1人殺すか殺さないかくらいだったと言われています。
実際、戦場での死因は銃撃による死亡より地雷や榴弾による爆発や病気、餓死などが多かったそうです。
とはいえこの知識が必ずしも正しいとは限りませんので間違っていた場合はご指摘くださると嬉しいです。
次回もお楽しみに