この運命さえ喰らい尽くせ   作:海波 犬夜

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カリュブディス

 

件の獣人が街に来てから数日。

僕にはいい報告があった。

数日前に依頼していた対物ライフルが完成したそうだ。

中でも僕の知っていて1番好きなやつを選んだ。

あれならたとえ魔王いや!!竜種でもダメージになってくれるはずだ!!

なんて喜んでいるのもつかの間、ゴブタ達ゴブリンライダーが街の傍で人間の集団と接触したと報告が入った

 

「それで、街のそばにいたって言う集団の中に、なんで3人が入ってるんです?」

 

「いやぁ...それには空より広く、海より深い理由があってな...」

 

「この街の調査をギルマスから頼まれて向かってる途中で、アーマースパイダーに襲われて、逃げた先にあの集団がいたの。で、みんなで戦おうってところでゴブタさん達が来てくれて...」

 

「いやぁ、助かりやした」

 

カバル、エレン、ギド。

3人は、シズさんの最後のパーティメンバーだった人たち

シズさんがイフリートに取り込まれ、自分たちに牙を向いて尚仲間だからと奮戦し、リムルと一緒にシズさんを救った人達だ。

 

「まぁたカバルさんが何かしたんですか?」

 

「ちょ!!今回は違ぇよ!!」

 

「どうだか...前に大きな蟻さんに追われてた理由もカバルさんが巣に剣を突き刺したと聞きましたよ」

 

「げぇ!?お、お前ら...」

 

「私たちじゃないわよ!!」

 

「そうでやすよ!!すぐにパーティメンバーを疑うとは何事でやすか!!」

 

「疑わしいお前らが悪いだろ!!」

 

相変わらず賑やかな人達だなぁ...

変わりないようで良かった良かった。

シズさんの1件以来、少し心配だったからね

でも、心配は要らなかったかな

 

「僕に教えてくれたのはシズさんですよ」

 

「ま、まじにシズさんなのかよ...絶対二人だと思ったのに...」

 

心配はいらなかったけど、まだまだシズさんが心配しないようなリーダーには程遠いかな?

っと、話してばかりはいられない。

そろそろ席につかないと

 

「それじゃあ、そろそろ会議始まりますので、今の話をしてくださいね」

 

「元々嘘をつく気は無いから大丈夫だ。そっちもギルマスのツラで泣かないでくれよ」

 

「ふふっ、気をつけます♪」

 

楽しそうに微笑みを浮かべると、メイルはスタスタとリムルの隣へ移動する。

前に会った時よりも明るい笑顔になっていたメイルに3人はほっと胸を撫で下ろし、会議に向けて気持ちを切り替えた

 

今回の話し合いの理由はジュラの大森林から北にある国、ファルムス王国から来た人間の集団と、そのさらに北側にあるブルムンド王国から来たカバル達と、カバル達の上司あるギルドマスターのフューズさん。

以下の面々で会議を...と思ったのだが...

 

「いや待てよ!!なんでスライムと小鬼が偉そうなんだよ!!おかしいだろ!!」

 

と、ファルムス王国から来た人達のリーダーの白髪の人がそう聞いてくる

まぁ、そりゃそうだよね。

普通に考えたらスライムと小鬼はおかしいよね

でもお兄ちゃんをバカにするのは許さないよ?

 

「リムル様とメイル様に無礼ですよ」

 

と、シオンがなだめようと注意してくれたのだが...

 

「うるさい黙ってろおっぱい!!」

 

─ゴンッ!!

 

...白髪の人がそう言うと、シオンの愛刀剛力丸が峰打ちとはいえ頭に入りでっかいたんこぶが...

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

僕は直ぐにその人に駆け寄りポーションを頭にかける

う〜ん...僕がすぐに撃つのもこういうふうに見えるのかな...?

...気にしないでおこう

 

「うちの秘書がすみません。大丈夫ですか?」

 

「あ、あぁ...問題ない...」

 

「少し我慢ができない子でして。申し訳ないです」

 

「め、メイル様!!頭をあげてください!!」

 

「いいの。部下の失敗は上司の失敗だよ。むしろ僕らのために怒ってくれてありがとね。ほら、良いから戻って」

 

部下の失敗は上司の失敗。

これができない会社はブラック企業って誰かが言ってた

まぁ、これが鉄則とまでは行かなくても少しくらい部下のことをちゃんと見れる上司でありたいよね。

自分の失敗を部下に擦るなんてもってのほかなんだから

 

「メイル、良いから一旦席に戻れ。...あのなぁ、お前は一応この"テンペスト"の国主代理なんだぞ?謝るなとは言わんが、せめて頭は...」

 

テンペスト...そういえばそうだ

僕は今は街の代表だったリムルの代理ではなくて

国主代理なんだよね...

 

あれはオークロードを討伐してすぐの頃

武装国家ドワルゴンの第3代国王であるガゼル・ドワルゴがいきなりこの国に来てリムルと決闘。

その時リムルが勝利し、この街を国として発展させてく旨を声明し、ジュラテンペスト連邦国という国になったのだ。ちなみにベスターはその時に仲間になって仲良くなった

 

とはいえ、国主代理になったって僕のやることは変わんない。

今まで通りみんなと接していくだけだ

 

「僕が下げてことが収まるならいいよ。所詮代理だよ。

リムルができないことをやるだけ」

 

「立派だけど違うんだよ..」

 

そんな頃より会議止まっちゃってるから早く再開しよう?

フューズさんとかツッコミそうなの必死で耐えてる感じだから

 

リムルにそう伝えるとリムルは渋々会議を再開し、白髪の人...名前はヨウムさんと言うらしい

ヨウムさんとフューズさんの話を聞いた

 

お互い、国と自分の判断でオークロードを討伐した僕たちのことを偵察に来たらしい。

まぁ、そりゃあ気になるよね

なんなら討伐対象ご本人呼んであげようか?

 

『今出るのは返ってこの国の印象を悪くするだろう。

オレは出るつもりは無い。』

 

『同意見です』

 

僕の中の王様とお姉ちゃんは僕の意見には賛成し兼ねるみたい

僕だってやる気はなかったから安心してね?

そして会議の最後にはリムルの

 

「この街で好きにすごしてくれて構わない。

俺たちが安全な魔物かどうか、じっくり検討してくれ」

 

と、受け入れる事を宣言して会議は幕を下ろした

 

そしてそこから数日、みんな各々でこの街を見て周り、住民たちと共に生活して、僕たちを悪い魔物とは思わないし、国にもそう伝えると言ってくれた。

そこからリムルの作戦、ヨウムをオークロード討伐の英雄として祭り上げて僕らを安全な援護した魔物ってことにしよう大作戦を決行。

 

数週間にわたりハクロウのボコボコにされたヨウムは以前とは見違えるほどに強くなり、本当に英雄として旅立って行った。

と言っても、まだここ近辺しか回らないのでまた数週間経てば会えるので寂しくは無い

ちょうどミリムとカバルたちが大量大量と今晩のご飯を持ってきてくれたのでそれの下準備を...

 

「ッ!?誰っ!!」

 

「メイル、下がっているのだ!!」

 

凄まじい殺気を感じ、瞬間的に銃をそちらに向け距離をとる

まさかまた魔王の刺客...と思ったが、現れたのはトレイニーさんに似た女性。

ドライアドなのは分かるが、初めて見る人だ

とはいえ、全ドライアドが友好的とも限らない。

警戒しながら話を...と、相手が話し始めた

 

「私は、ドライアドのトレイア...姉トレイニーに変わり伝言を持ってきました...」

 

「...お話はわかりましたがそちらの殺気は...?」

 

「先程まで、あるものと戦闘になっていたため殺気が抑えきれていないのです...申し訳ありません...」

 

「...誰と戦っていたんですか?」

 

ここの時点で僕は銃を下げ、話を伺うことにした。

ドライアドはベニマルたちとおなじAランクの魔物だ

そのドライアドが戦ってきた。と言ったが倒したとは言わなかったあたり、オークロードくらいの敵なんだろう

 

「やつの名はカリュブディス...

暴風竜、ヴェルドラ様の魔素溜まりから生まれた厄災の魔物です...ヴェルドラ様の申し子と言われるだけあって、その力は凄まじく、姉トレイニーが足止めを行っておりますがいつまで持つか...

カリュブディスは、まっすぐこの地を目指しているのがわかっています。急ぎ戦争準備を...」

 

「ここに...ここが目的とも限らないけど、そんなやつじゃミスミスここをスルーはしてくれないよね...すぐリムルに報告を」

 

「話は聞いてた。」

 

「リムル...」

 

気づけば僕のすぐ側にはリムルがおり、

どうやらある程度話は聞いていたらしい。

手間も省けたし、全く頼りになるお兄ちゃんだよね

 

「急いで準備するぞ。せっかく大きくなったテンペストを壊されてたまるか」

 

リムルはそう言うと、すぐに幹部たちを会議室まで呼び、対カリュブディス戦の作戦を立て始めた

カリュブディスはヴェルドラの申し子と言うだけあって風属性の魔法を使う魔物であり、空飛ぶ魚らしい。

そしてその周囲に10〜15程の鮫型の魔物であるメガロドンが飛び回っていると言う

 

カリュブディス本体だけでもオークロードと同じ厄災級(カラミティ)の魔物なのに、そのまわりにAランク級の魔物をゴロゴロ連れてるってどういうことなのさ!!

オークロードと違って自我を持たない魔物じゃないの!?

コバンザメじゃないんだからメガロドンはメガロドン単体でいてよ!!

まぁそんな危ないのが森の中単体でもふわふわしてたら嫌だけどさ...!!

 

しかも、そのカリュブディスとメガロドンには魔力妨害っていう魔法系のスキルを弱体化させる能力すらあるらしい

漫画に出てくる大魔王じゃないんだからそんなスキル持ってるんじゃありません!!

おっきい魚ならジンベイザメのようにのんびり泳いでてよ!!

 

「なんで魚なのにそんなスキルもってんだ...!!」

 

あ、リムルも同じ気持ちだったみたい

良かった。僕だけじゃなくて

 

それにしても魔力妨害かぁ...

僕の銃なら突破できそうだけど、その大きさじゃなぁ...

うーん...

 

僕たちが頭を捻っていると、待ってましたと言わんばかりに声を上げた者がいた

 

「何を悩む必要があるのだリムルにメイルよ。

カリュブディス如き、ワタシにかかれば一発なのだ!!

最近学んだ手加減を見せてやるぞ!!」

 

そうか!!ミリムのパワーなら確かにカリュブディスだって、倒せなくても大ダメージを与えられるかも!!

 

「ミリム、それは」

 

「いえ、それには及びません。」

 

ちょ、秘書!?勝手に断っちゃ...

 

「そうですよ。友達だからと、なんでも頼っていては成長できません。リムル様とメイル様が本当に困った時にだけミリム様のお手をお貸しください」

 

あ...これは...

 

「そ、そうだぞミリム!!カリュブディスくらい俺が何とかするからお前はみんなの戦いぶりを見てろよ!!あははははは!!」

 

あぁ...リムルまで...僕は不安でいっぱいなのに...

もう!!!こうなりゃどうとでもなれ!!

カリュブディスだろうがメガロドンだろうか相手してあげるよ!!

うちの暴食お兄ちゃんけしかけてやる!!

 

半ば無理やり決心を固めた僕とリムルは、決心が揺れないうちにカリュブディス戦の準備を始めるのだった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから1晩。

うっすら上空に蠢く影が見え始めていた。

その数、およそ16

そのうちのいちばん大きい一体がカリュブディスだ

こちらの戦力はオークロード戦同様の狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)

新たに加えられたガビルの部隊、飛竜衆(ヒリュウ)

そしてゲルド率いるオークの軍団黄色軍団(イエローナンバーズ)の総戦力に加え、武装国家ドワルゴンから援軍に来てくれた軍団長ドルフさん率いる天翅騎士団(ペガサスナイツ)達の総戦力をもってカリュブディスの討伐に当たる

そして僕も、みんなと少し距離を開け、高台に上がり、うつ伏せの状態から上半身だけを少し起こし、カリュブディスを眺める

僕が狙うのはその巨大な目

潰せなくても、せめて視界不良くらいにはする予定だ

その為に、このウルティマ・ラティオシリーズのPMG へカートIIを用意したんだからね

 

今回こそは活躍するぞ...!!

 





あとがきです
薄々気づいた方もいらっしゃったかもしれませんが
私、SAOシリーズ大好きです
第2期決定したGGOも楽しみですね
あの辺のネタ持って来ることもあるかもしれません

それはそうと次回からカリュブディス戦本番ですねぇ...
メイルくんの遠距離射撃が楽しみ!!
それと、カリュブディス戦が終わりましたらお知らせがございます。
少し残念なお知らせになりますが、書くの辞めるとかじゃないのでご安心を(笑)

次回もお楽しみに
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