TALES OF XILLIA -新たな主人公-   作:ハクハクモン

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ミラの提案

ガデストーチとの戦闘の後、俺とミラは二・アケリア霊山を降りて近くの村ーー二・アケリアへと向かうべく参道を歩いていた。

先の戦闘で傷を負ってしまったので手当するべく向かっているのだが、参道にも魔物の姿があちこちにみられた。なかには襲ってくる魔物もいたが霊山にいた魔物ほど強くはなく、ミラが従える四大精霊ーー最悪俺でも対処できるぐらいだった。傷を負ったのが利き腕じゃなかったのが幸いか…

 

「…とはいえ、やっぱ痛むなぁ…」

 

ーーと、痛む腕に目をやっていると先を歩いていたミラが振り返った

 

「ならば戦わなければいいだろう?私に任せるよう言ったのに、君が『できる限りは戦う』と譲らないからそうしたのだが…」

「いや、撤回するつもりはないよ。それにこの辺りなら『これ』と蹴りだけで十分みたいだから、大丈夫だ」

 

そう言って俺は刀を示した。するとミラは表情こそ変えないがいくらか雰囲気を和らげてくれた

 

「そうか。だが無理はしないようにな。人間の体は君が思っている以上に脆いのだからな」

 

そう言うとミラは再び歩き始めた。俺はそのミラの後ろ姿を眺めながらーー

 

「…はいはい、気をつけますよ〜」

 

ーー若干捻くれた感じで後に続いて行った

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

ミラに先導されようやく二・アケリアに到着した

 

「ここが二・アケリアか…」

 

村内をあちこち見ていると、ミラは偶々近くにいたひとりの老人に声をかけた

 

「すまない。少しいいだろうか?」

 

すると老人はミラの姿を見ると、恭しく頭を下げた

 

「…!これはミラ様、私めに御用でしょうか?」

「うむ。実は彼の手当てを頼みたいのだ。魔物との戦いで傷を負ってしまってな」

 

それを聞いた老人はこちらに顔を向けた。見慣れない顔だからだろうか、少しばかり警戒の色を覗かせていた

 

「……この者は?」

「霊山の山頂で気を失っていたらしい。私が精霊の力を感じて霊山に向かった際に下山しているところを鉢合わせたのだ」

「…わかりました。では私についてきてくだされ」

 

まだ納得しきれていない感じだが、俺とミラは老人について行く形で村長の家へと案内された

 

 

 

 

 

「はい、これでお終いです」

 

手当てをしてくれた女性はそう言うと包帯を巻いた腕をぺしっと叩いた

 

「あ、ありがとうございまs痛ぁ⁈」

「ふふ、それほど元気ならその怪我もすぐに治るだろう」

 

この最後のぺしっていうやつはどの世界でも共通なんだろうか…。正直今のが一番痛かったんだが…

 

「…さて。シオン、君はこれからどうするのだ?」

 

ふと、ミラがそんなことを聞いてきた。

…まったく考えていなかった。この世界では俺は帰る場所なんてないし、最悪頼れる相手もいないのだ。夢小説の主人公みたいに拠り所を求めて旅をするというのもいいかもしれないが、下手をすれば『未来』が変わってしまう可能性もある。いや、せっかくだからその可能性を楽しむべきなのか……

 

「どうしたシオン?」

 

返事をしない俺にミラは頭に?を浮かべていた。すると勢いよく村長の家の扉が開き、ひとりの少年が入ってきた

 

「ミラ様‼︎こちらにおられましたか!」

 

その少年はミラの姿を見るや側へと駆け寄った。茶色がかった白髪、褐色の肌、そして白い巫子服…間違いない、彼はーー

 

「イバルか。どうかしたのか?」

「ミラ様が見かけない男を連れてきたと村の者達から聞いたので、ミラ様の御身に何かあったらといても立ってもいられなかったんです!」

 

ん〜なんていうか巫子っていうより立派な姉の身を心配する弟って感じだな…。子供っぽい見た目だからそう感じるのだろうか?

 

「私は大丈夫だよ。彼が守ってくれたからな」

 

ミラがこっちに視線を向けると少年ーーイバルもそれにつれて俺を見ると、さっきの老人と同じように警戒の表情をあらわにした

 

「ミラ様…この男は何者なんですか?」

「私にもよくは分からない。霊山で見たことのない魔物に襲われた際に傷を負ってしまったから、ここに連れてきたのだが…」

 

ミラは言葉を一度区切ると真剣な表情になりーー

 

「シオン、君のことを教えてはくれないか?私は少しばかり特殊な立場の身、素性を明かしてもらわなければ困るのだ」

 

俺の正体を問いただしてきた。正直、正体もなにもないのだが、変に嘘ついて後で追及されるより喋ったほうが良さそうだ

 

「正体もなにも、気がついたら霊山にいたってだけでそれ以外は普通の人間だけどーー」

「しらばっくれるな!普通の人間が、何故霊山に行く必要があるんだ!」

 

包み隠さず話そうとすると、いきなりイバルが声を荒げた。しかしミラがいきり立つイバルを抑えた

 

「落ち着けイバル。ここは私に任せてくれ」

 

ミラはイバルを下がらせると再度俺に疑問を投げかけてきた

 

「シオン、私が君と会った時に『精霊の力を感じた』と言ったのを覚えているか?私は、それが君と何かしらの関係があると踏んでいるのだ」

 

…さすがミラ。鋭いったらないな…

 

「ではミラ様、こいつは…!」

「私も最初はアルクノアだと思っていた。だが彼は黒匣を使わなかったのだ。私やお前と同じように剣で戦っていた」

「それはミラ様を油断させる為の作戦ではーー!」

「ならば私を助けてくれたことについてはどう説明する?彼がアルクノアならば、確実に仕留めたい筈の私を魔物の攻撃から助ける意味がないだろう」

 

ミラはイバルからの横槍を次々と返り討ちにしていった。ミラがあったことをただそのまま、当然のことを言っているがイバルは疑いが晴れないらしくあれこれと難癖をつけてきている

 

「と、とにかく!この男はさっさと追い出すべきです!このまま村にいたら、ミラ様の御身にも影響が及ぶやもしれません!」

「イバルは心配症だな。そう喚かずとも、シオンの傷が癒えれば帰ってもらうさ。ーーそういう訳だ。シオン、君の家はどこにあるんだ?」

 

イバルとのやりとりが終わると、ミラは俺の住居を聞いてきた。だから俺は正直に話した

 

「どこにも」

 

その返事にミラは呆気に取られたようだ。ぽかんと口を開けていた

 

「…では君の家族はどこにいる?」

「どこにもいない」

「親しい者は?」

「一人もいない」

「ふむ、身寄りがいないのか…。どうしたものか…」

 

ミラは顎に手を添えて考え込んでしまった。それっきりこの場が静まり返ったのでどうしたものかと考えているとーー

 

「イバルいるか⁉︎」

 

ひとりの青年が扉を壊さんばかりに勢いよく開けて入ってきた。青年はイバルとミラの姿を見ると安堵したが、すぐに急いでふたりに近寄った

 

「ここにいたのか…ミラ様もちょうど良いところに!」

「随分慌てているようだが、何かあったのか?」

「はい…!実はソグド湿道のほうからボアの群れがこの村に向かって来てるんです!」

「なんだって⁉︎」

 

青年の言葉にイバルは驚いていたがミラは完全に落ち着き払っていた。まあボア程度ならミラひとりでも何とかなるとは思うが…

 

「わかった、ならば私が追い払うとしよう。イバルは念の為村に残っていてくれ」

「しかしミラ様…!」

「私なら問題はない。霊山の時みたいな遅れはもう取らないさ」

 

ミラは同行を主張するイバルに心配無用と優しく言い放った。そしてーー

 

「それにイバル、巫子として成すべきことは私を守ることだけではないはずだ。それを忘れるな」

 

まるで弟を叱責するようにイバルを諭し、村長の家を後にした。残ったのは俯くイバルと、会話に入る隙を伺えず頭を掻く俺だった

 

「…どうするかな」

「…どうもこうもないだろ。巻き込まれる前にさっさとこの村から出て行け。……それ以上怪我を増やす前にな」

 

そう言ってイバルはさっさと出て行ってしまった。このままじっとしているのも落ち着かないので、自分も村長の家を後にした

 

 

 

 

 

左手を握ったり開いたりしながら、俺は二・アケリア村内をキジル海爆方面に歩いていた。不思議なことに痛みはもう微塵も感じなくなっていた

 

「はあ…本当にどうするかな…」

 

このまま二・アケリアを出て当てもなく旅に出るべき…なんだろうな。このまま居座るような理由もない、ならばせめて来たるべき時に備えるべきか…。

俺は足を止めてソグド湿道のほうを見やる。きっと今頃はミラがボアの群れを相手に無双しているだろう、その光景がありありと脳内に浮かんだ

 

「ま、のちの再会を祈りますか…」

 

そう呟き、俺はキジル海爆へと歩みを進めた

 

 

 

 

グオオオオオオォォ‼︎

 

 

 

魔物の咆哮に背中を押されるようにーー

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

二・アケリアを出てしばらく歩くと地面に砂が混じり始め、すぐに奇岩と水辺が見えてきた。

キジル海瀑だ

 

「さてさて、ここを抜けたらハ・ミルを抜けて…海停まで遠いなぁ…」

 

若干の気落ちが拭えずにいると後方から誰かが走ってきた。何だと思い振り返ると、

 

「良かった…まだ、ここにいたのか…はぁ」

 

つい先ほど魔物の襲撃を知らせに来た青年だった。しかし今度はさっきよりかなり慌てた様子だった

 

「どうかしたんですか?」

 

と、聞いてみると

 

「た、頼む…!ミラ様を…助けてくれ!」

「⁉︎」

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

ミラside〜

 

ソグド湿道 南部ーー

 

私は息を荒くし、膝をついていた。周囲に目をやれば今しがたまで共に戦っていた村人たちがあちこちで倒れており、その原因である魔物は今も悠然と自分を見下ろしていた

 

「くっ……こんなはずでは…」

『ミラ、大丈夫ですか⁉︎』

『くっそー!何なんだよこいつー‼︎』

 

満身創痍の私に青と緑の光が寄り添った。一方は私を心配し、もう一方は眼前の魔物に憤りを露わにしていたが、攻撃する仕草はなかった

 

ーー私がボアの群れの撃退を始めた当初は何の問題もなかった。少し数が多く感じられたがそれでも四大たちの力で抑えることができていた。

だが状況が一変してしまった…群れから主が現れたのだ。

全身が黒い毛に覆われ、頭部には根元から先へ青、緑、黄と鮮やかな立派な角を持つそれは、瞬く間に村人たちを吹き飛ばしていった。応戦こそしたものの、四大精霊の力でしかまともなダメージを与えることができなかった

 

(霊山のときといい、今回もか…。村の周囲にこのような魔物はいないはずだが…)

 

 

ーーふいに魔物がミラから視線を外した。その視線を追ってみると、そこには急いで来たのか息を荒げているシオンがいた

 

ミラside end〜

 

 

「君は…何故ここに来た⁉︎」

 

ソグド湿道に着くなり怒鳴られたが俺にはそれに答える余裕はなかった

 

「おいおい……今度はブルータルかよ」

 

呟くと魔物ーーブルータルは真っ直ぐにこっちへと勢いよく突っ込んできた。俺はなんとか回避することができたが、そこからさらに電撃を飛ばすという隠し技を放ってきた

 

「あっぶな⁉︎」

 

かろうじて回避することができたが、電撃が落ちた場所は湿地に関わらず焼け焦げていた

 

「ミラ!倒れてる人たちを村に連れて行ってくれ!」

「何を言っているんだ…君ひとりで勝てる相手では…ないぞ…!」

「違う!囮になるから『シルフ』の力で皆を村に送ってくれってことだ!」

 

ミラは一瞬驚いた表情をしたが、すぐに顔を引き締めた

 

「……分かった。できる限り早く戻ってくる‼︎」

 

シルフを召喚したミラは倒れている人たちを回収すると、共に二・アケリアへと飛んで行った。

 

「悪いが…ここから先には行かせねぇ‼︎」

『グオオオオオオオオオォォォ!!!!』

 

ブルータルは咆哮をあげると、まさに闘牛のごとく全霊をかけた突進を繰り出してきた

 

 

 

シオン VS ブルータル(TOV.ver)

 

 

ブルータルの巨体による突進をギリギリで躱すと、ブルータルはそのまま勢い余って先にあった崖に角が突き刺さった。どうやら抜くのに苦戦しているらしくその場からなかなか動こうとしなかった

 

「よし、この隙に…!」

 

後方から距離を詰めて刀を振るうーーが

ギャリィィィン‼︎

刃はブルータルの体を切り裂くことなく不快な音を立てて弾かれてしまった…!

 

「なっ…⁉︎」

 

弾かれたことに驚いていると、攻撃されたと分かったのかブルータルは角が刺さったまま体を大きく揺さぶってきた。回避が間に合わず、咄嗟に防御をしたもののあまりの強力さに吹っ飛ばされた

 

「ぐあっ…!」

 

受け身が取れず仰向けに倒れてしまった俺を尻目に、ブルータルは崖に刺さった角をボコリど抜き、こっちへと近づいてきている。そして二本の角の間で電撃をバリバリと鳴らし始めた

くそ…!どうすればいいんだ⁉︎刀は弾かれる、打撃なんてたかが知れてる、精霊術も使えない…かといって逃げ続けるのも限界がある…。何か方法はないのか?せめて…せめて弱いところーー弱点部位的なものがあれば!

 

「…………待てよ?」

 

そこで俺はひとつの考えに辿り着いた。ほとんどの生き物に共通するひとつの弱点ーーそこを狙えればあるいはーー!

 

『グオオオオオオオオオ!!!!』

 

電撃を角に纏わせたブルータルは一際凄まじい咆哮を上げるとさっきより速度を増して再び突進してきた。

これをまともに受ければただでは済まない。が、うまくいけば一矢報いることができる…!

俺は刀を抜き身のまま、静かに迎え撃つ態勢をとったーー

 

近づく……

近づく…

 

近づく‼︎

ブルータルの突進が当たらんとした瞬間、咄嗟に腹下へと体を滑り込ませ、そして刀をーー無防備な腹に突き刺した!

 

『グアァオオオオォォ!!!!』

 

予想は的中したらしく、突進の勢いと突き刺した刀を振り下ろしただけでブルータルの腹は見事にかっ捌くことに成功した。

ブルータルは勢いそのまま足取りがおぼつかなくなり、前のめりに倒れ込んだ

 

「シオン無事か⁉︎」

 

すると傷ついた村人を二・アケリアに連れて行ったミラが空から降りてきた。気のせいかかなり驚いた表情だが…

 

「まあ…なんとかーー」

「そうか…よかった。少しばかり言いたいこともあるが、今は奴を倒すのが先決だな」

 

軽いやりとりを終えた俺たちは依然倒れたままのブルータルへと駆けていったーーー

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

そこからの戦闘はあまりにも呆気なく終わった。力無く倒れていたブルータルの体は驚くほどに柔らかくなっていたのでこちらが苦戦する要素がなくなっていたのだ。俗にいう『特殊ダウン』ってやつか

 

「はぁ…なんとかなったな…」

「ああ。しかし、また君に助けられてしまったな。同じ台詞で申し訳ないが礼を言うよ」

 

緊張の糸が切れてへたり込む俺に、ミラが再度礼を言ってきた。気にするな、と手で返事をするとーー

 

「だがさっきのは肝が冷えるかと思ったよ。君はあの突進で自分が命を落とすことを考えなかったのか?」

 

先のカウンターをダメ出しされた。っていうかミラさん、若干言葉が刺々しいような……

 

「あのまんまじゃ最悪どっちもやられてただろ。だったら危険を犯してでも道を切り開くのがベストじゃないのか?」

「それで君が死んでしまっては元も子もないだろう。まったく…君がこんな無茶をする人間だとは思わなかったよ」

「あー……悪かったよ」

 

ひとまずミラに謝ったが、それきり彼女は一言も発さなくなった。気まずさもあってミラの表情を窺うが、まっすぐにこっちを見つめる瞳に耐えきれず顔を逸らした

 

「…シオン、君は行く当てがないと言っていたな?」

「そうですが何か?」

「ふむ…ならば二・アケリアに住む気はないか?君がその気であれば私が皆を説得するが」

「……はい?」

 

俺は耳を疑った。だってこんな短時間で村に住まないかと言われるなんてあり得ないだろう…

 

「うむ…よく分からないがどうやら私は君のことが気になっているみたいだ。いや、これは……心配しているというのか?旅をしたら君がどこかでまた無茶をするんじゃないか…とな」

 

ミラは腕を組み、自分の中の感情(?)に戸惑いを見せていた。そういえば原作でも最初は人間よりも精霊然としていたっけか。なら、今はまだ人間らしさを持っていない時なのか

 

「それでどうだろうか?君さえ良ければ、だが…」

「願ってもない話だ。あの村は居心地が良さそうだからな」

 

そう言って俺は立ち上がりミラへと向き直る。ミラは俺の返答に満足したのか「そうか」と短く、だが少しばかり嬉しそうに呟いた

 

「それじゃよろしくな、ミラ」

「?」

 

俺が手を出すと、ミラは頭に?を浮かべていたので握手だと説明した

 

「おお、握手か。人間が互いの友情を深めるためにやるというアレだな」

 

ミラはすぐに握手に応じてくれ、俺はその手を握り返した。ミラの歪みのない綺麗な瞳がまっすぐに俺に向けられる。俺も負けじと彼女の瞳を見返す

 

「改めてよろしくなミラ」

「こちらこそよろしく頼むよシオン」

 

運命の歯車は静かに、ゆっくりと回り始めたーーーー

 

 

 

 




今回は少し長くなってしまいました。
コンパクトにするのが難しいです

エクシリア3発売しないかなぁ
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