技術チートを使って現代世界で完全没入型VRゲーム配信者になろう!   作:VRゲームやりたい

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ちょっと文字数多めにしてみました。前のほうがよかったら戻します。


初配信

 猫耳フードの内側から、ちらりとウィンドウを覗く。そこに映し出されている大手動画投稿サイトの待機所には、すでに万を超える人が集まっていた。

 コメントは多言語であるが、中でも日本語が目立っているように感じる。最初に投稿したPVのタイトルや、SNSのプロフィールを日本語にしたからだろうか。

 それでも、これほどまでに様々な言語が飛び交っていることは、この仮想現実世界の注目度の高さを如実に表している。

 

 動画配信を始める前に、僕はまず動画投稿サイトと、告知用SNSのアカウントを作成した。どちらもAWの中からサポートを受けつつ作成したもので、不審なアクセスや攻撃的な操作を排除してくれるようになっている。

 

 動画投稿サイトの方ではPVとして、事前に3つの世界を簡潔に紹介するような映像を投稿した。

 また、告知用のSNSでは、当然のように偽物がわらわらと大量発生したため、見分けがつくように、AW内の様々な場所で撮影した写真とともに、僕自身の姿を公開した。

 

 反応は凄まじく、どちらも日常では目にしない程のアクセス数を叩き出しており、SNSの方で実施したアンケートでは、数百万を超える投票数があった。

 

「緊張するなぁ」

 

 いつものように甘いジュースをコップに注ぎ、心を落ち着ける。ちなみに、この世界での味覚は現実世界と区別ができないほどのクオリティである。それに、エントランスであるオリジンでは、管理者権限によって簡単にあらゆるものを生成できる。

 

 そわそわと身体を動かしながら、時間を確認する。配信予定時刻までは後3分程だ。

 

 そのままコメントに再び目を向ける。

 

『世界が変わると聞いて』『一体何が始まるんですか』『あの女の子出てくるんか?』『完全に社会現象でワロタ』『https:────────』『おい! ◯◯が凸待ち配信やるってよ! いますぐ見に来いな!』『荒らしやめてください』『PV通りのゲームなんてできるのか』『みんな簡単なCGで騒ぎすぎwww』『どっかの機関が解析不可能な技術だって公表してただろ、素人は黙っとけ』『ってかVRゲームってマジ?』『現行のVRゲームって、あんな超高画質のやつなかっただろ』『どこの企業がやってんだ?』

 

「んひ、ふへぇ」

 

 ぱっと読み取れる日本語だけを見ても、大分盛り上がっているのがわかる。純粋に楽しみにしている人や、アバター目当てで来た人もいるが、やはり疑っている人も多い。

 元々突然現れた動画に懐疑的だったのに、配信タイトルでVRゲームであることを公表したから、なおさら信じられないのだろう。僕も視聴者側だったら信じられない。

 しかし、なんどもこの世界を体験している僕からすると、この後の皆の反応を想像してニヤケが止められない。

 

 実際は、彼女が想像している以上に、世界は大騒ぎになっているとも知らずに。

 

 動画配信サイトのプロフィール名は、迷った結果僕のこの世界での名前にした。Another Worldにしても良かったが、今後この世界に他の活動者を招待するときに不便だと感じたからだ。

 

「服装よし、カメラよし、音声よし」

 

 始まる前に最終確認をする。服装は僕のイメージをもとにAWが自動生成した猫耳パーカーとショートパンツ。カメラは僕のことを自動追尾してくれるものを作成した。マイクはないが、AW用の特注配信ソフトが、自動的に僕の音声を中心に音を拾ってくれる。

 

 さあ、配信が始まる。

 

「みんなどんな反応を見せてくれるかな?」

 

 

 

 

 

 

『こん~』『始まった!』『きちゃ』『なんだこれ、実写配信?』『実写でこんな宇宙みたいなところにソファがあってたまるか』『やべぇ』『かわいい』『はぁ!?』『もう始まってる!』『同接やばいwww』『おいおいなんだよこれ』

 

 

 どんどんコメントが流れてくる。待機所の時よりも何倍も加速して、全然目で追えない。

 

「すごい……! すごい! コメント速い!」

 

 

『声かわいい』『音質やばい超いい』『隣りにいるみたい』『一番すごい人が言わないでもらって』『ロリだ』『これはロリじゃない』『は?』『どっちでもいいだろ』『ペロペロしたい』『は?』『は?』

 

 

 おっと危ない危ない。こんなにもたくさんの人に見られる機会がなかったから、興奮しすぎてしまった。

 

「んんっ。改めて、みんなはじめまして! セカイっていいます!」

 

『きたあああああ』『咳払い好き』『おみ足好き』『はじめまして!』『クオリティやべえ』『何者?』『どこの企業所属ですか』『何歳ですか?』『何するんですか?』

 

 

 質問が大量に飛んでくる。もう、みんなせっかちだなぁ。でも、すっごく楽しい。

 

 

「まぁまぁみんな落ち着いてよ。これから、僕のこと、この世界のこと、ゆっくり自m、紹介していくからさ!」

 

 

『今自慢って言ったか?』『ボクっ娘きちゃ』『おみあしおいちい』『メスガキかわいい』『俺もそこ行きたい!』『聞こうじゃないか』『ニヤニヤ顔ムカつくw』『おいどこからアクセスしてんだ? バグってる』『ほへー』『特定班特定するぞ』『www』『聞きたいことが多すぎてかわいい』『おかしくなってるやついるな』

 

 

 コメントが止まる気配が全くない。でも、どこか皆温かい雰囲気で、配信を支えてくれているように感じる。今はまだ、目新しさで見に来てくれているだけかもしれないけど、もっともっと僕のことを知って、AWのことを知って、好きだから応援してくれるようになったらいいな。

 

 そのためにはまず、この配信を面白い、価値のあるものにしないとねっ! 

 

 少しコメントが落ち着くのを待ってから、話し始める。

 

「それじゃあまずは自己紹介からしようかな! さっきも言ったけど、僕の名前はセカイ。僕が作ったこの世界、Another Worldをみんなと遊ぶために配信を始めました! 企業とかには入ってないよ~」

 

 

『はあ!?』『個人!?』『作った!? どうやって?』『意味わからん』『なんだ、かわいくて天才なだけか』『天才ってレベルじゃない、これがVRゲームなら今の技術じゃまず作れない』『なんか飲んでるけど、味あるの?』『Anoter Worldって最初の動画のやつか』『本当にゲームなの? 現実じゃなくて?』『いい匂い』『おい帰ってこい』

 

 

「作り方はナイショ~。ちゃんとVRゲームだよ。この後最初の動画のうち、アンケートで選ばれた世界に遊びに行くからね~! ちなみに、完全没入型だから、五感は全部現実世界と同じようにあるし、今飲んでるいちごミルクもちゃんとおいしいよ!」

 

 

『完全没入ま?』『ナイショかわいい』『どういうこと?』『五感が全部あるってやばすぎるだろ』『もう一生分驚いてる気がする』『リアルS◯Oてこと?』『いちごミルク好き』『アンケートってそのための』『確かファンタジー系とSFチックなやつと普通のやつ』『一位なんだっけ』

 

 

 驚きのコメントはずっと流れ続けているけど、ちらほらそうゆうものだと受け入れて会話してくれる人もいる。僕としては驚いてくれるのはしてやったりで楽しいけど、そのコメントばかり拾っていては先に進めない。申し訳ないけどスルーするね! 

 

 

「そうそう、一位は確かファンタジー系世界だったかな? 剣と魔法の世界だから、僕のかっこいいところいっぱい見られるね!」

 

 

『フラグ乙』『魔法使えるのか!』『魔法、貴族、冒険者、クラン、やばい興奮してきた』『セカイちゃん俺たちのツボを理解してやがる』『後ろに浮かんでるのがゲートか』『やばい俺もやりたい』『発売は! 発売はいつですか!』『まだゲーム始まってないだろw』『自信家かわいい』『どういうこと? 世界がいくつかあるってこと? ここはなに?』『なんでこのサイトで配信してるの?』『俺は銀髪大好きだよ』『俺も』『ロリも』『お巡りさんこいつ』

 

 

 まだオリジンにいるのに、もうこの世界に来たくなっている人が多い。3つの世界に入ったら、どうなっちゃうんだろう。

 まあとにかく今は、混乱してる人も多いみたいだし、しばらくは質問に答える時間にしよう。あと僕も銀髪好きだよ。

 

 

「いつかは皆にもできるようにしたいとは思ってるけど、まだ随分先かな~。最初は一人で遊んで、その後は少しずつ他の人も呼んでテストプレイする予定! 配信サイトは、やっぱ有名だからこれにした~。あと、そのうちVR用の配信サイトも作ると思うから楽しみにしててね! 他の質問も今のうちにどんどんこーい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、皆からの質問攻めにあい、解放されたのは1時間も先のことであった。

 

 

「ふぅ~、そろそろ質問も落ち着いてきたかな?」

 

 しばらく皆からの質問に答え続け、コメントの流れも大分ゆっくりになってきた。

 

 

『正直良くわからんかった』『世界って作れるんですね』『まぁ技術的なことはNGやろうしな』『わからんことはわかった』『完全に理解した』『うそつくなって』『ごくごくしてるのって、なんだか……ですよね……』『そのうち俺たちもできるかもってところは録画しといた』『さっき空中から飲み物出てきたよな?』『モンスター見たい』『なんでもありかよ』『同接まだ伸びてんのな』

 

 

 もちろん全てのコメントに目を通せるわけでもないし、技術的なことは僕にも答えられないので、満足できる答えを提供できたかと聞かれれば、全く持って違うだろう。

 しかし、みんなも質問に飽きたのか、それともわからないことに慣れたのか、はたまた早くファンタジー系世界を見たいのか、真相はわからないけど、先に進む準備はできているようだ。

 

 

「それじゃあ、皆お待ちかねの、剣と魔法の世界へ出発しよーう!」

 

 そう言いながらソファから飛び降りて、ふわふわとゲートの方へ向けて飛び立つ。浮かびながら、手に持ったいちごミルクを飲み干して消去するのを忘れない。

 僕が管理者だから、創ったものや能力なんかを持ち込むこともできるのだが、オリジンを除くゲーム世界内では、基本的に公平に遊びたいのだ。

 チートコードを使ってしまった結果、飽きてしまってやらなくなったゲームがあるのは、全員の共通経験だと思う。

 

 

『きちゃあああ』『やっぱりそこのゲート使うのね』『浮いてる、だと?』『どこから始まるんだろう』『世界ちゃんの職業なにかな』『ゲートまで思ったより遠いね』『パンツ見え……ない!』『きも』『てかスカートじゃないから無理だろ』『男のロマンにスカートかどうかは関係ねぇ!』『猫耳パーカーのまま行くんですか?』『男なら紳士であれよ』

 

 

 そろそろゲート前に到着だ。ちらりとコメントを見ると、盛り上がっているのがわかる。

 ショートパンツを履いててよかったぁ。って、なんで女の子みたいに恥ずかしがってるんだ僕は。

 

 っと、それよりも、大事なことを忘れるところだった。

 

 

「危ない危ない! 着替えるのを忘れてたよ~、コメントありがと!」

 

 

 そう言いながら視線をスライドさせてメニューを開く。

 オリジン用のタブから着替えフォルダにアクセスして、ファンタジー系世界のファイルを選択する。すでに何度かゲームに潜っているため、着替えはいくつか用意してある。

 どれにしようかなぁ……。

 

 

『生着替えが見れると聞いて』『セカイちゃんBanされちゃうよ!』『今どうやってコマンド開いたんだ』『空中で止まってるの違和感やばいな』『なんの服着るんだろう』『服装で職業わかるんじゃね?』『ビキニアーマー希望』『なんかこのゲート見てるだけで吸い込まれそう』『そろそろ寒くなってきた』『はよ服着ろ』

 

 

 しばらく考えてもなかなか決まらない。だんだん面倒くさくなってきたため、視聴者の皆に任せることにしよう。

 

 

「着替えは残念だけど見られませ~ん! 謎の光でブロックしとくよ。ところで、みんなどんな服着ればいいかな? ビキニアーマー以外で」

 

 

『なん……だと……?』『仮想現実世界でも謎の光が邪魔をするのか!』『セカイちゃんの職業が分からないからなんともなぁ』『神官服がいい!』『ビキニアーマー以外わろた』『名指し全否定助かる』『というかもってるのか?』『セカイちゃんの顔が隠れないやつ』『このままがいい』『旅人っぽいやつでええんちゃう?』『なんでもいいおー』

 

 

 コメントとインベントリを交互に見比べる。職業かぁ。基本何でもやるから、特に一つってことはないんだよな。

 うむうむ唸りながら、どんどん下の方にスクロールしていく。やっぱりピンとくるものが見つからない。

 

 

「あっ、そうだ、そしたら要望が多い服装にするよ! 職業は特に気にしなくていいし、着替えても見た目装備だから、そゆとこは無視でいいよ~」

 

 

『作るってま?』『世界が作れるなら服も作れますよね……』『メイド服がいい!』『見た目装備ってことは、本装備が別にあるんやな』『FFみたいなもんか』『神官服』『メイド服ええな』『早く作るところが見たい』『わんちゃん技術盗める』『無理やろ』『ドレスアーマーとか』『奴隷服がいい』『メイド服』『メイド服みたい!』『性癖ひん曲がってるやつおる』『神官服おじさんもいます』

 

 

「なるほどぉ」

 

 

 ざっと目を通す感じ、色々なアイデアが出ているが、その中でもメイド服が多いような感じがする。やっぱりメイドさんって人気なんだな。

 ただ、ひとえにメイド服と言っても、色々な種類がある。皆の要望に合うかはわからないけど、僕が動きやすいように少しラフめにイメージしてみよう。

 

 頭の中で作成コマンドを入力する。文字で打つのではなく、直感的に操作するのだ。そのままメイド服のイメージをふわふわと浮かべて、残りの細かい作業は自動化してしまう。

 そして、あたりが一瞬光ったと同時に、固定先を自身に選択して、着用する。

 

 

「じゃじゃ~ん! どうかな! 今回はメイド服にしてみたよ~! 似合ってる?」

 

 

 ふわりと一回転して、配信用のカメラに全身を映す。

 配信画面に目を向けると、そこにはかわいい銀髪メイドちゃんがいた。なかなか良くできたのではないだろうか。

 

 

『え』『はや』『かわいい!』『10秒も経ってないんだけど』『3Dモデラーわい、涙目』『白タイツ好こ』『やばすぎるんだけど』『ほんとなんでもありだな』『まさかこの時間で世界も創ってないよね?』『セカイちゃん 世界ぽちぃ~w』『解せぬ』『マジで可愛い』『今頃研究機関が必死に何回も見直してるんだろうな』『すごすぎてもうすごくない』

 

 

「んひひ~、そんなに褒めてくれるなよぅ。なかなかいい感じでしょ? 

 ま、これでお着替えも済んだし、そろそろ本当にファンタジー系世界に行こうか!」

 

 準備できてる~? と問いかけながら、コメントを見つめる。

 

 

『まあもうこういうものだと思うしかない』『よぅかわいい』『漏れ出るような笑い方スコ』『レッツゴー!』『ついに……!』『いいよ』『エクスカリバアアアア』『www』『お前もいくんか?www』『いこ~』『メイド服似合ってるな』『始まる』『神官服……』『神官服ニキ諦めて』『どこにワープするんだろ』『そりゃ宿屋でそ』『わくわく』

 

 

 どうやら、皆も大丈夫みたいだ。よし、それじゃあ大分時間かかっちゃったけど、いよいよファンタジー系世界のお披露目といこう。

 配信を始めてからずっと思っていたけれど、みんなの反応があると、いつもやっていることでもうんと楽しくなる。きっと、また皆驚いてくれるんだろうなぁ。

 

 二マケ顔を隠しもせずに、ワープゲートに近づく。

 僕の新しい日常が、もっと面白くなりますように。

 そんな願いを込めながら、僕は光の中に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 その間にも伸び続ける同接とともに、不正アクセスも増加していたが、AWによって自動的にブロックされていったことは、セカイの知るよしもない。

 

 AWは、確実に、そして急速に全世界へとその名を広めていく。

 

 

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