この運命さえ喰らい尽くせ   作:海波 犬夜

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総力戦

 

天空の支配者とも呼ばれる暴風の厄災カリュブディス

数分前までは小さく見えるだけだったそれも、時間が経つ事に大きくなり、もはや戦闘距離に入ろうとしていた

 

「みんな、もう時期戦闘予定距離にカリュブディスが入る。

まずは周りを泳いでるあのおっきい鮫からだよ。

間違ってもひとりでカリュブディスに突っ込んだりしないでね!」

 

「「「おおおぉぉぉぉ!!!」」」

 

メイルの掛け声で戦闘開始が近いことを理解した者たちは、それぞれが雄叫びを上げ、味方を鼓舞している。

まずは周りを囲む厄介な鮫の始末からだ。

あれでもAランクの魔物、油断すればこっちからも死者が出かねない。

 

「まずは様子見と行きましょう。俺たちの力がどこまで通じるのか...黒炎獄(ヘルフレア)!!」

 

初っ端から容赦はなく、様子見と言ったベニマルが渾身の黒炎獄(ヘルフレア)を放ち、メガロドンの一体が地に落ちた。

ただそれを見て油断するどころか皆気持ちを切り替えていた。

簡単には勝てないと

 

理由は単純だ。

ベニマルの黒炎獄(ヘルフレア)を食らって尚、メガロドンは形を保っていたのだ。

それだけでも、魔力妨害がどの程度の精度かがよくわかる。

それだけに、いつもは頼りになる大技も今だけは通用しないと理解したのだ

だからこそ、武器を手に取りメガロドンを迎え撃つ準備を整えた

 

 

 

 

それから数分。ついにカリュブディスが戦闘予定距離まで近づき、メガロドン達も下に待ち構える戦士たちの気配を察し、我先にと地面に向かっていった。

ただ、不可解なことにカリュブディスは暴風を撒き散らす訳でも無く、僕らに攻撃をするでもなく浮かんでいるだけだった。

聞いていた話とだいぶ違うが、どの道放置はできない。迫り来るメガロドンを刺身に変えたあと相手してやるよ

 

最初の一匹がゴブタ達狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)に向かっていく。とはいえ向こうには指南役としてゴブタ達を叩き上げたハクロウが居る。

問題は無い...と思ったらどうやらゴブタたちだけにやらせるらしい。

まぁ、ハクロウが一緒なら死人は出ないだろうしこっちは放置でいいな。

 

「ほっほっほ、ほれ、どんどん攻撃せんと負傷者が増えていくぞ」

 

「む、無茶っすよ師匠!!そもそも装甲が硬すぎて刃が通らないっす!!」

 

「やれやれ、修行が足りんのぉ...」

 

呆れたようにハクロウがつぶやくと共に、メガロドンが細切れになった

ゴブタ達に取って強敵であっても、ハクロウからすればまな板の上に寝る魚と何も変わらなかったのだろう。

 

 

 

2匹目が狙いを定めたのはゲルド率いる黄色軍団(イエローナンバーズ)だ。

オークロードが率いていたオーク達の中でも精鋭中の精鋭であり、多くの豚頭将軍(オークジェネラル)が所属しているが、巨大なメガロドンからすればゴブタたちと変わらず、攻撃を与えることも出来ずメガロドンの突進で多くのオークが吹き飛ばされてしまう

幸いなことに耐久性に優れたオークから犠牲者は出なかったが、怪我人が出てしまった。

だが、それがゲルドの怒りに触れた

 

「おのれ...よくもオレの同胞たちを!!!」

 

迫り来るメガロドン相手に1歩も引かず、自分の数十倍はあるであろう質量を馬鹿力で押さえつけ、身動きを封じると同時に残った兵に檄を飛ばす

 

「今だッ!!俺が抑えてるうちに側面を攻撃しろ!!」

 

隊長の命令を先読みしたと言わんばかりに飛ばされた筈のオークたちは武器を手に側面を叩くが、巨大なメガロドンを抑えられているのは頭だけ。

側面を叩こうとすれば離れようと暴れる尾に吹き飛ばされるものも現れた

 

「くッ...!!貴様ァ...!!」

 

「助太刀いたしますぞッ!!」

 

メガロドンの抵抗にゲルドの手が離れようとしたその時、空から声が響き1本のユニークの性能を持つ三又の槍が降ってきたかと思えば、メガロドンの頭の中に大量の水渦を食らわせ絶命に追い込んだ

槍を投げたのは今だ幹部になれてこそいないが、幹部と同じくらいに努力を続ける男、ガビルであった

 

「仕留めたぞッ!!怪我人の手当を急げ!!」

 

「了解だぜ!!」

 

「然り!!」

 

「ガビル様かっけ〜!!」

 

ガビルが指示を出すと、いつもガビルについて回る三人衆が真っ先に怪我人の元へ向かい、回復薬にて怪我を癒していく

 

「ガビル殿、助かった。かたじけない」

 

「当然のことをしたまで。礼など要らぬぞゲルド殿。」

 

「次はこんな失態は踏めぬ、少し手を貸してくれないか」

 

「うむ。敵は思っていたよりも強力であるからな。吾輩もそう思っていたところであった。共に戦おうぞ!!」

 

かつては敵同士だったガビルとゲルド。

敵の敵は味方とはよく言ったものである。

最終的に最もメガロドンを落としたのはここの部隊達だったのはお互いをしっかりと理解し、自分が出来ることをできる範囲でこなす2人が居たからだろう

 

 

 

「ソウエイ様、今です」

 

「あぁ」

 

ソウエイ率いる秘密部隊隠密。

ガビル達がテンペストに来た時に着いてきたガビルの妹のソーカとその部下たちは名前を貰ったあと、ソウエイに弟子入りし、隠密として働いていたのだが、今回の彼らの役目は情報収集でも戦闘でもなく龍人族(ドラゴニュート)となったことで空を飛べるようになったソーカ達がソウエイをメガロドンの上に影移動で移動できるようにメガロドンの上に影を落とすこと。

 

簡単なようでいて、実際簡単では無い。

それはガビル達同じように飛べる龍人族(ドラゴニュート)が近づいてないのをみればわかることだろう。

理由は単純。魔力妨害だ

メガロドン達もこれを持っているせいで近づくことが出来ても魔力妨害によって翼に着いている重力操作系のスキルが使えなくなり、空を飛べなくなる。

そのため、ソウエイはこういう指示を出したのだ。

誰にもバレないように偵察をする訓練をしている隠密だからこそメガロドンの上を取り、バレずにその背に影を落とせるのだ。

 

「ご苦労。1度戻って戦場の状況を伝えたら残った魚を片付けろ」

 

「はっ!!」

 

短く指示を出し終えると、ソウエイはお得意の粘鋼糸(ねんこうし)を生み出し、メガロドンの脳を弄り操り人形にする。

もはやなんでもありだ

 

そして、操り人形にしたメガロドンで別のメガロドンを襲撃。その強靭な顎で別のメガロドンの喉元を噛みちぎらせる

えげつねぇ...

そしてそんなこと意に介さず、次なる獲物の元へメガロドンを操り向かう...とそこに、ひとつの影が横切った。

 

「ソウエイ、あれは私たちがやります。別の魚を任せましたよ」

 

「シオンにランガ殿...了解した」

 

そう。シオンとランガのコンビだ

シオンは武器やスキルの性質上、上を取られると何も出来ない。

しかし、そこで同じように活躍の場がなくなりそうなランガと手を組んだ

ランガはエクストラスキル【風操作】によって空中に足場を作り、空を駆けることが出来るのだ。

そのランガの上に立ち、メガロドンと対峙したシオンはおもむろにランガの背から飛ぶと...

 

「喰らえ、断頭鬼人(だんとうきじん)!!」

 

と、ゴブタ達やゲルド達が傷つけることすら叶わなかったメガロドンの首を一刀両断してのけたのだ!!

そして、あとは重力に任せて落下するだけのシオンをランガが受け止めるより先に喰らいつかんとする別のメガロドン

しかし、ランガの目がある場所でそんな行為が出来るわけない。

まぁ、ランガの目がなくてもシオンなら自力でなんとかなると思うけどな

 

「わおおぉぉぉぅぅぅぅ!!」

 

遠吠えをランガがすると、額に生えた2本の角から黒稲妻(くろいなずま)が放たれ、迫り来るメガロドンを黒焦げにしたあと、綺麗にシオンをキャッチし、次なる獲物を探しに再び空を駆ける...

 

 

 

「...さて...どんなもんかな...」

 

静かにスコープを覗く幼いスナイパーは、

高台に陣取り、独り残る獲物に的を搾っていた。

今まで撃たなかったのにも理由はある。

まず、カリュブディスをしばらく観察し、動きがないかを確認していたのだ。

結果、何も動きは無い。そのため、俺と観察を交代し今はメガロドンを狙っている

 

「...大丈夫。相手は鮫で...単調な動きしかしない。

何よりおっきくて...弱点の的も大きい...!!」

 

─パーンッ!!

 

今までに聞いた事のないような破裂音。

それと同時にはるか遠くのメガロドンが地に落ちた。

その額には、しっかりと弾痕が残っている。

 

「まずは一匹。次」

 

2匹目の獲物を探せば、残す数体は全てみんなが相手していた。

ドワルゴンから駆けつけてくれたドルフさん率いる天翅騎士団(ペガサスナイツ)達も奮戦してくれている。

これなら僕の出番は無い。

あとは一番の大物を仕留めるだけだ。

 

「...あれは...シオン!?ランガ!?」

 

 

 

 

「ランガ、これはチャンスだと思いませんか」

 

「ん?」

 

「私たちが大いに活躍できる場は今でしょう!!

あのデカイ魚に一番槍として特攻をかけ、皆の突破口を開くのです!!」

 

「...うむっ!!承知したッ!!」

 

メイルの最初の命令である単身突撃を真っ先にやろうというシオンもだが、乗っかるランガも大概である

おそらく2人の頭の中では2人で特攻だから単身突撃じゃないという考えなのだろうが当然、メイルが良しとするわけがなかった

 

「2人共!!なにやってんの!?」

 

「メイル様、今から私とランガが一番槍を務めます!!

それを見て相手の攻撃を観察してください!!」

 

「危ないからダメ!!そもそも、最初の攻撃は僕が遠距離からって言ったでしょ!?!」

 

「し、しかし...」

 

「....なあぁもう!!援護するから何としても帰ってきて!!

いや帰ってこい!!これは命令!!死んだらお墓参りいってやんないから!!」

 

そこまで言うと、シオンたちはカリュブディスの上に飛び乗り、力任せに剣を突き立てたり、牙や爪で引っ掻くが大したダメージにはなっていないようだ

さらに...

 

「リムル様、メイル様!!ダメです!!攻撃は入りますが、入ったところから再生されて歯がたちません!!」

 

「リムル...これって...」

 

「おそらく超速再生だ。オークロードと一緒だな...魔力妨害で魔法は使えないし...こっからは総力戦だ。全員できる限りの投擲で...」

 

そこまでリムルが行った時、カリュブディスの様子が変わった。

一瞬目が光ったかと思うと、身体中にあった無数の硬質化した鱗が宙を舞い、カリュブディスに乗っているシオンたちは勿論、地上にいるみんなにも襲いかかったのだ

 

「あれは...!?全員退避!!受け流そうとせず回避に専念!!全員自分の命を優先して!!」

 

メイルが地上にいる部隊、そして先行したシオン達にそう声をかける。

地上部隊は多少の負傷者は見受けるものの、致命傷になったものはいないようだし、何よりみんな回避に専念しているため特段問題は無い。

問題はシオン達だ。念の為と思い俺がソウエイをシオンの影に忍ばせたがあの数だ。

逃げれるだけでも御の字だろう

なんて思っていると、案の定シオンが落下してきた

とはいえ、ランガが受け止めたが、全ての鱗がシオン達を狙っているように動いている。

 

「シオン、撤退だ!!メイル様のお言葉を忘れたか!!」

 

「撤退だと?ふん、何を馬鹿なことをソウエイ!!

避けきれぬと言うなら、全てたたきおとすまで!!」

 

「我がシオンの盾となろう。ソウエイ、貴殿は下がって...」

 

「いや、なら俺もできる限り抵抗して見せよう。だが勘違いするなよ、ある程度のダメージを受けたら分身体と交代するからな」

 

「よく言いました!!なら我らで皆の突破口を...」

 

そこまでシオンが行った時、

ひとつの影がシオンたちの前に降り立った

 

「ほんとお前らって馬鹿だよな。こんな時くらい、俺を頼れって。」

 

そういい俺は右手を突き出すと、その名を叫ぶ

 

「喰らい尽くせ!!暴食者(グラトニー)!!!」

 

右腕から出てくる黒い渦に次々と鱗たちは巻き込まれていく。

オークロードを倒した際に手に入れた飢餓者(ウエルモノ)と俺のスキル捕食者(クラウモノ)をシズさんから受け継いだ力、変質者(へんしつしゃ)にて合成進化させたのだ。

そして鱗を喰らい終えると、メイルからの思念伝達と共に援護射撃がカリュブディスの巨大な眼球を貫いた

 

「大丈夫!?カリュブディスの目は潰したから、今のうちに下がって回復して!!」

 

「ナイス援護射撃だけどえっげつねぇ...」

 

「し、仕方ないでしょ!!いくら対物ライフルとはいえあの金属の鱗を突破できるかわかんないんだから!!」

 

そういうと、容赦なくメイルは2発3発とカリュブディスの目に弾を打ち込んでいく。

容赦ないが、おかげで視界はほぼ見えなくなったようで明後日の方向に目からビームを出していた

俺たちに当たんなくてよかったよほんと

 

「さぁ、こっからは総力戦だよ!!みんな、持てるだけの武器でカリュブディスを攻撃して!!視界は僕が潰し続ける!!鱗はリムルに任せて全員攻撃開始!!」

 

「「「おおおおぉぉぉぉ!!!」」」

 





あとがきです!!
カリュブディス以降の話書きたくねぇ...
暗い話は嫌いだよぉ...

なんて言ってられない今日この頃
次回でカリュブディス倒して黒豹牙くん助けますよ!!

あとがきに書くことも思いつかねぇや((
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