それはそうと、ストレージに余裕が無くなったんで、スマホをバックアップして初期化したんですよ。
で、iCloudにサインインしようとしたら、2ファクタ認証が要ると。
此処で気づいたんですよ。
『あれ?そう言えば私、電話番号変えた気が……』
はい、何も届きません。
電話、LINE、メール、そして各種アプリが全く使えません。
そして、ゲームが出来ない。
私が携帯でやる事といえば、連絡、調べ物、動画、執筆、そしてゲームぐらいです。
残念ながら五分の二、いや内容だけならば五分の四が使えなくなりました。
どうすればいいか教えて下さい……!(切実)
あ、因みにゲームは原神と1999ですね。
諏訪部さん大好き。
扇を衆目の中で圧倒し、直哉を倒した事で、禪院家での狼の立場は盤石なものとなった。
絡まれることは殆どなく、狼からも不用意に接触しないので、何も問題は起きなかった。
直哉だけは良く会うが、牙が抜けた様に大人しくなった為、基本的に平和な日々だった。
ある日の夕方。
直毘人に呼ばれ部屋に赴いた狼。
「おお、来たか」
「ん?狼クンやったんか」
「……何用だ?」
直毘人が直哉を呼ぶことは殆どない。
本人達からも聞いていた不思議な状況に、狼は困惑して問いかける。
「端的に言おう。お主、薄井に帰れ」
「……はぁ?狼クンは交換で来とるんやで?勝手に返したらあかんやろ」
「……父上がそう言ったのか?」
「ああ。奴曰く、『恐らくそろそろ頃合いだろうから、交換は一旦終わりで良い』とな。あの狐、何故分かる……」
直毘人は仮にも忍びの前で堂々と透の事を狐と言ったが、狼も基本同意な為特に何も言わなかった。
「1週間後だ。それまではゆっくりして行け」
話は終わりかと立ち上がった狼だが、直毘人の言葉にもう一度腰を下ろす。
「そろそろ鍛錬したらどうだ?衰えるぞ」
「……毎日しているが」
「何処でやっとんの?」
「……心象世界で」
「……え?」
狼は目を逸らし答える。
環境から術式について殆ど知り得ない狼でも、心象世界で鍛錬という異常さは把握している。
「……我が心中に刻まれた類稀な強者と、何年も戦っている」
それを聞いた直哉は不機嫌な顔をする。
狼が鍛錬していない今の内に追いつこうと思っていたのに、裏で鍛錬しているなど拍子抜けだ。
「……ずるいわ、それ」
「……すまぬ」
流石に申し訳なく、狼は目を逸らして答えた。
結局、残り1週間は直哉と鍛錬する事に決まる。
◇
「俺はなんの武器がいいん?」
「……術式を最大限活かすならば、取り回しが楽な小刀が良いだろう」
所変わって忌庫。
二人は直哉の武器を選びに来ていた。
「狼クンは何で刀にしたんや?」
「師匠が刀を使っていたのと、隠密でも扱いやすいからだ」
戦国時代、主要な武器といえば槍、弓であり、刀は其処まで使えるものはなかった。
それこそ梟の様な隠密を主とする忍びや、よっぽどな達人でない限り、刀は十全に使い熟せない。
一兵卒でも刀を持っていた葦名の特異さがよく分かるだろう。
故にこそだろうか、七本槍が戦で特に強かったのは。
「直哉に刀は薦めぬ」
「それまたなんで?」
「……刀では、絶対に勝てない強者がいる」
葦名一心。
剣の道のみならずあらゆる武術を極め、人の身ながら刀のみで真空波を飛ばす正真正銘の剣聖。
彼に純粋な剣技で勝てる者など
「ホンマにそんな奴おるん?」
「ああ。恐ろしく強い」
「……なあ、狼クン」
「なんだ?」
「戦った様に言うとるけど、それいつの人なん?」
「………あ」
ぬ か っ た。
普通に葦名の事を喋ってしまった。
長らく任務に出ていない平和な環境にいたせいで、思考が鈍っている。
「なあ。葦名一心って、誰なん?」
「………」
「言えぬ明かせぬ無言はあかんで」
「……話せぬ」
「それも却下」
「ぐぅ……」
狼は必死にするが、残念ながら無理らしい。
何故隠せないかと言うと、聞かれたことは全て何らかの形で返答すると言う縛りを設けてしまったからだ。
その縛りのお陰で無理矢理アドバイスを捻り出していたが、それが仇になってしまった。
「………他言無用だ」
「もちろん分かっとるわなぁ!」
直哉は上機嫌だ。
長い沈黙の末苦渋の決断を下し、狼は薬水瓢箪を一気に飲み干した様な顔で語り出した。
前世の人生、狼という忍び、敵となった恩人達、自らの主、そして竜胤。
何故竜胤について話したか。
狼自身もよく分かっていない。
直哉は何処まで行っても御三家の人間、情報を流される可能性はある。
しかし、信じてみたくもあった。
忍びとしてではなく、狼として。
「……と言う事だ」
話し終えた狼は姿勢を直し、スーパーで買った茶を飲む。
追憶すればするほど、任務に失敗したと知らされているようであまり気分は良くない。
一方多大な情報を一気に聴いた直哉は軽く放心状態だった。
「……よう此処まで隠し通せたなぁ。いや、忍びやからか」
「……他言した時点で、真っ先に始末する」
「分かっとる分かっとる。こんなん上層部や御三家だけやない、呪術界に広まったら終わりや。そんなん俺でも分かる」
頭を押さえて直哉は呻く。
「で?狼クンの強さは死に続けて得たもんやと?」
「……真似するべきではない、と言っただろう」
「全くもって真似できん。そんなん勝てへんくて当たり前やわ。はぁ……」
「どうした?」
「葦名一心とか言うバケモンの話聞いたらため息でも出る。何や、刀振ったら衝撃波が15m以上飛ぶって。ホンマに人間か?」
「黄泉返りの産物だが、アレは生身の技だ。……劣化なら俺も出来る」
「そうそれ。狼クン、何度も見た技なら大体模倣できるのもけったいな才能やで。……ホンマ葦名って魔境やな」
「……同意だ」
葦名ほど強者が密集していた場所なぞ、呪術師最盛期の平安ぐらいだろう。
そんな所で生き抜いた-ー-何度も死んではいるが-ー-狼は十分に
「で、どないするん?」
「……(術式)アリとナシでそれぞれ極めるべき」
「ナシは頼むで。アリは……ナシが成長すれば、まあ行けそうやな」
そんな話し合いをしながら、二人は葦名の事を思うのだった。
1週間後。
鍛錬したり、直哉に連れられ遠出したりなど色々した狼。
帰宅の日だ。
「また来てなー狼クン。今度はそっち遊びに行くで」
「ああ」
言葉は少なく、背を向けた二人は、それぞれの日常へと帰っていった。
◇
「こんなんやと勝てへん……もっと速度出さな……!」
狼が帰ってからというものの、直哉は術式を伸ばす為にひたすら特訓していた。
投射呪法は繰り返し使い続ける事で段々速度が上がって行く。
しかし、それと同時にコントロールしきれないと言う危険性があるのだ。
「………」
吹っ飛んで顔面スライディングしたり、壁に衝突したりなどを続けて、一つの核心に至る。
「……フェイントが足りんのか?」
速度を出しながらコントロールする為に、出来るだけ分かりやすい道筋で動いていた直哉。
それを改め、敢えて速度を落とし複雑な動きにする事で、速度に対応できる強者への対策とした。
「……これ、ええんとちゃうか」
その過程で戦闘機や虫などを参考にし、動画を見て動きを掴んでいく直哉。
その実力はかつてと比べ、大幅に上がっていた。
そして……
「パパ、準備出来たで」
「おう、こっちもだ。なら……」
「「やろうか」」
向かい合う直哉と直毘人。
投射呪法の先達であり、自らの目標の一つ。
それを今日、超える。
◇
互いに投射呪法を使えば、千日手になるか危なくなるので、今回は直哉のみが術式を使う。
だからと言って油断は出来ない。
敵は長年投射呪法を使って死地を潜り抜けた『最速の術師』だからだ。
(絶対に超えてみせるわ!)
そんな想いと共に小刀を構え、直哉は一気に駆けだした。
「勝たせて貰うで!」
投射呪法とは、一秒を24分割したコマで道筋を作る術式。
物理本則に則ったものならば、視界の中ならどんな動きでも作れる。
しかし、どうしても術式が終わるタイミングが出来てしまう。
ならば。
(繋げれば良い……!)
間隔を空けなければ良い。
(2回目……3回目……)
1フレームも開ける事なく何回も再使用するうちに、直哉はどんどん動きを滑らかにしていく。
本来なら無理な技を、縛りによって可能にする。
(別に一セット内に攻撃を当てる必要はない!一発や、一発大きいの当てるだけで良い!)
フェイントをかけ続け、直毘人の攻撃の癖を見抜く。
それを同時に極短時間で行う。
直哉にはその才能があった。
(後5、4、3……今や!)
攻撃を避け、初めて直角に曲がる。
そのまま攻撃と見せかけてフェイント。
一度地に伏せ、上に跳ぶ……!
手に持った小刀。
いつの間にか柄を上に持ち変えたソレを顎に振り上げた。
(獲った……!)
「甘いわ!」
だがそれを読んだ直毘人は避ける。
足場をなくし、空中で術式を発動した直哉は止まってしまった。
隙。
縛りによって延長されたフリーズの時間は、攻撃を当てるに十分な時間を齎す……!
「残念だったな……!」
直毘人はニヤリと笑みを浮かべ、拳を振り上げた。
バチッッ!!
倒れ伏す影。
土煙に包まれ、顔は見えない。
風が吹き、煙が晴れた其処にいたのは……
「俺の勝ちや、パパ」
直哉だった。
直哉の縛り。
・連続で発動できる代わりに、攻撃には2回に一回しか出来ない。
・4回発動すると4回目以降の途中、一度だけ任意のタイミングでフリーズできる。
・攻撃をするならば、とある技だけを使う。
・以上の条件以外の行動をしたならば、3秒間強制的にフリーズする。これは解除できない。
とある技、ですが。
落花の情が「触れたものを自動で呪力で弾く呪力プログラム」ならば、「触れたもののエネルギーを吸収し、それを使う技術」と言えるでしょう。
ちなみに、あるゲームのある武技を参考にしています。
知っている方は友達になりましょう。