TALES OF XILLIA -新たな主人公-   作:ハクハクモン

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XILLIA、始動

トラメス暦2293年

ミラの社

 

 

「また精霊が消えた…か」

 

ミラに呼ばれ、社へ向かった俺はそれを聞いて思わずそう呟いた。

二年前のあの日から、俺はミラがアルクノアと戦う際に共に行くようになった。彼等が持つ武器や道具が精霊達の死後に形成する精霊の化石を材料とする為、微精霊達がその被害に逢い続けていた。

しかも最近になってその頻度が顕著になり始めているらしく、『ある場所』でそれが多く感じられたという

 

「…その場所は?」

「イル・ファンだ」

 

場所を聞いた俺は腕を組み、自分の予想が当たったことに緊張感を持った。ついに物語が始まろうとしているのだ

 

「シオン、これまで通りお前にも共に来てほしい。なに、確認をした上で黒匣であれば破壊するだけだ」

「…言われなくともついていくさ。というか断られてもついていくんだが?」

「お前ならそう言ってくれると思っていたよ。ふふ、しかし今のは少しばかりイバルに通じるところがあったぞ?」

 

そう言われて俺はイバルを思い出したのち、若干気落ちした。

あのイバルと同じように見られるとか…。あいつは悪いやつじゃないんだが、ことミラに関わると途端にウザくなるんだよな。それさえなけりゃ…

 

「そ、そう…?」

「ああ。…さて、それでは行くとしようか」

 

途端、互いに風を纏い始めた。イル・ファンまでシルフが運んでいってくれるようだ

 

「シオン、頼りにしているぞ」

 

飛び立つ直前、もはや聞き慣れたミラの言葉を聞いて俺は無言で頷き返した

 

 

 

 

イル・ファン

 

特殊な霊勢ーー夜域に包まれたリーゼ・マクシアで随一の都会、イル・ファン。今この街はミラの精霊術によって、街中の光を一時的に全て消されていた。

俺とミラは空からイル・ファンの街中を流れる水面に着地した。

 

「感知したのはこの先?」

『ああ。それと同時に感じた強大な力も恐らくはそこだろう』

『なんだろう…、なんか嫌な予感がするんだよね…』

『いざとなったらシオンがいるでしから、きっと大丈夫でし』

『そうですね。シオンならばきっとミラを守ってくれるでしょう』

『…まあ、期待しないでおくよ』

 

ミラは四大達に道案内を任せて歩き始め、俺はその後を追って行った。少し歩くと、大きな施設の内部に繋がりそうな排水路前に辿り着いた。

さて、そろそろ『彼』が来るはずだ…

 

「シオン、下がっていろ」

 

そう言うとミラは、火の精霊術で排水路の鉄柵を破壊した。派手な割に音は全く聞こえなかったが、あれじゃ見つけてくれと言っているようなものだと思うのは俺だけか?

 

「うわっ!?」

 

いきなり後方から聞こえた声に俺とミラが振り向くと、ひとりの少年が自分達と同じように水面に立っていたーー

ーージュード・マティスだ

 

「あ、あの……」

 

彼は俺達ふたりを交互に見て口を開いたものの、ミラが口に指を当てる仕草で、静かにしろーーと牽制した

 

「危害は加えない。静かにしていれば、な」

 

彼女なりの警告だったのだろうが、それでもジュードは追求をやめなかった。結果、ウンディーネによる水牢に閉じ込められてもがいていた

 

「…ミラ、あれはやり過ぎじゃないか?せめて鼻で息をするぐらいはさせてやってくれ」

「ふむ…静かにしてくれないから適切な処置を下したつもりだったのだが…」

 

ミラが腕を振るうとジュードを覆っていた水牢が解けたが、ジュードは苦しさから咳を繰り返していた

 

「あー…大丈夫か?」

「ゴホッ…あ、ありがとう…」

 

流石に放置できないので手を貸して引っ張り立たせると、ミラはさっさと排水路の入り口から中を確認していた

 

「シオン、あまり時間はかけられない。早く行こう」

「分かってるって」

「何するつもり?すぐに警備員が来るよ」

「なので急いでる。君は早く帰るといい。不審者として捕まってしまう前にな」

 

そう言うとミラは排水路を進んで行ってしまった。再びジュードに視線を向けると何ともいえない表情をしていた

 

「…帰る帰らないは君の自由だぞ、と」

 

選択をジュードに投げかけ、俺もミラの後を追って排水路を進んで行った

 

 

 

ラフォート研究所排水路

 

俺とミラ、ふたりで排水路を進んで行く。

途中でミラが四大と話をしていたが、内容は精霊の気配がない原因が兵器ーー黒匣を所有するアルクノアの仕業ではないか、というものだった。

俺は源を知っているのであえて話には加わらなかった

 

スキット:知るが故の悩み

「…シオン?さっきから黙っているが、どうした?」

「ん…いや、なんでもない」

『まさかここに来て臆したのではあるまいな?』

「違うって。少し考え事をしてただけだ」

『ふーん、シオンでも考え事するような悩みがあるんだ?」

「…………」

『あ、あれ?』

『シオン、どうしたんでしか…?』

『私達で良ければ話してくれませんか?力になれるかどうかわかりませんが…』

「ありがとな皆。でもこれは俺が自分で答えを出さなきゃならないんだ。気持ちだけ受けとっとくよ」

「……わかった。だが、ひとりで思い詰めないようにな。私でよければいくらでも話を聞いてやるから、な?」

「ああ。ありがとう、ミラ」

 

排水路から施設内へと侵入した俺達は、黒匣を探しだすべくいくつもの部屋をしらみつぶしに調べることになった

 

「油断は禁物……だと?お前たちを従えているだけでなく、シオンもいる。私に恐れるものなどーー」

コンッ

「それが油断ってぇの。…でっかい施設だから何が起こるか本当に分からん。油断しないでくれよ」

「む……わかった。気をつけよう」

 

ミラが油断しているところを、刀の鞘で軽く叩いた。

四大だけでなく自分も信じてくれるのはありがたいが、取り返しのつかないことは起きないに限るからな。

しかし、ミラの少しムスッとした表情も可愛いな

 

やがて俺達はある部屋の前に来た。他の部屋はロックされていたので後回しにし続けた結果、残りはこの扉だけとなる

 

「あとはここだけか?」

「だな。で、俺の勘が正しければーー」

 

その瞬間、部屋の内部から衝撃音が聞こえてきた。

俺とミラは互いに見合うと、衝撃音のあった部屋へと入って行った

 

室内には幾つものカプセルが両脇と部屋の中央に立てられており、その前に貴族の令嬢を彷彿とさせる赤い服を着た少女、そして先ほど会った少年ーージュードが膝をついていた。

ジュードがこちらに気づくのと同時に少女も興味を移してきた

 

「アハ〜。そっか、侵入者ってあんた達の方か」

 

…一応補足しておくが排水路からここまで一度も戦っていない。やっぱりあの精霊術でバレたのだろうか…

 

「つまんないんだ、この子。だから、あんた達から殺したげる」

 

そう言うと少女は剣と杖の複合武器を掲げて精霊術を発動しようとしたが、ミラは展開の速い精霊術ーーファイアボールで少女を吹き飛ばした。

しかし少女はすぐに起き上がり激昂した!

 

「その顔……ぐちゃぐちゃにしてやる!!」

「それは困るな。せっかくの綺麗な顔にそんなことされたら、俺は泣くぞ」

 

ミラ、俺、そしてジュードは目の前の敵を撃退すべく構える。少女はなおも激昂したまま突っ込んできた!

 

 

シオン・ミラ・ジュード VS 赤い服の少女

 

 

少女はすぐに宣言通りにすべく脇目も振らずミラへと突撃していく。しかし、俺とジュードがそれを阻止して押し戻す。少女はさらに激昂を深め、今にも歯軋りしそうだ

 

「何なんだお前らぁ!?」

「悪いけど説明してる暇はないんだよ。大人しく退いてくれるなら攻撃はしない」

「ハッ……ウザいんだよッ!!グランドファイア!!」

 

少女は数の不利にも関わらず、隙を突いて武身技を振るってくる。しかしそのほとんどが範囲の狭いものなので、見切ってしまえばあっさりと避けられてしまう。

ジュードも早くも見切ったらしく敵の攻撃をいとも簡単に避けているが、相手が人間だからか少しばかり拳が引け気味だ

 

「ちょろちょろしやがって…!だったら!」

 

少女は再度ミラに向けて突進していった

 

「いい判断とはいえないな。敵に挟まれる状況に自ら陥るとは…」

 

ミラがそう言い放った瞬間、少女の武器は後方から近づいた俺が振るった刀によって弾き飛ばされた

 

「イフリート!!」

『ウオオォー!!』

 

ミラは即座にイフリートを呼び出し、得物を失った少女を強力な一撃で殴り飛ばした。

少女は勢いよく壁に叩きつけられ、そのまま倒れ伏した

 

 

「これって……」

「そ。火の大精霊イフリートだ」

「四大精霊を従えてるなんて、いったい……」

 

と、ジュードが驚きを隠せないでいると、ミラがジュードに振り向いた

 

「帰れと言っただろう。まさか、ここが君の家というわけか?」

「いや、あの……」

「まあまあ、彼にも理由があるからここにいるんだろ。な?」

「まったく…シオン、お前はーー」

 

ミラが言葉を打ち切ったかと思うと、近くにあったカプセルへと近づいた。そして四大と話を始めたが、ジュードは自分に向けたものだと勘違い、尚且つ聞き慣れない『黒匣』という言葉に戸惑っていた

 

ミラは再度帰るよう促したが、ジュードはひとつだけ空っぽのカプセルに視線を移した。…確かあそこにはーー

 

「黒匣は……どこか別の場所だろうか」

「かもな。さっさと見つけよう」

 

そう言って気を失っている少女が持っていたであろうカードキーを拾い上げる。これで奥まで行けるはずだ

 

部屋を出て行こうとすると、ジュードに呼び止められた。

研究所を出る当てがなくなったので同行したい、ということらしい。

そして、軽い自己紹介が行われる

 

「ジュード・マティス。それが僕の名前」

「ミラ・マクスウェルだ」

 

ミラが握手に応じて名を明かした。ジュードは次にこちらへ向き、「君は?」と聞いてきた

 

「シオンだ。よろしくな、ジュード」

 

俺も名を明かして握手に応じる。

ジュードを含めた俺達三人は、黒匣を目指すべく部屋を後にした

 

 

部屋を出てすぐ、ジュードとミラが持つリリアルオーブが光を発した。ミラがリリアルオーブとは何かをジュードから説明されている間に、俺はとある問題に頭を悩ませていた

 

実は俺……リリアルオーブ持ってないんだよね…

 

「え、リリアルオーブを持ってないの!?」

「いや、それについては問題ない。四大が言うには、その腕輪がリリアルオーブの代わりも務めているらしい」

「へぇ…」

 

腕輪を見てみると、心なしか確かに光っている気がする。

さすが四大精霊、侮れん

 

 

 

目的の場所へ向かおうとすると、ジュードが気分を落としていた。どうやらハウス教授が死んでしまったことが原因らしいが…。

するとーー

 

「な、何?」

「撫でてやろう。ジュード」

「は?」

 

突然ミラがジュードの頭を撫でようとしていた。

ミラなりに励まそうとしていたようだが、ジュードは子供扱いされることが心外だったようだ

 

「む。君には適さない方法だったか?難しいな…。シオンがウンディーネにされている時は、若干嬉しそうにしていたのだが……」

「なっ⁉︎いやあれは別に嬉しかったとかじゃなくて、ただ疲れてたところを励まされただけだから!」

『そうでしたか?確かに表情には出ていませんでしたが、気持ち良さそうにしていましたよね?』

「ウンディーネまで⁉︎…ああそうだよ。ウンディーネに撫でられるとすごい落ち着くんだよ、悪いか?」

 

そっぽを向くと、ミラとウンディーネがクスリと笑ったのが聞こえた。そしてジュードもどうやら気を持ち直したようで、礼を言われた。今度はこっちが若干気落ちしたよ…

 

 

 

目的の兵器は少しして見つかった。広大な部屋の中央に鎮座するキャノン砲のような物体…これが…

 

「何これ……」

「やはりか……黒匣の兵器だ」

「なるほど。確かにこれほどのモンなら動かすのに微精霊が多く必要になるな。しっかし、黒匣ってのは見れば見るほど……」

 

そう呟くと、ジュードはコントロールパネルを操作して兵器の名を確認していた

 

「『クルスニクの槍』……?創世記の賢者の名前だね」

 

クルスニク……まさかこの名を一年後に再び聞くことになるとは、ジュードは知る由もないだろうな

 

「ちょ、どうしたの⁉︎」

「ふん、クルスニクを冠するとは。これが人の皮肉というものか」

 

ジュードの言葉で振り向くと、ミラは四大精霊の召喚を行い、兵器を破壊しようとするところだった。四大招来のエネルギーで周囲の大気が震えているのが分かる

 

「やるぞ。人と精霊に害為すこれを破壊する!」

 

ミラが四大精霊を呼びたしたことにより、ジュードが抱えていた疑問が確信に変わり始めた

 

「彼らが四大精霊……。ミラは本当に精霊マクスウェル……⁈」

 

四大精霊が兵器を囲むように位置取り、それぞれの力を合わせて上空にひとつの術式を展開した。個人で持ち運ぶ程度のものならば自分でも破壊できるが、この規模となると四大の力でなければ破壊が難しい。そのため、俺はジュードと一緒に成り行きを見守るしかない

 

ガッ!!

 

「君はさっきの⁉︎」

 

ジュードの視線の先には先ほど倒したはずの赤い服の少女がいた。しかもその目の前には、もうひとつのコントロールパネル…!

 

「許さない……!うっざいんだよ……!」

 

少女がコントロールパネルを操作すると、兵器が起動されて上空で展開されていた術式が消滅。同時に四大やジュードとミラと俺、そして少女からマナが吸収されていく!!

 

「うっく……!マナが……抜け、る……」

「バカもの!正気か?お前も、ただではすまないぞ!」

「アハ、アハハハ!苦しめ……!し、死んじゃえ〜!!」

 

ミラが正気を訴えるも少女は狂気の片鱗を見せたのち、倒れてしまった。その間もなおマナは次々に吸い取られ続けている!

 

「きっついな……これ……。下手したら、鍛錬の……ときより……!」

「霊力野に直接作用してるんだ……」

「すこし、予定と、変わったが……いささかも問題は……ない!」

 

ミラは重い体を引きずるようにコントロールパネルにへと歩いていく

 

「止める気……?どうしてそこまで……」

「あれかっ」

 

ミラはコントロールパネルに現れた鍵を外すべくさらに近づく。しかしその足元に更なる術式が展開された!

 

「ミラ、下!」

「え……」

 

ミラが発動させてしまった術式は四大精霊と俺達を束縛し、さらにマナ吸収の加速を促してしまった!それはまるで足場下にあるような激流のようだ!

 

「お前たち、引きずりこまれるぞ!」

 

ミラは四大精霊を気にかけながらも、なおも鍵に向けて手を伸ばしている。

くそ!俺にできることはないのか!?

 

『ーーーーない』

(何……?今の声……)

 

その時、頭の中に声が響いた。だがそれは、四大精霊の誰かによるものではない。ミラとも、ジュードとも違うーーーー

 

 

ーーーー女の声だった

 

『ーーーーオン……シオン!!』

「!?」

 

頭の中にイフリートの声が響いてはっとする。見上げると、四大たちは決意の表情で俺を見下ろしていた

 

『すまぬ……どうやら我らは自力で逃れられんようだ……』

『ですから、ミラを……いえ、ミラと共に逃げてください……』

『ちぇ……まさか、本当に頼ることに、なるなんてね……』

『ミラもシオンも、ここで死んでほしくないでし……。だから、最後の力で、逃がすでし……!」

「ちょ、ちょっとまて……!最後って……!」

 

俺が詰め寄るよりも早く、彼らは無理矢理兵器を停止させてしまった。自分たちを吸収口の栓となり、兵器に格納されてーー

 

マナの吸収がなくなったことで、ミラはなんとか鍵の回収に成功した。しかし、その衝撃で飛ばされてきたミラを受け止めるのと同時に自分たちが立っている足場が崩れてしまった。ミラはシルフを呼び出そうとするも、それに応じるものは既にいない為に俺とミラはそのまま落下してしまった

 

「っ!ミラ、しっかり捕まってろ!!」

 

ミラをしっかりと抱きしめると、俺とミラは激流にのみこまれていったーーーー

 

 

 




今回から原作をプレイしながらになるので遅れるようになると思います。

それにしても2と比べてミラ様の声がはっきり聞こえるのは気のせいですか?

本作はとある方に影響されたものだから、ちょっと被ってるとこもありますが許してください!(懇願)
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