『ゲルミュッド、生命反応を停止しました』
うん、わかってる...
目の前で首を切り落とされたゲルミュッドはそのまま何をするでもなく絶命した
オークロードは最短でゲルミュッドの望みである
"魔王になる"という願いを叶えたのだ
そして、地面に伏したゲルミュッドの亡骸をオークロードが喰らい尽くしたその時、世界の言葉が響き渡る
《確認しました。個体名:ゲルドが魔王種を獲得...成功しました。魔王種への進化を開始します》
「全員退避!!衝撃に備えて!!」
リムルが指示を出すより早く僕の指示が戦場に響く。
それと同時に、鬼人たちを初め、リザードマンたちも含めて全員がオークロードから距離をとる。
「喰ってやがる....」
「リムル...あれ...」
「あぁ...来るぞ」
《魔王への進化...成功しました。オークロードゲルドは、
「俺は魔王、オークディザスターゲルド!!この世の全てを喰らうものだ!!魔王、ゲルドである!!」
進化を完了したゲルドが大きく宣言した
この瞬間、新たな魔王が誕生した瞬間である
...今ここで止めないと、あれは絶対大きな災厄になる...!!
「紫苑ッ!!」
「はっ!!承知していますっ!!」
僕らが何かをするより先にベニマルが紫苑に指示を出す
「ちょっ?!」
「ここは俺たちにお任せ下さい。」
「そこまで言うなら...」
僕らは1度、ベニマルたちに任せることにした。
見ると、紫苑とゲルドが切りあっていたが、紫苑の方が押されていた
あの紫苑が力で押されるなんて...
「くっ...!!薄汚い豚が、魔王だと..!?思い上がるな!!」
激高したシオンが1度距離を取り、再び斬り掛かるも、片手で軽く魔王ゲルドが否してしまう
それどころか、危うくシオンが切られかける場面すらあった
「べ、ベニマル...!!」
「大丈夫です。問題ありません」
その言葉を聞いている間に、ソウエイが魔王ゲルドの裏を取り糸で縛りあげたと同時にハクロウが首を落とした
「やった!!」
リムルが声を上げるが、追い打ちと言わんばかりにベニマルは
「これが...痛みか...!!」
「嘘でしょ...!?」
「...凄まじい再生力だな...」
まさか今の連撃を食らってもダメージがほぼないなんて...リムルでも今のは多少なりダメージを受けるレベルのはずなのに...!!
「くっ...化け物めが!!」
「シオン一旦下がれ!!」
リムルが咄嗟に指示を出すが、激高しているシオンには届かずに突っ込んで行ってしまった
明らかに危ない動きもある
このままじゃ大怪我に繋がる...!!
「リムルごめん!!止めてくる!!」
「待てメイル!!」
小鬼の身体能力のおかげで普通の人間より少し早くではあるが動ける。
魔王ゲルドとの距離を詰めて、シオンが切られかける時
「魔素弾!!」
「ッ!?メイル様!?」
「シオン命令!!下がって!!」
「これは私たちの戦いです!!メイル様には関係...!!」
「あるに決まってるでしょ!!いいから下がって!!」
「心配せずとも貴様らみな喰らってくれるわ!!
そういうと魔王ゲルドは、ゲルミュッドの使っていたエネルギー弾のようなものを手に出現させ放ってきた
「シオン!!メイル!!下がれ!!」
「チッ!!」
「...ッ!!!」
シオンが下がるのを横目に後ろから迫ってくるエネルギー弾を魔素弾で撃ち落としていく
ただ、数が多い...さすがに全部は...!!
そしてとうとう抜けが出始める。そして
しまっ!?
とうとう弾の隙間を抜けて僕の眼前にエネルギー弾が...
「捕食者!!」
「...ッ!!!リムル...」
「全く...危ないことばっかすんなよな。
でも、シオンたちを守ってくれてありがとな。」
ぽんぽんと僕の頭をリムルが触れると、
すぐに魔王ゲルドに向き直り
「あとは俺に任せろ。俺にも秘策があるんだ」
「...うん。じゃあこっちは任せて!!」
リムルの背中は僕が守る...!!
そう思いながらリムルに交代すると
「任せたぞ大賢者!!さっさと敵を打ち倒せ!!」
そう叫ぶと同時に、リムルはまるで機械で動いているように魔王ゲルドを追い詰めて行った
影移動で瞬間移動のように距離を詰め、魔王ゲルドの左腕を切り落とし、その切断面を黒炎で焼き続けることで再生を妨害。そして魔王ゲルドの
「すごい...さすがリムル...(の先生)」
ただ、魔王を名乗るだけあってゲルドもタダでは終わらなかった。
焼き切られた左腕を肩から引きちぎり、肩から再生させ、リムルに再びエネルギー弾を前後から放ち両手がふさがった所を掴みあげた。
僕は焦ったが、どうやらそれすらもリムルの先生である大賢者さんにはお見通しだったようだ
リムルをつかみあげたと同時に地面には真っ赤な魔法陣が描かれ、そこからイフリートの使った火炎魔法:
しかし...
「グワーッハッハッハ!!オレに炎は効かぬ様だぞ?」
「リムル!!」
どうやらさっきのベニマルの
さらには今、リムルは魔王ゲルドによって鷲掴みにされているにも関わらず追い打ちをかけるようにリムルはドロドロと溶かされ始めた
「うちのお兄ちゃんを離せッ!!」
「メイル様!!」
ソウエイに止められたけど僕は止まらずに魔王ゲルドに攻撃を仕掛ける
「フンッ、案ずるな。こいつを食らった後に貴様も食らってくれるわ!!」
「そんなことさせない!!」
くそっ!!威力が足りない!!
いくらショットガンやリボルバーって言っても
ハクロウやシオンの攻撃の何倍も威力がない!!
このままじゃ...!!
「メイル安心しろよ。俺はここからでも勝てるんだぜ?」
僕が必死にリムルを解放しようとしているのに、リムルはまるで何事も無かったかのよにそう言って見せた
「そんなわけ...!!」
そこまで言って気づいた。
リムルの体は溶けたにしては一滴も地面に落ちていない。
つまり...
「おい、魔王ゲルド。食うのはお前の専売特許じゃねぇんだよ。俺は...スライムだ」
そういうとリムルの全身が崩れ、魔王ゲルドにまとわりついていく。
「さっき炎で死んでた方がマシだったかもな。
こっからは俺が食うかお前が食うかの勝負だ!!」
そういうと、リムルの体積はどんどんと大きくなっていき、魔王ゲルドを徐々に飲み込んでいく
ただ、魔王ゲルドも負けじとリムルを溶かしていく
「...もう僕の援護はいらないかな?」
「メイル様...」
「これで決着が着く...みんな、覚悟を決めて」
そうみんなに伝え僕は勝負の行方を見守る...
そんな時、倒れ込んだ魔王ゲルドと目が合った。
もはや身体中の肉がリムルに食われていたのに目が合ったというのもどうかと思うが、そんな気がした。
その時、僕は意識を失い声が流れ込んできた
「王よ、もうおやめ下さい!!
この大飢饉の中、王である貴方まで失っては、我らオークには絶望しかありません...!!」
...誰かの声が聞こえる。
この声は...誰...?
そこに映るのは、腕を子に食わせ、現状に嘆き、絶望した
かつてのオークの王国
オービックの地は今や3人の魔王の領地に挟まれ、枯れ果てた荒野となっていた。
「一昨日生まれた子が今朝死んだ...昨日生まれた子は虫の息だ。これが絶望といえずなんという...」
──あの方は教えてくれた...
オークロードとなった俺が食えば、
邪悪な企みの駒にされていた様だが、かけるしか無かった...
だから、俺は食わねばならない...
たとえお前がなんでも喰うスライムであっても、俺は負ける訳にはいかない...
食い合いは俺に分がある。お前は負ける
俺は負ける訳には行かない...
俺は森の魔物を食った...
ゲルミュッド様を喰った...
同胞すら喰った...
同胞は飢えている...俺は負ける訳には行かない...
この世は弱肉強食...お前は負けたんだ。
だから、お前は死ぬ。
俺は負ける訳には行かない...俺が死んだら、同胞が罪を背負う。
俺は罪深くとも良い...皆が飢えることがないように...俺がこの世の飢えを引き受けるのだ!!
それでも、お前は死ぬ
だが安心しろ!俺がお前の罪も全部食ってやるよ!!
俺の罪を...喰う?
あぁ。お前だけじゃなく、お前の同胞の罪も全部食ってやるよ
同胞も含めて罪を...?
フッ...お前は欲張りだ
そうだな。俺は欲張りだよ。
安心したか?安心したなら、お前も食われて大人しく眠れ
色褪せた世界に、色がつき始める
荒れ果てた荒野は草花が生い茂り
そのすぐそばには、綺麗な小川が流れ
倒れ腐った木は青々とした葉をつけ、風になびいている
しがらみから解き放たれるように、オークの王は元の姿に戻って行った。
そんな美しい景色にさす木漏れ日の先からは、楽しげに笑う子供たちの笑い声が聞こえてくる
そんな光景に、魔王ゲルドは...涙していた
かつて、苦しみに満ち溢れていた日々
倒れ、力尽きる同胞たち
腹が減ったと涙を流す子供たち
我が子にミルクをあげようとするやせ細った母親たち
魔王に虐げられ、強制労働を強いられる父親たち
そんな中、王が思い描いていた理想の国オービック
それが、ここにはあった
リムルは、その悪夢すら食ってしまった
「あぁ...俺は負ける訳にはいかなかった。だが...眠いな。ここは...暖かい。
...強欲な者よ...貴方の行く道が、平穏であることなどないであろうに...
だが...それでも俺の罪を食らうものよ...感謝する。
俺の飢えは今...満たされた...」
たった今、リムルの中で彼の意識が消失した。
「...ゆっくり、休んでね。魔王...ううん。オークの王様」
木漏れ日に、そう囁いた。
優しく頬を撫でるそよ風は、僕の涙を拭うように吹き抜けて行った。
その時見えた僕の銃が、慰めるように光ったように感じた
そして、僕の意識は現実へと帰った
「──安らかに眠れ。ゲルド」
その一言で、戦争は集結した。
魔王ゲルドは、ようやく解放されたのだ
ただ、彼はただ消えゆくだけではなかった
──あの者への恩は大きい...
せめて、貴殿がその呪われた運命を遂げるまで...
俺の力を存分に使え。
そう聞こえた気がした時
『確認しました。
新しいスキル?それもゲルドって...
『解、私と同じように思念体として魔王ゲルドがマスターの中に存在するようになりなした。それと同時に、新たなスキルとして使用も可能です』
へぇ〜...例えば?
その後、僕はスキルの効果を聞いているとリムルに呼ばれ、戦争後の話し合いに呼ばれたのだった。
王よ...やっと解放されたのですね...
オレは、終わった戦場へ向けて言葉をこぼす
ずっと飢餓と同胞たちへの罪悪感に苛まれていたかのお方を、あのスライムは解放してくれた...
この後我らがどうなるかは分からない...
森を食い荒らし、オーガをほぼ全滅させ、リザードマンを襲撃した。
もはや、我らはみな処刑も免れんかもしれん...
それでも、今は貴方の安らかな眠りを...
名も無きオークは、ゲルドに思いを馳せる。
その胸に、父への憧れとこれからの覚悟を込めて
そんなオークを見ていた者がいた。
この後始まる会議に呼ぶために、オークの代表の様子を見に来たのだ。
空を見上げるその瞳に貯まった涙を、メイルはすくい上げる
「...大丈夫?」
「あなたは...問題ありません
...我らは...あんなことを行ってしまったのです。
オレに気遣いなど...」
「...ううん。魔王ゲルドは...オークの王は、立派だったよ。最後まで、オークの皆のことを思ってた。やり方は確かにダメだったけどね。...大丈夫。きっと、悪いことにはならないよ」
「何故...」
「だって、リムルだもん!!」
「リムル...ゲルド様を食べたスライム様か...そしてこの方はその弟君...如何に心が広いお方でも...今回のことは...」
不安をこぼす俺の手を、弟君が優しく引く
「...大丈夫だよ。行こう?きっと悪くならないから」
その優しい幼い手に引かれ、俺は会議を始める部屋に連れていかれた
ユニークスキル【飢餓之王】説明
能力:腐食の防壁
メイルの放った銃弾に腐食の効果をつけ、一定距離だけ発動可能な腐食効果のある結界を一方向にのみ貼る
【見守者】のように会話が可能になる
はい。今回は新しいスキルを出しました
ちなみに捕食者や飢餓者のように喰った魔物のスキルなどを奪ったり、身体能力などを獲得したりはできません。
銃弾が触れた無機物or魔素を腐食、消滅させるだけでそれ以外の効果を持たないものです。
結界に関しましてはメイルから10m程の距離なら結界を瞬時に貼れるだけです。しかしパンチなどの格闘術などは防げません。剣や魔法などのみです。
メイルくんは絶対にチートにはなりません
ご安心ください。
まぁいくつも手段を用意して普通に戦えるくらいの戦闘力にしてますので一方的に勝つことは無いのでご安心を
次回もお楽しみに