五条悟からは逃げられない!   作:創作好き

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高評価とここすきと感想と誤字修正、本当にありがとうございます!




多重魂

 

吾輩は禪院誠である。余裕はもうない。

 

冷静に状況を整理しよう。

まず、俺の周りにいるのは例の特級呪霊だろう。人型で四本腕、言葉を喋る。全て一致している。だが気になる点が3つ。

 

一つ目はこいつらの見た目が宿儺の指を食った呪霊に似ていること。全体的な配色や顔はだいたいあの呪霊だ。恐らく、こいつは宿儺の指を取り込んでいるからだろう。四本腕なのも元の宿儺により近づいているからなのかもしれない。

 

二つ目は五体いること。それも、全く同じ見た目で同じ呪力だ。つまりこの五体は同一個体ということになる。考えられるのは術式によるもの。分身を作る術式・・・懐玉に似たようなやついるなおい。

 

三つ目は見覚えがある結界術によって領域全体の必中効果が完全に消えていること。さっきから5体のうち3体が手印を結び続けている。奴らが手印を解かない限り、領域の必中効果が使えることはないと考えるべきだろう

 

取り敢えず、会話を試みることにした。何人も殺している点から、こいつらを祓うことは確定しているが、俺の予想では俺一人で祓うのは厳しい。なので、俺としてはここで戦いを避け、式神に尾行させて後日確実に祓いたいのだ。

 

「お前らは誰で、目的はなんだ」

 

【私はただ、食事をしたいだけだ】

 

適当に問いを投げかけたら、かなりはっきりとした発音で返ってきた。情報通り、日本語が伝わるらしい。

 

「食事ねえ。呪霊って別に人間食わなくても生きてられんじゃねえの?」

 

【私には力が必要だ】

 

【もう誰にも縛られない強い力】

 

【真人を殺せる力が】

 

「は?」

 

真人って言ったか今。いや待て、落ち着け。名前が同じだけの人間の可能性もある。まだ慌てるときじゃない。取り敢えず、顔の特徴でも聞いてみようか。

 

「な、なあ。その真人って奴の顔って、継ぎはぎだったりする?」

 

【・・・お前、あいつの仲間か】

 

五体の呪力が高まっているのを感じるが、内心それどころではない。早い、早すぎる。もう原作ブレイクが深刻化してるんですけど!?これ、俺のせいかな!?

 

「いや、別に仲間とかではない。ちょっと知ってるだけ。・・・ということはだけど、お前らってもしかして呪霊というより改造人間?」

 

【おお、よくわかったな】

 

【真人は僕を作って色々食べさせた】

 

【でも気持ち悪いこともされた】

 

【逃げ出すのも大変だった】

 

「お、おう。大変だっ・・・」

 

【一番辛かったのは飯がまずい!】

 

【改造人間は味が悪い!】

 

【でも生の人間は上手い!わたし味がわかる!】

 

【特に悲鳴はキモチイイ!】

 

「・・・」

 

想像以上に気色が悪くって、作り笑いが消えた。

 

【中でも味がよかったのはじゅじゅちゅし!】

 

【おいしくておいしくてたまらないの!】

 

【でも最近は集まってて食べにくい】

 

【だからここまで走ってきた】

 

【なあ、お前の事も食べさせぶぎゅっ!!】

 

目の前の呪霊の足元から玉犬が飛び出し、顎を引き裂く。すかさず胸を貫き、別の呪霊へと投げ飛ばした。そして玉犬はすぐに姿を溶かし、影になる。

 

「そうか。お前たちのスタンスはだいたいわかった。要するに生きるためじゃなく、趣味のために俺達を殺すわけだ。」。

 

ああ、よかったよ。この改造人間(じゅれい)達を何の憂いもなく殺せる(はらえる)

 

俺の後ろにいた呪霊が大きく後ろに下がった。5体で喋っていたが、あれが本体ということだろう。とは言っても、もし懐玉編の呪詛師と同じ術式なら全部祓わないといけないが。

 

「こいよクズども。一匹残らず潰してやる」

 

最初に動いたのは俺の後ろにいた呪霊。そいつがまっすぐ殴りかかる。俺はそれを振り返らずにしゃがむことで躱し、右足で足払いをして体勢を崩す。

 

次に左から別の呪霊が・・・めんどくせえ、こいつ呪霊Bな。さっきのはA。呪霊Bが蹴りかかってきたのを、足元の影から現れた玉犬が切り裂こうとしたことで後方に下がらせる。

 

その直後、呪霊Cが高く飛び上がっていた上から光の矢を放ってくるが、影に潜ることで回避する。

 

回避は今のところ問題なし。なんせ、この領域内では俺に死角はないからな。

俺の術式は十種影法術。十種類の式神を操る術式だが、一番の特徴は式神が術者の影でできているということだ。そしてこの領域の影は全て、俺の影という扱いをされている。さらに、式神の視界は俺と共有可能。

つまりだ。この領域の全てを見ることができる。

 

それじゃあ、まずは一体潰そうか。俺は呪霊Dの背後の影から出て、後頭部目掛けて思い切り殴った。

 

【どうやって移動した?】

 

「ッチ」

 

俺は呪霊Dから距離をとる。確かにもろに入ったのにこの反応。それに硬いというより、殴った衝撃が流されているような感覚だった。俺は即座に術式をメインにした戦法に切り替える。

 

超獣擬我 万象 ハイドロ凡夫

 

両手を合わせ、その間から高出力の水が飛び出す。それだけじゃない。ハイドロ凡夫を発射する直前、俺は脱兎達をあちこちで飛び跳ねさせた。そしてそのうちの一匹にハイドロ凡夫が命中し貫通・・・することはなく、別の脱兎達へと枝分かれていった。

 

俺のハイドロ凡夫は他の俺の影にぶつかる際、屈折・分散させることができる。それも、勢いを殺すことなくだ。次々に枝分かれていくハイドロ凡夫は呪霊達の逃げ場をあっという間に潰した。スライム流奥義・・・

 

神之怒(メギド)

 

そして、無数のハイドロ凡夫は呪霊達の頭を貫かんとした。だが、これらも意味をなさなかった。俺の神之怒は、奴らに当たる直前で露散したのだ。でも、これで終わりじゃない。

 

「ならこれでどうだ」

 

超獣擬我 鵺 ザケル

 

超獣擬我によって術者本人を介して放たれる雷撃。式神を通さない分呪力効率が上がり、出力が更に上がった雷撃。そして先ほどの神之怒によって水は領域内に分散され、感電しやすくなっている。そして予め自分に張っておいた影の膜が絶縁体となり、俺に感電することはない。このコンボこそが、俺の十八番だ。これで倒しきれなかったのは三人しかいない。

 

悟はシン陰と落花の情と六眼による先読みで対処、師匠はフィジギフの性質上必中じゃないのをいいことにパーフェクト回避、ドブカスはシン陰張りながら神之怒と神の裁きを術式で止める。

 

なんなんだろうな、この三人。特にドブカス。どうして雷を投射できるんですかねえ・・・

 

【はは、やっぱりえげつないな】

 

【こうでなければ面白くない】

 

んで、倒しきれなかったのが5人も増えた件について。全く効いてねえ。

 

【今度はこっちの番だ!】

 

呪霊Aがまっすぐこっちに跳んでくる。関節技・・・は多対一では無理だな。もう一回殴ってみるか。呪霊Dには効かなかったけど、他の個体には物理が効くかもだし。

 

超獣擬我 万象 ———

 

俺の右腕が僅かに膨張し、万象の体重が上乗せされる。だが元々は俺の影。その重さを俺は感じない。要するに、火力は上がる代わりにスピードは下がらないという意味不明な能力だ。まあ、ハイドロ凡夫と比べて燃費はよくないので多用はしないが。

 

他の4体が動く気配はない。なら思い切りやらせてもらおう。Aの動きに合わせ、カウンターを叩き込む!

 

—— 象銃(エレファントガン)

 

顔面にもろに入った。殴った勢いで呪霊Aを影に叩きつける。だが、先程と同じ感触だ。こいつら全員に打撃は効かないと考えた方がいいな。

 

【お返しだ】

 

叩きつけられた呪霊Aは即座に俺の足を掴む。そして寝た状態で拳を振るった。そんな無茶な体勢で大した威力が出るわけがない。そう思ったが、少し嫌な予感がしたため俺は脱兎と影代わりを行った。

 

—— 災禍転呪 ——   

 

想像の十倍くらい脱兎が爆散した。

 

「っぶねえ~」

 

【俺達のバトルフェイズは終了してないぜ】

 

呪霊Bの飛び蹴りをバックステップで回避。すかさず背後から放たれる呪霊Cの光の矢もノールック回避。お返しに呪霊Cの背後に玉犬を顕現。その鋭い爪で背中から腹を貫かせた。唐突に現れた式神に驚いたが、即座に裏拳で牽制。玉犬は下がった。

この領域内でなら手印を結ばずとも式神を顕現できる。さっきの玉犬もそうだ。ただ、今は必中効果がないため、攻撃を外した時のことを考えて乱用はしない。

 

次に飛び掛かってきた呪霊DとEを大蛇大蛇(オロチ)の尾によって吹っ飛ばす。なるほど。見た感じダメージは無いが、吹っ飛ばすことは可能なのがわかった。ショック無効じゃないことがわかっただけでも十分だ。

 

脱兎以外の攻撃が得意な式神の登場により呪霊達の警戒度が上がり、攻撃が止む。大蛇は姿を消し、玉犬は俺を守るように前に立つ。丁度いい、今のうちに考えをまとめよう。

 

今のところ、5人に増える分身。衝撃を軽減する。光の矢を放つ。水を露散させる。電撃を無効化する。

 

そして、これはまだ推測の域を出ていないが、受けた衝撃を攻撃に変換する術式もある。根拠は脱兎の分身を粉砕したあの一撃。いくら呪力がこもっていたとしても、あの体勢からあの威力は違和感を覚えた。せっかく衝撃を減らせる術式があるんだから、カウンタータイプの術式もあるんじゃないかというメタ読みだが。

 

今のところ、こいつらが見せた能力がこの6つだ。

 

どれも統一感はない。相手は複数、もしくは俺と同じ万能タイプの術式持ちと考えていたが、恐らく前者だろう。だとすると、まだ隠している術式があってもおかしくない。ふざけんじゃねえ、原作でだって複数の術式持ってんのけんじゃくと宿儺だけなんだぞ。なんでこんなぽっと出の奴がラスボス候補二人と同じことしてんだクソが。

 

「お前たちの術式って、食ったやつの術式でも使えるの?」

 

【せいかーい。名前は『摂呪』。対象の頭を食べることでその術式を使えるようになるんだ―】

 

【だから、お前の頭も食わせろ】

 

【というか、かなりきつそうねぇ。今のところ相性、かなり悪いんじゃない?】

 

確かに俺の主力技は尽く無効化されている。まるで狙ったかのように。

領域外にいる金剛が増援を寄越してくれているだろうけど、いつ来るかわからない。そして、こいつら相手に長い間持たせられる気がしない。

 

影代わりは確かに時間稼ぎに向いているが、燃費が悪いから多用はできない。それに領域込でこの状況。だが、領域の長時間の維持は難しい。何度も練習したけど、悟相手に全力の戦闘で10分経つと術式が焼き切れてしまう。その10分までに増援が来るのを待つのは厳しい。

 

一応、一日に2度までなら領域は展開できる。問題は領域が解けた後。マシなのは術式無しで何とか持ちこたえる。最悪なのは領域外の二人が人質にされること。金剛には悪いけど、あいつにこいつの相手は任せられない。

 

「やるしかない、か」

 

こいつは原作にいない、俺と同じイレギュラー。もしここで逃したら、どんなふうに原作ブレイクするかわからない。

 

いやまあ、もう既に原作ブレイクしている気がするけど色々しょうがないし。懐玉編は無理だけど、せめて乙骨でてくる0までには海外逃亡するから本編がブレイクすることはないだろうし。

 

現時点の大きな変更点と言えば、師匠の術師化、混沌を極めた禪院家、五条悟の親友が変化、禪院家と五条家の同盟くらいだし!

 

・・・よし、深く考えないようにしよう。まずは目の前のイレギュラーの対処だ。

 

斬撃系が有効なのは玉犬で確認済み。打撃系もダメージはないものの完全無効化ではないことがわかった。未知数な部分は多いが、もうやるしかない。残りの切り札2枚を切らせてもらう。俺は足元からあるものを射出し手に取った。

 

 

それは、剣と言うにはあまりにも大きすぎた。

大きく、ぶ厚く、重く。そして、大雑把すぎた。

それは正に、鉄塊だった

 

 

これこそが対特級呪霊に作らせていた呪具、『逆柱』だ。見た目は馬鹿デカい大剣だが、中身は精密機械で、何も考えず振り回せば壊れる狂気の武器だ。ワイルドだろ?後結構重い。今までずっと影に入れていて体が重かったから、ようやく身軽になれる。

 

中には予め呪力を圧縮して込めてある小さな呪箱が入っており、それを中で潰すことで一時的に膨大な呪力と呪力出力を手にすることができる。

 

試運転はしているものの実戦はこれが初めて。2級くらいの呪霊に試したかったが、贅沢は言ってられない。

 

新たな呪具の出現に呪霊の警戒度が上がる。それを無視し、俺は逆柱で圧縮された呪力を使うことでもう一つの切り札を呼び出す。

 

とある戦い経て、いつの間にか俺の式神になっていたそいつは強力ではあったものの、領域がなければ呼び出すことすらできない代物。

 

というか、何で虎葬が乗っ取られてるのかがマジでわからん。調伏する前に消えちゃったし。

 

まあそんなわけで、こいつはずっと前から俺の手元にいる。領域内でしか呼び出せないため、こいつを知っているのはごく一部。正に鬼札。

 

俺は確かな信頼と畏怖を込め、そいつの名を呼ぶ。

 

「来い、赤虎!!」

 

かつて屠られた赤き怪物が、混沌の世界に降臨する。

 

「さあ、全力全開でぶっ飛ばしていこうか」

 

二体の獣を従えた悪魔は、金棒を携えて力を振りかざす。

 

 





今まで説明してこなかったので、誠の術式の開示をします。ついでにオリジナル呪具も。

十種影法術

術師の影を媒体に十種類の式神を従える禪院家の術式。禪院誠は主に影を扱う部分に注目し、多くの拡張術式の開発に成功している。代表例は影針・影分身・影代わりなど。他にもあるが、その多くは他者の影に干渉するもので、それらは呪力消費量が多くなるためあまり使わない。
超獣擬我は式神の能力に注目した拡張術式。式神の能力や体の情報を基に魂を変化させる拡張術式。式神を出さず、直接能力を使うため呪力消費量が少なくなるが、多用すると気分が悪くなる。

逆柱

禪院誠が考案した呪具を禪院家の呪具開発チームが実現させた対特級呪具。以前五条悟が京都校に訪れた際に持ってきた大剣の正体。素材には一部、呪力を込めると強度が上がるオリジナルの素材が使用されている。
見た目は大剣だが中身は精密機械であり、一部の呪術師からは呪具ではないと非難されている。能力は中に装填されている呪箱を潰し、所有者にその呪力を一時的に分け与えるというもの。短い時間だが、爆発的な呪力量と呪力出力を手にすることができる。考案者曰く、とある作品の道具ととある呪術師が作った結界術を込めた呪具を参考にしたらしい。
振り回すには大きすぎる点、十分に呪力を流していなければ簡単に壊れる脆い点、そもそも呪箱を潰した際の爆発的な呪力をコントロールできなければ爆発するなど、問題点は多くある。
だが、これらの問題を解決する目途はたっている。この呪具が量産されれば、呪術師不足も死亡率も解決する。これは次代の呪術師に繋がる革命の呪具、その試作品。そのことに考案者だけが全く気付いていない。
一番の問題は貴重な素材を使うため、そもそも量産に向いていないことである。これに関して、案はあるものの解決の目途はたっていない。
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