五条悟からは逃げられない!   作:創作好き

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赫 パンと筋肉

 

夏油が虹龍を祓った後、寺の中を探った。すると予想通り、中には封印された呪具があった。その呪具の封印が解けかかっていたことにより、様々な呪霊が集まり、集まった呪霊は虹龍のおやつになっていたのだ。恐らくあの虹龍も集まってきた呪霊の一体だと思われる。

 

さて、そんなこんなで任務を終えた俺達はコンビニで口直しの物を買ったり駄弁っていたらあっという間に打ち解けた。先入観がなければこんなもんだ。因みにこの時、どうして俺が術師をボコボコにしたかの経緯を、それぞれのエピソードごとに話したが、「正当防衛だけどやり過ぎだ馬鹿」と言われてしまった。後、もっと周りにバレないようにやれとも言われた。バレなきゃいいのかよ・・・

そして呪具も高専に預けた俺達は次の日には一緒にパンを買って教室で食べていた。

 

「誠はカレーパン派なんだね」

 

「ああ。やっぱこれじゃないと食べた気がしないからな。そういう傑は・・・メロンパンかぁ・・・」

 

「・・・おい」

 

「なんだいその反応は。もしかして、メロンパンが嫌いなのか?」

 

「いや、寧ろ好物だ。でも、何と言うか・・・お前がそれ食べてると死亡フラグっぽいなって」

 

「君は私とメロンパンを何だと思っているんだ」

 

「おい」

 

「というか何でノーマルとクリーム入りの二種類を買ってんだ。味被るだろ」

 

「メロンパンを食べ比べたい気分だったんだ。それにほら、かかっている砂糖も違う」

 

「へえ、ほんとだ。ちゃんと差別化してんのな」

 

「無視してんじゃねえぞお前ら!」

 

東京校高専 昼休みにて、俺がパン屋の影に潜ませていた式神と入れ替わることで夏油と買ってきたパン談議に花を咲かせていたところ、悟が怒りだした。まあこれくらいは予想通りだ。俺はすかさず袋からパンを取り出す。

 

「ああごめんごめん。ほれ、悟の分」

 

「わーいあんぱんだぁ。って、そうじゃねえよ!いや昼にあんぱんなのも文句はあるがそうじゃねえ!」

 

どうやらアンパンがお気に召さなかったらしい。あそこのあんぱんは滅茶苦茶うまいから高いけど態々買ったのに、我儘だなあ。まあこんなこともあろうかと、他のも買っておいた。

 

「ハイハイ。ならこれはどうだ?」

 

「わーいスペシャルドッグだぁ。ソーセージが大きくて半熟卵も野菜も入ってるって豪華だなぁ・・・だ・か・ら!文句があるのはパンじゃなねえ!そいつとの距離感だ!」

 

「それはそれとしてこれはもらう」とスペシャルドッグをかじり出す悟。腹が減っていてイライラしていたらしい。ハムスターみてえなほっぺしやがって。

 

「禪院―、私のパンはー?」

 

悟がスペシャルドッグを頬張っている様を眺めていると、家入さんが寄ってきた。実は今日の朝、夏油とパンを買いに行く話をしていたら、ついでに買ってくるよう頼まれたのだ。どうやら、俺と夏油が仲直りしているのを見て、警戒レベルを下げてくれたらしい。まあ、距離を取られるだけで、別に今まで何かされていたわけじゃないけど。

俺は袋から頼まれていたパンを二つ取り出す。

 

「ほい、あんぱんとカツサンド」

 

「おお、ほんとに買ってきた。はいお金。次もよろしくねー」

 

「次もぱしるのね・・・」

 

「次は牛丼で」

 

「早速注文し出したよこの人」

 

家入さんはそのまま手をひらひらと振って教室から出て行った。恐らく一つ上の先輩の下に向かったのだろう。どうやら可愛がられているらしい。

 

「んぐ。・・・それで、何でお前らの仲が良好なわけ?」

 

スペシャルドッグを食べ終えた悟が問い直す。まあ、そりゃ気になるか。昨日までツンツンしてたもんな、夏油が。悟の問いに夏油が気まずそうに答える。

 

「昨日、私が己の非を認めて謝罪したんだ。君の言う通り、私が偏見で彼を見ていた。我ながら恥ずかしい行いをしていたよ。五条、君にも失礼なことを言ったね。今まですまなかった」

 

「まあこんな感じで俺は仲直りしたってわけ。んで、悟はどうする?」

 

「・・・ふーん」

 

悟は面白くなさそうな顔をしながら、先程嫌がったあんぱんに手を出した。食べないなら俺が食べようと思ってたのに・・・

 

「誠がいいなら俺はもういい。それにしても、一日もしないで2人とも仲がよろしいことで。俺が怒ってたのがバカみたいだったじゃないかと思うくらいには。はむ・・・まあよかったんじゃない?誠の友達が増えるのは悪いことじゃ美味いなこれ!?」

 

悟の反応を見て、口角が上がった。

 

「だろー?この前見つけたパン屋でさー」

 

「パンは薄生地だけどほんのりパンの香りがして、だというのにあんこの邪魔をしていない。上にかかっているゴマの香りも絶妙だ。何よりこのあんこ!甘すぎず薄過ぎず、めちゃんこうめえ・・・それが限界ギリギリまで詰められているから満足感もある。こんなアンパン食ったことがねえ!」

 

「え、あ、うん。喜んでもらえたならいいよ」

 

悟が早口で感想を語り出してびびった。夏油と仲直りしたら拗ねるだろうと思って美味い物渡したけど、さっきまでの会話の内容が吹っ飛ぶほど気に入るとは思わなかった。すごいねあんぱん。

 

「なあもう一個ねえの?」

 

「え、もう食ったの?」

 

いつの間にか悟の手からアンパンが消えていた。早くね?

 

「まるで飲み物かのように消えていったよ。パンは飲み物というのは本当だったんだね」

 

まて夏油。そんなわけないから。あれは比喩であって本当にそういうわけじゃないから。

 

「あー、やっぱりない?」

 

「もし私のでよければ、半分譲ろう」

 

「お、おう。サンキュー・・・」

 

気まずそうな顔をしている悟に、夏油は自分のあんぱんを取り出して半分に千切り手渡した。夏油的には、これまでのことへのお詫びとして渡しているのかもしれない。

にしても悟、ほんとに美味そうに食うな。パンで機嫌が直るとか、ちょれえ~

 

「今失礼なこと考えたろ」

 

「いや?別に」

 

「ふーん」

 

そう答えて再びアンパンに齧りつく。さて、俺は夏油と仲良くなったが、悟の方がまだだ。俺としては悟と夏油、家入さんが青春しているところを眺めたい。そしてあわよくば混ざりたい。正直言うとここまでの俺の原動力は後者が7割だ。俺も!青春!したい!

せっかく転生したんだ。眩しい青春時代を今度こそまともな青春を過ごしたい。

でもどうすればいいか全くわからん。俺はカレーパンを食べ終えた後、自分のアンパンを齧った。

 

 

 

 

あの後、俺とは悟も夏油も話すが、悟と夏油が会話をすることはなかった。まあ当然と言えば当然だ。もう喧嘩する理由が無くなったとはいえ、いきなり仲よくできるかといえば普通は無理だ。俺と夏油?まあ夏油のツンがなくなれば普通だよ普通。

 

そして昼休みは終わり5限目。今日は体育という名の格闘技の授業だ。とは言っても、俺と悟は昔からやっているし、夏油も格闘技が好きだから、家入さん以外は座学よりもこっちの方が好きだ。哀れ家入さん、ひとえに君が弱いからだが。

 

俺達はいつものように校庭に向かうと、学長がいつものように校庭の真ん中に立っていた。だが、ここ最近見慣れない影が一つ、学長の隣にあった。

 

「よお、久しぶり。元気してたか?」

 

「・・・マジかよ」

 

悟から声が漏れた。知っている。あの体格、あの存在感。そして、呪力が全く感じられない代わりに体に宿ったその強靭な筋肉。

 

「あの人、今まで高専にいなかったよね?」

 

「悟、あの人を知っているのかい?」

 

家入さんと夏油が悟に問う。だが俺も悟もその問いに答える余裕はない。

禪院・・・否。伏黒甚爾が高専に来ていた。

 

「師匠オオオオオオオオオオ!!!」

 

俺は走り出した。我慢できなかった。そして俺はこれまでの記録を大きく塗り替えるであろう速度で師匠の下に向かい、師匠の周りを撥ねながら回った。

 

「しっしょーう!しっしょーうあそれ!しっしょーう!」

 

「コイツ、ハイになってやがる・・・!」

 

俺はテンションに身を委ね、影分身で自分を増やしながら師匠の周りを踊り、回り続けた。だが5人目を出したあたりで5人まとめて回転ラリアットを食らって死にかけた。

 

「落ち着いたか?」

 

「お、落ち着くどころか、直毘人の爺さんが川の向こうで手を振ってるのが見えました・・・」

 

「まだ死んでねえだろあいつ。勝手に殺すな」

 

師匠が手を差し出してくれたのでそれを掴んで立ち上がる。いやあ、師匠はいつ見てもかっこいいが、久しぶりに見る師匠はより一層かっこいいなあ。俺が足舐めていいと思えるのは、後にも先にもこの人だけだぜ!寧ろ舐めさせて欲しい。俺の忠誠の意味を込めて。

 

「何でお前がいんだよ筋肉ダルマ」

 

「おう、五条のガキか。その生意気な口は相変わらずだな」

 

後から悟がこっちに来た。すっごい嫌そうな顔してるなおい。昔から師匠のこと嫌いなんだよな悟。何で嫌いなのかまるでわからん。理由を聞いても毎回適当にはぐらかされるし。

 

「それで師匠、今日はどうして高専に?」

 

師匠は嫁さんと恵君と一緒に愛の巣に引きこもると思ってたんだが・・・

 

「聞いてないのか?俺、今日から高専で教師になんだよ」

 

「・・・え?(は?)」

 

俺達が呆然とすると、師匠が後頭部を搔きながら話し出した。

 

「いやな?恵が順調に成長していくのはいいんだが、将来俺の職業を周りにどう説明するかって話になってな。一応一級呪霊を適当に狩って金を稼いでるとは言え、基本家に居るからな俺。世間体をどうするか嫁と悩んでたら、爺から高専の体術教師になったらどうかって話が来てな。お前らもいることだし、なることにした」

 

「・・・ブフォ!え?え?お前が教師?ないわー、お前が教師とかないわー。お前のどこに教師向いてる要素があんの?ギャグとしてならおもろ。ぎゃはははイタイイタイ!?!?!」

 

あ、悟が頭潰されかけてる。無下限バリアー張る前に掴まれたから防げないし、あの様子だと張る余裕がないだろうな。それにしても悟、お前は師匠のこと笑えないと思うぞ。未来のお前にもろブーメランだしそれ。というか師匠は俺と稽古してくれてたから向いてなくねーし。

 

にしても爺さん、態と黙ってやがったな?サプライズのつもりかあの髭野郎。でも師匠を高専の教師に誘ったのはナイスだ。実家に帰省する時に東京の高い酒と美味しいつまみを持って行ってやろう。

 

 

 

 

「そんじゃあ今から、ドッジボールを始める!!だがこれはただのドッジボールじゃない。術式は無しだが呪力は使用を許可する!お前達一年生4人、こっちは俺と呪骸で4人。4対4の勝負だ!先に言っておくが、ボールが髪や服に触れた場合も当たったこととする!」

 

「もしかしてグリー〇アイランド編読みました?」

 

「お前の漫画、俺の部屋に良く馴染んでるぜ?」

 

「シャンクスみたいなこと言ってないで返してください!」

 

「シャンクスそんなこと言ってないだろ」

 

「何言ってんだ悟。シャンクスと言えばこのセリフ・・・いや言ってねえわ」

 

「2人とも早く構えろ。ボールが来るよ」

 

そんなこんなで今、命懸けのドッジボールが始まろうとしていた!どうしてこうなった?

 





家入さんとの絡みを書きたかった。甚爾さんに全部持ってかれた・・・

因みに甚爾さん大好きな理由を明かすのはまだ先になります。禪院家も先です。
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