──オークロードもとい、
僕が連れてきたオークはどうやら魔王ゲルドの息子だったようで、今は代理で長をやってもらっているんだけど...当然、その顔には余裕はなかった。
そんなわけで、仕方ないのでオークたちの席に僕はいたんだけど...
「おいメイル、なんでそっちにいるんだ?」
「え?いやだって...不安そうだし...」
「俺も不安だからこっち来い」
「えぇ...」
戦後で心に余裕も生まれたのか、リムルがいつもよりもわがままだ。あと独占的。まぁ嬉しいけど
そんなこともあって今はリムルの横にいる。
そして、全員が揃った事で会議は始まった
「...会議を始める前に、俺からひとつ話したいことがある。まず、今回の件でオーク達に罪を問うことはしない。オーク達の状況なら、他の種族でも同じ事をしただろうし...ってのは、建前なんだけどな」
「お、お待ちください!!それはいくらなんでも...!!」
「はいは〜い!!僕もリムルの意見に賛成で〜す!!
理由は、リムルに聞いてね♪」
「...被害の多いリザードマンには了承しかねるかもしれんが...それに、ベニマルたちも...」
「魔物たちの間の唯一不変のルールは弱肉強食...立ち向かった時点で、覚悟は出来ていたはずです。俺たちは、問題ありません。」
「...我らリザードマンにも、異論はありません。しかし...どうしても一つだけ確認したい。」
「なんだ?」
リザードマンの長はリムルにひとつの質問をした
その内容は
"オークを全てこの森で保護するということか"
という質問だった
確かに、いくら頭数が減ったとはいえオークの数は15万は残っている。
全てをこの森で養うのはさすがに無理があるだろう
ただ...
「その通りだ。」
リムルは迷うことなく即答した。
「な...何故...」
「それが」
「「魔王ゲルドとの約束だからだ」よ」
僕も混ざっちゃった♪
それを聞いたオークの代表は泣き崩れていたが、すぐに平静に戻り、話を再開した
そして、全てを養うのは難しい為、いくつかに別れて各個に散る事を皆に説明し、みなで協力して大同盟を結ぼうと提案をした。
「大同盟...と、申しますと?」
「ゴブリンからは、住む場所を。
リザードマンからは、水資源と魚を
俺たちの街からは、加工品を提供する。
そして、その見返りにオークからは労働力を提供してもらう!!
他種族間で同盟を結んで、お互いに支え合うんだ!!
他種族共生国家とか出来たらいいんだけどな。」
「お、お待ち下さい!!そ、その同盟に我らも加えて頂けるのですか...!?」
「衣食住は提供してやるから、働けよ?サボることは許さんよ」
「「ははっ!!!」」
「もちろん...勿論ですとも!!死ぬ気ではたらかせて頂きます!!」
そこまで話がまとまったところで、トレント族の代表としてずっと傍観をしていたトレイニーさんが口を開いた
「よろしいでしょう。トレント族を代表しまして、私トレイニーがリムル様をジュラの大森林の盟主と認め、ジュラの森大同盟は成立しました」
そうして、リムルは今まで以上に立場をあげた
ん?僕?僕はそのままだよ。盟主代理。
残念だけど僕には重すぎるからねシカタナイネ
っと、忘れるところだった!!
僕はみなに言わないと行けないことを思い出し、リムルに頼んで少し時間を貰った
「えっと...突然の事でびっくりすると思う。
実際、僕も初めは驚いたけど...敵意は無いから、落ち着いてね。...リムル、分身体を出してくれる?」
みんなにとにかく落ち着くように説明したあとリムルに頼んで分身体を用意してもらい、その分身体に向かって銃を撃った
すると、リムルの分身体の髪は短く黄金色に変わっていき、頬には特徴的な三本の引っかき傷のような痕、そしてオークにそっくりな耳を生やし、その分身体は目を開いた
「...しばしの時間を感謝する。オレは
落ち着いた様子で名乗りをあげる魔王ゲルド。
その姿は変わったが、どうやら中身はやはり変わって居なかったようだ
「ま、魔王ゲルド!?お前、俺の中で死んだはずじゃ...!?!?」
「...一度は、あの泡沫の夢の中へ行こうとも考えた。だが、未だ飢える同胞たちと、無茶な戦いをする小僧を放って成仏ができんかったのでな。しばらくこの者に力を貸すこととした。...とはいえ、森の者たちには迷惑をかけたのでな...すまなかった。」
「...そゆこと。これからは僕の先生になるの。
でも、死んでない以上謝罪だけでもって言うから今回こうしてリムルに頼んで分身体を依代に呼び出したの」
そこまで言うと、警戒していたみんなも矛を収め、話を聞いてくれた。
本人に対して色々言えたおかげか、オークの境遇を知ったせいか。
お互いのわだかまりがなくなり、会議はスムーズに終わった
平和的に会議も終わり、トレイニーさんがくれるというドライトレントという乾燥木の実?を取りに行くと言うのでそれを見送ろうと通路を通りかかったところで、ベニマルたちとオークの代表が話し込んでいた
聞き耳を立てると、ただただベニマルがかっこよかった
「何か用か?」
「...弱肉強食と言ったが、憎しみはそう簡単には消えん...我らは...オーガの里を...!!
罪滅ぼしにもならないのは百も承知...だがどうか、この首一つで、ご容赦願えないだろうか...!!!」
そういうと、オークの代表はその場に跪いた。
それは、自分の首を切り替わりに同胞の罪を切らないで欲しいということだった
直ぐに止めようと思ったが、それより早くベニマルが口を開いた
「...リムル様に、これからも御二人に仕えたいと伝えたら、俺たちに役職をくださった。」
「私は
「ハクロウは指南役、ソウエイは隠密。街に残ったクロベエとシュナにもだ。そして俺は、侍大将の役職をいただいた。軍事を扱う役どころだ。そんな俺が、戦力を勝手に削ることは出来ん。あの御二方に仇なす存在ならまだしもな」
「あ、仇なすなどと...あの方々は、我らを救ってくださった!!感謝こそすれ、仇なすなど...!!」
「なら、お前は同じ主を支える仲間だ。せいぜい、リムル様のお役に立て」
そういうと、ベニマルはその場を立ち去ってしまった。
懐が広い男の人ってかっこいいよね。
後でベニマルには美味しいものでもあげよう。
オークの代表が居なくなった所で、僕は岩陰から出た
『...お前たちは皆、心が広いな...』
そうでしょ?僕の仲間や兄はすっごいかっこいいし、可愛いし、綺麗だし、優しいんだ。
『あぁ...きっと、今まで飢饉で逝った同胞達も喜んでいるだろう...』
そうだといいね。そのうち落ち着いたら、その人達の慰霊碑も建てようか
『いいのか?オレたち先に逝ったもの達まで...』
先に逝っても、今生きてる人たちには大切な人でしょ?だから、それを尊重したい。
それに、帰る場所は、みんなのいる場所がいいもん
『...そうだな...本当に、ここは暖かい...』
そういうと、魔王ゲルドはそれ以上話さなくなった。
眠たくなったのか、肩の荷が降りたのか。
ただ、このスキルがある以上、きっと消えてはいない。
だからまずは、魔王ゲルドが安心して成仏できるくらいみんなを幸せにしないとね!!
そうして僕はリムルの元へ向かった。
何でも今は生き残ったオーク達に名前をつけてるらしい
大丈夫かな?
「え〜っとお前は...」
「リムル〜、順調?」
「あぁ...なんとかな。とは言えこの数だ。まだまだかかりそうだから、お前はみんなを手伝ってくれ」
「ん?名ずけ手伝わなくていいの?」
「あぁ、こっちは俺が何とかするよ。今重要なのは食料とかだから、そっちを頼む」
「了解お兄ちゃん!!」
そこまで話して僕はみんなのサポートをして回った。
名づけはリムルの予想通り長時間に及び、丸10日かけて何とか全員に名前をつけ終えたリムルは、案の定スリープモードになってしまったので、みんなを各グループに分けて出発を見送ったりした後、リザードマン達に別れを告げて僕らは帰った。
その時に知ったんだけど、リムルがオーク達に名付ける前にリザードマンの族長がガビルのお父さんと知ってアビルという名前をつけていたらしい。
最後には凛々しい見た目になって見送ってくれたよ
そうして、2週間ぶりくらいに僕らは街に帰ってきたのだった
そして、リムルが眠っているので僕は家にシオンを呼んでいた。
理由は勿論、オークロード討伐前にした約束の件だ。
オークロード戦ではまだ認めてくれたようには見えなかったけど...今はどうだろう
今も嫌われてたらショックだな...
「..えっと...シオン...?」
前言を撤回させて欲しい。
シオンが僕を嫌ってる?否
好かれていた。それも、前の態度が嘘のように
だって部屋に入るなりいきなり
「メイル様、今までの御無礼お許しください!!」
だよ?もう勢いに飲まれて許しちゃったよ。
そもそも怒ってないけどさ。
その後は、ベニマルたちとの戦闘を見てただとか、
オークロードから救ってくれたのはメイル様だとかって
今までの分を巻き返すように褒めてくるんだもん。
別人を疑ったよ。
それで、今はシオンの膝の上にテディベアのように乗せられているわけである
「メイル様、体制はきつくありませんか?」
「大丈夫だけど...シオンこそ重くない?」
「問題ありません!!今までの無礼の数々に比べればこの程度まだまだ軽いくらいです!!」
「そ、そっか..でも下ろしてくれる...?あの...僕はリムルと違って人型だし...何よりシオンの...その...胸が...///」
そう。一番の問題はシオンの豊満な胸だ
リムルなら大きさ的にも絵面的にも問題は無いだろう
でも僕は違う!!
なんせ僕はリムルと違って正真正銘男!!ちゃんとついてる!!
それに加えてリムルみたいにスライムにはなれないから胸が!!背中に!!ダイレクトヒットしちゃってるんだよ!!
さ、流石にこれは恥ずかしい...///
何より男として色々失ってく気がする...///
「問題ありません、メイル様が望むならば私の胸くらい」
「ちょ、待って!!」
僕は咄嗟にシオンの口を塞ぐ
理由は...お説教のためである
口を塞いだあとシオンの膝から降りると、正面に正座する
「シオン!!」
「は、はい!!」
「年頃の女の子がそんなこと言うんじゃありません!!
ただでさえシオンは美人なんだから、そんないと言わないの!!わかった?」
「し、しかし...今までの事を思えば...」
「だめ!!そういう事言うなら今後、僕の護衛や秘書は代わってもらう!!それが嫌ならもう言わない!!」
「わ、わかりました!!言いません!!」
「うん、素直でよろしい。」
まったく...これなら箱入り娘だったシュナの方がしっかりしてるよ...
これはシュナに頼んで教育してもらおう。
流石にこのままは不味いし、何より僕も怒られかねない
「いい?今日のことはシュナにも言っとくから、何がダメだったのかしっかりシュナに教えて貰ってきて!!」
「わかりました...」
シュンっとなったシオンはなんだか犬みたいでこの街に来たばかりの頃、家を吹き飛ばしてリムルに怒られたランガを思い出す。
2人とも素直だし、言ったら聞いてくれる所はいい子なんだけどね...何分僕やリムルが上の存在らしくて危なっかしいんだよなぁ...
なんて悩みが新しくできたけど、シオンが僕を思って言ってくれたことは事実なのでお説教はこの辺にしとこう。
この後はみんなでご飯だし...
「さ、お説教はちゃんと聞いてくれたしもういいよ。
ご飯いこう。前は一緒に食べれなかったし、今日は話しながら食べよう♪」
「...はい!!腕によりをかけて私の手作りを...!!」
「それはベニマルに食べてもらってからね」
「勿論です!!ただ、ベニマルに味見をさせると美味しすぎるのか眠ってしまうので困っているんです...味の感想とか欲しいんですけどね...」
そうは言うけど、ベニマルは美味しくて気絶してるんじゃなくて、激物を口にして倒れてるんだけどね...
なんて言えないけど...どうしたらシオンのメシマズは治るのかな...シュナは諦めちゃったし...
と考えて僕は思い出す。シオンはランガ並に素直なのだ。なら、当たり前のことをさせればいいのでは?
「それなら、これからはベニマルだけじゃなくてシオンも味見したらいいんじゃない?ほら、一応色んな人に出すこともあるかもだし、味の確認と、シオンが知らない間に調味料を毒に変えられてたらまずいからそれの毒味も兼ねてさ!!」
僕は半ば無理やりだがそうシオンに伝えてみると...
「確かに、リムル様なら毒は問題なさそうですが、メイル様に召し上がっていただくものに毒物が紛れてるのは問題ですね...わかりました!!次回からは自分でも味見兼毒味をします!!」
「う、うん!!頑張ってね!!」
種は蒔いた。あとはこれがちゃんと芽吹くことを祈るだけだ...
そんな面持ちで僕はシオンと食堂に向かって行った..
あとがきです
やっとオークロード編終わった〜!!!
日常が書ける〜!!もうバトルシーンばかりで疲れた!!
実況は面倒なんじゃあ!!
次回からはのんびりとした話を進めつつミリム編入っていくよ!!
そして今回は魔王ゲルドの再登場に加えて書籍版転スラの要素であるシオンメシマズ解決のお話も出しました!!
とはいえ、本編とは少し違いますけどね。
あとはカリュブディスと襲撃かぁ...大変だけど頑張ります!!
次回もお楽しみに!!