五条悟からは逃げられない!   作:創作好き

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遅くなってすみませんでした。
これが終わったら赫は当分先だし、しっかり書こう!と書いたら1万文字超えてしまいました。投稿していなかった分ちゃんと長いから許してください・・・


赫 玉と命と魂 三つのボール

 

ドッジボール。ボールを使うメジャーな遊びだ。小学生の頃、誰もが一度くらいはやったことがあるのではないだろうか。因みに俺は授業中でのレクリエーションでしかやったことがない。内容も集中狙いかガン無視のどちらかだ。理由?察してくれ。言いたくない。

 

さて、そんな子供向けの遊びを高校生になってやらなくてはいけなくなった。理由は師匠がドッジボールをやると決めたから。

 

『最初は真面目にやらず、レクリエーションをやった方がいいと聞いてな。親睦を深めるために、全力で投げる』

 

全力ってそれ、俺達死ぬじゃん。こちとら呪力だけで相手しなきゃいけないんだぞ。誰だよそれ言ったの。そう思っていたら、どうやら師匠の奥さんが提案したらしい。

 

『なるほど、素晴らしい案ですね!』

 

悟にはゴミを見るような目で見られた。うるせえ、あの人がそうだと言ったらそうなんだよ。

 

因みに今回使うボールは特殊な素材で作られていて、呪力を込める程衝撃に強くなるらしい。適当に呪力を込めたら師匠でも中々潰れない代物になった。製作者は禪院家の呪具開発チームらしい。

 

「なんちゅうもん作ってんだあいつら」

 

「俺が誠とドッジボールするからいいボールがないか聞いたら送ってきたんだよ。試作一号だからデータが欲しいんだとよ」

 

「何故ボールが一号なんです?」

 

性能を聞く限り、防護服とかの素材じゃないのか?それをどうしてボールに・・・

 

「この素材ができたのが昨日で、それを早速ボールに変えたかららしい」

 

「馬鹿なんですかあいつら」

 

最新の素材で玩具を作る馬鹿がいるとは思わなかった。

 

「当主が禪院家の大体を服従させてるって噂、本当だったんだ」

 

「違うから家入さん。ほんと違うから。いやまじで」

 

「君が言っても説得力がないと思うよ」

 

夏油までそんなこと言う・・・というか原作にないもん作るなよこえーよ。予算しっかり下ろしてるとはいえ、できるかよそんなもん普通。

 

「それと伝言だ」

 

今思い出したと言わんばかりに、師匠が話す。

 

 

「構築術式を持ってる奴がいたら連れてきてほしんだとよ」

 

 

一瞬、心臓が止まった。それは、真希ちゃんの半身である真依ちゃんの術式だ。

 

「構築術式ってなに?」

 

「確か、呪力で物質を生成する術式だったはずだ。平安時代の術師にも構築術式を持っている人物がいたはずだ」

 

「へー、そんなのあったらガ〇プラ作り放題じゃん。聞く限り便利そうだし」

 

「だが、燃費が最悪で使い物にならなかったはず」

 

「ダメじゃねーか」

 

後ろで三人が話しているのが聞こえるが、少しずつ遠ざかっていくように聞こえた。なぜ構築術式が求められている?原作ではそれらしい描写は無かったはずだ。何故だ。真依ちゃんに呪術界に関わらせないために、彼女の術式を隠匿していたし、あれやこれやと外の世界の職業に触れさせていた。今更、何故だ。

 

「えっと、どうしてそんな術式が必要なんですか?」

 

俺は出来る限り平静を装って問いかける。

 

「これを含めた新しい呪具を量産するのが難しいらしくてな。試作品何だり作ってたら金は兎も角、材料が足りなくなるらしい」

 

「でも、燃費が悪い術式ですし、とても使い物になるとは・・・」

 

「そりゃお前、お前が最近作った()()を使えば万事解決だろうが」

 

「・・・あ」

 

原因俺だあああああ!?確かに呪力出力を補うために()()を作ったし、()()を作らせるために予算を結構下ろしたのも俺だあああ!?

おかしい。俺が生きるための行動が見事に裏目に出ているよう!?

 

「それで、当てはあるか?」

 

どうする、正直に話すか?いやダメだ。真依ちゃんの術式を教えれば、開発チームは好条件で真依ちゃんを勧誘するはず。それに真衣ちゃんのことだ。自惚れでなければ、禪院誠(おれ)の役に立つとか言われれば喜んで契約書に名前を書きそうである。優しいね。

そうすればどうなると思う?俺が力を入れている開発チームにミカンの娘が入ったとなれば、必ず何かしら巻き込まれる。主に当主になれなかった理由を娘に押し付けるパッとしないおじさんとか、呪術廻戦第三位の炎使いである汚い煉獄さんとかに。奴ならあり得る。

 

そんなことになれば真依ちゃんが傷つけられる可能性がある。下手すりゃ死ぬ。後はわかるだろう。真希ちゃん覚醒からの禪院家及び俺のバッドエンドだよ。

たまに忘れそうになるけど、俺の第一目標は真希ちゃんに殺されないようにすることだからね?その為に真希ちゃん達の下僕として頑張ってんだから。

でも真希ちゃんの好感度上がってる気がしないんだよなあ。真依ちゃん曰く「お姉ちゃんはつんでれ?だからだいじょうぶ!」らしいが、お兄ちゃんはデレを感じられない場合、ツンデレとは呼ばないと思うよ。頼られてる自覚はあるけど。

 

真希ちゃんに構い過ぎると『真依の相手をしろ!』とキレられ、真依ちゃんを構い過ぎると『この、ロリコンがあ!』とどこぞの自由の奴隷巨人のごとく飛び蹴りをかまして割って入ってくる。俺は『失礼だな、親愛だよ』と防ぐ。そんな感じで、これDVじゃね?と思いながら、乙女心の理解に苦しんでいる日々を過ごしているのです。まあ、ミカン共と話しているよりはマシだよ。あの娘基本的に真依ちゃんのために動いてるから。

 

閑話休題

 

因みに俺が覚醒真希ちゃんに勝つ可能性は0に等しい。理由は簡単。タイマンでは師匠に勝てたことがないから。よくボコボコにされてます。俺の覚醒?ぽいよくわからん状態なら勝てるとは思う。あの時の俺、最強だし。多分。

 

だが、覚醒真希ちゃんに襲われたとして、多分俺はあの力を使えない。

あの覚醒っぽい奴の原理はまるでわからんが、発動条件はわかっている。俺がキレてた時だ。だから、多分無理だ。俺は真希ちゃんに怒れない。

 

真希ちゃんが覚醒するということは真依ちゃんが死ぬということ。そして、真希ちゃんが禪院家を潰すということは、真依ちゃんが『全部壊すこと』を望んだということ。優しい真依ちゃんが望んだということは、そう望む理由があるということ。ならば、俺は真希ちゃんに殺されることを理不尽だと思えない。当然の結末だと思えてしまう。だから、覚醒真希ちゃんが襲ってきたら、俺は勝てない。というか、戦えない。俺はそういう風にできているから。

 

なので俺ができるのは真依ちゃんが死なないようにするか、『全部壊して』の中から俺を除外してもらえるよう媚びるか、国内からの脱出の三択しかない。まあ3つめはどこぞの目隠しのせいで不可能なんだけどな。ははは!クソがッ!!

 

一番楽な選択肢が潰されている以上、他の二択で頑張るしかない。故に!師匠への答えはただ一つ!

 

「いえ、()()()()()()

 

懇願である。因みに、師匠にはこれが嘘だと間違いなくバレている。師匠は地獄耳だから

心臓の音で嘘を見抜けるのである。ノ〇ノラでしか見たことねぇぞそんな能力。

なので師匠、知らんぷりして!お願い!という感じで圧を出す。

 

「・・・そうか。任せろ」

 

そう言って師匠は内野へと歩いた。伝えておくではなく、わざわざ任せろと言ったということは・・・

 

「・・・しゃー」

 

俺は誰にも見えないよう小さくガッツポーズした。師匠が少し、ほほ笑んだ気がした。

 

そんなこんなで始まってしまった努血暴流(ドッジボール)大会。俺、悟、夏油が内野。家入さんは外野だ。奴ははっきり言ってこの戦いについていけないから外野に置いてきた。

・・・何度聞いてもひでえセリフだなこれ。

 

「そうそう、もしこの試合で俺に勝てたら焼肉奢ってやるよ」

 

「やるぞお前ら!!」

 

「人の金で食う肉はうめえよなあ!」

 

「ベストを尽くそう」

 

「怪我したら速攻で治してやるから遠慮なくやれ」

 

俺達のやる気は跳ね上がった。師匠が奢るなんて珍しい。いやほんとに珍しいな。明日は槍が降るな。奥さんに感謝だ!

 

「お前ら、準備はいいか?」

 

「バッチコイです!」

 

「おう、叩き潰してやるよ」

 

「お手柔らかに」

 

「三人ともガンバ~」

 

ハンデとして、悟が最初にボールを持っている。最初から師匠が投げたら完封されかねないからね。

と、ここで俺は夏油に忠告しておくことにした。

「夏油、油断するなよ。師匠は・・・」

 

「フィジカルギフテッドだろ?知っているさ。鬼人 禪院甚爾は有名だからね」

 

鬼人。それは呪術師として活躍したこの世界での師匠の二つ名。鬼のように呪霊を狩る姿からその異名が付けられた。めっちゃかっこいい。俺の禪院家の悪魔だの狂気だのと交換して欲しい。

さて、忠告も終わったことだし、そんじゃあ・・・

 

「やっちまえ、悟!!」

 

「死ねえ!!」

 

悟の第一球が放たれた。それは真っすぐ師匠・・・ではなく、師匠から少し離れた場所にいた呪骸に飛んで行った。結果的に、自分に投げられると思っていた師匠の意表を突くことで、師匠は呪骸を庇うことができなかった。そして大量の呪力を込められた破壊力と速さ抜群のボールは呪骸にあたるはずだった。

 

「取った」

 

悟から言葉が零れた。ボールは呪骸に当たる直前、突如としてカーブを描いて躱したのだ。これぞ六眼の真髄、原子レベルで行われる呪力操作である。大量に込められていた呪力はブラフ。本命はその呪力を使い、ボールの軌道を曲げる事!悟がボールに込めた呪力により回転がかかり、ボールは本来あり得ない軌道を描き、呪骸をUターンした。そこから更に回転がかかる。狙いは最強のプレイヤーの背後。

 

「いけえ!!」

 

完全な不意打ち、そして速度。反応できたとしても、あれ程回転がかかっているのだ。取れるわけがない。そう思った。

 

「なるほどな」

 

ボールは振り向かせることすらできず、握りつぶすように片手で取られた。

 

「は?」

 

「いいボールだ。だが、相手が悪かったな」

 

師匠はボールを態と、ゆっくり振りかぶった。

 

「悟、夏油、防御!!」

 

俺は咄嗟に指示を出し、ボールは凄まじい破壊力と共に放たれた。

 

 

ボールは俺の横を通り過ぎたのが見えた。それとほぼ同時に、夏油の声が一瞬聞こえた。

 

 

「・・・! 夏油!!」

 

その速さに一瞬放心してしまったが、すぐに我に返って後ろを振り向いた。振り向いた先には、エリアの外まで吹っ飛ばされた、倒れた夏油の姿が見えた。

そしてすぐに家入さんが夏油の下へと駆けよる。

 

「おいおい、お前そんなに球技得意だったか?」

 

ボールの破壊力を見て、悟が師匠に尋ねる。確かに師匠は強い。が、それはあくまで戦闘での話だ。最初からあらゆる分野のスポーツで最強というわけではない。師匠がまだ禪院家にいたころ、あまりスポーツをしているところを見たことがない。運動は基本、俺含めた『和菓子』と組手をする時くらいだ。

 

「得意ってわけじゃないが、最近(あいつ)にスポーツを勧められていてな。恵もスポーツができる方がかっこいいって言うんで、最近は片っ端から手を出してる」

 

そう言って、師匠は落下してきたボールをキャッチした。どうやら夏油に当てたボールが運良く・・・いや、狙って自分の下に戻ってくるよう、回転をかけて投げたのだ。師匠ならありうる。

 

「お前、自分の子供を殺す気か?」

 

「恵には加減するに決まってんだろ。まあ、加減する練習の為に教師になったんだが」

 

「あ、俺達がいるから教師になったってそういう・・・」

 

つまり、俺と悟なら並大抵のことでは死なないから、これから毎日のようにサンドバックにされると。悟も理解したのか、師匠にキレた。

 

「てめえふざけんな!こっちの身が持たねえよ!」

 

同感だ。あの威力を毎日のように食らってたら体が持たない。夏油を見ろ、ヤ〇チャみてえな倒れ方してんぞ。意外と余裕あるなアイツ。

恐らく、師匠は多分原作より強い。だって結婚するまで俺達と毎日のように組手してたし、ここ最近も一級呪霊を狩っているという話をよく聞く。要するに、元から高い能力とセンスをより磨いていたのだ。そりゃ強い。

とにかく、もうちょい弱めに投げてもらえないか交渉を・・・

 

「だから勝ったら奢ってやるっていったんだよ。次期当主が情けないこと言いやがって。ああ、もしかして、呪力の無い猿に勝つ自信がないのか?まあしょうがないか。無いんだもんな、自信が」

 

「「やってやろうじゃねえかこの野郎!!」」

 

「何で誠まで挑発に乗ってんだ」

 

師匠より格下の自覚はあっても、売られた喧嘩は全部買いますよ俺は!

 

「誠、次は取るぞ!」

 

「当たり前だ!!」ドンッ!!

 

「夏油もさっさと起きろ!」

 

「ほら夏油、もう治ったんだからさっさといけ。私の焼肉の為に」

 

「君達私の扱い雑すぎじゃないか?」

 

夏油はむくっと立ち上がると、家入さんと共に外野に行った。これで準備は整った。売られた喧嘩は高く買い叩く!それが俺の忍道だ!こいや!

 

「そんじゃまあ・・・パーフェクトゲームだ」

 

変形するほど力強く握られたボールは、天与の暴君に投げられた。

魔球。それを表現するにはそういう他ないと思った。投げられたボールは亜音速に片足を突っ込む程の速度に到達しながら、凄まじいブレを起こした。そのブレにより、最後まで俺と悟、どちらに当たるかわからないという代物。だが、俺達はどちらも取るつもりでここにいる。俺は全身に呪力を巡らせ、感覚でタイミングを掴み、ボールを取ろうとした。

 

「グッ!!」

 

隣からうめき声がした。どうやらボールは俺ではなく、悟の方へと向かったようだ。だが予想通り隣を見ると、ボールを抱きしめている悟の姿があった。

 

「やったな悟!反撃開始だ!」

 

俺は笑って悟に声をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、俺は知らない建物の中にいた。ガラス張りの壁。その向こうには飛行機が見える。そして、飛行機の出発時刻を伝えるアナウンス。ここは・・・

 

「空港・・・?」

 

「や」

 

聞き覚えのある声がした。やけに馴れ馴れしい声色だが、不思議と嫌悪感は無い。だが、違和感がある。その声の主と俺は、そこまで仲が良くなかったはずだ。

そう思いながらも、俺は自然と振り向いていた。

 

「久しいね」

 

「夏油・・・?」

 

違和感

 

後ろに居たのは夏油だ。だが、何かが違う。この六眼()に映る情報は目の前の男を夏油傑だと告げているが、何かが違う。何が違うのか一瞬考えたが、そんなことより他の疑問を優先した。

 

「おい夏油、ここはどこだ?何で俺は空港にいる?」

 

「夏油って君、何故苗字で呼ぶんだい?私と君の仲だというのに、やけによそよそしいじゃないか。それにここが何処かわからないわけがないだろう」

 

「・・・仲も何も、そんなに仲は良くないだろ俺達」

 

「悟。親友にそんなことを言われると、流石の私でも傷つくよ?」

 

親友?そんなわけがない。俺の親友はただ一人、誠だけだ。

何かがおかしい。会話が嚙み合っていない。何か、致命的な何かが違うのだ。分からない事だらけだが、分かる事は一つある。

 

「お前、誰だよ」

 

「だから、夏油傑だよ。そろそろ怒るよ」

 

嘘を言っているようには見えない。だが目の前の男は、自分が知っている夏油傑ではない。よく見れば身長も声も僅かだが違った。これは・・・成長した姿?

 

「夏油さん。何かおかしいです。彼は本当に私たちが知っている五条さんなのでしょうか」

 

すると、どこからか面のいい外国とのハーフっぽい男が現れた。見た目からしてタメだろうか?だがそいつも自分のことを知っているかのような口ぶりだ。

 

「ふむ・・・悟。君はここにいる前、何をしていたんだ?」

 

「何してたって・・・俺とお前と誠と家入、それから筋肉ゴリラと焼肉をかけたドッジボールしてたろうが。あ、そういえばボールを受け止めた後から記憶がねえな」

 

「すまない、もう一度頼む」

 

「だからぁ、俺らでドッジボールしてたんだろうが」

 

「君はこのシリアスな状況で本当に何をやっているんだい?」

 

一体何をどうしたらシリアスな状況になんだイカレてんのかこいつ。

 

「なあ、いい加減こっちの質問に答えろよ。お前は誰で、ここは何処だよ」

 

こいつは俺が知っている夏油傑ではない。そして見覚えのない場所。相手から敵意は感じないものの、これで警戒しないなど無理だ。俺はいつでも戦闘可能にできるように身構えた。

そして、夏油モドキが少し考える素振りをして、ようやく口を開いた。

 

「すまない、今ようやく状況を理解できたよ」

 

夏油モドキは少し言いづらそうにしながら、爆弾を投げ込んできた。

 

「端的に言うよ。私は別の世界の夏油傑で、ここはあの世この世の境目のような場所。それから悟。君、今絶賛死にかけてるから」

 

「Ha?」

 

 

 

 

「ぎゃー―――!?!?」

 

凄まじい回転が掛かったボールを何とか回避していく。そして回避したボールは地面に着地するとバウンドして綺麗に師匠の下に戻っていく。どうなっとんねん。

回避できるようになったのは、三球目にしてようやく目がその速さに慣れてきたのだ。後は簡単。呪力による身体強化でボールを取る。それだけだと思ってたんだけどなあ・・・

 

「家入まだ!?」

 

「もう治ってるけどぜんぜん起きなーい。だからそっちで何とかしてー」

 

「早く起きろ馬鹿目隠し!!」

 

余裕がなくなって語気が強くなる。

悟でさえキャッチできなかった、どころではない。気絶する威力なのである。防御不能・回避困難の技って控えめに言ってクソでは?それがデフォルト?そう・・・

兎に角、このままでは負ける。ボールが全く取れないから夏油も家入も全く参戦できていない。だから、今は耐える。耐えて耐えて、一度でいいからキャッチする。そして、俺と夏油と悟の三人による連続攻撃で仕留める!

だからここは、話しかけることで少しでも気を逸らす。

 

「手加減の練習云々はどうしたんですか!?」

 

「わりい、お前相手にどこまで通用するか試したくなった」

 

自尊心の回復が変なところで影響してるぅ!?

原作では見れなかった生き生きとした師匠と過ごせて楽しかったけど、ここにきて色々俺に帰って来とる。今日は因果応報が多いなあ!?

だけど、負けるわけにはいかないんだ。俺は、俺は!

 

自分の残り体力を予想し、消費の早さを計算する。俺が全力で動き続けたら、持って10分弱・・・後ハ ヒタスラ 逃ゲ切ル!

 

 

「死ンダラ祟ルゾ!!悟!!」

 

 

 

 

 

「成程、つまりお前は死亡済み未来トランクスで、ここは尸〇界(ソウル〇サイティ)に繋がる玄関みたいなもんか」

 

「何故ジャ〇プで例えるんだ・・・」

 

俺は現在、夏油モドキ改め、未来夏油と茶をしばいていた。おはぎうめー。

俺は絶賛死にかけ中らしいが、近くに家入がいるから大丈夫とのこと。そういやあいつ、反転術式使えるらしいな。まあ誠の式神も使えるから体の心配はしてない。取り敢えず、俺の意識が自動的に戻るまで駄弁っていようという話になった。

 

話を聞いているうちに、俺がここに来た理由もわかった。夏油曰く、世界を歪める何かの影響で、六眼を持っている俺がバグを起こしたらしい。六眼を持っている俺はすぐ原因がわかった。そんなもん1人しかいねえし、2人もいてたまるか。

 

それと、さっきのハーフっぽい奴は何故か席を外していった。結局アイツは誰なんだ?高専の服着てたけど・・・

 

「でも実際、どうして君がドッジボールで死にかけるんだい?」

 

アイツ誰だろと考えていたら質問をされた。俺は少し前の出来事を思い出す。

揺れる最高速度のボール・・・

 

「ゴリラのボールをまともに取ろうとしたらこうなった」

 

「ゴリ・・・?」

 

「禪院甚爾だよ。あ、今は伏黒か」

 

「・・・猿め」

 

「急にどうした」

 

未来夏油の眼が急にヤバくなった。確実に何人か殺ってるよあれは。ゴリラ兼猿と一体何があった。

 

「・・・そういう君はまだ高専に通っているんだね。今は何年だい?」

 

ゴリラについてそれ以上追及することは無く、別の話を振ってきた。地雷の予感がしたため、俺もそれに乗っかることにする。ふ、地雷回避能力は誠で培われているからな!踏んだことで何度死にかけたことか・・・

 

「先週入学したばっか。つい最近までどっかの誰かさんが突っかかってきてあんま楽しめてないけどな」

 

「・・・もしかして、私の事かい?突っかかった覚えは無いんだが」

 

「はあ?そっちだと誠のこと目の敵にしてなかったのかよ」

 

「すまない、誠とは誰だい?」

 

「何言ってんだ。禪院誠だよ。クラスメイトの名前くらい憶えろよ」

 

「君こそ何を言っているんだ。私と君と硝子で三人のクラスだろう?」

 

ここで、ようやく噛み合っていない一番の理由がわかった。

 

「・・・そっちには、誠はいねえのか」

 

「そのようだね」

 

未来夏油は紅茶に口を付けた。

 

「でもこれでわかったよ」

 

「何をだ?」

 

何のことかわからず反射的に聞き返す。

 

「君は私の知っている悟じゃない」

 

その顔は少し、寂しそうにも見えた。

 

「当時の悟はそんなにジャ〇プ作品に嵌っていなかった。それに、悟は基本人を下の名前で呼んでいる」

 

それを言われて、理解した。どちらも誠の影響だ。前者は言わずもがな、後者は初対面には下の名前を呼ばない方がいいと教えられたから、いつの間にか苗字で呼ぶようになっていたのだ。

 

「悟。君は旅行に行くなら北と南、どちらがいい」

 

唐突にそんなことを聞いてきた。意味がわからない。

 

「何でそんなこと答えなきゃならな・・・」

 

言葉に仕切る前に、声が詰まった。未来夏油の眼は真剣で、この選択肢が未来を大きく変えるような、そんな迫力があったのだ。

だから、真面目に考える。考えて、ある言葉を思い出した。

 

『北海道の雪まつりに行きたい!』

 

「・・・強いて言うなら、北だな」

 

「そうか」

 

夏油は立ち上がる。その表情は嬉しそうなのに、どこか寂しそうだった。

 

「きっと君なら・・・いや、君達なら違う結末に辿り着けるはずだ。私はそう確信している」

 

「おい、一体何の話を・・・」

 

「悟」

 

未来夏油の眼を見て喋るのを止めて、聞くことに意識することにした。

 

「あまり未来のことを知るべきではない。そういうのは確か、タイムパラドックスというのが起きてしまうのだろう?」

 

まあ、確かにそれで未来トラ〇クスも苦しんだはず。気になるがしょうがない。聞かないでおこう。俺は頷いた。

 

「それから、これは私の個人的な頼みなんだが・・・」

 

「なんだよ」

 

ここに来て、少し気まずそうな顔をしだした。何頼む気だこいつ。ゴリラ殺せとか言う気じゃないだろうな。あいつ不意打ち効かねえから嫌なんだけど。

 

「出来れば、そっちの私とも仲良くやって欲しいんだ」

 

「はあ?なんでだよ」

 

意外なことを頼まれて思わず聞き返す。正直気まずいし、今更仲良しこよしとはいかないと思うんだが。

 

「そっちでは誠というのが君の親友なのだろうけど、こっちでは私がその立ち位置だからさ」

 

後は察してくれ、とそっぽを向いてしまった。俺としては、そんな頼みを聞く理由はない。だけど、こいつの頼みを聞いてやってもいいかと思ってしまった。

 

「・・・しょうがねえなぁ」

 

俺は立ち上がる。

 

()の頼みだ。やってやるよ」

 

傑は一瞬間抜け面になって、笑った。試しに下の名前で呼んでみたが、意外と違和感が無かった。俺は出口へと歩き出す。恐らく見送っているはずなので、振り返らずに適当に手を振った。さあ、そろそろ行こうか。北へ。

 

 

 

 

 

「デトロイト・・・スマーッシュ!!」

 

回避不可能。そう判断したボールを全力でぶん殴る。その一撃は、ボールに触れた瞬間に黒い火花を伴った。そしてボールは師匠の横にいた呪骸に衝突。その頭ごと貫いてそのまま陣地の外へと出た。

 

「受け取った」

 

更にその先、夏油が動く。黒閃により破格の威力となったボールに触れる。だがこのままでは自分は吹っ飛ぶと判断し、その勢いをいなすようにボールを持ちながら回転。勢いそのまま、もう一体の呪骸に投げた。そして、その呪骸の上半身と下半身が泣き別れることとなった。

 

ボールはそのまま外野へと出ていき、外野に居た呪骸に回収された。これにより、2対2へと持ち込むことに成功した。だが・・・

 

「もう焼肉は諦めろ。お前らに今週の競馬代はやらん」

 

確かに黒閃を決めた。それでも、師匠の全力投球の衝撃を消しきれなかった。それにより、俺の右手は動かなくなった。治したくても術式は使えない。反転術式を使える家入さんは外野にいるため治してもらえない。そして夏油も、ダメージが残っているのにも関わらず、先程の投球で体に大きな負担をかけた。内野に戻ってきたときには息継ぎが激しかった。

そしてそれを師匠が見逃すはずがないのだ。だがそれでも諦めるには早いだろ?

 

「まだ、です!俺は悟を信じてます!あいつの、師匠への恨みを!」

 

「ろくでもねえ信頼だなおい」

 

呪骸からボールを受け取ると、師匠はボールを何度もバウンドさせながら狙いを定める。何で校舎なのにそんなにバウンドするんだよとかは今更突っ込まない。

 

悟が起きる気配はない。そして俺も夏油も、もう師匠のボールを取るほどの体力は残っていない。完全に詰んでいるこの状況に、思わず弱音が出た。

 

「嫌だぁ、肉が食いたぃ」

 

「禪院、今回は諦めよう。次があるさ」

 

「そんなに食いたきゃ自分の金で食えよ。俺より金あるだろ」

 

精神的に弱っていたので本音がモロに出る。

 

「師匠は負けない自信があって奢るって言ったんでしょう?つまり俺らを舐めてたって訳だ。だからこそ奢らせた肉は格別のはずなんですよぉ」

 

理由が邪悪過ぎんだろ、と甚爾はドン引きした。こいつやっぱヤバいわ、と家入は少し恐怖した。友達になるのは早計だったかなぁ、と後悔し始めた。

こいつこれで常識人ぶってるんだもんなぁ。無いわぁ、と4()()が思った。

 

『おい!諦めるには早いだろ誠!』

 

そんな時絶望的な状況の中、俺の頭に聞きなれた声が響いた。それは、間違いなく親友の声だった。

 

「悟!?どうして頭から・・・」

 

倒れている悟を見る。悟の体は家入さんによってアへ顔ダブルピースした状態で横になったままだ。

 

『今、あの世っぽいところから六眼使って気合で話しかけてる』

 

「気合で次元を超えるなよ」

 

想像の斜め上を行く回答が飛び出してきた。あいつ中々起きねえなと思っていたら死にかけていたらしい。マジで何やってんだ。

そんな突っ込み所満載な内容を聞かされ、困惑していた俺に悟がある提案をぶっこんできた。

 

『練習中のあれを思い切りぶちかましてやれ!』

 

あれって、あれ!?いや確かにそこそこ最近少しは使えるようになったけど。

 

「だけど、今の俺には片方の腕しか・・・それに呪力だって半分もない・・・」

 

『誠』

 

悟の言葉が心の底まで響く。

 

『お前なら、勝つさ』

 

「遂に幻聴まで聞こえ始めちゃったよあいつ」

 

「早退するかい?」

 

「・・・」

 

同級生二人に心配され始めてしまった。師匠なんて、無言でこっちを見てるよ。このままあーだこーだ言っていたら病院に連れていかれそうな雰囲気だ。・・・しょうがない。覚悟、決めるか。

 

「夏油。背中支えてくれ」

 

「今度はどうし・・・」

 

「頼む」

 

夏油は一瞬戸惑うが、俺の真剣さが伝わったのか、黙って俺の後ろに周ってくれた。ありがとう。

 

「日天子 影像」

 

俺は詠唱を開始する。師匠はまだボールを投げない。待っていてくれているのだ。俺が全力を出すのを。ならばこちらも全霊を持って相手をしよう。

 

「光の柱」

 

最後の一説を唱え終える。準備が終わったのを感じとったのか、投げる態勢に入った。だがもう一つ、最後工程を加える!

 

「夏油!アレを頼む!」

 

「アレ!?アレってなんだ藪から棒に!?」

 

「あれだ、サ〇デー!」

 

「は!?」

 

師匠のデスボールがくる直前のため、頭が回っていないらしい。やらかした!予め言っておけばよかった!頼む、思い出してくれー!

 

「じゃあな」

 

「あ、これ死ぬ奴ー!!」

 

「このタイミングでふザケルなぁ!!」

 

これにより、全ての工程が終了した。俺は左手を前に突き出し、溜めていた呪力を爆発させる。ありがとう、清ま・・・夏油。

 

「波ァー―――!!」

 

 

 

この時、魂の輪郭が見える甚爾に見えていたものは、白目を剝きながら呪力砲を放つ誠と、誠の右肩を後ろから支えていたことにより風圧で顔がすごいことになっている夏油。そして、親子かめ〇め波ごっこしている薄い五条だったという。

その一撃はコート全体を埋め尽くす一撃で、逃げ場など無かった。甚爾と呪骸はまとめて直撃することとなる。後に、呪骸が一つを除いて無残な姿になったことにショックを受けた夜蛾の姿があったという。

 

 

 

勝者  一年チーム

 

 

 

 

「次ホルモンお願いしまーす」

 

「ひゃーうまい!!」

 

「次これにしようぜ!」

 

「塩&タレ」

 

「最悪だ」

 

俺達は現在、焼肉を食っている。師匠の金で。師匠の金で!ひゃーうまい!!

 

「そういや五条、あの薄く見えたあれは何だったんだ?」

 

「あれ?ああ、六眼であの世から呪力コントロールしてた」

 

「何で何処から何してた?」

 

何度聞いても何言ってるか分からないことを言っていた。原作の六眼にそんな設定はねえんだよ。

 

「なんかこう、誰かと空港で話して・・・気づいたら真っ白なところに居て、誠に話しかけてた」

 

「ねえ、三人共何の話してるの?」

 

「ゴリラが最後の一球投げるとき、俺が誠に話しかけたことについてだが?」

 

「あれ、禪院の幻聴じゃなかったんだ」

 

「六眼にそんな能力が・・・」

 

「いや、六眼の能力って言うか、バグみたいなもんだと思うから次はできねえと思う」

 

バグってなんだバグって。六眼をもっとうまく使えないか全員で色々考えてみたが、結局悟の「多分意味ない」で終わってしまう。マジでやる気ねえなこいつ。そう思っていたらホルモンがきた。

 

「先生先生。明日もゲームやろうよ、私次は寿司がいいな」

 

「おい馬鹿やめろ。俺らの体が持たねえ」

 

この娘何言ってるんですかねえ。自分が一番楽してるくせに、ふざけたこと言ってるなあ?

そう思いながらホルモンを焼く。

 

「そういえば禪院、なんで急に気安くなったの?」

 

家入さんの言葉を聞いてピシッと体が固まった。きやすく・・・?

 

「あ」

 

「無意識だったんだ」

 

「いやあの違いましてね。さっき呼び捨てにしてしまったのも事故と言いますか余裕が無かったんですよなので他意はなくてですね・・・」

 

「私は別にいいよ。気楽な方がいいし。折角の機会だし、全員下の名前でもいいよ」

 

嘘だろ、なんてあっさり。これが、真の陽キャだというのか・・・!伊地知さんが惚れるわけだ。

 

「成程。確かに仲を深めるために、下の名前で呼び合うというのがあるか。なら私の事は傑と呼んでくれ」

 

「乗るしかねえ、このビックウェーブに。悟で」

 

「じゃ、じゃあ、誠・・・」

 

「「「「どうぞどうぞ」」」」

 

「何をだよ!」

 

思わず大声を出してしまい、店員に睨まれた。慌てて頭を下げて席に着く。

 

「次期当主の姿か?これが・・・」

 

「これが次代の当主か。安い頭だね」

 

「安いって言うか、ほぼ価値がないものと俺は思っている」

 

「先生中々容赦ないね」

 

「お前ら・・・!」

 

その後も焼肉パーティーは続き、師匠が降参したあたりでお開きになった。もう食べれない。

 

「それじゃ、明日から交流会に向けて本格的な体術の訓練を始めるから、覚悟しろよ」

 

「交流会?」

 

「あれだよ、京都校と試合する奴」

 

原作では特級呪霊の花御が乱入してきて台無しになった奴である。なんでジャ〇プ作品の試験って乱入者が湧くのだろうか・・・?

 

「まあ、どっちの高専も2年と3年が少ないから数合わせで出るだけな上に、両校一年から出るのも1人だけだけどな」

 

「えー、どうしてですか?」

 

どうせ出るなら、悟たちと一緒に出て荒らしたかったのに。

 

 

「京都校の一年は1人しかいないからな」

 

 

「私達と比べて随分少ないですね?」

 

「そこの五条の坊主が誠を強引に東京校にねじ込んだからな」

 

「へへ」

 

「褒めてねえ。それに、1人殉職してるらしい」

 

「それは・・・残念ですね」

 

「まあそんなんだから、出るのを1人だけ選ばないといけないんだが・・・誠、大丈夫か?顔色が悪いぞ」

 

師匠に言われて、ようやく体と頭が動いた。何故か、すごくショックを受けている自分がいた。

 

「大丈夫です。ちょっとお腹が痛くなってしまって」

 

「・・・そうか」

 

それ以上聞くことは無く、師匠は帰っていった。気を使わせてしまった。申し訳ない。

 

 

 

寮に戻り、それぞれの部屋に向かい、誠と硝子が部屋に戻っていったあと、俺は思い出したかのように傑に話しかける。

 

「あー、傑。ちょっといいか?」

 

「? なんだい悟」

 

・・・なぜだろうか。今日初めて呼んだはずなのに、妙にしっくりくる。違和感はあるが、いやではないその感覚を感じながら続ける。

 

「今度さ、時間空いた時に遊ばね?」

 

「・・・意外だね。誠を通さなければ、私と関わる気がないと思っていたんだが」

 

思っていたよりがっつり見透かされていた。

 

「最初は俺もそう思ってたんだけど、何て言うかな・・・」

 

「なんだい」

 

俺は色々考えて、思い出そうとして、無理そうだったんで止めた。なので、率直に思ったことを言う。

 

「お前と仲良くしたら楽しくなりそうだと思った」

 

それを聞いて口を開いて間抜け面をしたが、次にプっ、と笑った。

 

「なんだいそれは。ドッジボール前とは随分態度が違うじゃないか」

 

「・・・それで?返答はどうなんだよ」

 

俺は気恥ずかしくなり、頭を掻きながらぶっきらぼうに問い直す。

 

「そうだね。なら、明日にでもどうだい?そうだな、桃鉄とか」

 

「いいねえ。なら99年で勝負だ」

 

「乗った」

 

そうして俺達は部屋に戻った。その時の足取りは軽かった。

 





赫でやるつもりが無かった話や設定を出しまくってて大丈夫かこれ、と思いましたが、冷静になったらこれifだから大丈夫か!となって色々詰め込んでおります。
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