この運命さえ喰らい尽くせ   作:海波 犬夜

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ゴブリンの村

ヴェルドラがリムルの中に入ってから少したち、

僕たちは洞窟の中をぐるぐるぐるぐるさまよっていた

 

「全然外に通じる道がわかんない...」

 

「まぁ、数百年間人の出入りがないんだしな...そりゃ、案内看板があるわけないし、地道に上を目指すしかないな...」

 

「うん...ただ...お腹すいたなぁ...」

 

ぐぅ〜...っと切なげになるお腹を擦る

少し前まではヴェルドラがしっぽを少しだけ切って焼いてくれたから何とか食いつないでいた。

初めは驚いたし、草でも食べるからいいと言ったが

ヴェルドラからすれば自己再生ですぐ治るような傷なんて人間で言う髪が抜けるのと大差ないらしい。

そんなわけで何とかヴェルドラがいた時は生きていたが...ここ数日、魔物という魔物と合わないどころか、戦いなれしてない僕らでは逆に食べられてしまうだろう。

だが、このままではスライムのリムルはまだしも僕は餓死ルートまっしぐらだ

何とかしないと...

 

「そ、そういえばメイルはご飯食べないとだもんな。

すまん、ずっと気づかなくて...すぐになにか食べ物を探そう!!餓死なんて絶対させられんしな!!」

 

「ま、まだ餓死はしないと思うけど...

でも、ご飯は確かに欲しいかな...」

 

「よし、じゃあ魔物を探そう!!

というか今見つけたからすぐ持ってくるからな!!」

 

そういうと、リムルはポヨンポヨンと跳ねて行ってしまった

そんなに急がなくてもいいのに...

それにしても、ご飯に関しては考えないと...

僕のせいでリムルに苦労をかける訳には行かない。

今回の獲物がどれだけの大きさかわかんないけど、保存食用に食べる量は調整しよう。

僕がそう決めた時

 

ドザッ!!!

 

「わわっ!?何今の米袋でも落としたような音...って...うぇ!?ヴェルドラ!?...じゃないか。えと...小さなドラゴン?」

 

「そう思うかもしれないが、これはブラックサーペント。漢字で書いたら黒蛇ってところか?まぁ、要はでっかい蛇だ。さすがに頭は食えないだろうけど、胴体は食えるらしいから好きなだけ食えよ!!」

 

「う、うん...でも、この頭はどうするの?」

 

「うーん...俺が捕食して解析鑑定してみるよ。そうすると、食った魔物に擬態したり、そいつのスキルを獲得できるらしいからな」

 

「へぇ〜...リムルのユニークスキルってすごいね。」

 

「ま、まぁ?そんなことも...あるかなぁ〜!!なんて!!」

 

「...それにしても、これどうやって食べよう...焼いてかじりつくしかないかな...」

 

「うーん...悪いが、調味料もないしそれしかないな...」

 

「早く外に出て美味しいものが食べたい...」

 

 

 

 

 

──そんな日々が数日続き、僕らはついに洞窟の入口と思われる大扉の前に来ていた

 

「...これが洞窟の入口...!!なのかな?」

 

「...大賢者によればここから出れるらしいけど...どうやって開けようか...」

 

「僕が押して...いやさすがにそんなに力ないしなぁ...」

 

「俺の水刃で切り刻んでみるか?」

 

「さすがに無理じゃない?」

 

うーんと首を捻る僕とリムル

僕には自分の10倍はありそうなこの大扉を開けることは出来ないし...スライムのリムルにはもっと無理そうだ...

かと言って、黒蛇や洞窟内の魔物を倒した時に使った水刃っていう水を刃みたいに圧縮して飛ばす技も何発必要か...

 

「ん?メイル、ちょっとこっちに!!」

 

「へ?あ、うん、わかった...」

 

突然リムルに呼ばれ、僕らは岩陰に隠れる

すると、大扉がギィーっとホラーゲームにでも出てきそうな音を立てながらゆっくりと開いた

 

「ふぅ〜...結構錆び付いてやしたね」

 

「あぁ。鍵穴までボロボロだ」

 

「300年間、誰も入ってないらしいですからね...大丈夫ですよね?強い魔物とかいないといいんですけど...」

 

「とにかく、調べてみるしかない。頼むぞ」

 

「了解です」

 

初めに入ってきた盗賊?のような見た目の男の人がパンッ!!と手を叩くと3人組は姿を消し、足跡だけしか見えなくなったが、洞窟の奥へと消えていった

 

「透明化か...すごいな。あいつとは仲良くなる必要があるな...!!」

 

「リムル、悪いこと考えてるでしょ」

 

「い、いやいや!!何も悪いことなんて考えてないぞ!!」

 

まぁ、透明人間は一定数の男性からは憧れだったことは知っている。僕はあまり興味無いけど、スーパーヒーロー的な憧れだろうし、ほっとこう

 

「...それよりいよいよ出られるね」

 

「あぁ。楽しい思い出いっぱい作んないとな!!」

 

「うん!!そのためにまずは...」

 

「まずは?」

 

「美味しいものを食べるっ!!!」

 

そう宣言した僕は、リムルを抱えながら草原を駆ける馬のように洞窟から抜け出した

 

そして、進むこと数分。

道中で白鳥のような白い鳥や

黒っぽい灰色の狼などを横目にただまっすぐ進んでいた時のことだった。

 

「ん?何かが近づいてくるな。メイル、集団だからお前は少し離れとけ」

 

「わ、わかった!!」

 

リムルに指示され、僕はすぐ近くの茂みに身を隠す

その数瞬後、少し奥の方からゴブリンの群れが現れた

 

「グガッ...強キ者ヨコノ先二何カ御用ガオアリデショウカ...」

 

なんともカタコトだ。まだゴブリンたちの言葉になれてないからかな...所々聞き取りづらい...僕にもリムルの大賢者さんみたいなスキルがいれば...

誰か僕の中にいないの〜?!

 

『告、ゴブリンの言葉をクリアにしますか? yes/no』

 

うおっ!?ま、まさか返事が返ってくるとは...

い、今のって大賢者さん?

 

『解、ユニークスキル【見守者】です。』

 

み、見守る者...?

今までなんで話してなかったの...?

 

『解、マスターより問いかけがない場合、私から話すことはできません。マスターからの問いかけなしでも疑問視した場合など自動的に反応するようにしますか? yes/no』

 

これはyes!!

これからも色々言ってくれると助かるよ!!

それで、ゴブリンの話をクリアにするかだったよね!!

お願い!!yes!!

 

『解、ゴブリンの会話を分かりやすくクリアにします』

 

「強き者よ...この先には我らの集落しかございません...我らの集落に何かが御用がおありでしょうか...」

 

おぉ!!すごい!!ちゃんと綺麗に聞き取れる!!

さすが見守る者さん!!リムルの大賢者さんにも負けてないね!!これからは敬意を持ってお姉ちゃんと呼ぼう!!

 

「初めまして!!俺はスライムのリムルと...」

 

「ど、どうかお声をお沈めください!!貴方様の実力はよくわかりました!!」

 

あ、リムルがやりすぎてゴブリン達がひれ伏してる...

あれは洞窟でコウモリから手に入れた超音波を使った発声だ。

スライムには声帯がないからね。

超音波くらい使わないと話せないらしい。

え?初めから話してたろって?

あれは思念伝達って言って声が空気を震わせて話すなら

思念伝達は魔素をふるわせて発生するものだよ

ただ、指定した人にしか聞こえないからトランシーバーみたいなものって思ってくれればいいよ

 

「この先にお前らの集落があるのか...?」

 

「はい。何か御用が...?」

 

「いや、俺たちは目的もなく森を歩いてただけだ。

警戒させたなら悪かったな。」

 

「い、いえ..!!それならば、強き者よ、我らの集落に来ては下さいませんか...?」

 

「え...いいけど...もうひとりいるけどいいかな?」

 

「構いません!!どうか...」

 

「わ、わかったよ!!頭を上げてくれ!!...メイル、出てきて大丈夫だぞ」

 

リムルに声をかけられたのでガサガサと茂みから出ていく

 

「え...えと...初めまして...!!メイルといいます!!よ、よろしく!!」

 

「グガッ...リムル様にメイル様、我らの集落にご案内いたします。どうぞこちらへ...」

 

そうして、赤いバンダナを巻いたゴブリンに連れられ、僕らはゴブリン村に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

そうして歩くこと十数分。

たどり着いた村は...まぁ、お世辞にも綺麗とは言えない

ゴブリンたちの服装を見れば分かっていたことだが、

みんなボロボロで家も今にも崩れそうだ

そんな中で1番ちゃんとしている建物に僕らは通された

なんでも村長の家らしい。それからすぐに村長らしき高齢のゴブリンが現れた

 

「ようこそいらっしゃいました強き方々よ...私はこの村の村長をしております...こうして御足労頂いたのは我らの願いを聞いて欲しいのです...」

 

「願いって言っても、俺たちか弱いスライムと小鬼なんだけど...」

 

「ご冗談を...そのようなオーラ、ただのスライムが放てる訳がございません。」

 

オーラ?

 

『解、オーラとは、強い魔物ほど大きなものを出せるエネルギー反応のようなものです。』

 

それをリムルが出してるの?

 

『是、その通りです。しかし、マスターも普通の小鬼が出すにはおかしな程のオーラを放出しています』

 

え!?そうなの!?そ、それって抑えられる?

 

『解、可能です』

 

じゃあお願い!!なんだか恥ずかしいから抑えて!!

僕が見守る者さん...もといお姉ちゃんにお願いすると

オーラはあっさりと放出を辞めた。

それと同時に、リムルもオーラの放出が止まった

 

「おぉ、ありがとうございます。村の若いものの中にはそのオーラに委縮して家に篭ってしまった者もおりましたので...」

 

「フフフ...流石は村長。よく俺のオーラに気づいたな。

違いがわかるとは気に入った。話くらいは聞いてやろう」

 

あ、リムルが恥ずかしいの誤魔化すためにわざとオーラ出してた事にしてる

言い訳がすぐ思いつくのは凄いけど良くないよね〜...

 

「それで?お願いがあるって言ってたけど一体どんなお願いなの?」

 

「はい...1ヶ月ほど前、我らの神が姿を隠されたのです...

それからというもの、この森の覇権を握ろうとする不届き者が後を絶たず...この村も牙狼族という者たちに狙われ、既に死者も...」

 

「牙狼族...?それってどんな魔物なんだ?」

 

「牙狼族とは狼の魔物であり機動力に優れ、その牙や爪は生半可な鎧すら切り裂く魔物です...普段なら牙狼族一匹に対しては我らは20人で相手するようなもので...しかし牙狼族の総数は100程、我らの数はメスを入れても60程しか...」

 

絶望的だな...こんなボロ小屋じゃ、立て篭もっても体当たりで入られるだろう...

でも...自分たちも苦しいのにこのゴブリンたちは僕らにお茶までくれた。...恩には、ちゃんと恩で返さないとだよね。

 

「リムル...」

 

「大丈夫だって。わかってる。村長」

 

「は、はい...!!」

 

「牙狼族を倒すのを協力してもいい。ただ、その際の俺たちへの見返りはなんだ?」

 

「リムル...?!」

 

こんなボロボロのゴブリン達に見返りなんてあるわけ...!!

 

「忠誠を!!我らの忠誠を捧げます!!どうか我らをお守りください!!」

 

「...わかった。お前たちの神に代わり、俺がこの村を守ろう!!」

 

「...リムル」

 

「ん?」

 

「ありがとう」

 

「ふふ、まぁ、お茶まで出されちゃな」

 

「だね。でも、なんで見返りを聞いたの?」

 

「...本当は、見返りなんてどうでもよかったんだ。でも、体のいい大義名分にはなるだろ?」

 

「...あぁ、なるほどね。」

 

「さぁ、のんびりしてる暇はないぞ!!

早く村の防備を固めないとな!!」

 

「うん!!僕も頑張る!!」

 

「いや、お前は危ないから後方で...」

 

「僕も頑張る!!」

 

「いや...「僕も頑張る!!」

 

「...おう。そうだな。頑張ろう」

 

半ば無理やりリムルから戦闘許可をもらい、僕も村のために戦うことを決意したのだった




第2話更新です
とりあえず第1章はアニメ2期序盤の襲撃編まで考えています
どれだけかかるかは分かりませんがのんびり見ていただけると嬉しいです。
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