この運命さえ喰らい尽くせ   作:海波 犬夜

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お兄ちゃん孝行と夜の蝶

 

リムルがドワルゴンに向かうまで残り2日

僕は昨日の夜リムルに言ったようにシュナとシオン、そしてリムルを休ませるためにシュナとシオンには休暇を

リムルは僕が仕事を肩代わりすることで休みをあげていた

 

まぁ、丁度僕も暇だったし?

普段の仕事も簡単なことばかりだからリムルの仕事持てるくらい余裕あるし!!

 

なんて思ってたけど、いざやって見ると細かい仕事から大きな仕事まで多種多様であり、補佐でソウエイとリグルドがいて何とか回ってる感じだ...

正直、なんとも不甲斐ない

 

改めて仕事とプライベートの両立の難しさとリムルの凄さを実感している...

幹部たちに仕事を肩代わりしたと言った時、

立派だと褒める声と同じくらい大丈夫かと言われた理由がようやくわかった...

でも、これも弟の意地!!

お兄ちゃんの為ならエンヤコラってやつだ!!

 

「メイル様、こちらの件なのですが...」

 

「ん〜...それは僕だけだと...い、いや!!何とかする!!おいといて!!」

 

「メイル様、こちらは...」

 

「そっちはリグルドの方で人員を決めて大丈夫!!」

 

「メイル様、もうそろそろゲルドたち建築班の視察のお時間です」

 

「もう?!わかった!!すぐ準備する!!」

 

い、忙しい〜!!

いくら身体能力だけなら一般の成人男性より少し上とはいえここまで忙しいと疲労が...い、いやまだまだ!!

たった2日くらい何とか乗り越えてみせる!!

 

 

 

なんて息巻いていたけど...まるで死地にでも赴くかのような覚悟で仕事をし続けた僕だったけど、何とかその日の仕事を終え、今は夕飯を食べていた

 

「あむっ...美味じぃ〜...!!ご飯のありがたみを改めて知ったよぉ...!!」

 

「め、メイル様大丈夫ですか...?その、なんだか人が変わりすぎというか...」

 

ベニマルに心配された。そんなに無理はしてないよ?

ただ、朝から何も食べてなかったことに夕飯になってから気づいただけで...

 

「大丈夫!!あと1日、何としても乗り切ってみせる!!」

 

「ほっほっほ、リムル様のためとはいえ、その心意気は素晴らしいものですじゃ。」

 

「にへへ...そうかな...♪」

 

「...そういえば、メイル様のお仕事は2日なのですかな?」

 

「ん?そうだよ?どうして?」

 

「いえ...リムル様がドワルゴンに行かれるのであれば、お仕事は必然的にお残りになられるメイル様が引き継ぐのでは無いかと思ったのでありますが...」

 

...そうじゃん!!

 

「なんでもっと早く言ってくれないのさガビル!!」

 

「えぇ!?わ、吾輩も今気づいた次第でどうしようも!!」

 

まぁ、それはそう

うえぇ..ってことはリムルが滞在する3日間もあるから、実質5日...

 

「合計5日か...た、大変ですねメイル様...俺も手伝いましょうか...?」

 

「いや...ベニマルの仕事も大変ってわかってるから...頑張る」

 

これ以上幹部たちに無理させる訳には行かない...

手が空いてるのは僕だけなんだから、これくらい終わらせなきゃ...!!

 

「...でも」

 

「でも?」

 

「...た、たまにでいいから手伝ってくれたら嬉しいな...」

 

とはいえ、無理なものは無理とちゃんと言う僕だった

 

 

 

そして、あっという間...と言うほどすんなり進まなかったけど、数日がたった。

今日、リムルはドワルゴンに向かう

そして、ここで気がついたけど、移動日数も考えたら僕のお仕事って合計で10日位だった

過労死しそう

 

「キツかったら後で俺がやるから残しておいてくれていいぞ?」

 

「...い、いや、やるって言ったんだし、やりきる...!!」

 

「...無理するなよ?」

 

「もうしてる」

 

ダメじゃねぇーか!!とリムルからいいツッコミも貰いつつ、僕はリムル達を見送った。

今日のスケジュールは意外と空いているため、できるだけ仕事を減らして明日を楽にする予定だ

なんて考えている時に、僕らの所にとある人から連絡があった

 

「いきなり連絡をかけてくるなんてどうかしましたか?」

 

「いや何。そっちにいる部下からお前さんが事務仕事をやってると聞いてな。興味本位だ」

 

水晶越しに会話しているのは獣王国ユーラザリアの王様、魔王カリオン

なんでも、前に魔王カリオンに対して啖呵切った...というより文句言った?件で、自分に怯えないで堂々と自分の意見を言ってきた所を気に入ったらしい

 

...なんというか、この世界の強者は仲のいい相手が少ないのかな?

ヴェルドラ然り、カリオン然り、なんだか友達がいなくて暇してる子供に見える

暇ならリムルみたいに外交すればいいのに

 

「興味本位って...僕は今忙しいので、特に用がないなら切っちゃいますよ」

 

「まぁ待て。他にも要件はあるんだ」

 

他にもあるなら早く言ってよ...

下手なこと言って敵対とかしたくないし、こういうのはリムルにかけてほしいよね

ただ、カリオンの話は興味深いものだった。

 

魔国連邦より北西にある国ファルムス王国

大国と言われるこの国は、今までジュラの大森林を迂回する商人や冒険者から税金を取って潤っている国だった。

西側諸国の玄関とも称されるほどで、それ故に儲かることになった国だった。

しかし、ここ数年でその迂回していたジュラの大森林に魔国連邦が生まれ、大きな街道に警備隊の巡回。

5キロ事に設置された共有水道と大きな宿などがあり、今まで迂回するしかなかったジュラの大森林を通るルートの方が安全になってしまった。

 

その為、今ファルムス王国は財政危機に陥ってるらしい

更にはどこかに戦争でも仕掛けるつもりか、軍の動きがどうも活発との話だった

そして、それに乗じてか魔王クレイマンの動きが少し怪しいとのこと

 

「もし仮にターゲットになるとしたら、お前さんらの国だろう。一応警戒しとけと連絡してやったんだ」

 

「...確かに、この国が発展することで周りの国が受ける影響や、そこから起こる戦争までは考えてなかった...

ありがとうございます。リムルと少し話し合って、対策を用意しておきます」

 

「あぁ、それと...これはこっちの事情なんだが...」

 

「ん?」

 

話は終わりかと思ったその時、カリオンが言葉を濁した

どうも少し言いづらい事情らしい

 

「事情はともかく、本題はなんです?」

 

「...スマンが、うちの国の連中を避難民として匿ってやくれないか」

 

「避難民?一体どうして...もしかして、戦争仕掛けられたのはユーラザリアなんですか?」

 

「いやぁ違う。ただ、これから戦争するってんのはそうだ。まぁ、相手はファルムスじゃあねぇがな」

 

「なら、もしかして魔王間でですか?」

 

「...あぁ。」

 

魔王間でのいざこざなら、言いづらいのも無理ないか

それなら、住民の人達は関係ないし、受け入れるのは構わないかな

 

「リムルに聞かないと分かりませんが、受け入れは可能だと思います。明日のいまくらいまでには纏めときますので、1度持ち帰らせてください。」

 

「すまねぇな。巻き込む形になっちまって...」

 

「ユーラザリアからは美味しい果物を貰ってますから。」

 

こうして、お仕事の片手間に魔王カリオンとのちょっと大事な通話は終わった

これからさらに忙しくなりそう...リムル、早く帰ってきて...

 

 

 

 

 

 

なんて、思いながら次の日カリオンに受け入れOKの旨を伝えると、仕事を終わらせ僕はソウエイに頼んでリムルの所まで影移動していた

理由は、リムルが僕を呼んだのだ

 

──昨晩

 

「ってことがあって...」

 

「なるほど、カリオンが...それにファルムス王国の動きがな...わかった。しばらく警戒しながらいつでも帰れるようにしてイングラシアには行くことにしよう」

 

「うん。それで、カリオンの方は...」

 

「勿論受け入れる。罪の無い人が死ぬのがわかってるのに見捨てるのは目覚めが悪いしな」

 

「だよね。じゃあそう伝える。」

 

「あぁ...それで、メイルは明日の仕事は多いか?」

 

「明日?ううん。明日は2時間もあれば終わる量にしてるよ」

 

「そっか!!それは良かった!!明日の21時くらいにソウエイに送って貰って影移動で俺の所に来れるか?」

 

「行けるけど..いいの?リムル忙しいんじゃ...」

 

「いいんだって!!たまには遊ぼう!!ただし、みんなには出かけることは言っても内容は黙ってな」

 

「内容知らないから話しようないけどね」

 

「とにかく!!内密にな!!」

 

 

 

──そして現在

 

「ソウエイ送ってくれてありがとう。なんならソウエイも一緒に遊ぶ?」

 

「いえ、お2人が楽しんで居られる場に俺は不要でしょう。数日間メイル様も気を詰めて居たのです。ゆっくり羽を伸ばしてきてください」

 

「ソウエイ...うん!!ありがとう!!行ってくるね!!」

 

小さな手を振りながら、リムル様の元へ走って行かれるメイル様を見送り、俺は再び影に潜る。

本体は念の為メイル様の影に入れてある。

何かあればすぐに対処可能だろう。

お誘いを断ってしまったことは悔いが残るが、数日ぶりに見るあの楽しそうなメイル様が見れただけで俺は幸福だな

...それにしても、なんだかこの辺りはメイル様の教育に宜しくない店がチラホラある気がするが...本当に大丈夫だろうか?

 

 

 

僕がリムルの元に着くと、リムルはじゃあ遊びに行くぞ!!とゴブタたち共に僕の前を歩いていく

そしてたどり着いた場所は...

 

夜の蝶

 

と書かれたお店...

って、ここキャバクラでしょ!!

 

「ちょ、リムル!!」

 

「どうした?」

 

「ここ大人のお店だよ...?僕は入れない...」

 

「大丈夫大丈夫!!慣れればなんてことないって!!」

 

「ちょ、ほんとにやだ...!!」

 

「嫌なのは最初だけだよ。遊びたかったんだろ?」

 

「そういう意味じゃない!!」

 

そう言って後ろから押してくるリムルとゴブタたち

何とか足で耐えてるけど、そろそろ無理...!!

と、入る直前、僕は影に飲まれた

 

 

「メイル様、ご無事ですか?」

 

「ソウエイ...うん...なんとか...」

 

「お怪我がないようで安心しました。それで、あちらの店ですが...」

 

「あぁいいの...入る気ないから」

 

リムル...お仕事肩代わりしてる弟わざわざ呼んでこんな場所に連れてきたんだ...覚悟出来てるよね...

 

半ば裏切られた僕はソウエイに頼んでシュナとシオンのいる宿に向かい、全てを説明。

シュナたちはリムルの行き先を知ってはいたが、僕まで巻き込んだことでどうやら怒髪天を貫いてるらしい。

笑顔の裏に確実な怒りを感じる

とはいえ、今回は僕も怒ってる。

せっかく遊べると思ったのに...初めて他国に来て初めてがこれ!?

絶対に許さない。

少なくとも今の怒り指数なら2ヶ月はリムルと話さないでいい

そう思えるほどには僕の怒りは大きかった

 

 

──数時間後

 

「え、えっと...シュナ?シオン?メイル...?い、一体どうしてここに...メイルは帰ったんじゃ...」

 

「何言ってるのさリムル。遊ぼうって言ったのはリムルじゃんか。だから僕、ずーっと待ってたんだよ?初めて魔国連邦以外に来て楽しみだったのに...リムルは僕よりエルフのお姉さんの方がいいんだ?」

 

「ち、ちが...!!」

 

「いいんだよ!!言わないで!!♪

リムルなりに僕の為を思って考がえてくれたんだもんね?」

 

「そ、そりゃもちろん...」

 

「だから、僕もリムルが喜んでくれそうな"遊び"を考えたんだ!!きっと喜んでくれると思ってるよ!!」

 

「そ、そうか...それでその遊びって...」

 

「射撃だよ!!リムルと僕で射撃して、当たった数シオンの作ってくれた"ご馳走"をリムルが"人型"で"ゆっくり味わって"食べるの!!」

 

「なにぃ!?お前、俺を殺す気か!?」

 

「遊びだよ♪」

 

「わ、悪いが俺はまだ仕事が...」

 

「ニガサナイヨ」

 

「あ...アアアアアアァァァァァァァァ!!!」

 

純粋な弟の心を弄んだお兄ちゃんにはこれくらいがちょうどいいよ!!

追加で1週間ご飯はシオンのご飯になったし、今回は少し可哀想だから許してあげよう。

ちなみに、一緒に遊んでたカイジンやゴブタ達は僕を無理やり巻き込もうとした件とリムルを誑かした件の罪で2週間くらいはシオン料理の刑らしい

ご愁傷さまだけど...まぁ、自業自得だからほっとこう

 

そして魔国連邦帰った僕だったけど...

 

「メイル様!!こんな夜遅くに出歩くなんて危ないでは無いですか!!」

 

「そもそも護衛もなしに他国へ向かうなど、気は確かですか!?」

 

「ご、ごめんなさ〜い!!」

 

リムルに呼ばれて直ぐに行っちゃったからなぁ...

せめてベニマルとリグルドには言っとくべきだった...!!

 

結局、うちに帰ってから数時間、僕は2人からの説教を受け続けたのだった...

次からは報連相ちゃんとしよう...





あとがきです!!
リムル様は罰を受けたのだ...
そろそろ事件が起こりそうです...
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