この運命さえ喰らい尽くせ   作:海波 犬夜

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幼さ似合わぬ大きな背

会議の後、僕とソウエイはリザードマンの支配領域であるシス湖に来ていた。

理由はもちろん、同盟のお誘い。

受け入れてくれなかったら?ん〜...その時は偶然いあわせた様にするしかないね。

そして、ソウエイの影移動に(くっついてきたことに)よってリザードマンの住む洞窟まで来た僕たち。

族長があのトカゲみたいじゃないといいけど...

 

進むこと数十秒、僕たちは見張りにバレちゃった♪

ただ、その見張りが族長!!って大きく叫びながら走っていったおかげで族長のいる場所に来れた。

グッジョブ見張りくん!!

 

「失礼。戦時中故大したもてなしもできん。」

 

「突然の訪問で申し訳ありません。そしてご心配なく。僕らは使者として来たものですのでそのお心使いだけで十分です。」

 

「貴殿ら程の力の持ち主が使者とな。

一体、何処の魔王の使者ですかな?」

 

「僕らはここより西に位置しますゴブリンの街より同盟のお誘いに参った次第です。」

 

「同盟とな?」

 

「はい。我が兄であるリムル=テンペストは、森の管理者であるドライアドに直々にオークロードの討伐を依頼されました。その事をご理解の上で、お話を聞いていただきたく思います。」

 

さすがにドライアドの名前が出れば下手な動きは無くなるでしょ

ふふ、我ながらリムルにわがまま言うために鍛えた悪知恵だけは自信があるのだ

 

「ま、待たれよ、ドライアド?それは事実か?」

 

「はい、事実です。」

 

「ぞ、族長!!このような者の話を聞く必要はありません!!

ドライアドに依頼されたなどぬけぬけと!何処の誰か知らないが、そのリムルとかいうのも、オークロードに恐れを成して我らに泣きつこうと考えたんだろう!!」

 

「よせ。辞めるのだ」

 

「...そんな態度ではされらは舐められて...ッ!?」

 

そこまで言うと、そのリザードマンの首にソウエイの糸が絡みついた

 

ん、なんだ見張りしてた人まだいたんだ。

リムルが恐れを成した?そんなわけないでしょ。

豚さんが二足歩行になった程度じゃリムルは驚いても恐れたりしないよ

 

「失礼、同胞の非礼を詫びよう。だから許してやってくれないだろうか。これは対等な同盟なのだろう?」

 

族長は謝罪を述べたあと彼の命乞いを始めた

元々殺す気なんてないからいらないけど...

 

「...ソウエイ」

 

怒る気は無い。実際、ソウエイや僕の前でリムルをバカにしたあの人が悪いんだ。

とはいえ、道案内してくれたのも事実だから今回は見逃してあげる。

 

そう思いながら、できるだけ優しくソウエイの名前を呼ぶ

 

「失礼しました。以後気をつけます」

 

「場を考えてね。僕らは今いきなりきたヨソ者。リムルもゴブリン達をまとめあげたのはつい最近。名前が広がってないのは仕方ないでしょ?

ソウエイたちも初めましての時は攻撃したし勘違いしたんだから同じだよ。」

 

「はい」

 

「うん。理解が早いのは良い事だよ。

次から気をつければいいからね。」

 

そう言って僕は跪くソウエイの頭を撫でる

素直で真面目なのはいいけどやりすぎな所があるからちゃんと教えてあげてる。だからもっとかっこよくなってね。ソウエイ

 

もっとかっこよく頼りになる影の未来を想像しながら、族長に向き直る。

 

「失礼しました。部下の暴走は上司の僕の監督不行届です。何かありましたら何なりと」

 

「...では、いくつか質問に答えていただきたい。」

 

「なんでしょうか」

 

「貴殿のそばに使えるその方からはオーガと似た気配を覚えてならないのだが、オーガの里の精鋭か何かかな?」

 

「そうですね。確かに彼の出身はオーガの里です。しかし、今はオーガではありません。我が兄であるリムルより名を与えられ、今は鬼人となっています」

 

「なっ!?それは、オーガの中からまれに生まれるという上位種族!?」

 

族長の傍に使えている護衛?の子が驚いたように口を開く。

どうやら鬼人もかなり珍しいみたいだ。

そんな鬼人に進化させちゃうなんてさすがリムルだね

 

「...では、もうひとつ質問だ。貴殿の兄であるリムル殿とは、貴殿よりも強いと申すのか...?」

 

「...それが質問ですか?」

 

「何か不味かったかな?」

 

「いえ、あまりに当たり前のことを聞くものですから...

強いですよ。えぇ、強いです。僕なんて足元にも及びません」

 

そこまで言うと、族長はそうかと納得したように頷くと、僕らに今はオークが近くまで迫っていて動けないと教えてくれた

 

「わかりました。では、今日より7日後僕らがこちらまで赴きます。それまでは決して先走らず、戦力を温存してください。」

 

「心得た。では、また7日後に」

 

「はい。失礼します」

 

...こうして、僕の初めての交渉は何とか上手くいった...

あの会議の後、リムルが行けないのはわかるけど、流石に代理は立てた方がいいって僕がリムルに言ってわざわざ来ただけの情報はあった。

 

それに、初めて交渉をした。

今後はこう言うのも必要かもだし、念の為今のうちにね...

 

「どう、ソウエイ。僕上手く交渉できてた?」

 

「はい。大変ご立派でした。それに引替え、俺はメイル様に謝罪までさせてしまい、不甲斐ないばかりです...申し訳ありませんでした」

 

「あはは、ソウエイは真面目だね。いいんだよ、

こんな日もあるって。それに、あの時はソウエイに悪い点があったとしたら先に手を出しちゃった事だけだから気にしないで」

 

そう言って僕はソウエイに笑顔を向ける

少しはその罪悪感が無くなるかな?

 

「...ありがとうございます。」

 

「うんっ!!」

 

良かった。柔らかくなったね。

これから帰ってやることもある。

オークロードの討伐が済めばソウエイとはお別れだ。

だからせめて、今は少しでも思い出を作ろう。

最後は笑ってお別れしたいもんね

なんて、少し先のことを考えながらソウエイと手を繋ぎ、影移動で街まで帰った...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あはは、ソウエイは真面目だね。いいんだよ、

こんな日もあるって。それに、あの時はソウエイに悪い点があったとしたら先に手を出しちゃった事だけだから気にしないで」

 

メイル様は、そういって俺何かのために笑顔を向けてくれる。

数日前、シオンにも個人的に話をしてくださったとベニマルからは聞いている。

もちろん、その時にシオンに嫌われていると理解したことも。

しかし、メイル様は何時でも俺たちにまるで里で咲いていた花々のような笑みを向けてくれる。

 

何故あなたは、一度は刃を向けてしまった俺たちを

先の交渉の場で交渉が決裂しかねない失態を犯してしまった俺を許してくださるのですか...?

 

この幼い手を、俺はいつまで握っていられるだろうか

叶うなら...ずっと...そう思うのは、俺が強欲なのだろうか

 

この小さな背中には大きな愛が背負われている

いつか俺たちでは届かぬ所へ行ってしまいそうな小さな背中。

だが...俺には、とても大きく暖かな背中

せめてオークロードを討伐し、別れるその日まで...

その日まで、俺がお傍に使えることをお許しください。

 

「...ありがとうございます」

 

「うんっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ゴブリンの街

 

ソウエイと交渉から帰った僕は、1人またカイジンのところに来ていた。

 

「カイジ〜ン、居る〜?」

 

「ん、おぉ、メイルの坊主。どうした?」

 

「うん。前に頼んだ銃どうなったかなって。」

 

「あぁ、あの残りの2丁だな。今持ってくるから座って待ってろ」

 

「うん、ありがと!!」

 

前にハンドガンを頼んだ際に一緒に頼んだ追加の2丁。

ずっと楽しみだったけど、ハンドガンよりも反動が大きいから、少しは試し打ちしとかないとね

ハクロウ辺りに打ってる時におかしくないか見てもらおうかな〜...ベニマルでもいいかな...

 

「おう。持ってきたぜ」

 

「...流石カイジン、完璧!!」

 

「玉も今回は多めに用意しといた。どうせ試し打ちするだろ?それに使え!!」

 

「うん!!ありがとう!!早速試して...あ、そうだ!!もうひとつだけ頼みがあるんだ!!」

 

「なんだ、また新しい銃か?今からじゃさすがに決戦に間に合わねぇぞ?」

 

「違うよ!!僕が銃ばっかり使うみたいじゃん!!そもそもこれ以上は重くなっちゃうよ!!」

 

「ははは!!それもそうだな!!じゃあ、銃じゃねぇならなんだってんだ?」

 

「それはね....ゴニョニョ...」

 

「はは〜ん...確かに大群相手ならいいかもな...よしわかった!!準備できるだけしといてやる!!その代わり、これ以上は受け付けねぇぞ?」

 

「うん!!ありがとう!!それじゃあ僕試し打ちしてくるね!!」

 

そう言って僕はカイジンの所を立ち去ろうとすると...

 

「あ〜待て待て!!その前にこっちも持ってけ!!」

 

「ん?」

 

「クロベエから預かったんだ。あいつは今旦那や鬼人達の武器作りで忙しいからな。」

 

そう言われ渡された小さな木箱を開くと、注文通りのコンバットナイフが入れられていた

 

「わぁ〜..!!!すごい!!ちゃんとコンバットナイフだ...!!

これさえあれば...!!」

 

「扱いには十分気をつけろよ?んじゃあ、俺は坊主からの依頼のもんを作るからそろそろ仕事に取り掛かるぜ」

 

「うん!!ありがとうカイジン!!」

 

「おう、せいぜいその獲物でこの街を守ってくれよ!!」

 

そういうとカイジンは工房の奥に引っ込んでしまった。

そして僕は、それを見送るといつもゴブタ達が指南役となったハクロウに修行をつけてもらってる空き地に向かった

 

 

 

 

 

───空き地にて

「ギャァァァァァァ!!!」

 

「今日も気合入ってるねハクロウ」

 

「おやおやこれはメイル様。こんな場所にどうしましたかな?」

 

僕が声をかけるとハクロウは嬉しそうに目を細めて迎えてくれた。

最近なんとなく思ってたけど、ハクロウって僕のこと孫とかみたいに思ってるのかな?

今度聞いてみよう

 

「少し新しい武器を試したくてね。端でいいから場所借りていい?」

 

「構いませんぞ。ただ少し、ワシらもメイル様の武器には興味がありましてな。見学しても構わんじゃろうか?」

 

「うん!!それくらいなら構わないよ!!ただ、危ないから射線上には出ないでね。」

 

それにしてもみんなも興味あったんだ...ん?みんな?

ハクロウだけのはずなのに"ワシら"っておかしくない?

ゴブタ達...は向こうで伸びてるし...

そう思っていたら、僕の後ろの茂みからベニマルが現れた

 

「ベニマル!!見てたの?」

 

「えぇまぁ...後は、メイル様の武器に少し興味が俺もありまして...」

 

あぁ、ハクロウの言ってたのはベニマルだったのか

それなら作戦に入れてくれるかもだし、ちぃうどいいや!!

 

「なら、ここだと危ないし、的なら実は前に用意してたんだ。そこに行こう」

 

「わかりました」

 

「ほっほっほ、準備がいいのぉ」

 

笑顔のふたりを連れて、空き地の少し離れた場所に移動する。

ここは空き地が見えるが、円形の広場になってて空き地側にしか道がなく、周りを木が囲っているからもし弾が跳ね返っても大丈夫!!という場所なのだ

前に見つけてからキープしておいてよかった♪

 

「この場所なら周りは大丈夫だけど、跳ね返った弾でも充分危ないから気をつけてね」

 

「心配しなくても、大丈夫ですよ。

メイル様の好きなタイミングで始めてください」

 

「それじゃあ...えいっ!!」

 

バンッ!!と破裂したような音を鳴らしながら僕はある銃を撃ったのだが...

 

「うわっ!?」

 

「メイル様!!」

 

発砲と同時に威力に耐えられず後ろに仰け反り倒れかけた所をベニマルに支えられた。

あぅ〜...これじゃ実践で使えない...せめて反動には耐えられないと...

 

「あ、ありがとうベニマル」

 

「いえ、お怪我がなければそれでいいんです。それで、この銃は一体...?」

 

「ほぉ、前に撃っていたものとは違い、まるで砂粒をばら蒔いたように的に多くの穴が空いておりますな...」

 

「これはショットガン。至近距離の相手に対して高威力を発揮するものなんだ。名前はFranchi SPAS-12(フランキ・スパス12)。って言っても、実際のよりだいぶ小さいけどね」

 

「ほぉ...しかし、この銃も穴はひとつですな。ワシらが気付かぬうちに何発も撃ったのですかな?」

 

「これは弾が特殊なんだ。袋状の弾丸で、中に小さな弾が沢山入ってるの。撃つと袋が破れて中身がものすごい速さで飛び散るけど、遠くまでは威力が持たないから近ければ近いだけ威力を発揮するんだ。」

 

戦争では使用されなかったけど、イタリアのフランキ社が1979年に製造したとてもかっこいいショットガンだ。

ゲームなどでお世話になったことがある人もいるんじゃないかな?別名でポンプショットガンなんて呼ばれてもいるよ。

どちらかと言えば、対人間と言うよりも対動物向けの武器だけど、動物の体を貫くこの銃ならオークにも効くはず...!!

 

「とはいえ、反動に耐えられねば意味はありませんなぁ」

 

「うん...これからの課題だね。とりあえず、もう一丁の方も試してみよう」

 

「今度は飛ばないように俺が抑えてましょうか?」

 

「あ、あはは...さすがに次は吹っ飛ぶようなやつじゃないから安心して。ただ、心配だから少し後ろでいつでも支えられるように見ててくれる?」

 

「はい!!わかりました!!」

 

「ありがとうベニマル♪よ〜っし!!じゃあ今度こそ耐えてみせる!!...えいっ!!」

 

そして僕は次の銃を握りしめ、的に向かい発砲する

バキュン!!とハンドガンとは違った鋭い音を鳴らしながら、弾は的のど真ん中を射抜く。

反動は大きいけど、腕で上手く衝撃を逃がせば連射もできそう...そう思いながら僕はカイジン作のリボルバー銃

S&W(スミス&ウェッソン) M19 コンバット・マグナムを眺める。

これは有名なルパン三世の相方、次元大介が愛用するリボルバーと同じものだ。

威力もかっこよさもいい感じ...!!

そして、この銃にはもうひとつできることがあるそれは...!!

 

見守る者さん!!魔素を銃弾の形に固めて!!

 

『魔素を銃弾の形状に変換...完了しました』

 

よし!!それじゃあその弾を手に出して...リボルバーにセットッ!!

そしたらあとは...!!!引き金を引くだけ!!

 

バギュンッ!!!

 

まるでライフルの様な音を鳴らし、魔素を固めた弾丸は的の中央を撃ち抜き、さらに後ろの木の真ん中ほどまで突き刺さり消えた

 

「ほう...凄まじい威力じゃのぉ..」

 

「すっっっごい!!!すごい!!すごい!!めっちゃかっこいい!!流石カイジン、想像以上の出来栄え...!!」

 

「メイル様、すごいですよ!!なんて言うか...これ...!!」

 

「わかるよベニマル!!かっこいいよね!!僕もこれで頑張って戦うから!!」

 

「はい!!楽しみにしてます!!」

 

ベニマルにも大好評みたいだ♪

あとはショットガンに耐えれないと...

ともかく、練習も込めて今日は頑張るぞ〜!!

 





はい。あとがきです
いやぁ今回はほぼソウエイとのBL(?)と銃でしたね
読者の方に魔力の弾を撃てる銃とかだったらかっこいいですね!!って言われてその時既にその構想もありましたが言われてアイディアが浮かんた為今回やってみました。
威力としては実弾よりも若干威力が上がる&弾数は魔素量に比例するというくらいの弾です
ちなみに空薬莢(銃を撃つと出る金色の筒)は残らないので高速リロードができます。
実際に戦闘描写を書くのが今から楽しみです

今回はショットガンの弾丸の解説です
ショットガンは基本物語内で説明した通り袋が被せてある弾で、発砲と同時に袋が弾け、中にある数十発の弾丸(金属のチップor球体)が発射され、スナイパーやハンドガンと違い、貫通目的ではなく肉をえぐりながら体内に残ることが目的で使用されます。
これは相手を動けなくするのが目的だからですね。
ショットガンは威力が高いため、近距離だと貫通する場合もあるようですが大抵体内に残り手術でしか取り出せません。
ちなみに日本でもイノシシに使う球がショットガンだったり、先端が尖っていない平坦な弾だったりします
(⬆これはいつかの漫画での知識なので今は違うかも)
有識者の方いらっしゃいましたらご指摘くださると嬉しいです

次回もお楽しみに
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