誤字報告もすごい助かってます。ありがとうございます!
今回でようやくタイトル回収できました。長かった・・・。
「よお、久しぶり。元気にしてたか?」
幼さがあるが、どこか引き込まれるような力ある声はよく耳に残る。髪は絹のように白く、その美しき蒼い眼は、どういうわけだが俺から目を離さないでいた。
と、いうわけで五条悟です。言葉を慎め。今際の際だぞ、俺の。
いや早いて。なんでその日のうちに会いに来てるの?というかどうやってこの屋敷に・・・いや五条悟に常識なんて通用しねえな。どうせ空飛んで静かに侵入したとかそんなオチだろ。
それよりも目が怖いです。何で愛しの君をようやく見つけたかのような歓喜と狂気を目に宿らせつつ顔が師匠戦二回目になっちゃてんの?
というか黒閃を二回もくらってもう立ち上がってくるなんて・・・そこまで考えて、一つの答えにたどり着いた。
「まさか、反転術式・・・!」
「不正ッ解!気合で立ってるだけだ!!」
「馬鹿なの?ねえ馬鹿なの?気合で立ってるだけだ、迫真。じゃねえんだよ怖えよ何がそこまでお前を突き動かすんだよ」
口端を更に上げてそう宣う馬鹿に思わず本音をぶつける。いや笑顔で言うことじゃねえんだもん・・・
「何だ?心配してくれてるのか?優しいじゃないか」
「あ・た・ま!おかしいのかてめえは!心配じゃねえドン引きしてんだよ!」
そういうと、さらにケラケラと嗤った。今更だが遠慮なくタメ口になっている。だがそれを気にしている余裕はない。だってこの子、怖い。人間に対してここまでの恐怖を抱いたことなんてないんだけど・・・。
「・・・んで、本当に何しに来たんだ?その様子だと、今日中の再戦は難しいだろ」
ドン引きしていると、改めて五条悟の姿を見て気が付いた。頭に包帯を巻きつけ、手足に湿布が張られているのがちらりと見えた。俺と組手をしている時のものだろう。そして反転術式は使ってないとすると、こいつも俺と同じくボロボロ、もしかしたらそれ以上だろう。だから戦えないはず・・・だよな?
「お、また戦う気があるのか!どうする、いつやる?俺は今からでもいいぞ!」
「やらねえよ!?単純に仕返しに来たと思っただけだわアホ!あんな喧嘩何度もやってたら、いくつ命があっても足らんわ!!」
そう言って全力で戦闘の意志があることを否定するが、五条悟は「ふーん」とどこか嬉しそうにしていた。な、なんだこいつ。考えがまるで読めん。
そう言えばどこかで聞いたことがある。この世で最も怖いのは強いものではない、未知のものであると。今のコイツは未知そのものだ。さっき初めて会った時は見下していたのに、今では目をキラキラさせて話しかけてきやがる。悪意が一切ない。何ならこちらに友好的に接しようとすら感じる。何この子、怖い・・・何考えてるかわかんない奴が一番怖い。
それにさっきから拒絶しかしてない気がするけど、それでも負の感情が見えない。それどころか何言っても喜びそうだ・・・無敵かコイツ。
「はあ・・・ほんとに何しに来たんだよ・・・」
「あ、そうだ。忘れるところだった。なぁお前、名前なんて言うんだ?」
「・・・へ?」
想像もしていなかった言葉が飛び出してきて変な声を出してしまった。
「へってなんだよへって。ふふ、へって・・・」
「いや、すまん、何て言ったかもう一度言ってくれないか?」
「ん?だから名前教えろって」
名前。なまえ。君〇縄。Name。・・・Why?
「オデ、オマエ、ワカラナイ」
「うお、急にどうしたお前。俺との戦い・・・じゃなかったな。喧嘩で頭おかしくなったのか?」
俺が錯乱状態になったら心配をしてきた謎の生命体X。彼の目的が何なのか、それを探るため、私はアマゾンの奥地へと足を踏み入れることにした。
「・・・すまん、ちょっとショートしただけだ。問題ない」
「お前人型ロボットだったのか・・・?」
「夢は猫型青狸ロボットに改造されることです」
「劣化してんじゃねえか」
何を言う。かの有名なロボットは様々な道具を駆使する高性能ロボットだぞ。寧ろ人型より上だわ。ポケットさえあればロボットはいらないとか言ってはいけない。
「話が逸れたな。えっと、名前だっけ?まさかそれを聞くためだけにここに来たんじゃあるまいな?」
「そうだけど?」
マジかこいつ。その体で起き上がってやる事がそれかよ。最強の考えることはわからん。
「なあ教えてくれよー?」
うお、なんか急に駄々こね始めた。これ以上長引かせると順転ぶっ放してきそうだな・・・取り敢えず教えるか。
「誠。禪院誠だ」
通称禪院モブA。(ノルマクリア)
これで気が済んでくれると助かるんだが・・・
「オッケー、誠ね。知ってるだろうけど俺は五条悟だ。じゃあこれからよろしくな、誠」
「ピギッ!?!?」
俺は奇声と共にその場に跪いた。
「うおどうした誠!?」
「はがっ!?」
五条悟の呼びかけよって更にダメージが入った。
な、何故だ。何故下の名前で呼ぶのだ・・・?いきなりすぎる、名前呼びって友達同士で行われる習慣ではなかったのか・・・?
はっ!!五条悟は学生時代、明らかに陽キャだったではないか!つまり、これが陽キャの距離感ということか。なんて恐ろしい生き物なんだ、陽キャ。
陽キャを名乗る馬鹿どもなら怖いと思ったことなどない。蹂躙してやればその脆い鎧は砕け、ちっぽけな本性が露となる。
だが真の陽キャは違う!!奴らには陰りなどなく、平気な顔でこちらのパーソナルスペースに土足で踏み込んでくる真の強者!つまり、パーソナルスペースを命とする陰キャが最も恐れる存在だ!!
そして五条悟の本性は陽キャ!こいつは作者が認めるクズだったが、陽キャであることを忘れていた!俺はなんて初歩的なことを忘れていたんだ・・・。
今の五条悟は何考えているのかよくわからない陽キャということになる。ああ、こちらを心配そうに見てくる少年が最強に見える。
陽キャ怖い。
・・・いや元から最強だわコイツ。
俺は何とか立ち上がり、最強に向き直る。そうだ、何を怯えているんだ俺。俺は仮にもその最強を打ち破っているんだぞ?つまり俺は最強の陽キャよりも強い!
なんて完璧な理論なんだ!ならお前ならば大丈夫なはずだ。頑張れ誠!頑張れ!
「いや、何も問題ない。気にしないでくれ」
「そ、そうか?それならいいんだけど・・・」
「それにお前、これでもう用は済んだだろ?ならもう帰れ。いや、1人だとよろしくないな。しょうがねえ、じゃあ送って・・・」
「なあ」
やるよ、と言い終える前に五条悟に止められた。
「なんだ?」
「俺、おまえじゃなくて悟なんだけど」
一瞬理解できなかった。だがその一瞬で俺の頭の中で五条悟の言葉が何度も反復し、その真意を探った。その結果、一つの解が得られた。
「・・・まさか」
「お前も名前で呼べよ」
下の名前呼びの強制だと!?こ、この陽キャ、まさかこちらが陰キャである事に気づいていないというのか!?そんなバカな。俺の陰キャレベルは50。前世からベテランの陰キャだ。チャンピオンロードにだって挑めるぞ!このレベルで気づかないなんてありえるはずが・・・
——その瞬間、突如として脳内に溢れだした
『チーズ蒸しパンになりたい・・・』
『今からてめえを屈服させる!!』
『気にすんなクソガキ。お陰でぶっ飛ばし方が思い浮かんだから』
『アッハッハッハ!!』
・・・これ陰キャじゃねえ、ただのやべえ奴だ。
とにかく、俺にいきなり下の名前呼びは厳しい。全力で抵抗する!
「い、いや別に下の名前で呼ぶ必要はn、オーケー名前ね人間の大切な呼び名だせっかくだし呼ばせてもらうよそうしよう!!」
無理だったよ。無言で手印を結ばれたら呼ばざるを得ないんよ・・・
「えっと、さ、悟・・・」
段々と声が小さくなりながらも名前を呼ぶと、五条悟、いや悟はパァッと顔を輝かせた。陽キャってみんなこんな感じなのだろうか・・・。
「じゃあこれからもよろしくな、誠」
「ああ、よろし・・・ん?これからも」
悟の言葉にちょっとした引っかかりを覚えた。何だろう、嫌な予感がする。
「そりゃそうだろう、俺達友達なんだから。明日も来るぜ」
ここで一つ、俺はあることを思い出した。
——————
これは仮定の話だが、もし五条悟に興味を持たれ、仲良くなった場合、俺は海外逃亡しづらくなるのではないか。
ほら、よくあるではないか。五条悟の好感度を上げ過ぎた結果、「お前を逃がさない!」的なあれ。
—————
もしかして、俺が危惧していた事態が起きている?何故だ、そんな事態が起こるはずがない!だって俺は、悟に声を掛けられ、悟と喧嘩し、悟に勝利しただけだろ!
・・・条件、満たすどころかコンプリートじゃねえか。
「ああ、うわあ・・・」
俺はようやくことの重大さに気づき、
「
俺の絶叫は屋敷中に響き、その光景を悟は愉しそうに眺めていた。
その後、俺を心配した諸悪の根源達が駆け寄り、悟の存在にてんやわんや。そこは俺が収めたが問題はその後。なんと、宴に五条家の当主が乱入していて爺さんに五条家で壊れた場所の修理費を請求しているらしいのだ。
楽しい余興の最中に水を差されて爺さんはぶちぎれ寸前。五条家の当主も部屋に掲げられた横断幕に『祝 五条悟撃破記念!』と書かれているのを見てぶちぎれているらしい。
うん。家壊されて自分の息子をぶっ飛ばしたことを祝われてたらそりゃキレるよね。というかキレる要素しかねえ。そしてその原因が全て俺というね。控えめに言ってヤバいね。
そんな混沌と化した会場を何とか収めてほしいと頼まれたわけなんだが、「それを原因となった人物に頼むとか正気か?」と言ったら悟が爆笑してた。いや笑い事じゃないんだが。
さて、そんなこんなで帰って来ました我等の宴の会場。おお、空気がばっちぇ冷えてますねぇ。そしてその中心では、熱い口論が行われています!行きたくねえ・・・。
視線を移すと、その光景を見ながら飯を食らう師匠とドブカスの姿が!あの2人ちょっと面白がってるとか性格悪すぎるだろ。確かに見てる分には面白いけど・・・
と、ここで俺の存在に師匠が気づいた。お前の出番だぞと言いたげな表情で、今禪院家で最も熱い場所に向かうよう訴えてきた。ドブカスも「頑張ってえなあ」と小声で言ってくる。後で生け花の刑だ。
俺はゆっくりとおっさん2人に近づいた。それに気づいた2人はそれぞれ違った反応を見せる。方や「やっときたか」といい、もう片方は顔を青くした。そんなに体調が悪いなら来なきゃいいのに・・・
「お二人とも、このような場所で言い争いはお止め下さい。それに五条家の当主様が今日いらっしゃるという話は聞いていないのですが」
そういうと、五条家の当主は俺にびびりながらも物申した。
「ふ、ふざけるな!屋敷を破壊したうえ、私の息子に怪我を負わせたお前が言うのか!」
まさに!正論!返す言葉もありませぬ!と、いうわけで退散するとしよう。
「待てよ。このままじゃせっかくの宴が台無しだぜ?」
部屋に帰ってマンガ読みながら寝ようとした俺に声が掛かった。振り向くと、それは宴のお題目、五条悟であった。まあさっきから部屋の外で待ってもらっていただけだけど。
「悟、だがこのままでは・・・」
「俺別にこいつに負けたこと気にしてねえけど?」
「ぬぐ・・・だが、このままでは・・・」
「五条家の面目とかどうでもいいんだわ俺。そんなに気にするんならさ、今回の喧嘩は実は和解の為の御前試合だったってことにしておけばいいじゃん」
「ど、どういうことだ?」
「五条家と禪院家が仲悪いのは、昔の六眼と無下限呪術の抱き合わせと十種影法術持ちが御前試合で相打ちになったことが原因でしょ?なら現代の呪術師の二人が、同じように御前試合をして、それをきっかけに和解したって筋書ならそれなりに面目は保たれるんじゃない?」
「和解って悟、お前、そのこ、小僧を許したのか?」
五条家当主の問いに悟は口角をニイッと上げ、俺に肩を組んだ。あ、これダメな奴だ。
「俺、こいつと友達になったから。な、誠?」
「・・・あ、ああ。そうだ。悟は友達だ」
俺は悟の圧に負けて、首を縦に振らざるをえなかった。でなければ多分殺されていただろう。
そして俺の言葉を皮切りに、禪院家の屋敷の外まで響くような絶叫が響くことになった。
俺の人生はおしまい!!
ようやく見つけた、俺の隣を歩ける奴。
情緒は不安定、言動は無茶苦茶。頭は最っ高にイカれてる。
一緒にいて絶対に飽きない奴。
俺のことを見て、遠慮なく言葉を投げてくれる。
俺が言葉を投げかけたら、バットで顔面目掛けて打ち返してくるくらい思い切りがいい。それがどうしようもなく心地いい。
こいつは多分、面倒ごとが嫌いなんだ。目を離したらいつの間にか消えてしまいそうな気がする。だから、外堀を埋めよう。周りがこいつを逃がさないようにし、しがらみを増やし、足枷をつけよう。
誠、俺はお前を逃がさない。
五条悟からは逃げられない!少年編が終了しました!皆様の応援に支えられてここまで書ききれました!ありがとうございます!
この後は直哉視点、直毘人視点、日常回を書いて高専一年生編を書こうと考えています。そこで問題なのは東京校と京都校のどちらに通わせるかです。
正直悟と同じ任務だとシリアスになりえないので日常系の話になるかなあと思ってます。逆に京都校だと呪術廻戦らしい話が書けるかなと。
アンケートは次の回に始めます!次回もお楽しみに!!