[[20XX年 9月3日]]
日本が特使への異例の対応で混乱する最中、黎國は妨害に次ぐ妨害を払い除け何とか国交開設交渉に漕ぎ着け、最終的にアルヌス周辺に日黎の協同戦線を設置し協力関係の構築に成功するまでに至る。
とは言っても暫定的に《特地》と名付けられた地域への自衛隊派遣は、政権交代や野党の反対議決、団体の妨害に米中露等外国勢力からの圧力などでいろいろとごたごたがあり、襲撃時点で報復を決定していた黎國には大幅に遅れたのだが。
「俺、何で自衛隊に入っちゃったんだろう……」
「それ、特戦群にまでなって言うことですか?」
彼が今まで三尉止まりだったのは「とにかく面倒事から逃げたい」、という情けない保身のためにわざと勤務態度を悪くしていたからだ。
だが
そして
「自業自得ですよ!国民の皆様からお給金貰ってる身なのに文句言わないで下さい!」
だが前々から勤務態度が悪く、いろいろと大雑把でしかも
おまけに小柄な体躯とは裏腹に驚くほどの怪力を持つため、
「そこまで言うことないだろ!?まぁ、
しゅんと萎縮する
《帝国
そして、
元老院の議場には600名の議員、そして今回の二正面同時侵攻を
「陛下!この度の出征において帝国軍が
数ヶ月ほど前から既に計画され、十五万の精兵と一万騎の軍馬、三百騎の
だが第一の進撃目標として占領した街には、「継ぎ目のない石で作られた道と垂直の塔」や「車輪のついた金属の箱が行き交う」など、事前に放った斥候が蛮族の
更に「金属の塊を吐き出す魔法の杖」を扱う魔導師や、「一本角から爆破魔法を撃つ魔物」を相手に戦わされた事で、第一の門に侵入した六万五千の兵は五日と半日足らずで壊滅。
確認できているだけでも五万二千の兵が戦死し、撤退できたのはわずか七千に留まった。
「しかし現状最も危惧すべきは、27年前の〈異界討伐〉で完膚なきまでに焼き払った蛮族の都が、何事もなく復興している事ではあるまいか!」
対してもう一つの門は、過去に一度侵攻し
帝国の歴史上初の二正面侵攻を敢行して停滞しつつある経済を再興するはずが、蛮族の兵を相手に遅れを取るのみならず失地をも生じさせ、追い討ちをかけるように聖地をも奪われるという建国以来最悪の大失態。
帝国軍の総兵力二十万のうち四分の三もの大軍を動員し、結果総兵力の半分を失ったのはあまりに痛い。この機に乗じて議会への参加権を持たない蛮族や諸侯、あるいは亜人の叛乱の可能性を考えれば、直ちに対策を
「して、残兵の配置は如何様になっておる?」
皇帝は思案する。この不利を逆転するのは限りなく不可能に近いが、帝国軍を再編するまでの時間稼ぎに利用できるのであれば、今のうちに戦力を削っておいた方が得である。
だが同時に「帝都に隙あり」と見られ、その上で軍役を
まずは残存兵力をいち早く確かめ、叛乱に備えて温存しておかなければならない。
「はっ。帝都の防備に二万、もろもろの主要都市の防備に計三万、派遣軍の生存兵4万8087、占めておよそ9万8000」
ここで〈征討戦役〉を前線で指揮した司令官の撤退判断が、今後帝国の寿命をわずかに伸ばす事になる。動員兵力の三分の二を失ったとは言え、諸国を牽制するに充分な数の
ともすれば諸侯に命じアルヌスに軍を派遣させたとて、増援と称して一万程度の兵を送るだけでも充分な脅しとなり、叛乱の意思を削いで兵力の弱体化を謀るという目的は達成できる。
「残存兵力のうち七千の兵はそのままにし、残る八万千を帝都に集結させ防衛体制を整えよ」
モルトは伝令たちに命じ、早馬を走らせ諸方に知らせる。[《
しかし、この軍役に参加させれる兵の多くは、少なくとも無事に帰っては来られないだろう。