TALES OF XILLIA -新たな主人公-   作:ハクハクモン

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もはや一週間ごとの投稿が定着しつつありますが、どうかこれからもお付き合いください


変ずる路

キジル海瀑

 

ガリー間道をさらに西へと向かった俺たちは無事にキジル海瀑へと辿り着いた。いくつもの滝と奇岩で作られたこの場所は、静かで心が落ち着きやすいな

 

「この海瀑を抜ければ、二・アケリアはすぐそこだ」

「どうやら連中も追ってきてないみたいだな」

 

ハ・ミルを抜けるさいにちょっとした騒ぎを起こしてしまったが、奴らには問題視されなかったようだ。そこが救いかーーー

 

「村の人たちに悪いことしちゃったね……。よくしてくれたのに」

 

ジュードはハ・ミルの人たちに迷惑をかけてしまったことを悔やんでいるようだった。気持ちはわからなくもないが、あそこでやり合う方がより迷惑をかけることになると俺は思っている。

それに、もしかしたら『別の理由』で来たのかもしれないしな……

 

「ラ・シュガル兵が来てるんだ。逃げるが勝ちってな」

「どうするか決めたのは、彼らだ」

「僕らを守ってくれたのかもしれないんだし、そんな言い方しなくても……」

 

アルヴィンとミラの言葉にジュードは遺憾を示した。ジュードの性格なら気になっても仕方はないが、あそこで事を交えれば本格的にこっちの居場所が知られてしまう。そうなったら、こっちの目的も果たすことができなくなる

 

「悪いがジュード。俺たちは二・アケリアに戻るのを優先しなきゃならない。それでも気になるんなら引き返せばいい」

「だとしたら、ここで別れるか。短いつきあいだったが、色々感謝している」

 

心配するジュードにそう言ってミラと俺が歩き出すと、ジュードが疑問を絞り出すようにぶつけてきた

 

「どうしてそうなの?」

「……もっと感傷的になってほしいのか?」

 

足を止めたミラがジュードに向き直った

 

「それは難しいな。君たち人もよく言うだろう?感傷に浸っている暇はない、とな」

「……使命があるから?」

「そういうことだ」

「やるべきことのためには感傷的になっちゃいけないの?」

 

神妙な面持ちで聞き直すジュードにミラははっきりと答えた。しかしジュードはまだ納得できないようでさらに聞き返す

 

「人は感傷的になってもなすべきことをなせるのか?」

「わからないよ、そんなの……。やってみないと……」

「なら、やってみてはどうだ?」

「え?」

 

次第に力がなくなっていくジュードにミラは自分なりのアドバイスを与えた。それはこの先、ジュードの根底に強く根付く言葉ーーーー

 

 

ーーーー「君のなすべきことを、そのままの君で」

 

 

ジュードはミラの言葉を噛みしめるように反芻する。

本当、ミラは大したものだ。自身の言動で人一人の人生を変えるきっかけを作るとは恐れ入る

 

「シオン、お前もだ」

 

ジュードたちに背を向けたままだったので、ミラが傍から現れてたのにつられ視線を向けた

 

「お前が何を悩んでいるのかはわからないが、己の在り方を忘れないようにな」

 

ミラは優しい表情で俺にも言葉をかけてくれた。俺はそれに短い返事をするのが精一杯だった

 

「ねえ、アルヴィンにはなすべきことってある?」

「……さて、な。あるって言ったら余計迷うだろ。ジュード君」

 

ジュードの言葉に振り向くとアルヴィンがジュードの肩に腕をまわしていた

 

「え」

「僕も決めなきゃ〜ってな」

 

アルヴィンなりの気遣いなんだろうが肝心のジュードは若干怒っているようだ。そりゃあんな声色で言えばなぁ……

 

「それで、村に戻るのか?」

「ううん」

「んじゃ、行こうぜ」

 

ジュードは周囲を見渡すミラを見つめ、共に行く意志を固め直した。

二・アケリアを目指して俺たちはキジル海瀑を進んでいく

 

 

 

キジル海瀑には水の霊勢が強いということで、生息している魔物も水属性を得意とするやつばかりだ。ウンディーネの鍛錬ついでによく戦わされていたのを思い出すなぁ……

 

中央よりさらに進んでいくと目の前に一際大きな滝が流れる場所についた。近くの岩場に行けば滝を間近で見られるようなところだ

 

「もうすぐ二・アケリアか〜。どんなところなんだろう。いいところなの?」

「うむ。私は気に入っている。瞑想すると力が研ぎ澄まされる気がする、落ち着けるところだ」

「へぇ〜」

 

ジュードがミラから二・アケリアの雰囲気を聞いていると、アルヴィンが伸びをしながら休憩を提案してきた

 

「ちょっと休憩。岩場歩きで、足痛ぇ」

「村についてから休めばいいだろ?」

「そう言うなって。二・アケリアは逃げやしないさ。な?休もうぜ?」

「え、うん。じゃあ、そうしようか」

 

ジュードの肩に腕をまわすアルヴィンはジュードに同意を求めた。ジュードが流される形で同意をしたことで、この場で休憩することになった

 

 

「ふ、アルヴィンめ。要らぬ気を回すやつだ」

 

岩場で休んでいるアルヴィンとジュードを見やって、ミラが言った。

さて……原作だとこの後に拘束されるわけだがーーーー。

俺は大滝に面する岩場にさしかかるところで足を止めた

 

「シオン?いきなり止まってどうした?」

 

ミラが聞いてきたが、それに答えずただ正面を見据えた

 

「いるのはわかっている。さっさと出てきたらどうだ?」

 

俺は迷うことなく『そいつ』に向けて声をあげた。ミラは俺の言葉で敵がいると判断したらしく、抜剣の構えをとる

 

バシャッ!!バシャッ!!

 

一瞬の静寂が滝壺から現れた二匹の水龍によって破られた。水龍はまっすぐにこっちに突っ込んできた!

 

「これは、精霊術か!」

 

水龍の攻撃をかわしたミラが言う。身を潜めているやつの正体は分かっているが、いかんせんどこにいるのかわからない。おまけに気のせいか俺とミラを分断するように仕掛けてきている。このままだとミラが拘束されてしまう!

 

「そこかぁ!!」

 

大滝に最も近い岩に魔神剣を放つと岩が破壊されるのと同時に、隠れていた人物が姿を現した

 

「随分と荒っぽいわね。でも、嫌いじゃないわそういうの」

 

現れたのは、明らかにヤバめなボディスーツとネコの尻尾のようなものを身につけた女性だった。しっかし毎度思うが、あの格好は恥ずかしくないのだろうか?

 

「何者だお前は?」

「うふっ、教えてあげない」

 

ミラの質問に女はつれなく返す

 

「……ミラに何の用だ?」

「あら、鋭いのね。で・もーーーー」

 

女は精霊術を全く見当違いの方向ーー不自然にでっぱっている岩に向けて放った。って待て!確かあの岩は!

 

「ーーーーあなたにはちょっと席を外してもらうわ」

 

瞬間、岩に擬態していた魔物ーークレーターデモッシュが勢いよく突進してきた。俺はクレーターデモッシュの突進に巻き込まれてそのまま海中に落ちてしまった

 

 

ミラside

 

「シオン!」

 

岩に擬態していた魔物に押し込まれてシオンが海中に落ちてしまった。さらに咄嗟のことで気が逸れてしまったことで、女につけ入る隙を与えてしまった

 

「彼の心配をするなんて余裕ね?」

 

私の足元に精霊術が展開されると、すぐに私の体を拘束してきた。迂闊だった。シオンが魔物に襲われて動揺するとは!

 

「さて、どこかしらね?あなたの大事なものは」

 

女が私の体を弄ってくる。だ、だが何故かその手つきが妙にいやらしい……!しかし確実に調べられている!これがこの女のやり方なのか?

 

「あら、綺麗な石ね」

 

女はそう言うと、私の首から下がっていたペンダントを手に取った

 

「……彼から貰ったのかしら?」

「そうだ。……私にとっては大切なものだ」

「……そう」

 

ブチッ

 

女が力尽くでペンダントを取り外すと、それも投げ捨ててしまった。しかも投げ捨てたのは岩場ではなくーーーー滝壺だ

 

「なっ!?」

「あらごめんなさい。手が滑っちゃったわ」

 

ペンダントが投げ捨てられた滝壺を凝視する私に、全く悪びれる様子もなく女は謝ってきた。私はただ女を睨みつけることしかできず、女はただただ笑みを浮かべていたーーーー

 

 

ミラside end

 

 

予想外だった……!まさかプレザのやつ、クレーターデモッシュが擬態しているのを知ってやがったとは!

原作なら、ジュードが機転をきかせて利用するはずだったんだが。ってことは今ごろはジュードがどうするか考えあぐねているころか?まずい、早く何とかしないとーーーー!

 

ゴオオォォ!!

 

クレーターデモッシュの巨体がこちら目掛けて突っ込んでくる。野郎、地上だと動きが鈍いくせに水中だと速い速い。これじゃこっちが完全に不利だ

 

(っとあっぶね!!)

 

しかも敵の攻撃は体当たりだけじゃない。発達した二本の触手や圧縮された水鉄砲も繰り出してきて、さすがに回避しきれない。ダメージはどんどん溜まる一方だ

 

(……さて、どうするか)

 

動きが制限される水中で闘うなんて論外だ。なんとか隙をついて脱出しないと……。

何かないかと見回していると、クレーターデモッシュの触手がふいに襲ってきた

 

「ごぼっ!?」

 

岩壁に叩きつけられた衝撃で空気を吐き出してしまう。やばい……!苦しくなってきた!

クレーターデモッシュはゆっくりと近づいてくると、トドメと言わんばかりの突進をかましてきた!

やばいな……あれをまともに食らったらもう闘えないぞ……

 

 

『シオン、あなたは水を必要以上に恐れています』

 

ふと、頭の中にウンディーネの言葉がよぎる。それは鍛錬を始めたばかりの時に聞いたものだ

 

『確かに水は在り方次第で簡単に人を殺します。ですが、味方につければこの上なく頼もしい存在となります。まずはあなたが持つ『水の流れ』をイメージしなさい』

 

ウンディーネの言葉を思い出しながら、頭の中に水の流れをイメージする。クレーターデモッシュはなおもこちらに向かってきている

 

『イメージしたら次は、如何にして相手をその流れに飲み込むか……自分の心を乱さず敵の動きを見極められるか。それを忘れないように心掛けなさい』

 

クレーターデモッシュはとうとう目の前まで肉迫している

 

『水とは言わば、“形無き武器”……。それを活かすも殺すもあなた次第です』

 

俺は閉じていた目を開くと同時に、クレーターデモッシュの突進をまともに受けたーーーー

 

 

一方、大滝の前では騒ぎを聞きつけたジュードとアルヴィンがプレザに囚われたミラを救出すべく打開策を講じていた

 

「どうするよ少年?」

「何か……あの人の気を逸らせるものがあれば……」

 

そう言ってジュードは周囲を見渡すが、それらしいものは見当たらない

 

「シオンが水中に落とされたってのが痛いな。俺たちだけじゃどうにもできそうにねえぞーーーーっと!?」

 

アルヴィンが言い終わるのと同時に自分たちの足場が大きく揺れた。水中の何かが足場としている岩にぶつかったようだ

 

「な、何今の?」

「お仲間がやられちゃったんじゃないかしら?可哀想に。誰に見取られることなく、なんてね」

「シオンはそう簡単には死なん!」

 

プレザの言葉に突然ミラが大きい声を荒げた。ジュードとアルヴィンはいきなりのことで面食らっている

 

「認めたくないのはわからなくもないけど、現実は受け入れないとーー」

「ふ……認めないわけではない。信じているのだ」

「……信じてるですって?」

 

プレザの眉が釣り上がる

 

「そうだ。私はシオンを信じている。あいつは必ず戻ってくる……!」

 

ドォン!

 

先ほどより小さい衝撃音が響いた。それによってプレザはシオンが落ちた水面に視界を向けた

 

「おい、いったい何がどうなってんだ?」

「わ、わからないよ……」

 

ジュードとアルヴィンも何が起きているのかわからずにいた

 

そしてーーーー

 

ダバアァ!!

 

突然水中から飛び出してきた巨大な物体は、まっすぐにプレザが立っていた岩場に直撃。プレザはその衝撃で滝壺近くに落ちていった。

術者がいなくなったことで拘束術が解けてミラは岩場に降り立った。

すぐにジュードとアルヴィンが駆けつける

 

「ミラ!大丈夫?」

「ああ……この程度なら大したことはない」

「まじでヒヤッとしたぜ。こいつが出てこなかったらどうなってたことか」

 

魔物は気を失っているらしく、ピクピクとしていて動く気配がなかった。すると背後から水音が聞こえた

 

「げほっげほっ……!はぁ〜、久しぶりに死ぬかと思った……」

「シオン!無事だったんだね!」

「無事には遠い気がするよ。それより、あの女は?」

「こいつのおかげで追っ払えたよ」

 

そう言ってアルヴィンが顎で魔物を指した。シオンは魔物の様子を見てほっと息を吐いた

 

「……ミラ?どうした?」

 

何とは無しにミラを見ると、滝壺を見つめていた。その表情はどこか暗く感じる

 

「すまないシオン……。お前から貰ったペンダントを奴に捨てられてしまったのだ……」

 

声も少し悲しげだ。あのペンダントは自己満足で渡したものだから、なくなってしまったならそれはそれで仕方ないと俺は思った

 

「そんな大事なものだったのか?」

「あれはシオンが初めて私に送ってくれたものでな。私とシオンの繋がりを証明するものでもあったのだ……」

「そんな大事なものだったんだ……」

 

いかん、なんかしんみりした空気になってる……。どうにかしないと……!

 

「だがまあ、おたくの命は無事だったんだ。今はそれで良しとしとけよ。ペンダントの方は、また今度改めてってことで。な?」

「……そうだな。私には果たすべき使命がある。奴に連れて行かれなかっただけでも良しとしよう」

 

アルヴィンのおかげでミラも少し調子を取り戻してくれた。本当は俺がフォローを入れるべきだったんだろうが、気の利く言葉が出てこなかった。ホント、アルヴィンは頼りになるな……

 

「だけど、マジでありがたかったぜ。ミラを助ける方法が思いつかなかったからな」

「うん。方法がなくはなかったんだけど、分の悪い賭けになっちゃうからね」

「あいつらの恩恵を受けたお前にしかできないことだ。あいつらに感謝しておくといい」

「ホント、四大精霊マジ偉大……」

 

ちなみにクレーターデモッシュを水中から吹っ飛ばせたのは、イフリートの鍛錬のおかげだ。ウンディーネの鍛錬だけではダメだと判断し、イフリートの教えを思い出した。結果、クレーターデモッシュを打ち上げることに成功したわけだ。どんな教えかは追い追い明かすとしよう

 

「自分にしかできないこと……」

 

ジュードはポツリ、とそう呟いた

 

「ありがとうシオン。ジュードとアルヴィンも」

 

ミラは俺たちにお礼を言った。アルヴィンは気にするな、と両手をあげ、ジュードは笑顔で返していた

 

「そういえば、さっきの人は?」

「優等生。悪い奴まで気にしてたら、日暮れるぞ。さあ、行こうぜ」

 

ジュードはやはり気になるのか、関係を仄めかしたアルヴィンに聞くがあっさりとうち切られてしまい、先を急かされた

 

 

ニ・アケリアまであと少しーーーかつて俺がニ・アケリアの村人に声をかけられたところまで来ると、ジュードは再びアルヴィンにプレザのことを聞いていた

 

「ねえ、さっきの人、知り合いだったの?」

「あー、あれね。なんか向こうは知ってたみたいだけど、俺は」

「傭兵とは、恨みを買う商売のようだな」

 

ミラの言葉にアルヴィンはもどかしい仕草を見せた。まあプレザに限っては少し違うんだけどな

 

「でも、キレイな人だったね」

「ああいうのが好み?ジュード君は年上好みか」

「よくわからないけど、そうなのかも」

「へぇ。そうだったのか」

 

これには素直に驚いた。でも年上受け良さそうだもんな、特に女性に。

 

「シオンはどうなんだ?まさかここに来て言わないってことはないよな?」

「なんでそうなる?」

「ふむ。確かに気になるな。この際だ、言ってみたらどうだ?」

「僕もちょっと気になるかな」

 

え、なにこれ?なんでこんなことになった?

 

「あ〜……と」

「はぐらかしてもダメだぜ?」

「さあ、ハッキリと言うんだ」

「えっと、ノってから言うのも何だけど、本当に無理なら言わなくてもいいと思うよ」

「……」

 

ジュード……それは逃げ道と見せかけて余計にどツボにハマらせる作戦か……!仕方ない、ここは普通に答えとくか

 

「……強い女、かな」

「うわ、えらく曖昧な答えに逃げやがった」

「それは、ただ強ければどんな女でもいいということか?」

「違うっての。その……なんだ。……〜っだめだ!上手く説明できん!」

 

それを聞いたアルヴィンはあからさまに首を振り、ミラは若干ジト目。ジュードは渇いた笑いを浮かべていた。自分の説明下手にはもう泣きたくなる

 

「それじゃあまたいつか聞くことがあったら、ちゃんと答えてもらいますかね」

「ああ、もうすぐニ・アケリアだからな。さっさと行くとしよう」

 

先を行くアルヴィンとミラ。後に続くジュード。そしてうなだれる俺は目と鼻の先のニ・アケリアへと歩き出した

 

 

 




小説を書き始めてからというもの、様々な作品の小説を考えるようになりました。
とりあえずは本作を完結させるのを目標として頑張っていきます
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