狐少女の紀行録   作:コギツネ 

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「あるけみすと」というゲームを始めたところ、自キャラの創作をしている方を見かけ自分もと筆を執った次第です。

駄文、一部世界観に合うか怪しいモノが出てきますが温かい目で見守っていただけると……

転生要素など、次回からあるけみすと要素は盛って行きます。

今回はプロローグのようなものと思ってください。


夢、それとハンバーガー

 

 

「おかあさん……おとうさん……どこなの……」

 

静まり返った家に少女の声がこだまする。

 

「いなくならないで……■■■を一人にしないで!!!」

 

その声は届くことなく、空しく響き続けた。

 

_____________________________________________________________________

 

 

 

「……ん、またいつもの夢か。」

 

少女が寝袋から起き上がった。

大きな狐耳と尻尾が揺れている。

 

「全く、気分が悪いよ。」

 

そうぼやく彼女は野営道具を手早く片づけていく。

腰に愛用の刀を挿し、相棒の二輪車である「がら」に乗る。

がらくたから作ったから「がら」だそうだ、名づけのセンスはあまりない。

 

「今日はどこに行くんだ、コギツネ。」

 

そう彼女の名を呼んだのはAIの「アイ」

最初は人形だったのだが、持ち運びに不便だとコギツネが改造してキーホルダーになっている。

もう一度言うが、彼女に名づけのセンスはあまりない。

 

「さあね、手がかりがないことなんてアイも分かるでしょ?」

 

「にしても行き当たりばったりが過ぎるんだよ。ほんと、アンタの両親はどこに行ったのやら。」

 

「それが分かれば苦労しないよ……」

 

軽口を叩き合いながらコギツネは「がら」のエンジンを点ける。

 

「とりあえず南へ、あそこの国の料理はおいしいらしい。」

 

「アンタ、最近そっちがメインになってないか?」

 

「……行くよ。」

 

図星らしい。

 

「はあ……ま、好きにしな。」

 

「(ま、昔比べれば随分いい顔になったもんだ。)」

 

思い出されるのは、彼を拾い上げた少女の顔。

生きる意味を見失ったような、暗い瞳を。

 

だが今は顔をあげれば(キーホルダーなので顔は無いのだが)美食に目を輝かせた(あるじ)が居る。

 

「……フッ。」

 

「なんだい急に笑ったりして……気持ち悪いよキミ。」

 

「気持ち悪いって、失礼だぞおい!」

 

何時もの口喧嘩を載せ、「がら」は南へ走り出した。

 

 

 

 

「……まさか、滅びていたとはな。」

「おかげで食事をとり損ねた……空腹で死にそうだよ。」

 

南へ向かった二人の前に広がっていたのは瓦礫の山だけだったのだ。

 

「金目の物もぜーんぶ破損してたし……路銀の足しにもなりやしないよ。」

 

思考が火事場泥棒のそれである。

 

「それは……ん?」

「どうしたんだい、アイ。」

「いや、向こうに何か……車か?」

 

アイが何かを見つけたようだ。

 

「よし、食べ物を恵んでもらおう。」

 

マフラーが音を立て「がら」が急発進する。

 

「羞恥心とかないのかアンタは……」

 

そうして急発進した二人が目にしたのは

直方体に近いフォルムをしており、ロゴの入った看板とキッチンを携えた四輪車だった。

 

「「……キッチンカー?」」

 

綺麗にハモった二人がまじまじと見ていると、大きく空いた側面から小太りの男が顔を出し

 

「狐耳の可愛い嬢ちゃん!当店自慢のハンバーガーはいかがかな?」

 

と、やけに上機嫌で話しかけてきた。

突然の大声に面食らい、一瞬逃げるか迷ったコギツネだったが

 

「いります、幾らですか。」

 

空腹には勝てなかったようだ。

 

「おう、ちょっと待っててな!そして良ければ俺の話を聞いてくれないか?少しまけてやるからさぁ!!。」

「はい、それでお願いします。」

 

勢いに気圧されたらしい。

こうして四輪の横に設置されているテーブルに座り、男の話を聞くこととなった。

 

「俺がキッチンカーを始めたのは2年前、とある国のハンバーガーを食べた時に……」

 

話が長い。

要約すると2年前、そのハンバーガーの味に感動した彼は、『この味を広めなければいけない!!』という謎の使命感により各地を転々としているとのことだ。

 

「ん?嬢ちゃん、全然食べていないじゃないか。食べな食べな!」

 

自語りを聴いている時というのはどうにも、遠慮して食べづらいモノである。

 

「あ、はいごめんなさい……いただきます。」

 

そう言って彼女はハンバーガーにかぶりつく。

溢れる肉汁、みずみずしいトマトやレタスが舌を刺激する。

彼女の表情がパァッと明るくなった。

 

「おいしい……!」

 

その顔を見た男は気を良くしたらしく、次々と料理を出してきた。

 

「おいしそうに食べるじゃないか! 料理人冥利に尽きるってものよ……ほら、サービスだこれも食べな!!」

 

こうして次々と出される食べ物を横目に呆れ顔をしたアイは

 

「ほんと、美味そうに食べるねえ。今までどれだけ得したんだか。」

 

と、一人つぶやいていた。

 

 

 

「ふぅ……美味しかった。」

「そりゃよかった!俺としてもこれほど美味しそうに食べてくれて満足だ。」

 

二人して恍惚の笑みを浮かべている中

 

「(……売り上げ、大丈夫なんだろうか。)」

 

アイはとても現実的なことを考え遠い目をしていた

 

 

「ところで、店主さんは一人で旅をしているとのことですが護衛などは付けないのですか?」

 

食事もひと段落付き、コギツネは店主に質問を投げかけた。

すると店主は自信満々の笑みを浮かべ、店の奥から一振りのサーベルを取り出した。

 

「もし魔物なんかが来てもこれで返り討ちよ!」

 

曰く、彼は昔兵士をやっていたらしい。

 

「なるほど、ではお手並み拝見と行きましょうか。」

 

男は首をかしげた。

 

「おい嬢ちゃん、それってどういう―――」

 

「向こうの方から5体、大体10秒後に来ます。」

 

店主が言い終わる前に最低限の状態を伝える。

よく見ると彼女のトレードマークの狐耳がピクピクと動いている。

 

「オッサン、こいつは感覚が鋭いんだ、戦闘の準備をしな。」

 

アイにもそう言われ、男も戦闘態勢に入ったとたん

 

『G()*QAEHG*(AY78‼』

 

本当に魔物が襲ってきた。

世間一般では「シャドウスプ」と呼ばれている個体だ。

数はコギツネの言う通り5体、そのうち2体が男の方へ、3体がコギツネの方へ襲い掛かる。

 

「何のこれしき!」

 

男は吠えるとサーベルを抜き、1体に刃を振り下ろした。

その斬撃は魔物を絶命させ、もう1匹の戦意をそぐことに成功した。

 

「嬢ちゃん!今加勢に――」

 

店主はそう言い彼女の方を見て、言葉を詰まらせた。

 

「……抜刀」

 

コギツネがそう言い、刀を抜いた直後3匹の魔物は絶命し、彼女に不定形の光が吸い込まれていった。

かつて兵士だった男にすらその斬撃は見えず、ただ言葉を失うことしかできなかった。

 

結果として残りの魔物は逃げ出し、怪我一つなく襲撃を終えることが出来た。

 

 

「さて、ボクはそろそろお暇します。ハンバーガー、ありがとうございました。」

 

そう言ってコギツネは「がら」に乗り込む。

 

「おう、またどこかで会えたらよろしくな!」

「ええ、またどこかで。」

 

コギツネはそう言い、「がら」のエンジンをふかした。

 

「……店主さん、腰抜かしてたぞ?」

 

「うん……驚かしちゃったのは反省してる。」

 

あの後何が起こったか分からない店主は腰を抜かし、コギツネによってキッチンカーへと運ばれたのだった。

 

「でも、また会えるといいね。あのハンバーガーはおいしかった。」

「アンタホント飯のことばっかりだな。」

「美味しいご飯は生きる力になるんだよ、とても合理的だとおもうけどね?」

「そんなこと言ってるから太るんだよ。」

「……乙女にそんなこというモノじゃ無いよ。」

 

そうしてまた「がら」は走る。

2人分の軽口を載せ、両親と美食を探すため。

 

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