葦名廻戦   作:朝槿

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一週間の休暇、最終日のお話です。
(ちなみに3日目から6日目まではひたすら家事してました)

狼さんは何故か御三家の定例会議に呼ばれてしまった透さんに着いていきます。

御三家当主と悟、そして薄井家の当主(透)と狼。

まともな奴いねぇわ。


10月26日訂正:本当にすいません!
1週間の休暇は中1の事。
それから飛んで、既に狼さんは中3という事にしてて下さい!


五条悟

「どうですか?」

 

笑顔で話しかける透。

しかし目は笑っておらず、体からは怒気が溢れている。

 

「貴様……!そんな事が認めらr……」

 

余りの内容に五条家当主は口を挟むが、

 

「そんな事?巫山戯てるんです?」

 

透は切り捨てる。

 

「で、どうです?禪院直毘人殿?」

 

再び前に向き直った透は、眼前の禪院家当主に語りかける。

 

「もちろん、やってくれますよね?」

 

御三家当主を前に、圧倒的な威圧感を持って脅す透。

 

 

地獄の様な空気を前に、

 

(何故こんな事に……)

 

狼は思わず心中で呻くのだった。

 

 

◇

 

 

時は遡る事、1日前。

 

中3になった狼だが、葦名行きは年度末に予定している。

日々鍛錬を積み、体は全盛期に大分近くなった。

 

ある日の夕食後、狼は透に呼ばれ書斎にいた。

 

「よく来たね。狼」

 

「……はっ」

 

狼牙ではなく狼。

その意は、父と息子、当主と跡取りではなく、《主と忍び》。

それ即ち任務である。

 

「実は明日、御三家定例会に行かないといけなくてね」

 

御三家定例会。

呪術界を牽引する禪院、五条、加茂の三家が定期的に開催する。

呪術界の未来を決める会議……もといマウントの取り合いと嘲り合いの場。

誰が見ても非生産的極まりない。

 

では、何故そんな場所に行く必要があるのか。

 

「あの害悪共……んんっ。御三家の方々が我が家を招待してくれやがってね」

 

本音が出ている。

それをスルーして狼は聞く。

 

「……何故、私が?」

 

「あの塵共、一人で来いとか宣ってね。馬鹿馬鹿しい。脅すか煽てるかして言うこと聞かせようとでもしてるんだろうさ」

 

最早隠す気もない。

 

「という訳で。護衛兼当主の一人息子としての任務だ。頼んだよ」

 

「お任せを」

 

御三家の情報について頭に叩き込む二人を背に、夜は更けていった。

 

 

◇

 

 

〜〜透視点〜〜

 

 

翌朝。

会議の舞台である禪院家に、透は来ていた。

狼は外で待機している。

 

「ほ、本日はお招き頂き、誠に有難うございます」

 

加茂家当主に向かって頭を下げる透。

既に弱小家系の演技に入っている。

 

「ふんっ。折角呼んでやったのだ。くれぐれも、問題を起こすな」

 

敬われた事に気分を良くしたのか、加茂は尊大に注意して来た。

 

(予想通り今の加茂は小物。問題は……)

 

その時、扉が開いた。

それと同時に溢れ出す圧倒的な威圧感。

白髪にサングラスの青年。

これほど世を舐め腐った態度はないと言える程の顔。

 

五条家次期当主、五条悟だ。

 

「禪院のジジイはまだ来てねえのかよ」

 

後ろには現当主がいるが……大して覚える必要はない。

直に当主は譲られるだろう。

 

「……ッ!ご、五条殿、最近はどの様にお過ごしで……?」

 

御三家の当主としてメンツを保とうとした加茂だが、

 

「あ?最近?お前らと違って苦労してんだよこっちは。お前らみたいなザコとは違うの。分かる?」

 

不機嫌な五条悟に気圧され、引き下がっている。

 

(これが五条悟ね……)

 

「で、お前は?」

 

「わ、私でしょうか?」

 

「お前だよお前。御三家でもないのに何しに来た?加茂のひっつき虫ってか?雑魚共が群れてもどーしようもねぇのによ!」

 

(罵倒の切れ味凄いね……)

 

そんな呑気な感想を抱きながら演技を続ける。

 

「い、いえ、実は……」

 

「五条悟、ソレは儂が呼んだ」

 

透に詰め寄る五条悟の後ろから声が掛かる。

其処にいるのは着崩した和服に酒を持った老人。

 

禪院直毘人だ。

 

「あ?お前ら定例会は神聖な場所〜、とか抜かしてただろうが。何で部外者の雑魚を呼んでんだよ!」

 

「今回は特例だ。おい、入れ」

 

五条悟の文句を切り捨て、透を呼ぶ。

 

「は、はい!」

 

不機嫌になる五条悟をおいて、そのまま御三家当主+透は奥の部屋に入っていった。

 

 

◇

 

 

〜〜狼視点〜〜

 

 

透が奥の部屋に入った数分後。

狼は屋敷の門の内側にいた。

 

「………」

 

透からは騒ぎに巻き込まれない様に、と注意を受けていた為、門の陰でひたすらに気配を薄くして待機している。

真眼を最小出力で発動している為、中で何か起こりそうならすぐさま突入する手筈だ。

 

「……?」

 

ふと視線を巡らすと、屋敷内から誰かが近づいてくる気配を捉えた。

 

「チッ、あの野郎……」

 

五条悟だ。

大分不機嫌な様で、一人で歩いている。

かと言って無理に接触する必要はない故、静かにしていると。

 

「……お前、誰だ?」

 

(!?)

 

此方を見上げている……?

明らかに見破られている。

 

「バレてんぞ!」

 

(気配は完全に消し、呪力も抑えていた……)

 

何故、と思いながら身を現し、地面に降り立った。

身長は170を優に超えていて、狼からは見上げる様になっている。

 

「……何故分かった」

 

「俺の眼から逃れると思ってんの?」

 

眼……五条家と言えば。

 

「……六眼か」

 

「そ。で?」

 

「で?……とは」

 

「名前。俺の眼から呪力なしに隠れられる様な奴は見た事ねぇ。お前、誰だ?」

 

「……明かせぬ」

 

此処で一つ。

今世の狼は明かしたくないのではなく、明かせない。

任務を負う薄井家の忍びは名を明かすことを禁じられている。

薄井家でも本名を明かしているのは当主とその伴侶、そして世話人のみだ。

 

よって、狼は名を明かすことは出来ない。

……特例もあるが。

 

「明かせぬ?舐めてんのか!?……じゃあ呪詛師か?」

 

しかし悟は納得できない。

今までの人間は全て名を自分に売り込もうと必死だった。

隠そうとする奴は呪詛師以外にはいない。

 

「否」

 

「は?誰だよ!」

 

だんだん混乱していく五条悟。

 

相当の実力を持っていて、何処か違和感があるが術師のようだ。

しかし自分が知らないという事は有名な家ではない。

だからと言って呪詛師ではない。

六眼が嘘をついていないと判断している。

 

(……口を割らせるか?)

 

面倒になった悟は、試しに呪力を使おうとすると。

 

「……此処ではやめておいた方が良い」

 

(コイツ……!マジで何者だ?)

 

 

ふと狼は目線を逸らす。

いつの間にか休憩時間に入っていた様で、透は狼が待つ此方に向かってきている。

 

「あ?何見てんだ?」

 

余り時間がない。

此処でバレれば当主の演技が無駄になる。

狼は抜け出そうとするが、

 

「おい!逃げれると思うなよ」

 

腕を掴まれてしまう。

力は強く、狼でなければ折れてしまう程。

無駄にもがいているうちに、透が着いてしまった。

 

「狼、どうだい?……おっと、先客か」

 

「お前はさっきの……?」

 

どの様に懐柔するか、頭を回転させる透。

先程とは大違いの様子の透に困惑する悟。

そして……

 

(……これが”オワタ“と言う奴か)

 

つい先日、ネットで学んだばかりの言葉が出てきてしまった狼だった。

 

 

◇

 

 

「……と言う事だね」

 

「つまりさっきのは演技って事か?……チッ、全く気づかなかった」

 

結局事情を話す事にした透。

加茂家から出て、少し離れたカフェで三人の男は向かい合っている。

今し方薄井家の説明を終えたばかりだ。

 

「あのクソ野郎……何が次期当主だ、こんな重要な事隠しやがって……!」

 

「権力は無くても何か秘密を持っていたかったんだろうね。……あの害悪、どうしてあげようかな」

 

呪術界の裏の顔を担う、御三家と同じぐらい重要な家の事を次期当主に話さない。

 

余りの害悪さに悟はブチギレ、透は見た目穏やかでも目と声は笑っていなかった。

 

「……で、透」

 

「なにかな?」

 

一回落ち着いた悟は透に話しかける。

呼び捨てだが、透は気にしないし狼も気にしないのでスルーされた。

 

「……お前らの目的って何だよ?」

 

「薄井家は昔から裏の任務を請け負う事が多くてね。上層部との繋がりが密接だ。もちろん従っている訳じゃないよ、そんな反吐が出るような事がある訳ないじゃないか」

 

「御三家とは?」

 

「僕らは御三家に対する抑止力。戦国末期に初代様が設立されたこの家は、もともと非術師の家系だ。今でも非術師の方が多い。だからこそ、御三家の目には止まらなかった。だけど今代の当主が僕に目を付けた。…‥余計なことしかしない害悪の癖にね」

 

「完全同意。じゃあどうするんだよ」

 

「上層部とも御三家とも縁を結んで切る」

 

「……は?」

 

「裏の仕事、それも死地に部下を喜んで行かせる奴なんて少数。それも憎んでいる相手からの命令は特に」

 

「僕の目的は……」

 

「呪術界の御三家からの脱却さ」

 

これこそが透の目的。

要は御三家の権力高すぎる所為で腐敗進んでるんだから元叩こうぜ、という訳だ。

 

「……できんのか?」

 

「おや?邪魔しないの?」

 

「俺も現状は嫌いだ。で、どうなんだ?」

 

「内部の膿を切る。その為には残すべき人材を把握する事が必要だ。よって此方の人材を御三家に送る」

 

「……老害共が納得するとは思えねぇ」

 

「其処で君だよ、悟」

 

透は指を鳴らす。

 

「君が承諾すれば五条家はクリア。禪院家は対抗して恐らく行ける。対抗して却下したら?どうにかするさ」

 

「俺が拒否する可能性は?」

 

「君の助けが無くても行けるさ。まあ、君なら承諾してくれそうだけどね」

 

自信満々に『行ける』と言い切る透。

恐らく最初から自分が協力する事を見越していたのだろう。

その姿に、悟は真の”当主“の姿を見た。

 

「……お前、この仕事向いてるよ」

 

「お褒めに預かり光栄だね」




本作の悟くん、性格は原作同様クズなんですが、結構賢いです。
だからこそ、自分を上回る知略とカリスマを持つ透を、素直に凄いと思っていました。
これにより、自分を上回っている奴にはある程度の敬意を払う様になりました。

(甚爾さんとかでも初見の場合は普通に舐め腐ります。2回目3回目で実力把握したら、……まあ、強いんじゃね?みたいな)


追記:狼さん、悟両方中3です。
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