五条悟からは逃げられない!   作:創作好き

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沢山の感想、ありがとうございました。
おかげさまで今回もモチベが上がってノリノリで書けました。感謝~!

今回から蒼に戻ります。赫は区切りがいいところで。


再会

 

とあるアパートの一室にて、継ぎはぎ顔の呪霊が自身の顔に触れる。するとたちどころに継ぎはぎは消え、ごく普通の青年の顔となった。

 

「急に顔を整えて、どうしたんだい?」

 

「羂索」

 

呪霊が振り返ると、額に縫い目のある女が部屋に入ってきていた。

 

「友達に会いに行くんだ。だからちゃーんとおめかししようと思って」

 

それを聞いて、女は苦そうな顔をする。

 

「本当に行くのかい?祓われると思うけど」

 

「それはないよ」

 

呪霊は愉しそうに嗤う。

 

「彼は僕を祓えない(殺せない)。友達は大事にする奴だからね」

 

その笑顔は無邪気で、不気味だった。

 

 

 

 

京都校高専、その寮の一室。禪院誠こと俺に新たに与えられた部屋には大剣型新作呪具がドカッと置かれている。それ以外に置かれている物は必需品と、残った趣味のゲームと漫画が少し。あの虚しき弔い合戦から数日後。俺は和名ジュジュツガハラサンこと八乙女玲子に話したいことがあると言われたので部屋で待っていたのだが・・・

 

「それで話したいことが2つあるのだけれど・・・どうしてグラサンがいるのかしら?」

 

「それはこっちのセリフだイカレ女」

 

「お前らマジで懲りねえのな」

 

八乙女が来るよりも先に、和名バカメカクシ、五条悟が来ていたので、ピ〇ミン2で遊んでいたのだ。

先日、俺の部屋を無茶苦茶にしてくれたお返しに地球と一体化させてやったというのに、今日も懲りずに2人は出会って早々喧嘩しそうになっている。

 

「私、誠君に用があるのだけれど、席を外してくれないかしら」

 

「どうしてお前の為に俺が動かなきゃならねえんだ。俺が誠の傍にいて何が悪い」

 

そう言って悟はニヤニヤしながら俺の肩を組んできた。それを見た八乙女の顔は般若の如き様相である。こいつら、俺と戦う時に共闘して仲を深めたように見えたのだが、そうでもなかったのかもしれない。しょうがない・・・

 

「2人とも。山と海、どっちが好き?土も水も潜ると冷たくて気持ちいいと思うぞ」

 

「悪かったわね五条。そのままくつろいでいて構わないわ」

 

「俺も悪かった八乙女。俺は隅で静かにしてるからよ。ササ、話し始めてくれ」

 

2人ともすごいスピードで正座した。分かればよろしい。

 

「それで八乙女。話ってなんだ?」

 

「一つ目は、これよ」

 

正座している八乙女がちゃぶ台の上に置いたのは封筒であった。

 

「これは・・・手紙か?誰から」

 

「この前助けた柳ちゃんからよ」

 

「ああ、あの娘」

 

以前の任務で八乙女が守り切った女の子の顔が浮かぶ。

 

「それって俺のサイドエフェクト(第六感)が告げてた時の任務か?」

 

「それは知らん」

 

なんだ第六感って。お前東京にいたから知らないだろうが。部屋の隅で変なことを言っている奴の言葉は置いておいて、届け先は俺ではなく八乙女だ。だから俺に見せる必要は無いはずなのだが、これがどうしたというのか。

 

「それじゃあ、手紙を読むわね」

 

「どうぞ」

 

俺と悟は耳を傾けた。

 

「刀のお姉さんへ。」

 

刀のお姉さんへ

 

あの日、私達を助けてくれてありがとう。あの後帰ったらお母さん達がいっぱい泣いて大変だったけど、生きて会えて本当に嬉しかった!お姉さんが命懸けで守ってくれたおかげです。私達を家に帰してくれてありがとう!今では美味しくご飯も食べれています。それから、あの時のお兄さんにもありがとうって伝えてください。怪我も治してくれたこと、帰る時にもお化けから守ってくれてありがとうって。本当にお世話になりました。何かあったら、私もお姉さんの力になるからね!

 

「聞く限り、頑張ってお礼を伝えようという気持ちがヒシヒシと感じるいい手紙だと思うけど・・・」

 

「問題はこの後よ」

 

Ps

最近、歩美ちゃんの様子がおかしいです。歩美ちゃんは昔から男子にちょっかいをかけられやすいのですが、最近はちょっかいをかけてきた男子をビンタしたり、股を思い切り蹴り上げたり、陰口を言われると机を蹴ったりすごく暴力的です。あと顔が怖いです。たまに嗤います。誰かを傷つけるのが好きというより、仕返しに躊躇が無くなっています。普段はいつも通り優しいのですが、仕返すときはウキウキしているようにすら見えます。お化けに襲われた経験で逞しくなったと思うべきでしょうか?何か知っていたら教えてください。お返事待ってます。

 

「・・・だそうだけど、こうなった理由に心当たりは?」

 

「いやー歩美ちゃんも立派になったなあ。自己をちゃんと出せるようになってよかったよかった。さーて、おやつでも買いに行こうかなー」

 

「逃げるな」

 

窓から逃げようとしたら八乙女に肩を掴まれた。は、離せ!殺気を飛ばすんじゃねえ!

 

「歩美ちゃんの言動。どっかの誰かさんの噂にそっくりなんだけど、身に覚えがないは通らないわよ」

 

「お、俺は何もしてない!ちょっと相談に乗っただけだ!」

 

「それはどんな?」

 

俺は弁解すべく八乙女の手を振りほどく。そして以前の出来事を思い出しながらゆっくりと語り出した。

 

「えーと、男の子にいじめられるし、他の女子にも嫌われてて辛いって聞いたから、思い切りぶん殴るなり玉潰すなりするといいよって」

 

「荒療法過ぎる・・・」

 

正直に話したら八乙女に呆れられてしまった。だって、これが一番手っ取り早いんだからしょうがないじゃないか。悪いのはいじめてくる奴だし。殺されても文句は言えないし俺が言わせない。

 

「でもそれだと、嗤ったりする理由が分からなくねえか?」

 

「暴力はダメだよって言っててさ、倫理観が邪魔してるんだろうなあと思って、嫌いな奴が苦しむさまは見てて愉しいよって教えたんだよ。後は呪霊を祓う時に嗤いながら叩き潰すのを実践したからかな?」

 

「こいつとんでもねえ爆弾残していきやがった」

 

悟の質問に答えたら『マジかよこいつ』と言いたげな顔をした。いやだって、こういうのは口だけでなく自分がやって見せなきゃダメじゃん。実際それで俺は生きてきた、という手本をちゃんと見せないと。何のために式神の能力をフル活用して呪霊共をミンチにしたと思っているんだ。

 

「八乙女裁判長。被告人、禪院誠への判決は?」

 

唐突に悟がこの状況を裁判扱いしてきた。誰が被告人だ冤罪だ冤罪。

 

「そんなの決まっているじゃない」

 

そうだそうだ。言ってやれ。

 

有罪(ギルティ)!」

 

「誑かすのはダメ!」

 

デスペナルティ(死刑ぇ)!!」

 

「「光輪冷菓(こうりんれいか)発起旋毛自来也双式ノ丸(はっきつむじじらいやそうしきのがん)!!」」

 

「突っ込み切れないから止めろ」

 

こいつら未来のネタを超融合してキメラティックでオーバーさせてきただけじゃなく、前回の使った合体技である螺〇丸モドキを咄嗟に出してきやがった。滅茶苦茶息合ってんじゃん。どうなってんだこいつら。

というか目がちょっとガチだよこいつら。何?このままそれ当てる気なの?それ一応劣化版とはいえ紫だろうが。流石にやめて、死んじゃう。

 

「罪を償いなさい!」

 

「毎回毎回被害者増やしやがって!そんなんだからお前の和名はゼンインバカマコトなんだよ!」

 

「ゼンインバカマコトはただの悪口じゃないかしら?」

 

「そうだな。ならバカマコトでいいか」

 

「ならじゃねえんだよバカメカクシにジュジュツガハラ」

 

人をどこぞの透き通る世界の面がいい女と同じ呼び方にすんじゃねえ。そしてその物騒なものしまえよ。ダメだ、ちょっとずつ近づいてきやがる!クソ!

 

「・・・だあー!わかったよ俺が悪かったよ!柳ちゃんにも謝りに行くし、歩美ちゃんにもうちょい穏便に解決する方法伝授するから!だからそんな物騒な物はさっさとしまえ!」

 

「わかればよろしい」

 

俺が自分で解決するということを聞いて、2人の溜飲が下がった。何で悟も怒ってんだよ。お前マジで関係ないだろ。そう言わなかったのはこれ以上話を長引かせたくなかったからである。だがここで、異変が起こる。

 

「どうした?」

 

悟の手のひらの上に螺〇丸モドキが一向に消えないのだ。そして術者である悟は『あれ?』とか言っている。すごく不穏な空気が充満していた。

 

「・・・これ、どうしたらいいんだ?」

 

「は?」

 

悲報 螺〇丸モドキ 消し方がわからない。

それは、起動し出した爆弾の解除方法がわからない事と同義であった。

 

「さっさと術式解除して呪力を散らせばいい話だろ」

 

「いや、嵐神は八乙女の呪力でできてるから細かい制御が出来なくて・・・」

 

そう、この螺〇丸モドキ。悟の蒼に八乙女の嵐神入れることで、疑似的に虚式紫を再現しているのである。正直覚醒?状態の俺で無かったら死んでいた。マジで死ぬかと思った。それが今、無制限に放たれようとしている。

 

「八乙女、何とかしろ!」

 

「私嵐神ぶち込んだだけだから制御は五条君担当よ!?」

 

「そのぶち込んだ嵐神を制御しろよ!」

 

「嵐神は風を作って集めて放つだけで、放った後の制御なんて想定してないわよ!嵐神に込めた呪力が消費され切れれば自然消滅すると思うけれど・・・」

 

成程。なら適当に待っているだけで消えるのではないか。ああ安心した。また部屋を転居しなくちゃならないのかと思ったよ。体から力が抜けるのを感じる。

が、悟の様子がおかしかった。体がプルプル震えていた。何より・・・

 

「お、おい悟。何故手放そうとしている?」

 

何故かゆっくり螺〇丸モドキを手放そうとしているではないか。そんなことしたら地面に置いた衝撃で爆発するぞ!

 

「もう疲れちゃって・・・全然動けなくてェ・・・」

 

悟の限界が来てるぅー!?

あ、そっか。確か無下限呪術って六眼がないと扱うのはほぼ不可能。そして六眼を持つ五条ですら無下限呪術を使うのはすごく疲れるらしい。ということはだ。そんな無下限呪術の発展技である蒼を使いながら他人の術式の技の制御を同時進行すれば、その疲労は計り知れない。つまりこのままだと制御し切れなくてアレが爆散すると。

・・・ヤバくね?

 

「だああああ!!ああもう、空に向かって捨てて来なさいそんなもの!」

 

俺は悟を窓際まで押し出して、空を指さす。

 

「もし落下したら人死にがでるわよ!?」

 

「じゃあ縛りで生物に損傷を与えられない代わりに効果範囲を広げるなりすればいいだろ!」

 

「なるほど」

 

俺の意図を理解した悟が指を構え、最強のデコピンを放つ!

 

 嘘式(きょしき) 紫雲(むらくも)

 

「それそんなかっこいい名前だったんだ」

 

悟のデコピンから放たれる、俺が見てきた中でも最強の一撃が空に向かって飛んで行った。その空間が歪んで見える球体はドンドン空高く昇っていき・・・下降し始めた。

 

「「「あ」」」

 

そのまま降下していった紫雲は校庭があるだろう場所に落ちた数秒後、爆発音が京都校中に響き渡った。そして一瞬、悲鳴が聞こえた気もする。・・・これ、どうすんの?

 

「さてと。俺ゲ〇ムボーイアド〇ンス持ってきてるけど、ポ〇モンやる?」

 

「いいわね。私のバシャ〇モの力、見せてあげる」

 

「現実から目を逸らすな馬鹿共」

 

何事もなかったかのようにゲーム〇ーイア〇バンスを取り出そうとする2人の肩を掴む。あの爆発どうするつもりだ。

 

「ヘーキヘーキ、言わなきゃばれないって」

 

「誠君知ってる?バレなきゃ犯罪じゃないのよ?」

 

「残穢でバレるに決まってんだろうが理事長共を馬鹿にし過ぎだ」

 

俺は頭を抱えて溜息を吐く。後で文句言われるの俺なんだぞ。あの爺が怪我したのはお前らの流れ弾なのに、文句言ってくるのは俺だったし。いやまあ俺にも責任はあったから大人しく聞いてたけどね?それでも嫌なもんは嫌なんだよ。

 

「おい、どこ行くんだ?」

 

しょうがなく歩き出した俺の背に悟が声をかけてきた。俺は再び溜息を吐いて答える。

 

「様子見に行くんだよ。なんか声聞こえたし、怪我人がいるか確認しないといけないからな。誰かさん達のせいで」

 

「じゃあついでに何か甘い物買ってきてくれー」

 

「私プリンがいいわ。それ食べながら二つ目について話しましょう」

 

「バチ殺すぞてめえら」

 

バチ殺すってなんだ?さあ?という声を背に、俺は校庭へと重い足を動かした。

 

 

 

 

校庭、だった場所に着いた。爆心地はかなり深く抉れており、辺りも滅茶苦茶。直すのに時間かかるだろうなあと考えながら見ていたら、人影を見つけた。遠目からでも誰かわかったので、俺は歩いて近づいた。

 

「理事長、生きてる?」

 

「またお前達かクソッたれ」

 

汚い言葉で俺を罵りながら理事長である楽巌寺が睨みつけてきた。あんたそんなこと言うキャラじゃなかったろうが。

 

「今回は俺悪くねえよ。ほら、怪我したとこ出せ」

 

俺は紫雲が着弾した時の衝撃で怪我をしたであろう理事長を円鹿の能力で治す。その様子を見ながら楽巌寺は溜息を溢す。

 

「お前の周りにいる変人共が何かやらかすのはどうにかならんのか」

 

「逆に聞こう。あいつらを制御できると思うか?」

 

楽巌寺は一瞬考えて、考えるのを止めた。正しい判断だ。俺の周りには基本的に変な奴しかいないからな。常識人は俺しかいないというのが辛いところ。やれやれ、師匠や奥さん以外のまともな人間と交流をしたいよ俺は。

 

「少し目を離した隙にお前の周りには変な奴らがすぐ増える。お主、フェロモンか何かが出ているわけではないだろうな?」

 

「セクシーマコトですまない」

 

「殺すぞ貴様」

 

俺は元気そうに殺意を出す姿を見てケラケラ笑う。てかこれ俺が悟たちの立場になってて、楽巌寺が俺の立場になっているのか。ならさぞウザいであろう。俺もそう感じたからな!ちょっと愉しい。

 

「ほらおじいちゃん終わったよ。次からは怪我しないように気を付けてね」

 

「誰のせいだと・・・」

 

楽巌寺はまたも溜息を吐くと、学舎へと歩いて行った。後日、五条家と禪院家に多額の賠償金が請求され、俺と悟のポケットマネーが少し減った。

 

 

 

 

「プリンか・・・俺も食いたくなってきたな。せっかくだし、高いところ寄ってこうかな」

 

あの後、俺は高専から出て街に繰り出した。せっかくプリンを買いに来たのだから、美味しいものを食べたい。そう思って、俺は町の中をくまなく探し回った。だが中々良さげな店は見つからない。

 

「どーしようかな・・・」

 

次はどこを探そうか考えていた。ここまで探したのだ。諦めてコンビニで済まそうという選択肢はなかった。

 

「まーこと!」

 

そんな中、懐かしい声がした。本当に懐かしい、聞きなれた声に呼び方。それは、転生する前の記憶だった。俺はほぼ無意識に振り返る。

 

(ほお)(ずき)?」

 

「や、久しいね」

 

衝撃で動けない俺とは対照的に、前世の唯一友人の鬼灯は、まるで獲物でも見つけた肉食動物のように生き生きとしていた。

 

 





ようやく蒼の初期から構想していたところまで来た。な、長かった・・・
でも寄り道こそが一番の近道だったってセリフもあるし、多少はね?
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