両方とも読みたいという声が多いという事実が嬉しい!!
(なお労力
今までの話で主人公の内面が皆さんにちゃんと伝わっているか心配だ・・・
いやクズではあるんですが、中身があるクズなんですよ(中身があるクズってなんだ)
前話は直哉視点なので情報に偏りがありますが、一部描写にそれを示すものがあるので見つけて頂ければ幸いです。
直毘人side
酒を飲む。つまみの揚げ物を食し、また酒を飲む。うむ、うまい。秘蔵の酒と豪勢な料理に舌鼓を打つ。儂も年を取って油ものは控えるべきなのはわかっているが、こんな日くらいは食べなければ損だ。・・・ああ、こんな日くらいはな。
そうしてようやく、目の前の
「エビフライもらいー」
「は?ざけんな悟!何人の食ってんだ返せ!」
「もう食ったから返せませーん。・・・あ、俺の唐揚げ!?」
「うめえ~」
「1つどころか3つとか釣り合わねえだろおい!」
「んぐんぐ・・・ごく。知るか、俺の一本のエビフライの方が勝ってる。それだけだろ」
「じゃあこれもらいー」
「ああ!!残しておいた牛肉がぁ!!」
・・・何なのだろうか、これは。
儂は確か、五条悟撃破祝いと次期当主の決定を発表するはずだった。だというのに、五条家の当主が乗り込んできおった。非常に不愉快だったが、その場をなんと五条悟が収めおった。それも、禪院家と五条家の関係を修復するという宣言と共にだ。
正確には誠が当主になった時に新たに友好関係を結ぶというものだ。つまり誠を当主にすることによるメリットが跳ね上がった。五条悟め、誠を逃がすつもりがまるでないな。よくやった。
だが、誠が当主になりたくない宣言をしたあの日から儂が如何に当主の座につかせるか企んでいたというのに、それらの苦労が今日だけで全てパーだ。まあ誠の絶望顔が何度も拝めたため帳尻は取れているから良しとしよう。
正直、五条悟が何故そのようなことをしたのかはわかりかねる。だが、少なからず五条悟が誠のことをえらく気に入ったことは理解した。結果、目の前の食べ物の奪い合いという事態になっているわけだが。
宴とはいえ2人ともやりたい放題だ。誰か止めろとは思ったが、誠のあの様子を見て困惑しながら酒を飲む奴らがほとんど。まあ儂もあんな姿は見たことないんだが。誰だあいつは。
というか、五条悟も振る舞いが年相応になっている。大体つまらなそうにしているというのに今はただの悪ガキだ。誰だあいつは。
実はあいつらの頭の中に別の脳みそが入っていて体を操っていると言われても信じるぞ儂は。
そもそも、誠は性格に難はあったがそれを表には出さず、一部の者しか本性を知らない。その一部の者たちも、決して誠の本性を口に出さない。それは思い出そうとすることを拒否しているのか、口外することで報復されることを恐れているのか、はたまた両方か。
とにかく、誠は外面を完璧にこなすタイプの人間だ。殆どの者は誠のことをおしとやかで他者を思いやる優しい子供という仮面に騙されている。本当に10歳かこいつ。悪魔の生まれ変わりか、などと何度思ったことか。
それが今はどうだ。大声を出したり、宴会場で走り回ったりと年に相応しい振る舞いをしている。何なら一部の者は我が子を見守る親の顔をしている。信郎、お前がそんな顔をする事を儂は知らなかったぞ。
甚爾の方を見ると、それはもう楽しそうにその光景を眺めながら食事に手を出していた。映画を観ながら手を出すポップコーン並みの速さで料理が消えていき、料理が運ばれている。酒を飲まない分余計に料理を食していた。誠の師範代になったことでもとより特別待遇ではあったが、あそこまで遠慮なく飲み食いしているのは初めて見るな。恐らくこの宴で一番エンジョイしているのはお前だぞ。
直哉よ、それは一体どういう感情なんだ。まるで無限の情報を脳に与えられて宇宙の真理を知ってしまい悟ったともアホ面ともとれるその顔はなんだ。この光景を見てどうしてそんな風になってしまったんだ、儂のせがれよ。
「悟、てめえは俺を怒らせた」
「怒ってどうするんだ?ンン?」
「てめえを今からぶん殴る!!」
「こいよ!当てられるのならな!」
誠が怒りに任せて振りかぶった拳は、五条悟の前で止まる。まあ、領域を使う呪力も残っておらんだろうし、今回は手も足も出せんだろう。
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悟お前・・・攻撃が当たらないと思ってるだろ。
領域展開のこと、無下限呪術を破る手段はよく知ってるわけだ。
だが《コレ》は、原作勢の中でもごく一部の者しか知らない。
自身の体に薄い膜のように領域を展開する。
領域 展延
「まじか」
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なんかまたも五条悟がアホ面状態で顔面殴られて吹っ飛んで行った。
マジかあいつ、もう何でもアリだな。まこら調伏いけるんじゃないのか?
周りも五条悟に一発入れたことで盛り上がった。いや殴れた事に違和感を持て酔っ払いども。・・・酔っ払いだからか。
無茶苦茶すぎる次期当主を横目に、魂が抜けそうな五条家の当主の痴態がよく見えたため、肴にして酒をあおる。そして、今までのことを思い出すことにした。
それは9年程前、直哉が産まれて間もない頃だった。
とある赤子が呪力操作を行っているという話が耳に入った。正直最初は大して興味もなかった。どうせ作り話か見間違いだろうと考えていた。まあ時間があれば一応見ておこう。その程度の認識だった。
そんなある日、屋敷の中を歩いていたら僅かに呪力を感じた。そこは道場とは遠く、生活スペースのはずだった。見に行ったのはただの気まぐれ。ただ何となく気になっただけだった。
襖を開けた。
「あう・・・」
「・・・」
今まさにゆりかごの一部を素手で握りつぶした赤子と目が合った。
赤子は「あ、やべ・・・」と言いたげな顔をしている。うむ、確かに腕に呪力を集中させていたな。となるとこいつが例の赤子だろうと予想がついた。今の様子から見て、呪力による肉体強化の実験をしたところを見られてしまい、どうしようか考えているのだろう。本当に赤子かこいつ。
「当主様!?どうしてこのような場所に・・・もしや誠の様子を見に来て下さったのですか?」
後ろから母親らしき人物が声をかけてきた。
「・・・ああ。最近話題に上がる赤子がどんな顔をしているか気になってな。それはそれとして、ゆりかごが壊れているぞ」
「!!申し訳ございません。当主様に指摘されるまで気づきませんでした」
「よい。せっかくだ、儂自ら新しいものを送ってやろう」
「・・・よろしいのですか?」
「ああ。未来への投資として捉えるといい」
嘘は言っていない。顔は時間があれば見に行こうと思っていた。ゆりかごが壊れているという指摘だけをした。未来への投資というのもあながち間違いではない。赤子の顔を見る。
「まじかこいつ」と言いたげな顔をしていた。庇ってやったのにそれはないだろ。
「こやつの名前は何という?」
「誠です。当主様やその他の炳の方々のような真の呪術師、そして当主様方に誠実に付き従う者に育ってほしいという意味で夫ともに名づけました」
・・・天賦の才があることから前者はともかく、後者は叶いそうにないんだが。さっきの僅かなやり取りだけでもこやつは恐らく儂の手にも余る予感しかしないのだが。
「そうか・・・ではまた来る」
適当に手を振ってその場を去る。あの赤子、様子を見るに既に自意識が芽生えていた。中々面白そうだ。とは言ってもここは禪院家。赤子の頃が天才と扱われても、相伝の術式でなければ落伍者として扱われるがな。天に愛されるといいな、赤子よ。
それ以降、儂は誠の様子を見に行くようになった。見に行く度に「あんた暇なの?」と言いたげな視線を誠に送られたが、見ていて存外に楽しめたため良しとした。
誠が喋れるようになり、儂の事を「じいじ」と呼んだ時は全力で止めた。寒気が走ったためだ。何と言えばいいだろか。見知らぬ
誠が五歳になり、そろそろ術式が判明しないかとソワソワした。最近は呪力操作の鍛錬だけでなく、格闘技を学んでいた。更に術式が相伝ならば禪院家での将来の地位は約束されるだろうと睨んでいた。だが、術式が現れる様子はない。だから儂は、試しに十種影法術の手印を教えてみることにした。まあ、天童とは言え術式まで大当たりとは思っていなかったため、おふざけの一環だったのだが・・・
「・・・当主様、なんか出た」
「ワンッ!」
白い狼の式神が影から飛び出して佇んでいた。
「・・・でかしたあ―――!!」
誠はガチの天才だった。正直舐めとった。こいつ持ってる側の人間だとわからされた。
そんなわからせの雄たけびを聞きつけ、屋敷の中にいた者たちがぞろぞろ押し寄せてきた。皆誠の式神を見て「天才だ」「次期当主候補ではないのか」「やはり誠様はこれからの禪院家を導く御方!」と大はしゃぎであった。
最後らへんの狂信的な声は少し恐ろしかった。一体何をした誠よ。
だが肝心の誠は目が死んでいた。周りはテンションが上がり過ぎて気づいていなかったが。薄々感じていたことだが、誠は持ち上げられることが嫌いらしい。勿論体をではない。褒めたたえられるという意味の方だ。
そしてその日、誠にある頼まれごとをされたのだ。
「甚爾を体術の師匠に?」
「はい」
わざわざ二人きりになって真剣な眼差しで頼み込んできた。甚爾を指名するあたり、禪院家の風習に飲まれることなく強さを認識しているのだろう。その点は嬉しく思う。ただ問題があるとすれば、甚爾は強いが師に向いているかどうか。そして周りの人間の反応だ。
「技術は自分で覚えます。とうじさんにはそれに付き合ってもらいながら俺を半殺しにしてもらいます。周りの人達には俺が文句を言わせません。お願いします。俺を一番強くしてくれるのはとうじさんなんです」
儂が思っていたよりもよく考えているらしい。まあ確かに、禪院家の中でも誠は多くの者に慕われている。一言で言えば味方が多いのだ。どんなカラクリを使ったのか知らんが、年が近い者たちをまとめ上げ、躯倶留隊の多くから信頼され、女中からの評判もいい。人心掌握が凄まじいのだ、五歳で。
これも天性の才なのだろう。天は二物を与えずというが、こいつは二物どころか色々と盛り合わせにして押し付けられている感じだ。贔屓しすぎだろう天よ。
「そこまで言うのならいいだろう。だが儂は金を出してやるが交渉は自分でやれ」
「はい!」
そして儂はにいっと口角を上げる。
「それと予算だが、お前は甚爾を師匠にするのにいくらかけるつもりだ?お前自身にどれ程金をかける価値があるか言ってみろ」
そう言って誠の反応を見る。甚爾を説得できたのなら最低でも三億くらいなら出してやっても構わないが、自分自身の価値に自信が無いようなガキに一銭も出すつもりが無かったからだ。
「なら十億で」
「・・・ほう」
堂々とそう言ってのけたことに感心する。
「理由は」
「待ち望まれた術式持ちで卓越した呪力操作、禪院家の中でも影響力が大きい子供を大成させるなら、特級呪具にも引けを取らない程金をかける価値があると考えたからです」
それを聞いて、儂は15億までを予算として良しとした。後に色々ととんでもないものを見ることになったが、結果として甚爾に6億で護衛までセットさせた手腕は驚いたが。こいつを当主にさせたい気持ちが強くなった。
それから数日後、女中が1人死亡する事件が起きた。どうやら誠を襲った阿呆がいたらしいが、女中が庇うことで怪我をすることなく返り討ちにしたらしい。甚爾が丁度家から離れている時であった。因みに内容はギャンブルである。しっかり護衛しろ。
女中の死体は処理され、じきに火葬される。目の前で人の死を見た誠の様子を見るために部屋を訪れた。誠は背を向けて空の景色を眺めていた。
「死を目の前にした気分はどうだ?」
「・・・気分がいいものじゃねえよ」
嫌な質問をしたからか敬語は無く、口を悪くしてそう返す。恐らくこちらが素だろう。阿呆の腹は痣だらけ、頭にたんこぶがいくつもあり、手首は神経を絶たれ鼻の骨が折れていた。そこまで徹底的にやったことから、どれ程怒り狂っていたのかが伝わってきた。聞けば、死んだ女中とは仲が良かったらしい。きっと、心に傷ができたはずだ。
「これからも同じようなことは起きるだろう。慣れろ」
だが儂は甘やかすつもりはない。この才を最大限伸ばす為に、徹底的にやるつもりだった。例え、恨まれることになったとしてもだ。
「・・・当主様、俺はもっと強くなれるか?」
反発されると思っていたが、意外にもそんなことを聞いてきた。どうやら心配はいらなかったらしく、覚悟は奴の中でできているらしい。
「ああ。歴代の禪院当主の中でも最強になれると儂は踏んでいる」
「・・・そうか。それなら今度は・・・」
誠はゆっくりと立ち上がった。そしてこちらに振り返った。その表情は・・・
「何もさせずにぶっ殺せるな」
そこには、邪悪な何かがいた。儂は、誠という人間を見誤っていたのかもしれない。
そこからさらに数年後。度々襲撃はあったものの、誠は悉くを返り討ちにして見せた。そして命を奪おうとする対価として、体の一部を奪っていった。腕や足、目を失ったものはそれなりにいる。誠のお付きの女中に手を出したものは睾丸を失った。その結果、奴の報復を恐れ、襲撃を行うものは減っていった。
味方には慈悲を、敵対する者には罰を与えた。特に、味方のフリをして近づき襲ってきた者には徹底的に痛めつけていた。痛めつけた後、庭に建設した十字架に括り付け、目隠しに耳栓、さるぐつわをつけた。その十字架の前には殺す以外のあらゆる暴力行為を許す事を記した看板が建てられている。そして3日間、飲まず食わずで放置される。
誠を慕う者からの暴力は凄まじい。身も心も徹底的に破壊されるのだ。
奴を裏切るものはもういない。何故ならそれは死より恐ろしい罰を受けることを意味するからだ。そうして奴は禪院家の中で多くの者に尊敬と恐怖を集めた。
そんなある日、五条家に行くことになった。それには直哉と誠を連れていくつもりだったのだが、直哉は下半身を地面に埋められる生け花の刑とやらを受けていたのですぐに起きる気配がなく、置いていくことにした。
その後の説明は簡単だ。誠が五条悟とやりあって勝った。なかなか見ごたえのある戦いであったが、儂としてはその後が痛快であった。
「なあ見たか爺さん!あいつの最後の間抜け面!散々コケにした奴に殴られる奴の顔はいつ見ても最高だよ!!」
その後高笑いした誠は、五条悟が負けたことで膝から崩れ落ちていた五条家の当主に近づいてこういった。
「ねえねえ今どんな気持ち?どうせ俺が負けて爺さんにイキレるとか思ってたんでしょ。残念だったねぇ~。じゃあ頑張って励ましてあげてね。まあ所詮自分の息子がいなけりゃ威張れないおっさんなんていなくても同じだろうけどw」
そう言って倒れる前に誠を抱き上げ、儂は最高の気分で帰宅したのだった。
「こんなもん、へでもねえよ!」
「おいおい、生まれたての小鹿みてえな足してるぜ?無理すんな」
「その言葉、そっくりそのまま返してやるよ!」
また殴り合いの喧嘩をしている2人を眺める。あれがどうしてこのような形に着地するのかが儂には理解できなかった。お互いに何かひかれるものがあったのだろうか。
天ぷらに手を付けながらそんなことを考える。
「誠ォッ!!」
「悟ゥッ!!」
2人の拳が同時に顎に突き刺さり、両者ともに倒れた。飯の取り合いで何やってんだこいつら。
「誠くん、立つんや!最後に立ってたら勝者や!」
「悟、今度こそ勝つんだ!お前がナンバー1だ!」
おいお前、何そっち側行っているんだ戻ってこい。儂の周りの常識人枠がただでさえ少ないんだ。嫌っているとはいえそっちに行くな。疲れる。
すると甚爾が周りを手で制しながら2人に近づき、「ジャッジ!」といいながら状態を確認する。ノリいいなあいつ。
「・・・両者ともにダウン。この試合、Drawだ!」
湧きたつ会場、スタンディングオベーションが起こり、一部の者は悔し涙を流す。それはこの場にいる者たちの一体感を示していた。
なんだこれ。
誠 この世で最も不自由な男。自分の信念を曲げないため人生ハードモードに自分から突っ込んでいる。世界じゃなくて自分が自分を殺しにきている男。
悟 人生エンジョイ勢。頭ではなく心で誠のヤバさで気づいているが関係なしに距離を詰めようとする。明日は何して遊ぼうか。
甚爾 この世界で最も自由になった男。チーム諸悪の根源達から蔑まれることはないので原作より自尊心がある。今が楽しい。
直哉 誠に色んなものを破壊された被害者。もうダメかもしれない。待て、しかして希望せよ。覚醒の時は近い。
直毘人 人生エンジョイと見せかけて苦労人ポジ。誠で楽しめると思ってたら振り回される側だった。無念。