ウマ娘短編   作:金糸雀^_^

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イタズラ

 ども〜、ヒシミラクルです。

 

 本日はハロウィンなのでトレーナーさんにイタズラしてみようと思います。

 

 いつもの私ならこういう行事はあんまり参加したりしないんだけど、トレーナーさんと付き合い始めてこういうイベントを一緒に楽しみたいな〜なんて思ったりしたので、今回はやってみようと思います。

 

 どうせトレーナーさんのことですからお菓子とか用意してないだろうし、イタズラと評してイチャイチャ出来たらいいなぁ。

 

 私はトレーナー室のドアを勢いよく開けて中にいたトレーナーさんに詰め寄った。

 

 「trick or treat!お菓子下さい!じゃないとイタズラしますよ〜」

 

 「はあ?」

 

 トレーナーさんはしかめっ面をしながら私にアイアンクローを決めてきました。

 

 「い、痛いです!愛しの彼女になんて事するんですか⁉︎」

 

 「お前この前つまみ食いしておやつ禁止にしたよな?それなのにお菓子ねだるとかいい度胸してるな?そもそもお菓子ねだるなら仮装してこいよ」

 

 「いやいやいや、今日はハロウィンですよ⁉︎こんな日くらいいいじゃないですか!」

 

 「良くねぇよ?レース控えてるの忘れたのか?プールにぶち込むぞ?」

 

 「酷い!DVです!彼女を虐めるなんてサイテーです!」

 

 「喧しいわ!あと大声で彼女って言うな。俺を社会的に殺す気か?……まあいい。ちょっと待ってろ」

 

 トレーナーさんは私の頭から手を離して机にあった紙袋からプリンを出して私に手渡してくれた。

 

 「え?なんですかこれ?」

 

 「かぼちゃプリンだ」

 

 「ふへ〜ちゃんと買ってきてるなんて意外ですね〜。どこのやつですか?ハロウィンですから高かったんじゃないですか?」

 

 「いや、自分で作ったから安くすんだ」

 

 「え?トレーナーさんが作ったんですか⁉︎」

 

 「そうだけど?そんなに意外か?」

 

 こういうことするからどんなに酷いことされても嫌いになれないんだよなぁ。むしろもっと好きになっちゃった。

 

 「なんでニヤニヤしてんだよ。そんなに嬉しかったのか?」

 

 「え〜、だってトレーナーさんなんだかんだ言っても私のためにこういうプレゼントしてくれるじゃないですかぁ〜。すっごい嬉しいに決まってるじゃないですか〜」

 

 「そこまで喜んでくれならよかったよ」

 

 「それじゃあ、お昼休憩も終わりそうなのでまた放課後来ますね〜」

 

 「しっかり勉強してこいよ」

 

 「はーい」

 

 えへへ〜。このプリン友達に自慢しよーっと。彼氏の愛情のこもった手作りお菓子だぞ〜って見せびらかそう。

 

 

 

 

 

 「それで?イタズラするって言ってたのにお菓子だけ貰って帰ってきたの?」

 

 「彼氏に攻めてドキドキさせてやろって作戦はどうした?まあミラ子はそういう子だっていうの分かってたから予想出来たけどさ」

 

 教室に戻って友達2人に思いっきり惚気てたら思わぬ反撃をもらってしまった。

 

 そう、本来の目的はトレーナーさんにイタズラしてドキドキさせてやろうって作戦だったのです。

 

 最近トレーナーさんの彼女に対する扱いが酷いので、もっと意識させてメロメロにしたら優しくなるかなぁ〜って思って立案したんだけど、結果はこの有様。

 

 「結局メロメロになってんのミラ子じゃん。ちょろ過ぎでしょ」

 

 「話聞いていて思ったんだけど、最初からイチャイチャ出来たらいいなって気持ちで突撃してる辺りちょっとヘタレてたよね」

 

 「そこまで言う?私泣くよ?」

 

 「ごめんごめん、あんだけ意気揚々と行って帰ってきたら何の成果もないくせに惚気てくるから少しイラってしちゃってね」

 

 「ごめんねーミラ子ー」

 

 2人はいつもの笑顔で両手を合わせて謝罪してくれた。でも、顔は笑ってるのに目が笑ってないから内心ブチギレてるんだろうなぁ。

 

 「な、なんかごめん」

 

 「ミラ子が謝る必要ないよ〜。でも謝るなら誠意を見せないとね」

 

 「え?」

 

 嫌な予感がする。

 

 「もう一回トレーナーさんのところ行ってイタズラしてこい」

 

 「無理!もうお菓子貰っちゃったのにもう一回やったらまた怒られるよ」

 

 「それはお菓子食べまくるアンタが悪い」

 

 その後、2人からアドバイスという名の無茶振りをレクチャーされて2度目のアタックに向けてイメージトレーニングをした。

 

 そして放課後

 

 「ひ〜、緊張する〜」

 

 再びトレーナー室の前、私は1回目以上に緊張してしまい、中に入らなかった。

 

 「はよいけ」

 

 「ヘタレ」

 

 廊下の向こうから罵声が聞こえる。その声に背中を押されて最初と同じように勢いよく中に入る。

 

 トレーナーさんは驚いた顔で固まっていた。

 

 「どうした?そんなに勢いよく入ってきて」

 

 「あはは〜それはですね」

 

 「またお菓子ねだる気か?」

 

 まずいです。先手を取られてしまいました。しかもなんか顔怖いですね。

 

 「そ、そんなことないですよ?」

 

 「そうか?なんだ、せっかくプールに叩き込める口実が作れると思ったのに」

 

 危なかった、このままtrick or treatなんて言ってたら沈められるところでした。

 

 「あ、ミラ子〜」

 

 「なんですか?」

 

 今度はさっきと打って変わって満面の笑みで近づいてきました。

 

 「trick or treat」

 

 「はい?」

 

 「お菓子よこすか、イタズラか選べ」

 

 一瞬冗談かと思ったけど、トレーナーさんが笑顔だけど圧のある、まるでプールに入れられる前のような笑顔で詰め寄ってくる。

 

 とっさにポケットに何か無いか探ってみるが、昼に全て食べ尽くしてしまっていたため何も無かった。

 

 「えーっと何も無いですけど、許してくれません?」

 

 「それならイタズラだな」

 

 ああ、これは間違いなくプールです。まさかこんな手段を取ってくるとは……。逃げなくちゃ。

 

 「あ!そういえば用事があったんです!それでは!」

 

 「まあまてよ」

 

 逃げようとするも、腕を掴まれて壁際に追い込まれてしまいました。……これ壁ドンじゃないですか?

 

 「あ、あの///」

 

 顔が熱いです。さっきまで逃げたいと思ってたけど、もう逃げる気なくなっちゃいました。むしろずっとこうしていたいかな〜なんて。

 

 「さぁて覚悟はいいか?」

 

 惚けているところにトレーナーさんの低い声が聞こえてくる。その声で現実に引き戻された私は最後の抵抗を試みる。

 

 「トレーナーさん、またプールに入れるつもりですか?さすがに鬼じゃないですか⁉︎」

 

 「プールじゃないぞ」

 

 「プールじゃないなら何ですか⁉︎もしかしてトレーニング量倍とかですか⁉︎怪我して選手生命終わっちゃったらどうするんですか〜」

 

 「俺を何だと思ってるんだ?あと怪我しても安心しろ、そうなったら一生面倒見てやる」

 

 「……うい」

 

 ほんっとにこういうとこ、ズルいと思います。簡単に一生面倒見るって本気にしちゃうじゃないですか。

 

 「それじゃイタズラするな」

 

 トレーナーさんは中指を丸めて力を入れてデコピンの構えを取り、額に標準を合わせた。

 

 私はこの後来るであろう痛みを紛らわそうと目をギュッと閉じる。しかしいつまで待っても予想する痛みが来ない。

 

 目を開けて状況を確認しようとすると、トレーナーさんが近づいて来る気配がして、ふと額に柔らかいものが触れた。

 

 「ふぇ?」

 

 驚いて目を開けると至近距離に普段見る事がない、少年のようなイタズラっぽい笑顔のトレーナーさんの顔があった。

 

 「くぁwせdrftgyふじこlp」

 

 「うわ、なんだ⁉︎」

 

 何をされたのかすぐに分かっちゃいました。頭がどうにかなりそうです。

 

 「あ、あの〜、もう一回やってもらっても?」

 

 こんなチャンス逃すわけにはいきません。

 

 「あ?嫌だよ」

 

 心底嫌そうな顔で拒否された。

 

 「なんでですか〜、いいじゃないですか〜」

 

 「そうやってすぐに調子に乗るからダメだ」

 

 そう言ってそっぽを向いてしまう。でも心なしか顔が赤い気がします。

 

 「ふふっ、ふふふふ」

 

 「なんだよ」

 

 もしかして今までの扱いが雑だったのもも照れ隠しだったのかな?それだったら可愛いなぁ。

 

 「いえ、何でもないで〜す」

 

 「あ?なんかムカつくから今日はプールな」

 

 「ええ⁉︎それは嫌です!」

 

 「お前の水着姿みたい、一緒にプールデートしようぜ」

 

 「それ何回目ですか!もう乗せられませんよ!」

 

 今まてハロウィンは特別な日じゃ無かったけど、今日のこの日は特別な日になったなぁ。

 

 

 

 

 

 「帰ろ」

 

 「うん」

 

 廊下で中の様子を伺ってた友人A、Bは仏頂面で立ち上がる。

 

 「はぁ〜彼氏欲しい」

 

 「そうだね」

 

 室内のイチャイチャしてる会話を聞いていて、孤独感に襲われた2人はゾンビのような足取りで歩く。途中すれ違う子が思わず道を開けてしまうくらいには不気味なオーラを纏っていた。

 

 「帰ったらミラ子をシメよう」

 

 「さんせー」

 

 そこで会話が途切れる。

 

 少しの間無言で歩いていたが、どちらからともなく足を止めて互いに顔を合わせる。そしてふっと口角を緩めて笑い合う。

 

 「あはは、酷い顔〜。どんだけ嫉妬してんの」

 

 「そっちこそ、ミラ子に先を越されて悔しいくせに」

 

 ひとしきり笑い合って、落ち着いた2人は先程とは打って変わって軽い足取りで歩き出す。

 

 「ねえ、これから喫茶店行かない?いいお店知ってるんだ」

 

 「行く。ついでに愚痴言いまくる」

 

 「そうしよう」

 

 「それにしてもまさかあのミラ子があそこまでやるとはねぇ」

 

 「そうだね。意外だったよ」

 

 「でもよかったね」

 

 「うん」

 

 

 

 

 その日の夜、ミラ子は2人のおもちゃになったことは言うまでもないことだ。

 

 

 




投稿忘れてました
以前投稿したヒシミーの後日談的なものです
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