普通に非戦闘員もいます。
何かの分野のエキスパートだと思って下さい。
追伸:いつになるか分かりませんが、葦名廻戦ともう一つ呪術廻戦の二次を書き終わった後に、オリジナルを書く予定です。
其処で二次から独自設定を輸入する予定なので、いつか読んだ時は此処らの設定が出てくるのを楽しみにしてて下さい。
向かい合う狼と水無月。
双方の手には木刀が握られている。
水無月は中段の正眼。
剣先を相手の目に向けて構えることにより、他の全ての構えにスムーズに移行することができる。
剣道では基本の構え方とされていて、正面に滅法強い。
対して狼は上段霞。
左足を前に出した半身で立ち、刀は刃を上にして顔の横に構える。
守りが堅く、弾きを専門とする狼にとって最も適した構えとも言えるだろう。
「開始!」
門下生の掛け声で、戦いの火蓋は切って落とされた。
◇
最初に仕掛けたのは水無月。
鋭い踏み込みと共に、上段から振り下ろす。
ガッ!
それを狼は余裕を持って弾いた。
すぐさま切り返し、右手を狙う。
が、すんでの所で跳び退かれ、空振りに終わる。
(……振りにくい)
普段真剣しか使わない狼には、木刀は何処か違和感を感じる。
軽く斬りかかって見るが、少し遅いそれは避けられ、お返しとばかりに突かれる。
それを前に身を乗り出し、木刀を踏みつけた。
見切り。
突きに対して一歩踏み込み、相手の武器を踏みつける事によって体幹を大きく削る技。
木刀という不慣れなモノでも、狼はしっかりと捌いてみせた。
######
一方水無月、一連の立ち会いに冷や汗を垂らしていた。
(此処までとは……!)
主に攻めているのは此方だ。
しかし受けられる、いや弾かれる度に体幹が乱れて行く。
一旦飛び退き、呼吸を整える水無月。
額には大粒の汗が浮き出ていた。
さて、現時点での素の実力なら、水無月の方が一段上である。
体格もこの人生での練度も水無月は高い。
何故ここまで彼は追い詰められているのか。
水無月は一介の呪術師として、全盛期の頃は沢山の敵を狩ってきた。
死にかける事も日常茶飯事、そのお陰で反転術式にも目覚めた。
しかし、狼が生きたのは戦国、それも葦名という特別過酷な土地。
生と死の狭間で必死に生きてきた狼にとって、今世の環境は余りにも快適だった。
危険な地形、其処らにいる弱くない雑兵、そして圧倒的な強敵。
狼は幾度となく死にかけ、そして何度も死んでいる。
潜り抜けてきた死地の数が違うのだ。
また殆どの敵が人間であった事も大きい。
熟達の忍びにとって、人体の破壊など容易い。
忍殺はその究極点とも言える技術だろう。
圧倒的に対人に慣れているのだ。
水無月はそれを何処かで理解していた。
今の自分では、術式なしでは彼に敵わないだろうと。
しかし……
(攻めねばなるまいて!)
彼は一介の戦士。
諦めるにはまだ早い、そして
(この様な相手と戦える機会なぞ少ない!ならば……)
--進むまで!
そう水無月は狼に向かって踏み込んだ。
◇
「…‥鍛錬に付き合い頂き、感謝する」
「何の。此方こそ無理を申して悪かったのう」
試合を終えた二人は向かい合い談笑に興じていた。
周りでは、見物していた門下生が感想を言い合っていた。
「まさかお師匠様が負けるなんて……」
「ご子息様って見かけによらずお強かったのね」
「俺たちには勝てないな……」
其処には、試合前にあった何処か狼を下に見る感情は消えていた。
別に悪感情を持っていたという訳ではない。
彼らはただ単純に心配していただけである。
しかし、当主の息子であり、忍びである狼が下に見られるのは、余り宜しいことではない。
「……礼を言う」
「何のことやら」
その空気感を水無月は察し、この試合を提案したのである。
「また頼むぞ?次はもう少し持ちこたえてみせる!」
「承知」
鍛錬として丁度良い相手が見つかったのは幸運だ。
呪術師としての経験も豊富である。
しかし……
(老人……?)
自分の周りの老人が強く向上心が高い、という異常に気づいてしまった狼だった。
翌日。
まだ休暇二日目なのにやることの見当が全くつかないまま、再び縁側に腰掛けていた。
(………)
何もする事がない。
鍛錬という手も父に封じられてしまった。
『何で休暇なのにいつもと同じ事してるんだい?対人だからって言うのはナシね』
全くもって正論である。
「暇だ……」
空を仰ぎ続けて早二時間。
鳥を見続けるのにも飽きていた。
(歩くか……)
何かに出会う事を望み、屋敷を巡る事にしようと狼は腰を上げた。
◇
「……ふむ」
辿り着いたのは図書館。
屋敷内で二番目に大きい部屋に、山の様に本が置かれている。
影が部屋に持ち込んだ本も此処由来だ。
今読んでいるのは地球の歩き方。
片手には辞書を持ち、ヨーロッパの本を読み漁っている。
「騎士、か……」
:ヨーロッパでは古来より騎士がいた。彼らは主人に仕え……
文章の下には挿絵が載っている。
白銀の甲冑を身につけて、大きな剣を両手に持っている。
その時狼の脳裏に浮かんだのは、侍と似た様なものか、とか、隠密には向いていないな、と言うことではなく。
『ロバアァーーーート!!』
半ば忘れかけていた強烈な記憶だった。
あの時は困惑したものだ。
一切刃が入らず、斬れないにも程があるだろうと、思わず言いそうになった。
最終的に回廊から蹴り落としたが、出来ればもう戦いたくない。
単純に面倒だった。
本作の書き方、と言うか設定?についてなんですが。
◇ ちょっとした場面変化、数時間の時間差など。細かい場面切り替えの時。
###### 視点変更。本作は三人称ですが、これから少し限定視点を入れていきたいので、これが少し出てくる。
水平線(一本横に伸びているやつ) 大きい場面変化や時の変化、回想シーン突入など、一番大きい切り替え時に使う。
ここら辺は私もよく分かってないので、まあノリで把握してて下さい。
書かないと変になりそうだったんで一回整理させて貰いました。
今回は狼さんの初戦闘ですね。
呪術師って対人慣れてないんじゃない?と言う根拠もない推測からこの様な展開になりました。
此処で薄井家の補足情報。
・薄井家血族は数人しかいない。(透、桜、狼、梟、あと数人。基本兄弟は一人から三人で、御三家みたいな分家の存在は認められてない)
・月名持ちは全て非血族。(血族は別枠として役職があり、月名は家人の中の精鋭)
・家人:結婚相手として入ってきた者、月名や当主に認められた者や、それらの二代目三代目が家人となる。
つまり、普通の家庭に家来が沢山ついたもの。(語彙力)