TALES OF XILLIA -新たな主人公- 作:ハクハクモン
自分は呑気に家で本話を書いていました
「よう。遅かったな。二人も一緒か」
ニ・アケリアに戻ってくると、出口前にアルヴィンが腰を下ろして待っていた。アルヴィンはこちらを確認して、歩み寄ってきた
「身の振り方、決まったんだな」
「うん。二人と行くことにしたよ」
「どういう心境の変化だよ……。後悔するんじゃないのか?」
「ん……でも、もう決めたんだ。ミラとシオンの手伝いをするって」
ジュードの言葉にアルヴィンは意外といった様子だった。恐らく、社から出た後に決意を固めたんだろう
「あっそ」
ジュードの意志を聞いたアルヴィンは素っ気なく返した
「アルヴィン、今まで世話になったな。そうだ、忘れるところだった」
「ん?謝礼か?それなら村のじいさんに、払うって言われたけど?」
アルヴィンの言葉にミラと俺はポカン、としてしまった。俺も一応礼をしようと思っていたからだ
「じいさん……村の人か?」
「ああ。マクスウェル様を守ってくれてありがと〜ってな」
「なるほど、長老あたりか。しかしなんで長老が出てくるんだ?」
「うむ。それに、世話になったのは私だけではなくシオンもだ。何故シオンを省いたのだ」
「なんでも、シオンは四大様に鍛えられたから心配はいらないとわかっていた、だとさ」
長老ェ……それはあんまりだ。俺だって一人の人間なんだ。死ぬ時は死ぬんだぞ……
「アルヴィン。ともかく、それは私の謝礼ではない」
「ミラから、あのじいさんにサンキュって言えば、それでいいだろ。じいさんもじいさんなりの誇りがあんだよ。断るのも失礼ってもんだ」
「……そういうものか?」
「そういうもんさ」
個人的な礼ってやつか。まあわからなくはないな。
よく「それでは自分の気持ちが治らない」っていうのがあるが、それに近いのだろう
「んで、長老に待てって言われて待ってたわけか」
「そうなんだけど、一向に来なくてな」
「村にいるんだよね?」
「ああ。捜してみるとしよう」
村の人々に長老の居場所を聞いてみると、集会所にいることがわかった。早速集会所へ行くとやはり長老がいた
「マ、マクスウェル様!それにお二人も。お待たせして申し訳ありませんっ!」
長老はこちらに気づくと慌てて謝罪をし、その後は会話を交えつつアルヴィンへの報酬が支払われた。村のみんなで出し合ったと言っていたけど、俺にはそんな話はなかったな……
「ではな、アルヴィン。色々世話になった」
「うん。ありがとう」
「またな、アルヴィン」
「ああ。それじゃあな」
アルヴィンは短く別れを言うと、あっさりと集会所から出て行った
「……なんだかあっけないね」
「傭兵というものは、ああいうものなのかもしれないな」
「そうなのかもね」
「なに、きっとどこかでまた会えるさ」
そんな会話をしていると、集会所の扉が開いてイバルが勢いよく入ってきた
「ミラ様!またいずこかへ赴かれるのですか?」
「ああ。留守を頼む」
「自分もご一緒いたします!こんなどこの誰ともわからんヤツ、そして四大様をお救いできなかったヤツにミラ様のお世話を任せられません!」
(痛いところを突いてくるなぁ……ん?)
さてどうしようか、と考えているとミラが途端に表情を険しくした。なんぞ?
「イバル!お前の使命を言ってみろ」
「え、あ、自分の使命はミラ様のお世話をすること、です」
ミラの言葉に一瞬たじろいだイバルは、自分の使命をミラに伝えた。がーーー
「それだけか?」
ミラが子供を叱るような含みのある短い言葉で聞き返した
「……戦えないニ・アケリアの者を守ることです……」
「理解したか?私の旅の共はシオンとジュードが果たしてくれる。お前は、もうひとつの使命を果たすんだ」
共に行くことを認められた発言にジュードが驚きの表情をする。俺はそんなジュードの背中を叩き、頷いた
「しかし、こいつらのせいでミラ様は精霊たちを!」
「それは私の落ち度だ。それどころかシオンとジュードがいなければ、私はニ・アケリアに戻れなかったかもしれない」
「ミラ……」
「しかし!」
なおも食いついてくるイバルを、ミラ自ら説き伏せようとするもまだ納得できないようだ
「なすべきことをもちながら、それを放棄しようというのか?イバル」
「……いえ」
為すべきことを持つ者としてイバルに改めて問いただすと、イバルはようやく観念したようだ
「さあ、出発しよう、二人とも。海停が封鎖されてなければよいのだが」
「……海停に行くのなら、途中、またハ・ミルを通るかな」
やっぱりジュードはまだ気にしていたか……。だけど今戻ったところでどんな反応が返ってくるかは想像に難くないだろう
「なら、ハ・ミルを目指して行くか」
「え、それでいいの?」
「ア・ジュール内でラ・シュガル軍の動向を探れる貴重な場所だ。もしかしたらイル・ファンに潜り込む妙案が眠っているかもしれん。そういうことだろう、シオン?」
ミラがどうだ、と言わんばかりのドヤ顔しているのは置いといて……。あそこを通らないと仲間が一人欠いてしまう訳だから言っただけなんだよね
「じゃあ、ハ・ミル経由で海停だね」
「マクスウェル様、行ってらっしゃいませ」
「うむ」
「シオン、マクスウェル様をしっかりお守りするのだぞ」
「ああ」
長老に見送られながら、俺たちは集会所を後にする
「ミラ様!お、お気をつけて!」
イバルも、大人しく大手を振ってミラを見送った。なんというか、姉を見送る弟だな。まさに……
◇◆◇◆◇◆◇
第三者side
「あの女がマクスウェルか」
ニ・アケリアを見渡せる高台に、キジル海爆方面へ向かう三人に視線を向ける複数人の人影があった。言葉を発したのは、その中でもリーダーと思しき男だ
「プレザ。確かに力を失っていたのだな?」
「はい」
男に返事をしたのは、キジル海爆でミラたちを襲撃した女だった
「既に『カギ』もどこかに隠された可能性があるとなると、少し面倒だな」
先ほどとは違う男が喋った。全身を黒衣に包まれた男だ
「ごめんなさい。侮ったわ」
「あの女がマクスウェルと知っておれば、ワシも『カギ』のありかを吐かせたのじゃかのう」
プレザの後に喋ったのは、ハ・ミルで見かけた大男だった
「まあいい。今となっては、泳がせた方が都合がよかろう」
「ええ。ラ・シュガルの目を奴らに向けさせ、我らは静かにことを進めるのが得策かと」
「アグリアから何か連絡は?」
「失われた『カギ』を新たに作成するという動きがあるとか」
「……捨て置けんな」
男は組んでいた腕を下ろした。恐らく参謀であろう男がプレザと大男に指示を出していく。大男は若干渋ったものの、最終的に納得するしかなかった
男は視線を三人が向かった方面へと戻した。
その先には、一人の男がこちらを見据えていたーーー
「マクスウェルの守り人、か……」
第三者side end
◆◇◆◇◆◇◆
キジル海爆
「シオン。どうしたの?」
「いや……なんでもない」
やや遅れていた俺にジュードが聞いてきた。さすがに今あいつらのことを話すわけにはいかないので、適当にごまかした
「シオン。イル・ファンへ船で行けぬ場合はどうすればいいだろうか?」
あんな騒ぎを起こして尚且つ、軍事的問題も起きてしまったのだ。あっても限定的なものか、厳しいチェックがあるだろうな
「何も道はひとつじゃないんだ。だったら回り道をするしかない」
「具体的には?」
「そうだな……。サマンガン海停からが最も近いんじゃないか?」
原作知ってるとこういう時に得だよな
「あらら、こりゃ急いで来ることなかったかな」
「「アルヴィン!?」」
落胆の声とともに現れたひとりに、ジュードとミラは驚いていた。
アルヴィン曰く、三人じゃ心配だからとイバルがアルヴィンに頼んだらしい
「……おいおい。そんな睨むなよ。俺が何かしたか?」
……と、どうやら知らずの内に睨んでいたみたいだ。原作を知ってるからか、この頃のアルヴィンにはちょっと警戒してしまう
「……すまん。『仕事』なら仕方ないか」
「そうそう。んで?どんなご予定で?」
とりあえずアルヴィンにイラート海停からサマンガン海停を目指す旨を伝え、まずハ・ミルへと向かうことになった
「そういえばよ……」
以前、プレザと相対したあの滝前に差し掛かったところで、急にアルヴィンが声をあげた
「あの時、シオンは水ん中であのでかい魔物を打ち上げたんだよな?」
「うん。その魔物が女の人にぶつかって、ミラは助かったんだよ」
「……どうやって打ち上げたんだよ?あんなの、普通の人間にはできねえだろ」
最もな疑問がアルヴィンの口から出てきた。それを聞いたジュードも疑問に思っていたらしく、目で説明を求めてきた
「四大が鍛錬をつけていたと言ったはずだぞ。二人とも」
「いやいや、それでも納得いかないから、こうして聞いてんのよ」
「わかったよ、教える教える。だが俺は説明下手だ。余計に混乱させるかもしれないぞ」
あの時ーーーウンディーネとの鍛錬を思い出した俺は、クレーターデモッシュの突進をすんでのところで回避することができた。クレーターデモッシュはそのまま岩壁に激突したので、即座に打ち上げようと攻撃した。
しかしでかさ故の重さと水の抵抗が相まって打ち上げられなかったので、数発に分けて打ち上げたーーってところだ
「でも、あの巨体を水の中から打ち上げるとなったら、とてつもない力が必要になるよね。どうやってそんな力を?」
ジュードが当たり前の疑問を口にしたので、偶然近くにあった大岩の前へと歩いていく。ジュードとアルヴィンは頭に『?』を浮かべて成り行きを見守っている。
大岩に片手をついて二、三回呼吸をしたのち、手に力を込める。すると、ビキッバキッと大岩に指がめり込んだ。さらにズズズ……と大岩が持ち上げられていった
「……」
「なんつうか……ホントに人間なのか?おたく」
ただただ驚いて声もでないジュードと、もはや呆れている様子のアルヴィンだった。やらせておいてドン引きするんじゃない
「相変わらずなかなかの怪力だ。ふふ、イフリートとの力比べを思い出すな」
「今のところ七十六戦中全敗だからな。せめて一回くらいは勝ちたいもんだ」
大岩を戻すと、ミラが過去を思い出していた。
俺がある程度力をつけてくると、四大たちはそれぞれのやり方でコミュニケーションをとってくるようになったのだ。例えばイフリートなら純粋な勝負、ノームなら昼寝や食べられる木の実を教えてくれたりなどだ。
唯一、シルフだけがなかなかデレてくれなかったけどな!
「四大精霊に鍛えられると、皆ああなるのかね?」
「ま、まあいいんじゃないかな……うん」
「少なくとも頼もしくはあるってか」
少しばかり過去の話を交えながら、俺たちはキジル海爆を進んでいった
◇◆◇◆◇◆◇
ハ・ミル
俺たちは魔物を蹴散らしつつ、イラート海停へ向かう途上にあるハ・ミルに着いた。しかし広場に差し掛かると、喧騒が聞こえてきた
「出て行けよ、おら!」
どうやら村人たちが一人に寄ってたかって罵声を浴びせているようだ。しかも、それを受けているのは大人ではなく少女だった
「疫病神!あんたなんかいるからっ!」
数人の村人が少女に石を投げ始めた。少女はただうずくまってされるがままの状態だ。そばにいる人形ーーティポもやめるよう必死に訴えているが、それでも収まらない
「お前っ!?」
すると、ジュードが無言で石を投げようとした一人の腕を掴んだ
「大丈夫か?」
村人がジュードに気を引かれている間に少女ーーエリーゼの無事を確認する。少しばかり傷はあるものの目立つほどではなかった
村長は村がラ・シュガル軍にやられたことを責めてきたが、アルヴィンに八つ当たりであることを指摘されると村から出て行くように吐き捨てていなくなった。それと同時にエリーゼも村の奥へと走っていってしまった
「私たちは村の者からラ・シュガル軍の動向を探るとしよう。長くとどまるつもりはない。それを忘れるな」
「うん。わかってる。ありがとう、ミラ」
ジュードはミラに礼を言うと、エリーゼを追いかけていった。ジュードの性格では放っておけないか
ーーーーーーーー
ミラとアルヴィンが村長に話を聞きに行っている間、俺はイラート間道に続く出口で待っていた。今頃ミラとアルヴィンは村長からジャオのことを聞き、ジュードはエリーゼに一緒に来るよう説得しているところだろう。
終わるまでどうするか、と考えているとーーー
「あんたが、シオンだな……?」
いきなり話しかけられたのでそっちを向くと、一人の青年がいた。さっきエリーゼに石を投げていたやつらの中にはいなかったやつだ
「そうだけど?」
「『ルシナ』様から、これをあんたに渡すよう頼まれたんだ」
そう言うと青年は持っていた袋を渡してきた。中を確認してみると、何かの欠片のような物が入っていた
「これは?」
「知らねえよ。ルシナ様が渡してくれって言ったから、俺はそうしただけだ!」
やっぱりどこか刺々しい……。あの場にいなかっただけで、俺たちを憎んでいるのは変わらないか
「そのルシナ様ってのは?」
「ジャオ様と共に兵を追っ払ってくださった方だ。お二人がいなかったら、今頃どうなってたことか」
ふむ?ルシナ様なんてやつは原作にいなかったはず……。
いったいどうなってんだ?
「とにかく、ちゃんと渡したからな」
そう言って青年は去ってしまった。
ルシナか。俺たちがハ・ミルを抜ける時にはいなかったはず。その後に合流したのか?いや、それ以前に何者なんだ?
「ルシナ……気になるな」
「シオン。そっちの方はどうだった?」
呟くのと同時にミラとアルヴィン、そしてジュードとエリーゼがやって来た
「気になる名を聞くことができたぐらいだな」
「ジャオとルシナ、だな」
「ああ」
答えた後にエリーゼに視線を移す。エリーゼは気恥ずかしいのか、すぐに視線を落としてしまった
「えっと、この子ーーエリーゼも連れて行くことにしたんだ。このまま村に置いても、辛いだけだろうから」
「まあ、優等生としちゃ放っておけなかったってわけだ」
「いいだろうかシオン?」
「別にいいよ。ただ、連れ出してどうするかは決まってるのか?」
俺が聞くとジュードは俯いて返事をしなかった。まあ連れてかなかったら、仲間にならないだろうしなぁ
「……それは、できるだけ早く決めるよ」
「なら問題ないかな」
「よし、それじゃイラート海停に向かおうぜ」
俺たちはエリーゼを一行に加えて、イラート海停へと歩き出した
今回で新たなキャラクターの存在を明かしました。
どんな人物かはまだまだ先ですが、一応完成はされています
ていうか最近、戦闘描写がない……