あなたと一緒に入れるなら
カリュブディスの襲撃から数日。
僕らのことを聞き付けて、ヨウム達が帰ってきた
と言っても、元々そろそろ帰ってくる予定だったんだけどね
ただ、街を出た時と違うことがひとつだけあった
僕らの見慣れない美人さんがパーティメンバーに含まれていたのだ
綺麗な黄緑色のショートヘア?に、うっすら色の着いた綺麗なローブ。
整った顔に、綺麗な宝石の着いた...ヘアバンド?みたいなのつけてる
「ヨウム、彼女は?...ないと思うけど、彼女?」
「んなっ!?ま、まだそんなんじゃねぇよ!!...こいつは新しく俺たちのメンバーになったミュウランってんだ」
まだ...ねぇ...ハクロウに伝えとこ
「そうなんだ、魔素量が一般人より多いけど...魔法使い?ソーサラー?」
「いや、こいつはウィザードらしい。めっちゃ強いぜ。あんなに鍛えたってのに、俺なんか手も足も出なくなったよ。文字通り」
「ヨウムのことだから、魔法相手に突っ込んだんでしょ」
「うっ...バレたか」
ありゃ当たったみたい
ハクロウに散々言われてたし、さすがにないと思ったんだけどなぁ...再指導処分かな?
「師匠には秘密にしてくれよ。
再指導処分はごめんだからな」
僕が悪いことを考えていると、ヨウムは分かっていたかのようにそこを指摘してきた
読まれてた...
「わかってるよ。わざわざ売らないから安心して。
それと魔国連邦国主代理、メイル=テンペストです。ミュウランさん、よろしくお願いします」
ニコッと可愛らしい笑みを浮かべたメイル相手に、少し強ばっていた表情を緩ませたミュウランは差し出された小さな手を握り返し
「はい、よろしくお願い致します。メイル様」
と、穏やかに返した。
...このミュウランさんって...もしかして...
...いや、さすがにないかな...?
この時、不穏な影が迫ってきていることに、僕はまだ気づいていなかった...
...うーん...ねぇ、お姉ちゃん
『....』
あ、しまった。見守る者さん
『はい、どうかなさいましたか』
あのミュウランって人...魔人?
『解、人間に近い見た目のようですが、魔人で確定かと』
やっぱり...ん〜...危ないと思う?
『現時点では敵意を感じられません』
...リムルに要相談かな...?
「...おいメイル、自分のスキルとばっか会話してないで、話を聞いてくれよ」
「うぇ、あ、ごめん」
ヨウム達と別れて数時間。
僕はその間、リムルと今後のことについて話し合っていた
事の発端は、数日前
──お願い...あの子たちを..救って
シズさんの声と共に僕らに届いた思念...というより、シズさんの未練かな
共に最後を見届けたからか、僕らは同じ夢を見ていた
それは、5人の子供たちがシズさんを囲み、楽しそうに笑う姿
そういえば、シズさんは昔教師をしていたと言っていた
もしかして、その時の生徒...?
それが気になり、調べてみることにした僕らは、人間の国に行くことに決めていた
「とはいえ、国主が代理も含めて居なくなるのは...」
「そうだなぁ...じゃあ、一日交代とか?僕らも子供たちに会いたいし!!」
最もな案を出したつもりなんだけど、リムルにダメだと一蹴された
なんでかと問うと、なんともリムルらしい反応が帰ってきた
「い、いやほら、お前は力も強くないだろ?それに、角もある。人間の国に行くには少し大変なんじゃあ...」
なるほど、確かに角は邪魔かも。
これじゃあ人間じゃないって自分からバラしてるし、何より怖がられそう
それじゃあ本末転倒だ。...なら
「確かに...わかった...ふぬぅ〜!!!」
「ちょお〜い!!何してんだ!!」
「この角が原因で行けないなら、こんな角折ってやる〜!!」
「ま、待てって!!だ、誰か〜!!メイルを説得出来るやつ〜!!!」
角のせいで行けないなら折ってしまえばいいんだ!!
そうすれば人間の国に行けるし、ドワルゴンの時見たくお留守番にならないんだから!!
うぉー!!折れろ〜!!
「リムル様、どうしました!?」
「敵襲か!!」
「「ってメイル様一体何を!?」」
僕が角を折ろうとしていると、リムルの声を聞き付けたベニマルとシュナが庵に飛び込んできた
まずい!!あの二人に抑えられたら力じゃ勝てない!!
うおぉ〜早く折れろ〜!!!
「ちょ、早まらないでくださいメイル様!!」
「うわっ!?」
ドサリ、という音と共に僕はベニマルに両手首を抑えられ、押し倒される形で無理やり角折をやめさせられてしまった
「は、離してベニマル...!!僕は角を折らないとリムルに捨てられちゃうんだ...!!」
「ちょ!?」
「...どういうことか、説明してくださいますね?リムル様」
「ち、違うんだシュナ!!語弊があるというかなんというか...!!お、おいメイル...!?」
「僕が一人(で留守番)はヤダって言ったら...お前は角が目立ちすぎるから...一緒にいられないって...(嘘は言ってない)」
「ちょっと待て!!ほんとに待て!!嘘は言ってないけど、ほんとに待って!!」
「...嘘は、言ってないんですね?」
「あ...」
その後、リムルはシュナ、ベニマル、ハクロウ、カイジン、ベスター、ガビル等の幹部たちに
人間の国へ行くのに自分たちに何も言わずに行こうとするとはどういうことかという報連相の重要性の説教&兄として弟にそんな思いをさせるのは如何なものかという兄としての説教を8時間にわたりミッチリ言い聞かされ、ゲッソリした様子で帰ってきた
「お、俺だってメイルが嫌いであんなこと言った訳じゃないんだ!!わかってくれよ!!」
「...だって、次にどこか遠出する時は一緒にって言ったのに約束破るリムルが悪いもん...」
「た、確かにドワルゴンから帰ったあとしたけど...で、でもあの時とは色々違うだろ?」
「...別に、国の代表として行かないならいいじゃん...」
「うっ...」
うぅ...数時間説教はされるし、メイルは完全に拗ねてるし、今日は厄日か...!?
い、いやわかってるぞ?!俺が約束守れなさそうだからメイルが拗ねてることくらい!!
で、でも仕方ないだろ?人間の国がどんな環境かわかんないんだ!!俺は食事も排泄も睡眠も要らないからどうとでもなるけど、メイルは違うじゃん?
そういう時に襲われたりしたら...
『解、個体名メイル=テンペストは銃を所持しており、そのような場合でも対個人であれば問題ないかと』
そりゃそうだけど!!
そういうことがあるかもってだけで心配なんだよ!!
兄心ってやつなんだよ!!
...とはいえ、このままじゃ俺の好感度がベニマルたち以下になりかねない...だ、大賢者!!何かいい方法は...!!
『ありません』
見捨てんな!!
いい感じの言い訳を教えてくれよ!!
そうじゃないと俺がメイルに嫌われる!!
『...今までの経験より、解決策を思案します。
...完了しました。解決策は、個体名メイル=テンペストを同行させることです』
解決してねぇ!!
ダメだ、今回ばっかりは大賢者も向こうの味方してるし、そもそもこれは俺のわがままだし...!!
あ、そ、そうだ!!
「め、メイル?なぁ頼むよ。俺がいない間、みんなを守れるのはお前だけだろ?
国のことも放置はできないんだよ」
メイルは俺に着いて来たがってるが、この国のみんなも大事なはずだ...!!それなら、こう言えば聞いてくれるはず...!!
「...わかった、いいよ。」
よしっ!!成功...って、あのメイルさん...?
なんでそんなゴミでも見るような目で俺を見るんですかね...?
「...リムルがそう言うなら従うよ。
その代わり、リムルが帰ってきたら...僕この国出てく」
「よしわかった!!一緒に行こう!!」
「もういいもん...リムルが僕と行きたくないってわかったし...嫌われ者はしばらくリムルと会わないもん...」
「ちょ、ちょっと待...!!!」
バタン!!
...やばいやばい!!完全にやらかした!!
何してんだ俺は!?!?完全に家出する宣言されちゃったんですけど!?
って頭抱えてる場合じゃないだろ!!早く走って追いかけねぇと!!
しかし、すぐにメイルを追って家を飛び出したはずだった俺だが、見守る者のサポートで完全に気配を絶ったメイルを見つけられず、そのまま1晩が明けた
「あ、あのリムル様...お気を確かに..」
「終わった...もうダメだ...メイルに完全に嫌われた...家にも帰ってこない...」
あれから1晩、分身体を使い町中を探したし、なんなら本体は庵で寝ずに待っていたにも関わらずメイルは帰ってこなかった
しかも、幹部たちに聞いても誰も昨日の俺の説教以降会っていないという
終わった...完全に家出だ...
「ど、どうしようベニマル...!!メイルにもしもの事があったら...!!」
「め、メイル様に限ってそんなことありませんよ!!それに、ちょっとした口喧嘩ならすぐに帰ってくるでしょう?ほ、ほら、いつもよりイライラが収まらないとかそんな所ですよ!!」
「そ、そうかな...?」
「分かりませぬぞ?メイル様は普段こそ大人な対応を心がけてくれておりますが、リムル様には甘えたりわがままを言いたい年頃でしょうからのぉ...それを否定され続け、挙句数日所か数ヶ月レベルで引き剥がされると考えれば、怒って出てきて下さらんのも無理は無いでしょうな」
「うあぁ...!!やっぱり俺のせいで...!!」
メイル...早く帰ってきて...お兄ちゃん寂しさで死んでしまう...
──一方その頃、メイル君は
「すぅ..すぅ...」
─うあぁ...!!やっぱり俺のせいで...!!
「ん〜...うるさいなぁ...」
リムルの庵の天井裏で寝てた
それから数日、なんとかメイルと仲直りした俺は、
メイルと共に人間の街、イングラシア王国に行くために準備を進め、それと同時に、ある1団を送り出すところだった
「ベニマル、心の準備は出来てる?」
綺麗になった外行き用の服に袖を通し、もう時期嵐牙族の引く馬車...いや、狼車に乗って獣王国ユーラザリアへ向かう使節団団長に声をかける
「問題ありません。強いて言うなら、メイル様とリムル様がまた喧嘩しないかが心配ですかね」
「あはは、大丈夫だよ。次はドワルゴン辺りに家出するから」
「他国はマジで怖いからやめてくれ...」
他国って言っても、兄弟子の国でしょ...
武装国家ドワルゴンの現国王、ガゼル・ドワルゴ
魔物の国、ジュラ·テンペスト連邦国を国として認めてくれた人物であり、1番初めの同盟国の国王でもあるが、それと同時に、その昔ハクロウに弟子入りしてたリムルと僕の兄弟子でもあるのだ。
家出先としてはピッタリだね
「それはその時の怒り次第かな」
「ふふ、俺たちを追いかけたりしないでくださいね。」
「そんなに子供じゃないし、ユーラザリアはまだどこかわかんないから行かない!!」
ドワルゴンはアメルド大河を辿ればいいから簡単だけど、ユーラザリアはどこかわかんないからね!!地図もないし!!
今回ばかりは大人しくしてる!!
「それなら安心です。...では、行って参ります」
「行ってらっしゃいベニマル。んっ....頑張ってね!!」
僕らの前に膝をついて出発の旨を伝えるベニマルに対し、僕は短い腕でベニマルの頭をぎゅーっと抱きしめ、行ってらっしゃいを表現する
「...が、頑張ります...//」
「...(羨ましい...)」
なんだかベニマルの顔が赤かった気が...気のせいかな?
あとリムルの目が少し怖かったような...これも気のせいか
そして、ベニマルたちを送り出した僕らは、次にユーラザリアから来る使節団のための準備をする
どんな風に来るかわかんないけど、うちのベニマルたちに負けず劣らずの煌びやかな乗り物で来るはずだ!!
負けないようにしないとね!!
そうして僕らは服を着替えたり、出迎えの準備を手早く終わらせ、ベニマルたちを送り出して数時間後、ユーラザリアからの使節団が到着した
...って言うのに...
「おら、どうしたんだよ王子様!!まさかと思うが、ビビって動けないわけじゃないだろうな!!」
「メイル!!遠慮はいらんぞ!!やったれ!!」
「...な、なんでこうなったんだ...」
近くではヨウムと狼?の獣人が件を交わらせ、激しい金属音が鳴り響いてる
そして僕の前には、可愛い女の子...ではなく今にも襲いかかってきそうな戦闘狂...
...使節団を迎えるだけだったはずなのに、どうしてこうなったんだ〜!!!
あとがきです!!
5日ほど投稿できずすみませんでした!!
いやぁ、この辺の出来事忘れてて...( ̄▽ ̄;)
アニメ見返してました
イングラシアに行くのはまだ先ですが、
それまでに少しでも2人の絡みなどお楽しみください!!