電気屋の帰り道にふとしたきっかけで、とんでもない可能性が頭を過って、あまりの恐ろしさに戦慄している。
一言で言えばそれは究極のブルジョア民主主義である。それはつまり、何をするにもポイントが無ければ何も出来ない・・・そんな悪魔のような考えが頭に浮かんだ。
したらば教育課程が公開されていない理由に説明がつき、授業を受けたくば我々が支給しているポイントで金払えのマッチポンプ。ひょっとしなくても、テストを受ける権利も単位を取得する権利もポイントで買わないと、何も受けさせてもらえない?卒業するまでは一生塀の中でクサイ飯を食わされるので、結果的に生徒たちはこぞって消費者金融に足を運んで己の未来を抵当に入れポイント借りて、最期は自らの意思で望んで炭鉱夫目指して地下労働することになるのであったとさ。結果的にはほら、これで希望する進路が叶ったでしょう?にっこりほっこり、ざわざわブルブル・・・。
例えばフリーダムウォーズってゲームがあってだな。過労で倒れたから懲役10万年、5歩歩いたから懲役5年、寝転がったから懲役10年、口を開けば懲役100年を追加だ!
息が臭い話し掛けるな独房で正座だ、はいありがとうございます!今日も元気に貢献しようね。
話だけ聞いてればその絶望的な刑期の長さとやり口に慄くが、実際のところ刑期を短くするよりも伸ばす方が難しかったんだよなぁ。どんなヘマをしても絶対に見捨てないで面倒を見てくれる、そんなヤンデレ彼女味を感じる。シテ・・・コロシテ。
ところでアーベルさんは、どないにして刑期をカンストさせたんだ?歩く権利買い忘れたのか?それともさてはヤツも生粋のゲーマー、取り敢えず見える数値は何でもかんでもカンストさせたくなる病を患って自ら♂看守に罵倒され、まあいいか。
つまり、簡単に退学できると思うなよ?ポイントゼロ者は地下労働で一生涯働いて返してもらいます、そんな感じか?
もうやり口がギャンブルのディーラーのそれなんだよなぁ。散々勝たせてやったんだ、もう十分にヘブンは見ただろう?さて、じゃあそろそろゴートゥーヘルして、バランスをとらないとなぁ!
昨日の負けを取り戻すため、今日もボクはヒモして貰った財布のカネをメダルに換える。大丈夫、トータルでは多分まだ勝ってるハズだから大丈夫、ダイジョウブ・・・たぶん。ただ今は充電期間中だから、肝心な時にクズ運引かないようにわざとツキをここで落としてるだけなんだ、でもそろそろ損を取り戻しとくか、確変はまだか?ガチャン、778、またかよもう一回、ガチャン、以下無限ループ。隣のウザガキは僅か一時間足らずでカチ盛りだと?メンタルお亡くなり、ヘラってるヘラってる。昇天、合掌、なーむ・・・。
寮の光熱費が無料ってのも、多分見せかけで、退居費用として後から徴収のパターン?どうしてウチのアパートはガス料金がこんなにも高いのかしら、何処も一緒?ほなええか。え?中身はエアコンとかの設備費用??そんなの聞いてないよ。だって言ってないし。バランスを取らないとなぁ、よってガス料金への設備費上乗せは27年度より禁止と致します、ばいばい。
どうせそんな感じなんだろ?床に足をつけただけで汚れたから敷金没収、トイレと風呂は使った分だけ下水道料金が嵩みます。そんなの汚い、ゲスいどう・・・はい。そもそも監視カメラ付いてるかもしれないんだったな。あらあら、もう二度とうんちできないねぇ。本気で心を折にきてらっしゃる。しかしボクは屈しないぞー。
こんなこともあろうかと、テッテレー。瓶底眼鏡ぇ、のフレームポキ。取り出したるはUSB端子。スマホのロックも、さよならバイバイ、ボクは自由を、手に入れるぅ。
まるでどこぞの小学生探偵みたいな秘密道具を使って、周囲の電波をサーチしてみる。・・・見つからないな。
光通信、認められず。サーモグラフィー、異常なし。かくなる上は、電磁パルス攻、げふんげふん、言葉が悪いのでEMC試験ということにしよう。本場アメリカは保険業者安全試験所が制定した、製品安全規格を満たさない出来損ない生徒はこの中にいくつ隠れているのかな?さあ、ホンモノの毒電波を食らえ、パリーン!そしてさらば。デストロイ、たーまやー。メガネ1号ーーッ!おれの愛馬がッ!!昇天、合掌。
さて、でもコレでお風呂とトイレはクリーンになった、筈。しかしさてはコレ学校運営側ならいつでもいつまでも何度でも自由に出入りし放題?消灯の時間デース、ついでに盗んだ下着をフリマで売り捌け、R18のタグは付いてないけど大丈夫か?
これ即ち1号は犬死に・・・ざっついなふ。もう部屋の鍵ごと自分で丸ごと取り替えたい。いっそ今すぐにでも交換すべきか、もっとポイント下さい。ひとまずは手近なところで蝶番に仕込んだシャーペンの芯あたりで手を打とう。ウチの息子がまさかあんな、まあいいか。
うっぷす、インターホンさんがお亡くなりになられておる。ソーリーソーリ。ボクは何も見てないぞ、学校側の不備だろうから、しーらない。
まあ給湯器が生きていただけ良しとしようか。風呂だな風呂風呂。見てわからんか、風呂だ。
カポーンと、床に置かれた桶がその一瞬だけ太鼓のように空を鳴らして、独特の雰囲気を演出する。目を閉じれば富嶽三十六景に描かれた、荒波に飲まれる富士の構図が頭に浮かぶ。
気分はまるで創業百年老舗の銭湯入浴中。真新しい畳のような芳香を放つ、売れ残りの入浴剤の薬湯に身を包まれて、疲れた体はまるで溶けていってしまっているかのような、心地の良い曖昧模糊とした感覚でふわふわの気分であった。
いかんいかん、このままではお風呂で眠ってしまいそうだ。別にそれもありだが、おぼれて死んだら馬鹿みたいだろう?風邪をひいてしまうかもしれないし。
こういう時はあえて嫌なことを考えて情緒のバランスをとってみようか。
例えば風呂上りに浴槽の掃除を済ませておくべきか、いやいや明日また入る前でいいだろうとか、そもそも3日に1回ぐらいでいいんじゃない?でもバスタブがキシキシする感じになるから嫌だとか。できるだけ楽に掃除できるグッズが欲しい。
だがしかし、ボクは学校生活も初日から節約生活に挑戦している。最近の電気屋は洗剤とかまでおいてくれているんだなぁ。しかも無料、割と穴場だったな。お風呂の専用掃除道具とかはさすがに有料商品だったけど、電気屋の中核製品であるはずのコンセントタップまでもが無料コーナーにおいてあるのは、凄く不安になったんだが。盗聴盗撮、まあ使わないから別にいいや。
よくよく考えたら、ポイントバトルを戦わずして制するには、こういう0円コーナーなる怪しげな兵站線トラップを仕掛けるのが最も効果的かもしれない。阿片戦争、トロイの木馬、敵は本能寺に在るかもしれないし無いかもしれない、シュレディンガーの織田信長よ。したらばボクが今使ってる入浴剤も、ともすれば毒薬・・・ペロ、これは青酸カリ!昇天、合掌、ちーん。
トキは正に世紀末。アーケードは幼稚園の覇者を決める場所として、ともに仁義なき罵倒を繰り広げる同じ穴の狢たちが集いし決戦の舞台として、そこに足げなく通う漢たちは日々ゲーセンでバスケをして勝利の栄光を追い求めていたといふ。
願わくば、この学校はもう少しこう理性的な対応を・・・もはや明日から能力バトルものとか始まらないことを祈るばかりである。もう何でもありなのかよとな、思うわけなのだ。
そうしてこうして、さすがに杞憂民しすぎて疲れ果てたので今日はさっさと寝よう。その前に歯磨きは済ませたか?てるてる坊主にお祈りは?慣れないベッドでぐうすか眠って明日遅刻する心の準備はOK?ちゃんと目覚ましをセットしろよ。セットした?ならばよし。すやぁ・・・。
・・・むにゃむにゃ。もう食べられ、、、。
したらば、シャッキーン!目が覚めた。窓からのぞくのは曇りの無い薄明の空。星明りは夜の勤めを終えて、次々とその姿を晦ましていく。暫しの悠久に耽るがよい、幽玄の堺に沈みし光芒たちよ。代わりに昇ってきた朝焼けは少々目に染みる・・・。
少々眠り足りない気がしたが、ボクはその身体を寝床から引きはがして睡魔の誘惑から逃れた。その耽溺に身を任せると、多分お昼頃まで夢の国の住人になってそうだったからな。名残惜しくとも、心を鬼にしてさらば。
寮を出る前に寮監へ鍵の話をそれと無く聞いてみたら、なんとまあ、実際はあってないようなものとのこと。頼めば他の生徒でも合意なしに合鍵作り放題で実質出入り自由だと?!鍵って何のためにあるんだっけ?ボクは訝しんだ。
つまりは、プライバシーは金で買えと?やっぱりな。どうせそんなことだろうと思ったよ。もういっそ、洋上でボート生活でもしてみるか、でも酔いそうなのでパス。
一応は、ボクの部屋番号の鍵をボク以外が複製することがない様にお願いをしてみた。言うだけならタダだしな。だから了承の意も口頭で返されており、所詮はそんな口約束での取り交わしだったので、思えば不毛なやり取りだったかも。本当かなぁ、こんなの竹ひごに洗濯バサミを付けただけじゃない、まぁいいか。
帰りに南京錠でも買っとく?それで適当な部屋を勝手にロックして物理的なランサムウェア作ってポイント稼ぎやるか。コレはイジメではなくてカツアゲでも無くて取引なので誤解なきよう。嫌ならちゃんと拒否しろよ。でもこっちは大切な住処を代わりに守ってやったんだから感謝して欲しいくらいだねって、そういうお話。そのサービスに対する正当な対価を要求するのは市場原理的に考えて極めて通説的で一般的な当たり前の所作なので悪しからず。要は預かり物サービスだから、それが嫌なら大切なもの無くさないように、ドアに付いてた飾りじゃなくてちゃんと鍵かけとけよな。そんなワケあるか。
うーん、勝手に合鍵作るのはアリなら、いける、無理?この学生証兼スマホを本人のフリしてシムスワップして乗っ取っても合法??もう何が許されて何が認められない行為のかさっぱり分からんなぁ。少なくとも部屋が部屋としてマトモに機能する、そんな当たり前はこの学校ではどうやらあり得ないようなので、もうテント生活の方がいっそマシかもな。朝から現実がしんどすぎて、しんどい。
そしてそんな参っちんぐな朝も早くから、気を取り直して教室へ。誰もいないうちに席の位置取りをチェックだ。今後カンニング試験が実施されるかもしれないからな。ボクはそういうのに詳しいんだ、昔テレビで見たからな。絶対に解けるはずのない設問、諜報能力をテストする試験なのに何もしてない上に無回答で試験をパスするツワモノ主人公と、普通に自力で回答しちゃうガリ勉ゴリ押し脳筋ヒロイン、そして一番のマヌケはバレバレなカンニングも余裕で見逃す節穴の試験官っていう。まあいいか。
さて、四隅の席を回ってみるか。ちなみに教室の内部構造は着席して黒板を正面に見据えた時に右手側が廊下側、左手側が窓側の一般的なつくりをしている。その廊下側である、入り口に一番近い角席の真後ろがボクに割り当てられた座席であるので、そっちの角は後回しにして廊下側最後部の角から時計回りに窓側にまわって確認してみよう。
ぐへへ、縦笛なめなめ。こ、これは誰々ちゃんの席ダァ・・・いや知らんけど。しかしなるほど、後ろの席はやっぱり見晴らしがいいな。でも前の席の人がデカブツだった時に悲惨そう。センセー視力が悪いので板書が見えません、流石に席替えくらいはあるか?どうだろう。
続いて窓側、机の天板が日光を照り返して目がチカチカする。干からびちゃいそう、ボクは窓側キライだなぁ。外の景色は、まぁ特になにも。綺麗な青空ですねって、それぐらいだな。
こうやって聖地巡礼スタンプラリーみたいに室内をウロウロしてみると、後席はやっぱり盗み見がし易そうポジションぐらいにしかメリットを感じられなかった。プリント回収係とか遣らされそう。センセー、一枚足りません。いつも下請けは割を食うよな、グデー。
「君は、一体そこで何をしているんだ?」
おっと、誰か来たけど多分大丈夫だろうとタカを括ってのびのびしていたら、割とピンポイントにこちらに向かってきてそのまま話しかけられてしまった。頭をゴロンと声のする向きに転ばせると、そこには何やら神経質そうなメガネの男がキリッとした表情を浮かべて立っていた。何をしてたか、か。
「見て分からんか、偵察だ」
「そ、そうか。いやすまない、意味がよく分からなかったんだが。そこは俺の席なのだが、間違えてないか?」
む、流石にそれは無いと思っていたのに、どうやらクリティカルヒットしていたらしい。Gonお前だったKnowか・・・タンスの服を、まあいいや。
それは悪かったなぁ。そう言って、どっこいしょと席を立ち場所を譲る。この教室で見るところはある程度見たし、隣も偵察してみるか?だるいなぁ。
「しかし、派手な格好をしているな。その髪は地毛か? ああ不躾ですまないな。俺は幸村。三年間同じクラスという事だから、何か機会があれば関わりになる事もあるだろう。よろしく頼む」
うむ、くるしゅう無いぞ。え、ああ。ボクのことは気にするな、このファッションは趣味だし、髪は自毛だ。名前?真島だが?? そうだ、まことの真にIslandの島で真島、真島クルミだ、難しい字もないし、覚えやすいだろう?そんじゃ、ユキムラだっけ? お互い生き残ってれば、そのうち何かこうして話す事もあるかもな。
「生き残る?それはまた随分胡乱な話だが、くれぐれも俺の席やその周りの席を占領して、お前らの集会所みたいに使ったりはしないでくれよ。もう高校生なんだから、そんな敵地偵察?みたいな余計なトラブルを招きかねない行動は慎んでみたらどうだ?」
ほう、トラブルとな?一体何を根拠にその様な推論に至ったのか、キミは何か情報でも掴んでいるのか?でもまあ、確かにその様な考え方もあるだろう。忠言痛み入るが、あまり悠長に構えていては、どうにもこの先後手に回りそうな予感が拭えなくてな。悪いがここは僅かな効果時間を活かした一気呵成の構えからの攻めの守勢といかせてもらおうか。このタイミングで翔蟲ゲージが足りない?ガッデム!したらば直ガと当身とコマ投げと無敵技ぶっぱを擦りまくってペシペシ相手の体力を削り取ってみせる!カウンターヒット、2141236+C、Distraction!、昇天、合掌・・・。
果たしてボクの返答はお気に召さなかったのか、ユキムラは呆れ顔で席について自習を始めた。お前も授業が無事に執り行われる事をお祈りするがいいさ、でも下手すりゃ一生自習だぞ、コレ。
まあボクは既に大学を卒業した身の上なので、ポイント返済の必要性が無いのであれば、それでも一向に構わないのだが。
しかしながら今のところはソレが希望的な観測である恐れが非常に高いので、ボクは教室を出て、隣のクラスへと足を運んだ。Cクラス、まだ始業時間まで少し時間がある為か、一人しか見かけない。メガネキャラの朝は早い。かく言うボクもメガネ二号で今日も今日とても養殖メガネだ。メガネ職人の朝も早い。
Bクラス、ちらほら登校してる。早出出勤も残業代の対象になる事から総務の人事部は嫌がりそうな光景だなぁ。このクラスのメガネは夜型なのか、まだ来ていないな。え?お前はいったい誰だって、隣のクラスのユキムラさ。ちょっと迷子になっちゃって、Aクラスはどっちだっけ? あっちなのね、どもー。
えっ、一緒に来るんだ。別にいいが、いいや良く無い、いや良いか。ボクは自分がAクラス所属だとは一言も言っていない、ただAクラスの場所を尋ねただけだ。仮に勝手に勘違いして怒られても、そこでどやされるのはユキムラとかいふメガネなのでボクには関係のない話だ。
イチノセの姓を騙る、ひたすらキャピキャピとした明るいオーラを放つ、ホナミと名乗った謎の女は、その朝ドラで主人公してますといったぐらいの陽気さで、ボクからどんどん養分を吸い上げていく。テンションの、バランスをどうにか合わせてもらえないものだろうか。朝からカロリー持っていかれて体力が削られていく。押入れとか部屋の隅っこで一人きりで眠りたいな、スリープモード入ります。
ソレにこいつ、何やらボクのことを年下みたいに扱ってきてないか?だとしたら心外だし、ええい鬱陶しい。ユキムラちゃんって、誰だ?ああ、ボクか。部活は、将棋部とかじゃないか?たぶんそんなキャラの気がする、部活があればな。王手です、キリッ。闇の炎に灼かれて馬鹿なっ?!そんな感じで、まあいいか。
はてさてAクラス、いったいお前は何処にいる?サスペンドモードに入ったボクの脳みそは身体のコントロールを全て外部に委託して、まるで操り人形のように陽気な女に導かれながらえっちらおっちらノロノロ歩いて向かっていった。ピー、ガガガ、え?はい??はい、ハイ。あっ、すぅー・・・うん。ソウデスネ、アハ、アハハ・・・。
そう、従順な駒として、それはまさにBクラスの鉄砲玉として、都合の良い存在に仕立て上げられたボクは善意という名の暴力によってAクラス内部に放逐された。さながらボクは敵情視察の為に適当にそこらで拾われた野生動物だ。たとえ失われても痛くも痒くもない手頃なナマモノを未開の惑星に、一人実験的に放り込まれる。
さすればそこで目にしたものは、お前誰やねん、といった訝しげなご様子。ところでお前ら何を思うてこんな朝早くから席に座っとるん?ちょっと怖い。ここに来るまで、うろうろ時間かけて結構歩いたから、割と他所クラスでもメンツが揃ってきてるかもだけどさ。
「あらあら、昨日は見かけませんでしたが。本当にこのクラスの生徒なのでしょうか?」
そう声をかけてきたのは、ボクに負けず劣らずなちんちくりん・・・あ、なんだその勝ち誇った様な目は?目は口程に物を言うといふ。故にそのプププざーこと煽っている様な、ともすれば憐憫が込められているかの様な流し目は非常に不愉快だぞ。舐めんなよコイツ。
ボクはスケの番長として、それが格下からの挑戦であってもメンチ切って立場の違いを理解らせてやるのだ。ああん?
したらば睨み合いのため距離が近くなり、そこで自ずと何かを察する。こいつ、杖をついて歩く、その華奢な印象とは裏腹に思ったよりも背丈があった。そりゃ比較的小柄な方であるのだろうが、このボクと大差ないと思っていたのに、先ほどのナニとは言わないデカ女のスケールが頭に残ってしまっていたせいで誤認してしまったようだ。
つまり、コイツはボクよりほんのちょっとだけ、僅か1ft未満の差ぐらい、恐らくタッパは60inchぐらいであろうか?するとボクとの身長差はx光年分ぐらい離れており、non- SI unitの為国際単位系に落とし込むとするならまずこの学校の0ポイントグッズである電算機上で扱うには有効桁数が足らずまた浮動小数点誤差を考慮に入れてキリよく丸めてみたら0cmぐらい背が高いみたいだった。つまりは引き分け、痛み分けである。
ふふ、なかなかのチャレンジ精神だったな、その心意気や良し。腕を磨けばきっと新たなるスケの番長として輝ける様な、そんな光るものが見つけられるであろう。
そうさな、恐らくそう遠くない未来でボクたちは、どちらがよりトップとして優れているのかをバトルする、そんな明日を迎えていることだろう。くくく、その時までに精々、ポイントを貯めておくんだな。
ボクは不適な笑みを浮かべながら、新たな時代の立役者になるかも知れない少女に予言を残してその場を後にすることにした。口に出しておいて何だが、別にボクはトップになるつもりは毛ほども無かったりする。よくよく考えてみたら、ボクは女番長のファッションスタイルには何処かシンパシーを感じているが、別にその行動指針についてはあまり共感出来ていないしな。このボクを、見た目で判断する様なしれ者を適当に威圧して、面倒な類のコミュニケーションの仕方をしてくるアホをシャットアウトするファイアウォールとして、映像作品とかを参考にしているだけだからな。
まあ、もし本当に不良番付頂上決戦の時が来たら、したらばホナミとか、ユキムラちゃんとかいふ女装したメガネくんが何とかしてくれるだろ。ボクは唯の鉄砲玉であるからして、その辺で鹵獲された野生の伝書鳩に勝負を挑まれても鳥頭だからよく分かんない。クルッポー。
驚愕の表情をした後に好戦的な笑みを浮かべる忙しそうな情緒の理解らされ枠少女のジッとした流し目に見送られながら、ボクはAクラスを後にした。