葦名廻戦   作:朝槿

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処女作です。
個人的に呪術廻戦とSEKIROの世界観ってよく似てると思うんです。
其処を上手く書けたらな、と思います。
忙しいけど頑張りたい。(切実)

追記:10/21 大きく修正しました。少し特殊タグを入れてみたくなったので。


第一章 目覚め
野良犬の目覚め


戦国末期。

 

葦名と呼ばれる地にて。

ススキが揺れ、雷鳴轟く草原。

主の願いを成就させる為、一人の忍が命を断とうとしていた。

 

遠く葦名城では火が燃え盛り、内府によって今まさに滅びようとしている。

葦名を守れる者はもう居ない。

 

何よりも葦名を愛した一人の若武者(葦名弦一郎)、そして国を起こし護り育てた最強の剣聖(葦名一心)

どちらも忍びが斬った。

 

葦名の国を憎んでいたと言う訳ではない。

偶然起こった事件でもない。

起きるべくして起きたのだ。

 

忍びは楔丸を鞘に納め、主人の胸に置いた。

そして背に負ったもう一振りの刀、不死切り(拝涙)を抜き、自らの首に当てる。

 

「最後の不死を、成敗致す」

 

--九郎様。

 

忍びは眠る自らの主人の顔を見下ろす。

まだ若く体は小さい。

しかし、周りの強者にも勝るとも劣らない強さを持っている。

 

忍び、いや狼は、そんな自らの主人に生きて欲しかった。

 

「人として、生きてくだされ」

 

竜胤に囚われない、人として。

 

 

その想いが自らの主人に届く事を願い、狼は首に当てた刃を滑らした。

 

櫻の花びらが散る。

今此処に、不死断ちは成った。

 

 

 


 

 

 

「此処は……」

 

確かに不死断ちを果たした狼。

しかし、彼は何の因果か再び目覚めることとなる。

 

「何処だ……?」

 

自らの主人に従い、為すべき事を為した彼は、主人無き今、何を求め、何を果たすのだろうか。

 

呪霊が跋扈する現代日本。

今、一人の忍びが目を覚ました。

 

 

 


 

 

 

群雄割拠の戦国時代。

巡り動く日ノ本の中でも、特別魔境と呼ばれた葦名。

其処を駆け、戦い、生きた狼だが、今のこの状況には困惑を隠せなかった。

 

「此処は何処だ……?」

 

何故か目を覚まし、知らない部屋にいた。

周りを見渡しても、今まで生きてきた葦名とは思えない。

白く清潔な部屋で、これまた見たことの無い灯りと寝具。

 

もしや幻術か?と思ったものの、目の前に置いてある鏡に映る姿を見て認識を改める。

 

幾分か幼くなったが、其処に映るのは確かに自分……忍びである狼の姿だった。

 

(齢は六、七……いや、体が出来ておらぬ)

 

養父()に拾われた時と同じぐらいの見た目だが、それに比べて今の体は貧弱すぎる。

何かの病なのだろうか……と狼は考えるが、その思考は突然の頭痛に遮られる。

 

「ぐっ……!」

 

今まで感じた事の無い種類の痛みに、狼は思わず苦悶の声を漏らす。

必死に耐えきり一呼吸ついた狼は、自らの脳裏に知らない記憶が浮かんでいる事に気づいた。

 

(これは…この体の記憶……?)

 

幼少期、詳しく言うと産まれてから6歳までの記憶。

その日々を過ごしたのが自分の姿、しかし自分ではない事に狼は怖気を覚えた。

しかし、その震えは突然部屋に入ってきた二人の男女によって遮られることになる。

 

「狼ちゃん……!起きたのね!」

 

「大丈夫か、狼牙!本当に良かった……」

 

狼には何が何だか分からない。

しかし、先程流れ込んだ記憶が誰かを伝える。

 

(……彼らはこの体の持ち主の両親だ。取り敢えず、言葉を返さなければ……)

 

「……大丈夫です。父上、母上、ご迷惑を」

 

「「……え?」」

 

二人は、自分が知っている我が子と余りにかけ離れた様子に愕然とし、固まる。

 

(……ぬかった)

 

狼は自らの過失を察し、慌てて説明しようとするが、それよりも父親の回復の方が早かった。

 

「……狼牙?もしかして、記憶が無かったりするか?」

 

彼は困惑した、しかし真面目な表情で問いかけてくる。

 

「……あります。しかし、何処かふわふわと……」

 

狼にも何が何だか分からない。

かろうじて感覚だけは分かるが、それもしっかりと言葉に表せない。

男は目を閉じ、思考に沈む。

 

「……桜」

 

「分かったわ」

 

桜と呼ばれた女性は狼の手に触れる。

害意も無かった為、狼は黙って受け入れる。

 

「……呪力は変わってない。だけど……少し違和感がある」

 

(呪力?……”気“の様なものか…?)

 

最早状況は狼の理解できる範囲を超えている。

 

「……そっちは置いておこう。狼牙の記憶だけど……」

 

「恐らく……」

 

「「実体験としては覚えてない」」

 

「狼牙。過去の自分が他人の様に見えていたりしないか?」

 

「……はい」

 

(……何と。これだけの会話で……)

 

狼は両親の知力に驚く。

自分は一言二言しか言ってないが、目の前の二人は自分が言いたい事を全て把握してみせた。

 

--良き親に恵まれたようだ。

 

 

そんな狼を差し置いて、両親はひたすらに頭を回転させていた。

 

「解離性記憶障害かしら?」

 

「呪力の暴走で?……いや、術式は脳に刻まれると言うからね」

 

「術式がある事は喜ばしいけど、こんな事なら……」

 

「そうだね。……幸い記憶以外は大丈夫そうだ」

 

一度話を終わらせ、二人は狼に話しかける。

 

「……狼牙、一旦休んでてくれ。起きたばかりだし、今日は寝た方がいい」

 

「狼ちゃん、お休みなさいね」

 

幸いな事に、ゆっくりと考える機会を得る事が出来た。

 

「はい。父上、母上」

 

 

 

 

「生まれ変わり……」

 

白い部屋に一人残された狼は、自らの手の平を見る。

 

確かにあの時狼は死んだ。

不死切りにて首を断ち、九郎は人返りを為した。

確かに竜胤を断った感覚もあった。

 

しかし……

 

「この服、この部屋……そしてこの体」

 

自分の意識は自分だと言えるが、自分の体は嘗てのものではない。

 

「俺は……誰だ……?」

 

……取り敢えず、寝るか。

 

狼は目を閉じる。

疲労した体はいつのまにか速やかに眠りに落ちていった。




貯蓄がない。
作者のアドリブ力と妄想力が試される…!
大丈夫だ、問題ない。(ある)


追記:両親共に頭は良いです。
もし一般人として産まれていたなら、一流大学に行ける程でしょう。
その血を引いた狼の体も大分天才です。
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