TALES OF XILLIA -新たな主人公- 作:ハクハクモン
一週間なんてあっという間ですね。ほぼ1日で書き上げたので変なところがあるかもしれません。その場合はご指摘ください
「到着だ」
ようやくニ・アケリアに到着した。村は変わらずにのどかな空気に包まれていた
「ここが……」
「へえ、意外と普通の村だな」
「変におかしな村よりマシだろ?」
アルヴィンの感想はわからなくもない。偉大な存在を祀る村とかは大体格式ばった生活やら建築物がある印象だが、ニ・アケリアにはそういったものはないに等しいからな。
ミラは近くに座り込んでいた村人に近づいて尋ねた
「すまない。イバルはどこにいる?」
「ん?イバルならマクスウェル様とシオンを追って……マ、マクスウェル様?!それにシオンも?!」
村人は立ち上がって振り向くと、ミラと俺の顔を見て驚いた
「うむ。今戻った」
「ただいま」
村人はすぐにミラを敬うように片膝をつき、祈るように両手を掲げて頭を垂れた。それとほぼ同じくして、村内の人々がミラに気づきはじめた
「あ、わわ、私なんかにお声をかけてくださるなんて」
「やっぱ、本物なんだな」
周囲に集まった人々が目の前の人と同じように祈りにも似た体勢をとり始めた。ミラはやれやれといった表情で人々を見渡した
「ミラ、すごいんだね」
「ちょっと疑ってたんだがな」
「まあ、ぱっと見はそう見えないもんな」
「緊張するな。普段通りにしていればいい。シオンのようにな」
難しいこと言ってくれるなミラ様は。精霊信仰がまだ残っているこの村で、その精霊の主であるマクスウェルを前にして普段通りにできるのは図太いやつくらいだぞ……
「ミラ。俺は村外の人間なんだ。引き合いに出すのはやめてくれ」
「む?そんなつもりで言ったわけではないぞ。私と対等であろうとしてくれたお前を皆にも習わせたいのだ」
「そう思うのは自由だけど、あまり押し付けないようにな」
ミラは俺との会話を終えると、再度目の前の村人にイバルがいないことを確認した。戻りが遅いのを心配していたらしいが、まああいつのことだ。俺がミラに何かするかもしれないと考えでもしたんだろう。
やるわけねえだろっつうの
「私は、これからすぐに社で再召喚の儀式を行う。だが、巫子が不在のようだ。悪いが少し手伝ってもらえないか?」
俺たちが村内を移動すると、すれ違う村人たちが次々と先ほどの拝むような体勢をとっている
「え?僕たちで何か手伝えるの?」
「祭事には縁がないんだがなぁ」
「なに、世精石を集めればいいだけだ」
「世精石?」
「ニ・アケリアには四箇所に祠があって、そこにあるのが世精石。で、それらを社まで運ぶってわけだ」
「それなら、村の人に頼んでもいいんじゃないの?」
「さっきのを見たろう?巫子とシオン以外は日頃、私とあまり接していないからな。あれでは全く話にならない」
「ふーん。ま、力仕事は男の役目かね」
「そうだよ、アルヴィン」
そして村内を周って世精石を集めていると、ジュードがふと村の奥にそびえ立つ歪な山を見ていた
「あれ、変わった山だね」
「あれはニ・アケリア霊山。四つの霊勢が整った霊域であり、私とシオンが出会った場所だ」
「ロマンチックと言うには、程遠そうな山だな」
「実際その通りだったけどな。その後に魔物が襲ってきたから余計に」
「だが、私はあの出会いに感謝しているよ。シオンと出会ったことで何かこう、変わった気がするのだ」
変わった?それらしい変化はないように見えるが……
「変わったって何が?」
「私にもよくはわからない。何と言えばいいか……」
「最後の、持ってきたぞ。社へ行こうぜ」
ミラの自身の変化の正体がわからないまま、世精石を全て集めた俺たちは社へと向かった
ニ・アケリア参道
俺たちは社へと向かうべく参道を歩いている。ここものどかな空気でいいところだ
「あんま気ぃ抜くなよ。魔物に襲われないとも限らないんだしさ」
呑気な雰囲気を感じ取ったのか、アルヴィンが注意をしてくる。まあ確かに遠巻きではあるけど魔物の姿があるからな
「でも、こっちを見てるだけで近づいてはこないよ。どうしてだろう?」
ジュードの言う通り、魔物たちは遠くから見ているだけで一向に近づいてこない。終いには逃げていくのもいるくらいだ
「ああ。それは恐らく、シオンと四大たちのせいだろう」
ミラが明かした理由にジュードとアルヴィンは驚きのあまり、世精石を落としかけた。危ないなぁ
「おいおい……いったい何をやらかせばこうなるんだよ?」
「二人は、四大がシオンの鍛錬の相手を務めていたのを知っているか?」
「う、うん。少し聞いただけだけど……」
「その中であいつらが直に相手をするときもあったのだ。無論、手加減を加えてな」
「……なーんかオチが見えてきたぞ」
アルヴィン……その読みは間違ってないと思うぞ。
俺たちは話しながら、再び歩き出した
「ただ、あいつらを相手とした鍛錬は広い場所でなければならなくてな。この参道がうってつけの場所だったのだ」
「もしかしてだけど、その時に……?」
「うむ。最初はシオンが逃げるばかりだったからな。ついでに魔物もいくらか巻き込んでしまった」
「四大の攻撃食らったらああなるのか……って呑気に考えてなぁ。人って、一定の危機感を超えると冷静に考えることができるんだな」
だってあんな超常の存在に攻撃されれば、普通に逃げる一択に決まってるだろ?手加減したなんて言ってるけど、あれは十分鍛錬の範疇を超えてるわ!某少年漫画にも迫れるレベルだぞ!
「言って聞くような相手ではないからな。いつだったか徒党を組んで襲ってきた時も、シオンを鍛錬の成果を見るために戦わせていた」
「……一人でか?」
「まあ最初のうちはな。だが次第に襲ってこなくなってしまった……」
「一方的な命の危険に晒されれば、魔物でも避けようと思うんだね」
「ほら、あそこに不自然に抉れた岩があるだろ?」
ふいにミラがひとつの岩を指した。その岩はまるで何かに削り取られたかのように、一部が丸く抉れていた
「あれは確か、シルフがその日の鍛錬の追い込みをした時にできたものだ。あの時のシオンの走りっぷりは良かったな」
ミラが懐かしみながら語る傍ら、ジュードとアルヴィンは半信半疑といった様子で聞いていた
「ほ、本当なのかな?」
「あいつの身体能力見ただろ?普通の鍛え方じゃ、ああはならねえよ」
「我ながらよく死ななかったもんだ……」
ジュードとアルヴィンの会話を聞きながら、俺は改めてかつての日々を生き抜いた自分を労ったーーーー
ミラの社
木々が生え立つその中心にその社がある。長い石段を登ったジュードとアルヴィンは、その簡素さにある意味驚いていた。退屈じゃなかったか、とアルヴィンが聞けば使命には必要のないことだとミラが返す
「なに、シオンの鍛錬ついでに話をする程度はあったぞ。私としてはそれが楽しみだった」
「へぇ。どんな話をしたの?」
「シオンがかつて住んでいたところとか、その地域の文化や聞きなれないものが普及していることとかな。実に興味深かった」
自分がいた世界については、そういう地域があるとしてミラに話していた。結果、「ぜひとも行ってみたい」と言い出したので「使命が終わったらな」となんとか宥めた。あの時の目の輝きぶりはすごかったな……
「……」
「さあ、儀式をすませよう」
一人静かに物思いに耽るアルヴィンを引き戻して、俺たちは社へ入っていった
「ミラ様!」
「イバルか」
声とともに一人の男が社に入るなり、ジュードとアルヴィンを弾きつつミラの前に膝をついた。
四元精来還の儀は結果、世精石が砕け散っただけで四大は呼びかけに応じなかった。そこに男ーーイバルがジュードとアルヴィンを押し退けて入ってきたのだ
ことのいきさつを聞いたイバルは『ありえない』という思いを顔からもわかるくらいにだしていた
「んで、精霊が召喚できないのってそいつらが死んだってこと?」
「バカが。大精霊が死ぬものか」
「あれ。常識?」
イバルが大精霊の力の継承について説明していると、ジュードが『儀式に応じないのは四大精霊が死んだのではなく、クルスニクの槍に捕らわれたままなのではないか』と推測した。イバルは即座に否定するが、ジュードはそれ以外に可能性がないと言った。
『ありえないことでも、他に可能性がないなら、真実になり得る』ーーーハオの卵理論なるものがすぐにでるとか優等生は伊達じゃないな
「四大を捕らえるほどの黒匣だったというのか。あの時……私はマクスウェルとしての力を失ったのだな」
「ミラ……」
(超常の存在すらも捕らえる、か……。人間の技術が侮れないのは、どの世界でも同じか)
落ち込むミラをジュードが心配していると……
「そもそもシオン!お前は何をしていたんだ!?ミラ様と四大様をお守りするのがお前の役目だろう!」
いきなりイバルが俺に詰め寄ってくる。その役目はイバルが半ば強引に押し付けてきたものだが、普段接することの多かった俺に対してあながち見当違いではなかった。だから特に拒否をするでもなく適当に流していたのでこうなることはなんとなくわかっていた
「……」
「黙ってないで言い訳のひとつでもしたらどうだ!最も、どんな言い訳をしようと貴様が許されることはないだろうがな!」
「そんな言い方……!あの時シオンも僕たちも身動きできない状態だったんだよ?」
「どんな状態だろうとお守りするのがこいつの役目だったのだ!それをこいつはーーーー」
そこまで言ったところで座っていたミラが立ち上がった。イバルは咳払いをひとつして、ジュードたちに退出を促した
「さぁ!貴様たちは去れ!ここは神聖な場所だぞ!ミラ様のお世話をするのは、巫子である俺だ!」
格好つけたイバルの歯がキラーンと輝いた。がーーー
「イバル、お前もだ。もう帰るがいい」
「は?」
「そうだな、有り体に言うぞ」
ーーーミラはイバルを見据えてはっきりと言った
「うるさい」
「な……」
イバルがへなへなとへたり込んだ。そりゃ主にうるさいなんて言われたら落ち込むわな。特にイバルには効いたらしく、ジュードたちとともにヨロヨロと社から出ていった。俺も出て行くべく外へ向かうと、ミラが止めた
「待てシオン。大事な話があるんだ、お前は残ってくれ」
「?」
ミラに向き直ると、ミラは胸元から円盤状の物体を取り出した。クルスニクの槍の鍵だ
「四大を救い出すのにも、これがなければならない、か」
鍵を見つめるミラは己が追われる理由を再確認していた。だがそれは俺にも言い聞かせるような意味も含んでいるように聞こえた
「キジル海爆の女や……ハ・ミルのラ・シュガル兵。私を追う理由はやはりこれだろうな」
「……何が言いたいんだ」
「シオン。勝手なことを言うようですまないが、四大を救い出すために、再び私と共に来て欲しい」
ミラは鍵を仕舞うとまっすぐに俺の目を見て用件を言った。その目は力強く『来てくれ』と訴えているように見えた
「……ミラは、気にしていないのか?」
「ん?」
「イバルが言った通り、もしあそこで俺が何かしらの行動をとっていたら、四大を助けられたんじゃないかって……」
正直、俺はミラに嫌われたくないと思っている。この世界に来たばかりの自分をニ・アケリアで暮らせるようにしてくれた彼女はまさに恩人だった。その後も何かと気にかけてくれていたので少しでも報いるべく、彼女の使命の遂行を手伝う形でそばにいるようになった。
あの時もクルスニクの槍を破壊、もしくは無理矢理に機能停止させることは可能だったかもしれない。だがそうなってしまえば、『その後の展開が想像できない』自分には動く力が持てなかった……
「イバルに言われたことを気にしているのか。別に気にすることはないだろう。あの状況であれば、それも仕方ない」
だが、ミラは全く気にしていなかったらしい
「それに、お前も動いていたら私のように状況をさらに悪化させていたかもしれない。その意味では良い判断だと私は思っているよ」
「だけど……」
ミラはそう言ってくれているが、俺が動かなかったことに変わりはない。結局俺は、自分のやるべきことを為せなかったのだ
「ふむ……もしや責任を感じているのか?」
ミラの言葉に無言で頷いた。ミラは腕を組んで少し考えると、案を出してきた
「ではこうしよう。シオンは四大を助けられなかった責任として、私と共にあいつらを救いに行くのだ」
どうやらミラは何がなんでも俺を連れて行きたいようだった。答えあぐねている俺にミラは不敵に笑い言った
「拒否権はないぞ。例え拒否しようと、引きずってでも連れて行くからな」
表情は若干威圧的だが、雰囲気は変わらず。あくまでも判断はこちらに任せるといった様子だ。そんなことを言われたらこっちがとる判断はひとつしかないだろう
「……わかった。俺も共に行かせてくれ、ミラ」
「うむ。お前ならそう言ってくれると思っていたぞ」
そう言うと、ミラは柔らかい笑みを浮かべーーー
「頼りにしているぞ。シオン」
ーーーもはや聞きなれた言葉を聞かせてくれた
◇◆◇◆◇◆◇
社を出ると、ジュードが一人で立ち尽くしていた。何か思いつめた様子だったが、こっちの姿を見ると普段通りに努めようとしているみたいだ。察するに、ジュードもイバルから何か言われたのだろうか。
ジュードは俺とミラにイル・ファンへ戻るのかと聞いてくると、ミラはそうだと答えた。ミラがクルスニクの槍の性質を推測しつつ説明していると、ジュードはそれの破壊を二人だけでやるのかと聞いてくる。業を煮やしたミラがジュードの真意を問いただした
「回りくどいぞ。ジュード。何が言いたい?」
「……ミラって、どうしてそんなに強いのかなって」
「君は、私に興味があるんだな」
「!」
ミラの言葉にジュードは驚いたのちに顔を赤くした。美人に「自分に興味があるのか」と言われれば大抵はしどろもどろになるか照れるわな
「私にはなすべきことがある。私はそれを完遂するために行動しているだけに過ぎないからな。強いと考えたことはないな」
ミラがそこまで言うと、ジュードが俺に視線を移した
「シオンはどうなの?」
「ん?ミラに聞いてたんじゃないのか?」
「う、うん。一応聞いてみたくなって……」
俺はオマケか。まあいいけどさ
「俺は半ば巻き込まれた形だからな。強いて言うなら、村に住まわせてくれた恩人に報いるって感じかな」
当たり障りのない返答を返すと、ジュードは俺たちを心配
している旨を伝えてきた
「で、でも今の力で……二人だけじゃ無理なんじゃない?死んじゃうかもしれない」
「だが、やらねばなるまい。もう決めたことだ」
「……やっぱり強いよ。ミラは……」
「まったくな……」
「何故シオンまで納得するのだ?」
ジュードの言葉に納得すると、ミラが首を傾げた。
その後はジュードが『自分にできること』としてついて行きたいと言ってきて、ミラは若干呆れながらもそれを了承した
「君は本当にお節介だな」
「そ、そうかな」
「恐らく、ミラはジュードを巻き込まないために社を遅く出たんだよ」
「そうだったの?」
「うむ。君たちとの短い旅路で学んだ気を遣う、というやつだ。なかなか難しいな」
腕を組んだミラは人間の言葉の難しさに悩んでいた
「とにかく村に戻ろうか。ジュードに見つかった以上、隠れて行く意味もなくなったからな」
「うん」
「そうだな」
俺たちは会話を終えて村へと降りていった
原作の流れにオリジナルを混ぜこむのがかなり大変です。
大抵時間を喰う原因がこれなので一週間以上遅れたら、これが理由だと思ってください。
見切り発車でやるからこうなる(呆れ)