街へ戻り、リムルも目覚めた今日。
僕たちは、あることを目的に場所を探していた
「この辺はどうだ?」
「ん〜...どうだろう...街が見える丘の上はシズさんのお墓だしなぁ...」
「御二方...本当に宜しいのですか?リムル様は、まだお疲れでは...」
現オークの族長、名をゲルド。
どうやらオークロードの息子だった様なので、その意志を継いでもらうべく、同じ名前を与えたのだ
「いいってば♪
ゲルドも、みんなの眠る場所があった方が祈りやすいでしょ?」
「それに、俺たちもそういう場所は作ろうと思ってたんだ。丁度よかったんだ。気にするな!!」
リムルも僕に続いてフォローを入れる
ゲルドはなんだか泣きそうになってるけど、
僕らのいた世界ではこれくらい当たり前だったし、
平安時代くらいから相手の死者に対しても黙祷や祈りを捧げてたけど...こっちだとそうでも無いのかな?
ここに来たカバル達とか、リグルドに話を聞く限りこっちの世界は僕らの世界で言うところのヨーロッパあたりの文化が大きく広がってるみたい。
だからRPGみたいな冒険者ってシステムがあるのかな?
でも、その割にはベニマル達はどちらかと言うと和風だよね。武器も日本刀だし...
「メイル、ここはどうだ?」
「んぇ?」
僕が色々考えながら歩いていると、いつの間にかアメルド大河のすぐ側に来ていた。
ここは街から繋がるアメルド大河の船着場だ。
ここなら景色もいいし、いろいろな人が行き来するだろうしいいかもしれない。
それに、ここの上流にシス湖はあるから、そこから流れてきたものを供養するって意味でもここに作るのがいいかもしれない。
慰霊碑とかも、そういう場所に作られることが多いしね
「うん、いいかも!!いつかここまで街を伸ばしてきて、この慰霊碑に眠る人達にも見せたいしね!!」
「それは少し先になりそうだけどな...」
苦笑いをするリムルとまた涙を堪えているゲルドを横目に僕はリムルの胃袋から出した慰霊碑を固定していく。
と言っても元々かなりの重量なので少し周りの土を固めるだけである
「よし!!完成!!」
「結構いい感じだな。この辺りに墓とか教会やらも作るのもありかもしれないな。」
「僕らって一応魔物だけど...教会って大丈夫なの...?」
「...まぁ、その辺は後で考えればいいだろ!!」
「そんな適当な...」
「まぁまぁ!!いいから街に戻ろうぜ!!この後は畑の様子見に行くんだろ?」
「そうだけど...ゲルドはどうする?」
あからさまに話を逸らしたリムルの話に乗るまえに少し心情が心配なゲルドに話しかける
まだオークロード戦から1週間も経ってないし、オーク達にとってはまだ辛いんじゃ...少しくらいここでゆっくり死者と話しても...と思ったんだけど
「なら、俺も同行します。畑仕事なら経験もありますし、これ以上みなを飢えさせる訳には行きません」
僕が考えていたよりもゲルドは強かったみたい
と言うよりも少し社畜体質なのかな...?
定期的に無理やり休ませたりした方がいいかもしれない...
そういえば、オーク達に名づけをするって時も食べ物が足りなくて、トレントが作るドライトレントって言う乾燥木の実みたいなのが栄養価が高くて魔素が豊富に含まれてるから満腹感もあって空腹のオーク達にちょうどいいとかで運ぶってなったんだけど...
その時もゲルドは嵐牙族の影移動を覚えて率先して運ぶのを手伝ったりしてた。
あの時もよく考えたら数日寝てなかったような...
うん。ゲルドには悪いけど時々わがままがてら休んでもらおう...
そんなことを考えながらも作物の話をしながら3人で畑に向かうと、ちょうど今畑の雑草取りや害虫対策中のリリア達がいた
「リリア!!畑の調子はどう?」
「おやリムル様にメイル様!!それにゲルドさんも。
畑は順調に育ってますよ。」
リリアはここの畑仕事のまとめ役や魔物の子供たちに勉強を教える寺子屋の先生をやっているゴブリンロードのひとりだ。
カイジンたちをリムルが連れてくる時にやってきたゴブリンの村長達の1人でもある。
ちなみに、怒ると怖い
「今は何育ててたっけ?」
「今はじゃがいもを中心に、麦やお米、人参などですね。お米と麦以外は比較的手を加えなくても育ってくれる作物などを育てています。」
「おぉ!!サラダとかが美味しくなりそうだね!!」
「お前は成長期なんだから、ちゃんと肉も食えよ」
「食べてるよ?最近は干し肉にハマってる」
「保存食でもあるのであまり食べないでくださいね...?」
ありゃ、最近少し保存食に回すぶんを貰ってるのがバレた...
いやでも食べてみると結構美味しかったんだもん...
とはいえしばらくは我慢かなぁ...
なんて、ほんの少し前まで戦い前ってことで忙しかったせいか、久々ののんびりした時間でのんびり話しているとゲルドは嬉しそうに
「...この街は、いい街ですね...」
なんて、微笑んでいた
そんな日々も過ぎ去り数ヶ月。
毎日毎日僕らは鉄板...ではなく畑の土の上で作物の成長を楽しみに働いていた
そろそろ収穫時期だし、余裕があったら収穫祭とかしたいよね
なんて考えていたお昼過ぎ。それは突然現れた
『警告、高密度のエネルギー源がこちらに高速で接近しています』
ふぁ!?突然警告!?
緊急地震速報もびっくりな警告来たけどどうしたらいいの!?
『対象のエネルギー源の着弾場所を測定...着弾箇所は個体名:リムル=テンペストの傍であると予想。街の外れにある丘です』
リムルの傍!?
なんでまたそんなことに...それって魔物なの!?
『いえ、おそらく違います。エネルギー量が測定できる範囲でオークロードを捕食したリムル=テンペストの10倍はあります。』
それってまさか魔王...リムルが危ないかも!!早く行こう!!
「メイル様!!」
僕がその場所に走っていると、不意に後ろから声をかけられた
いつもの頼りになる声。
とはいえ、今はちょっと心配かもな
振り向けば、数ヶ月一緒に過ごした鬼人達がいる
「ベニマル!!今...!!」
「わかっています!!リムル様の元へは俺たちが!!メイル様は一刻も早く避難を!!」
「するかバカ!!」
この状況で何言ってるの!?兄を見捨てて逃げろと!?
んな事出来たら走ってないわ!!
「しかし...!!」
「そんな問答してる場合じゃないのわかるでしょ!?このままじゃ...シオン!!僕を投げ飛ばして!!命令!!」
「な、何をするおつもりですか!?」
ベニマルの制止の声が聞こえるが、そんな余裕僕には無い
それを察してか、それとも1度本音で話し合ったからかシオンもわかってくれてるみたいで
「リムル様のそばまで投げればいいですか?!」
と、すんなり受け入れてくれた
「待てシオン!!もし何かあったら...!!」
「そんなの...リムル様さえ無事ならどうとでもしてくれます!!」
そう言うと同時に、シオンは僕を投げ飛ばした
俺は、急遽あらわれた謎のエネルギー源を引きつける為に街の外れに来ていたのだが...
「はじめまして!!私はただひとりのドラゴノイドにして、デストロイの2つ名を持つ...魔王ミリムナーヴァだぞ!!」
...と、突如空から降ってきた天災ロリっ子...
鑑定するまでもなく...ツルペタ...
これは勝てないわ...今日で俺の命も終わりか...
と思っていたが、念の為話を聞くと...
「目的?挨拶しに来ただけだけど?」
あ、そうですか
随分と礼儀正しい魔王様で...
ともかく、早々にお帰りいただくしかないな。
このままじゃみんなが驚くだろうし...
「あの、悪いんですけど...」
「うちのお兄ちゃんから離れろ!!」
「うぇ!?」
俺が帰ってもらうために交渉を始めようとするのと、
何故か空から降ってきたメイルが銃を発砲するのはほぼ同時だった....
メイル...空から来るのもなんでだけど直ぐに撃つのは直そうって言ったろ...それと護衛はどうしたんだ...
ツッコミどころが多すぎる弟にお兄ちゃんは頭を抱えてるよ...
リムルが見えた!!
そう思うのと銃を構え叫ぶのはほぼ同時だった。
「うちのお兄ちゃんから離れろ!!」
「うぇ!?」
この時、もう少し冷静な判断ができて周りに戦闘あとがないのにもっと早く気づければ...
まぁ、撃ってから気づいても仕方ないよね
とはいえ、咄嗟に来たから安全用のゴム弾が入ってたのは不幸中の幸いかな...
「痛っ!!...なんだ、私と遊びたいのか...?」
「おいぃ!!せっかく穏便に済ませられそうだったのに撃ったんだよ!!」
「し、仕方ないじゃん!!リムルが死んじゃうかもって思ったらつい...不可抗力だもん!!」
「嬉しいけど嬉しくね〜!!!」
「ごちゃごちゃやかましいぞ!!そっちから来ないならこっちから行くのだ!!」
切実に来ないでください!!
まさか戦闘しないと思わないじゃん!!
あんなでっかいクレーター作ってさ!?
あんな速度で突っ込んできてさ!!
オーラもダダ漏れでしょ!?敵襲だと思うじゃん!!
ちなみにお姉ちゃんこと見守る者さん!!戦ったらどうなる!?
『解、ここを中心に半径2km程が消し飛び、マスターが消滅するかと』
だよねぇ!?
「...こうなったら...!!」
「お、おいまさか戦う気か...?」
「こうなったら...頭擦り付けて土下座するしかない...」
「うーんこれは日本人」
もうそれしかないよねぇ...
このままんじゃこの辺一帯ふっとぶらしいもん...
そろそろシオンたちも来ちゃうし...仕方ない
悪いのは僕だしね
「すみませんでした!!その強大すぎるオーラからもしや新手の刺客かと思いついその"可愛らしい"姿を見る前に発砲してしまいました!!」
「...可愛らしい?」
あれ?魔王が止まった
可愛いって言葉に反応した...?
いやもうこの際仕方ない!!それでいこう!!
「はい!!その"可愛らしく""美しい"容姿を拝見すれば敵意がないことなどすぐにわかったでしょうが、兄が危険と思いつい...!!つい撃ってしまいました!!すみません!!」
「ふふ...可愛らしい...美しい...わーっはっは!!お前はよくわかってるな!!まぁ、確かにいきなり私のような可愛らしくて美しい存在が現れたら驚くもんな!!仕方ないな!!私は心が広いから今回は許してやるのだ!!」
「ありがとうございます!!」
僕がお礼を言っていると、追いかけてきたベニマル達がぞろぞろと揃ってきた
「えっと...問題なさそうですね...?」
「あぁ、なんとかな...」
いや〜危なかった。
危うく魔王と戦うことになるところだった...
どうやら見た目どうり年頃の女の子みたいだし、今後はそう言う対応をしよう...危ないし
「とはいえ、私は痛い思いをしたのだ!!おいお前、なにか私にお詫びをするのだ!!」
「え...お詫び...?」
やばいどうしようお詫び...?
そんなのないし...女の子が喜ぶもの...可愛いの?
いやいや、どっちかって言うとカッコいいもの好みそうだし...なら、この銃...は流石になぁ...
それなら〜...えっと〜...
「り、リムル!!アピトから貰ったのちょうだい!!」
「なっ..!?」
「...?リムル様、アピトとは...?」
「あ、あぁ、最近俺が名付けたやつでな...う〜ん...まぁ、仕方ない...まだ量は無いが...おい魔王ミリム!!俺と一騎打ちと行かないか?」
「一騎打ち?」
「あぁ。俺の攻撃に耐えられなかったら、メイルを許して俺の指示に従ってくれ」
「別にもうこの者は許してるが...いいだろう!受けて立つのだ!!」
ミリムが許可を出すと、リムルは金色に輝く液体を手のひらの上で作り出し、ミリムの口へとねじ込んだ
と言っても、別に毒でもなんでもなく....
「なんなのだこれは!?こんな美味しいの、今まで食べたことないのだ!!!!」
「よっし!!」
あれはアピトという最近リムルと一緒に森で名付けた蜂の魔物の子がくれる蜂蜜だ。
万能薬にもなるので、たまに僕とリムルが舐めるくらいでしか消費していない貴重品だ
「どうする?魔王ミリム。ここで負けを認めるなら、さらに追加をくれてやってもいいが...」
「ほ、欲しい...!!しかし...負けを認めるなど...!!」
「ん〜!!美味し〜!!おっと?そろそろ量が無くなってきたぞ?」
「ま、待つのだ!!今回は引き分け!!引き分けで手を打たないか!?!?」
「引き分け?」
「あぁ!!今回の件、全て不問にするのだ!!」
はちみつあげるだけで良いのに、わざわざ勝っちゃった...
まぁ、暴れられるよりはいい...のかな?
「いいだろう。その申し入れを受けよう。今回は、引き分けということで」
そういうとリムルははちみつがいっぱい入った瓶を魔王ミリムに渡した。
随分と沢山上げたな...
「所で、お前たちの名前はなんなのだ?」
「あれ?名乗ってなかったっけ?」
「リムルの方は聞いたぞ。でも、そっちは聞いてないのだ」
「...あ、僕か。初めまして。リムルの弟のメイル=テンペストです」
「メイルだな!!よろしくなのだ!!」
こうして、初めての魔王の友達ができた。
少し心配だけど...大丈夫かなぁ...
お知らせ
更新数日止まっててすみません。
中の人が学校帰りのバスの中や家の外にいる時に書いているものですから、家だと筆が進みませんでした。
ですので、土日は更新されないのが当たり前だと思ってくれると幸いです。
あとがきです
とうとうミリム出たなぁ〜って感じですね
正直もっと早く出そうか遅く出そうか考えましたよ
のんびりとした日常回を書こうとも思いましたが、先にストーリー進めます。
まぁ、襲撃編とかみたいな暗い話の後にこういうほのぼのとした日常は書くようにします。
その方が心も穏やかですしね...
次回はミリムと一緒に街をブラブラしたり平和に行きましょう。
その後でカリュブディスを入れます
次回もお楽しみに