「トレーナーさんって私の事好きなんですね〜。知りませんでしたよ〜」
「それで?」
「……」
ども、ヒシミラクルです。私は今トレーナー室にいます。
この会話についてですか?これについては訳がありまして。先日どうやらトレーナーさんは私の事が好きって言う噂を聞いたんですよ。それもかなり信憑性のある噂をです。
まあ私としてもトレーナーさんのことは少しいいな〜って思ってたから?まあそんなことだったら付き合ってあげても良いかな〜って思ったりしたんだけど〜。
その事を皆んなに話したら
「え?まだ進展してなかったの?」
「普段あれだけプールサイドでいちゃついてるくせに?」
「流石に酷くない?それに周りからそんな目で見られてたなんて初めて知ったんだけど?」
あれってそんなにイチャイチャしてるように見えるのかな?
「そもそもそんな噂を聞いてようやく動き出そうとすること自体が遅すぎない?ヘタレ?」
「確定演出が無いと博打すら打てないとか自称普通のウマ娘さんは慎重な事ですねー。まぁ、トレーナーとの関係壊れるの怖いもんねー」
「私2人に何か悪い事したっけ?何でここまで言われてるの?」
「何もしてないという罪を犯した」
「反省しろヘタレ」
この時普段ほどほどに〜とか言ってる私でもカチンときてつい言っちゃったんですよ〜。
「や〜、そんな事ないし?それなら今からトレーナーにアプローチして付き合っちゃうし」
「「ないない」」
そこまで言われたらやるしかないか〜ってことで、意気揚々とトレーナー室に入って聞いてみたらこの反応。もう早速後悔しちゃってます。
「いや、えーっとですね。その〜」
「急にどうした?もしかしてプールトレーニングだって勘付いてまたアホな事いってんのか?」
「げっ、今日はプールですか⁉︎それは勘弁してもらえませんかね〜」
やばい。今日プールなら逃げなくちゃ!……っと話題が逸れちゃってる。
「そんなことより!さっき聞いちゃったんですよ〜。トレーナーが私のことが大好きだーって。もしかして普段プールが多いのも私の水着が見たいからですか〜?」
もういっそここまできたら最後まで押し切る!めっちゃ恥ずかしいけど、最悪トレーナーさんの恥ずかしがる顔見れたらそれでいいや。
「……そうそう、俺ミラ子大好きなんだよ。ミラ子の水着見たいから早くトレーニングしような」
「へ、へぇ〜///」
おおっと〜これはかなり嬉しい!そうですか、そうですか〜。
「いやー、可愛いミラ子とトレーニング出来ると思うと嬉しいな。さあ一緒に行こうか」
……いや、待って。トレーナーさん無表情じゃん。あぶない、あぶない。危うく騙されるところだった。よく見たら手に空き缶持ってるし。
「トレーナーさん?本当に私のこと好きなんですか?」
「世界で1番好き」
「うっ///」
やばい。冗談だと分かっていても照れる。私こんなにトレーナーさん意識してたっけ?とりあえず落ち着こ。
「……すーっ、はぁーー。それじゃあ、彼女になってあげましょうか〜?」
うわ〜勢いで言っちゃった!どうしよう。なんか過程とか全てすっ飛ばして直球で言っちゃった〜。
「わーい、めっちゃ嬉しー。ありがとうミラ子。これからよろしくな」
「ふへ」
変な声出た。めちゃくちゃ感情ない声で返事してるようにも聞こえるけどそんなこと今はどうでもいい!わぁ〜彼氏出来ちゃった〜。
「それじゃさっそくデートしませんか?この前いい雰囲気のカフェ見つけたんですよー」
「ダメ。今日はプールトレーニングだ」
「え?」
…………………おかしくない?普通こんな時って若い男女ならデートとかして楽しく過ごしたいと思わないのかな?
「どした?ほら行くぞ」
「ちょっ!ちょ、ちょっと待ってください!」
「またか?いつも言ってるけど必要なことなんだ。いい加減慣れてくれよ」
「いや、それも少しはありますけど!今はそんなことどうでもいいんです」
「それじゃなんだ?」
この人本気で言ってる⁉︎
「確認していいですか?」
「どぞ」
「トレーナーさんは私のこと大好き」
「うん」
「私が彼女になってあげましょうか?って聞いたたらトレーナーさんは受け入れてくれました」
「そうだね」
「トレーナーさんと私は付き合ってます」
「そうなるな」
「デートは?」
「そんなものはない。トレーニングだ」
「いやいやいや」
「いやいやもクソもあるか。今日はプールトレーニングの日だ。最近スタミナトレーニングサボってるだろ?今日こそはやってもらうからな」
「明日絶対やるんで今日はデートしません?」
「ダメ。そう言って何度もサボってきただろ?」
やばい。過去の私を殴りたい。まさかプールサボって後悔する日が来るとは思ってなかった。
「いや〜、トレーナーさんのお気持ちも分かりますけど。さすがにここは私の気持ちも汲んで欲しいなーって思ったり?」
「付き合うっていう要望は叶えたろ?だから次はこっちの要求を呑んでもらおうか?」
「いや、この場合私が提案してトレーナーが受け入れたって感じですよね?」
もしかしてこれ利用された⁉︎私がサボれないように縛ってきた⁉︎
「あー、そうきたか。分かった、それならデートしてやる。その代わりプールトレーニングして貰おうか」
「いやいやいや、絶対おかしい」
「いやいやいや、おかしくないよ。俺はトレーナー。ミラ子は担当ウマ娘。担当に勝たせてやるのが俺の仕事だ。彼女が出来ようがどうしようがそこは変わらない」
ちょっとかっこいいと思っちゃった。そう言われるとズルい気もするけどうーん。
「えーっと、それ本当に今日じゃないとダメですか?よく考えて下さい!」
やっぱり何をどう言われようとも今日は絶対デートしたい!
「2週間後予定してたレースあるんだけど?忘れたの?」
「いや、まだ2週間もありますけど?」
「2週間前って結構重要な時期だろ」
これは諦めるしかないのかなー。いや、もう少し粘ろう。
「うーん。やる気下がっちゃいそうだなー」
「安心しろメンタルケアもしっかりしてやる」
「本当ですかー?ならやってみて下さい」
まあ、実際は付き合えるってだけでも思ってた以上にやる気が出ちゃってるから必要はないけど。
「可愛い彼女であるミラ子を何としてでも勝たせたいんだ!頼む協力してくれ」
「それズルくないですか?この関係いいように利用するのはこの際許しますけど本当に私のこと好きなんですか?」
「うん。俺の人生賭けてもいいって思えるくらいには好きだよ」
うっわー、ちょっとそれはやばいよー。この言葉今度友達に自慢しよーっと。
「それなら仕方ないですね!さっそくトレーニングしましょう!」
私ってチョロい女だったんだな。
「ってことがありました」
プール施設に連行された私はいつもの2人を見つけてさっきまでのことを軽ーく報告しました。トレーナーとウマ娘が付き合ってるって子は意外と多いんだけど、さすがに隠さないとまずいから言いふらしたりは出来ない。けど背中を押してくれた2人には特別にってことで教えました。
「良かったねー。あのミラ子がこんなに成長するなんて」
「成長してる?いいように利用されてるだけじゃね?」
「あー。冷静に考えたら利用されてるだけだと思うけど今は触れないで。まだ両思いだったってことにさせて」
「いや、両思いではあると思うよ?少なくともOKだったわけだし」
「人生賭けてって言われてる時点で悪くは思ってないよ。トレーナーとしての感情の方が大きいとは思うけど」
「そうだといいなー」
よくよく思い返すとトレーナーさんずっといつも通りだったから浮かれてたのが自分だけだったって思うとなんかショックだな。
「それにしてもミラ子そんなにトレーナーのこと好きだったっけ?」
「や〜、なんか付き合えるってなったらなんかぶわーって想いが溢れてきたっていうか〜」
「砂糖吐きそう」
「何で⁉︎」
「お?トレーナーきたよ。あとは頑張ってね」
「はいはーい、頑張りまーす」
「返事はいつもと同じだけど、しっかり髪整えてる辺りしっかり乙女としての自覚芽生えてるねぇー」
2人はニヤニヤしながら離れてストレッチを始める。トレーナーさんはいつものようにトレーニングに必要なものを持ってこっちに歩いてきた。
「ちょっと攻めちゃおっかな。別に恋人だしいいよね〜」
私はスッとトレーナーさんの左隣に擦り寄って甘えてみる。
「トレーナーさん。今日もよろしくお願いしますね」
「なんだ?今度はどんな手法で逃げようとするんだ?無駄な抵抗はやめてさっさと始めるぞ」
「あの、トレーナーさん?」
さすがにもっとこう、照れたりしないんですかねぇ?そんなに魅力ないのかなぁ?
「はぁ」
「何落ち込んでるんだ?」
「なんでもないでーす」
仕方ないか。私は所詮普通のウマ娘だし、この関係すらトレーニングに必要なことって思ってそう。
「ミラ子」
「なんですか〜」
トレーナーの顔を見るとトレーニングじゃない時によく見せる優しい顔をしていた。
「トレーニング終わったらお好み焼き屋に連れていってやるよ」
や〜、今日はずっとテンション上がりっぱなしだなー。いつも通りの会話なのに。
「え〜、初デートがそんなところでいいですか〜?」
「むしろそれがいい。ミラ子が好きな物食べて幸せそうにしてるのがいいんじゃないか」
はぁ〜、何でそんな言葉がポンポン出てくるんだろう?語彙力がすごいなぁ。
「ふふっ、よーし!トレーニング頑張りますか!」
「あっ、でも食べ過ぎるなよ?太ったらプール増やすからな?」
「それ今言わなくても良くないですか⁉︎」
こんな幸せな日々がずっと続いてくれたらいいなぁ。
「甘々だなぁ」
「あのミラ子がねぇ」
後日私は友達2人に根掘り葉掘り聞き出されてひたすら揶揄われちゃった。