葦名廻戦   作:朝槿

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影の術式についてですが、彼も結構成長しました。
心象世界に情報を具現化。
わかりやすく言うならば、流れ込んできた情報を本にして保管できる。
必要な時はそれを読めばいいので、幾分かマシになった。
だけど、流れてくる時の苦痛は変わらないので、どうにかしたいと思ってる。

影ですが、葦名入りを果たした時に、葦名全域に漂う竜胤の残り香的なものに感化され、術式が軽く暴走。
一気に流れ込んできました。
そして一つ不可解な事に気づきます。

この情報を含めて、葦名関係の情報って結構抜けが多くね?と言う事に。
まるで・・・“誰かの視点である様な”。


葦名の歴史②

「おまえさん、成し遂げたんだな」

 

「・・・ああ」

 

再会した二人は、五重塔の横に腰を下ろす。

 

「・・・」

 

狼は黙って促した。

 

「・・・儂は、忍びだった。そして、一心様の、忍びじゃった。儂の名を下さった、何よりも大切なお方じゃ」

 

仏師は語り出す。

 

「葦名に伝わる、様々な逸話。その一つ、不死斬り。仙峯寺にある五重塔に、それが収められている。それを、儂は知った」

 

「・・・何故?」

 

「任務で仙峯寺の調査をした時、知った。一心様の強さの為に、儂はあの刀を獲った」

 

「・・・」

 

「そして、斬った。切れ味が良い、そう思った」

 

「斬り続けた。次第に、相手を殺す、快感が身を包んだ」

 

「斬り続けた。儂はもう、忍びでは無くなった。殺しの意味を、捨ててしまった」

 

「そして、修羅と成り果てる寸前、一心様が斬ってくださった」

 

「・・・そうか」

 

「それを機に、不死斬りは一心様が預かり、儂は忍びを辞めた」

 

話し終えた彼は、斬り落とされた左手を出す。

 

「お陰で、修羅にはならなかった。そして仏様を彫り続けた。だが、一向に優しい顔の仏様は彫れん。今でもだ」

 

「これも、自業なのじゃろうな」

 

話し終えた仏師は立ち上がる。

 

「・・・行くのか」

 

「ああ・・・おまえさん、有難うよ」

 

その言葉を最後に、何処かへと去っていった。

 

 

 

 

「や、昨日ぶりだね。その様子だと・・・分かったみたいだね」

 

「ああ」

 

聞くと、影はわざと自分で話さず、仏師殿と自分の会話を求めていたらしい。

 

「ごめんね。僕はあの方の心中まで捉えることは出来ないし、何より他人が話すべきではないと思ったから」

 

「俺こそ、礼を言う」

 

「うん。・・・それじゃ、続きと行こうか」

 

 

 

 

前回は・・・ああ、そうだったね。

京の水、及び変若水についてだった。

 

さて、此処で葦名、つまり下界はどうだったか。

この時代は大した社会制度は出来ていない。

その土地その土地で色々と文化があったんだ。

そして狼さんも馴染み深い儀式・・・いや、手段と言ったほうがいいかな。

 

それが、輿入れの儀。

 

仙郷と下界には大きな隔たりがある。

しかし京人、つまり源の香気を纏う者は無条件で行き来できた。

輿入れによってね。

 

 

さ、少し飛ぶよ。

時は進んで平安時代初期。

 

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上界である仙郷から降り、葦名や、京都まで行った京人。

彼らは其処で建築を学んだのか、仙郷に再現しようとした。

その試みは見事に成功し、今では見られないけど、美しい都が出来たって訳。

 

そして下界では、葦名の民も仙郷へ渡る様になった。

どうやって?

狼さんは体験したことあるよ。

そう、香気の偽装。

まあ、もれなく全員京の水飲んで都人になったから、真実は分からないんだけどね。

 

 

此処で余談。

実は輿入れによって源の宮に来た新人が困る事が一つある。

環境の違い?そんなの気にする奴なら来ないさ。

京の水の禁断症状?

この時点ではほぼないに等しい。

 

それは、謁見。

神域から流れ出でる水によって、神域及び内裏への謁見は叶わぬ状態。

其処で水生の初代は、輿入れする人にとある術を教えた。

 

【水生の呼吸術】

 

水生の御初代は、輿入れが決まった者にのみ、密かにこの秘術を授けた

輿入れ望まば、水生の息

これなくば、神なる竜とは見えられぬ

 

と言うわけで、この時代で一層水との付き合いを深めていったのさ。

 

 

 

 

双方一度休憩を取る。

影は片手に手帳を持ち、ずっとそれを読んでたので首を回し、固まっていた狼は肩を回した。

 

「はぁ〜・・・」

 

心なしか、と言うか一目見てわかる程疲れている影。

 

「休むか?」

 

次回に回そうと提案するが、影はそれを断る。

 

「いや、続けるよ」

 

 

 

 

・・・ああ、そうだ。

輿入れの習慣についてだったね。

この時かな、仙峯上人が仙郷に渡ったのは。

桜竜との謁見を経て、彼はぬしの色鯉の肉を授かった。

此処にも神々の立場の差が大きく現れてるね。

 

さて、この肉が全ての元凶だ。

神の力は、人には余りにも大き過ぎる。

僕の力の様に、耐えきれなくなってしまうからね。

血肉などなおさら。

幸運な事に、上人は食べなかった。

彼は真面目な僧侶だ、戒律を破る訳がない。

しかし、ある尼僧が食べてしまった。

誰かわかるかい?

 

そ、破門された破戒僧さ。

そして上人は、彼女の不死を知り、食べてしまった。

彼は口にしてしまった後に、蟲によって齎されたものだと気づいてしまったのだ。

彼は仏道から離れ、死なずへと、呑み込まれていった。

なんと哀れな事だろうか。

 

 

・・・話を続けよう。

時は経ち、数百年後。

源の宮は新たな転機を迎えた。

そう、淤加美一族の到来だ。

こっちは予想通りみたいだね。

彼女らの発端はぬしの白蛇。

落ち谷衆はもともと淤加美一族だ。

 

さて、武力でのしあがった彼らは、源の宮の覇権を手にする。

しかしそんな彼女らにも恐れるものがあった。

それこそ、かつての神、白蛇だ。

アレからしたら、自分を捨てて他の神に乗り移った裏切者。

粛清に動いてもおかしくない、と彼女らは考えたんだろう。

 

そして彼女らは、葦名に攻め入った。

白蛇を潰しにいったか、はたまた葦名を征服したかったのか、心中までは分からない。

 

時は平安中期。

貴族たちは武士を雇い、互いの戦力を持って地位争いをしていた時代だ。

それは葦名では少し異なり、葦名衆は自分達で戦力となっていた。

彼らは無事、攻め入った淤加美一族及び源の宮勢力を追い返した。

そして門番に破門にされていた破戒僧を。

煽てたのかな?

 

そのまま時は過ぎ、次なる騒乱は戦国に巻き起こる。

 

 

 

 

「少し落ち着いた・・・葦名に来てから絶え間なく情報が流れてきててね。喋って整理しなければパンクしてしまいそうだよ」

 

「・・・今回の話だけを見ると、悪いのは全て源の宮と?」

 

「あながち間違ってない。と言うかいつの時代も強大なものに人は縋りたくなるからね」

 

「・・・そうだな」

 

狼は思わず実感込めて頷く。

かつて戦ってきた敵は、竜胤と言う大きな力を求めていたからだ。

 

「・・・よし、整理できた。じゃあ、次は戦国時代だよ」

 

 

 

 

戦国時代初期、下界の葦名は波乱万丈だった。

絶対的だった葦名衆は国を奪われ、田村主膳は国を征服した。

そしてこれからの話で二番目に重要な立ち位置にいる、仙峯寺について話そう。

 

彼らは死なずに魅入られ、その門を固く閉ざした。

が、実はそれもまだ最近の事。

死なずに憑かれたのはほんの一握りだけ。

少なくとも戦国が始まるまでは、門戸を外に開いていた。

 

しかし、田村の国取りによって情勢が一変する。

中立・・・いや、不干渉の立場を取っていた仙峯寺は、田村率いる新勢力に接近される。

要は、「お前らどっちの立場につくんや?」状態である。

葦名を二分している勢力。

田村と一心。

どちらにつくかで仙峯寺は大荒れ。

ただ一つ言えるのは、どちらにも義理立てする気はなかった、と言うことだけだろうね。

極一部の人達(道玄)は一心様に協力する事を決め、他は中立の田村よりとなった。

 

そして此処からが山場。

一心様の生涯について、此処に載っている事を語るよ。




またもやリスペクト過多ですいません。
一旦整理をば。

縄文:隕石降ってきた!隕鉄に神々が引き寄せられた!葦名すごい土地になった!(白蛇、色鯉誕生)
弥生:桜竜きた!岩に取り憑いた!神溶けた!水凄え不死になる!(京の水信仰の始まり)
平安初期:源の宮できた!輿入れで人たくさん行き来出来る!仙峯上人来た!あ、肉食べた。(仙峯寺崩壊の序章・・・の前章)
平安中期:淤加美一族きた!一瞬で最強!葦名行けるっしょ!無理でした。(源の宮と葦名の交流が消えた)
戦国初期:田村葦名奪取!仙峯寺パニック。(?)道玄離反して一心側に。(完全なる仙峯寺の瓦解)

いかんせん、考察をそのまま載せると書きたい設定に合わないから、自分の形に修正するのめっちゃ難しい。
頑張るぞ!
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