普通に中学生してたら超展開に巻き込まれたヤツ   作:はごろも282

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昨日は朝の光り待てなくて暴れてたことを白状します

今回、ランキングから消えて周知されにくくなったということでちょっとだけ過激です


LR→師匠→克服の時間

 律の加入からしばらく。僕らの生活にもようやく日常が戻ってきた。いつの間にか殺せんせーがいる生活が日常になりつつある。

 

「分かったでしょ?サマンサとキャリーのエロトークの中には難しい単語は一個もないわ」

 

 肌にへばりつくようなじめっと感からいつものように寝ることすらできそうにないため、ビッチセンセーの外国語レッスンを聞き流しつつ授業が終わるのを待つ。

 この教室にビッチセンセーが来てからもう1ヶ月だ。はじめはあんな出会いだったのに、今じゃこうして真面目に授業をするようになって、感慨深い。

 

 6月、既に6月になった。梅雨の時期だ。毎度のことながら雨漏りがありエアコンもないという劣悪な環境のE組で梅雨から夏は地獄である。ちょうど先日も湿気で殺せんせーが膨らんだりキノコが生えたりと謎の生態を発見したりしたが、そんなことが起こるくらいジメジメしているのだ。

 

 そんな中で授業なんか受けてられるか?僕には無理だ。

 

 そういえば殺せんせー肥大化で思い出したが、どうやら前原君関連で色々あったらしい。二股が云々で仕返しがどうの、みたいな話だった。聞くところによるとケッコーな人数が参加していたみたいだったが、僕も参加できなかったのが悔やまれる。どうしてその場に居合わせなかったんだろう。

 殺せんせーが来てから、このクラスの空気は良くなった。前は何処か落ちこぼれ感がずっとあって終わってる空気だったから、こうして楽しそうにみんながしているのは嬉しい。

 

「──いど、宇井戸!聞いてる?」

 

「……ん?」

 

 そんなふうに思考がそれすぎていたのがよくなかった。いつのまにかビッチセンセーに指名されていることにまるで気がつけなかった。

 

「やっぱり聞いてなかったのね。そんなに公開ディープキスが欲しいのかしら?」

 

「ハハ、間に合ってます」

 

「そのキスに慣れてる感じやめなさい。ムカつくから」

 

 罰と称してなにかとねっちょりしたチューをかましてくるのはこの人の悪癖だ。なんならご褒美としてもチューしてくる。とんだドグサレビッチだ。

 なんとかやり過ごして、その後は比較的真面目に受けた。2度目は許されそうになかったからだ。

 

 ☆

 

 面倒な授業も終わり、ようやく帰宅の時間となった。

 

「しっかし、ヒワイだよなビッチ先生の授業は」

 

「下ネタ多いし、アレ中学生が見るドラマじゃねーだろ」

 

 そんな会話を聞きながら、並んで帰宅路につく。会話の中心は先ほどまでのビッチセンセーの授業だ。

 

「でも分かりやすいよ。海外ドラマはいい教材だって聞いたことあるし」

 

 やっぱり、生徒からの評判はいいみたいだ。分からなくもない。教科書通り進められるだけよりも実体験をもとにして面白おかしく話してもらったほうが集中できるというものだから。

 

「なー、宇井戸はどう思ってんだ?」

 

 話すこともないため聞き手に回っていたところ、急に前原君からパスが飛んできた。

 

「……僕?」

 

「おう。今日も注意されてたじゃん?」

 

 ああ、そういうことか。ようは僕がビッチセンセーの授業を嫌ってるんじゃないかと心配してるわけだ。全然そんなつもりはないし、これは安心させてやらねば。

 

「心配しなくても、とくになんとも思ってないよ」

 

「その言い方はどうなんだ?」

 

「僕が集中してないのは殺せんせーの授業も同じさ」

 

「その発言はもっとどうなんだ!?」

 

 だけど事実だ。僕はビッチセンセーだろうと殺せんせーだろうとやる気がないときは等しく聞いてない。だから特段ビッチセンセーがイヤとかじゃないんだ。

 

「あはは……。宇井戸は変わんないね」

 

「ん、そう?」

 

「そうだよ。相手が誰でも態度変えないトコとか」

 

「そーいえば確かに身体検査じゃ相変わらず視力はよかったな」

 

「人の話聞かないトコもね」

 

 冷たい視線。最近渚君からこの目をされることが増えてきた。仲良くなってきた証拠かな?もっとソンケーのまなざしとかが欲しいところではある。

 

「でも、僕から言わせるとみんなもそうだよ」

 

「え、そうかな?」

 

 確かにみんな殺せんせーが来てから変わった部分はある。だけど、そんなに極端に変わったわけじゃないんだ。自分では気がついてないみたいだし、ここは僕がそれを教えてあげよう。

 左から順に前原君、渚君、杉野君だろ?そうだな……。

 

「前原君は相変わらず女好きだしモテる」

 

「お、おう……?」

 

「渚君も前から変わらず女の子だし」

 

「はいストップ!宇井戸ストップ!」

 

「最後、杉野君は…………ねぇ?」

 

「せめてなにかは絞り出せ!?」

 

「冗談だよ。*1杉野君は野球がうまい」

 

「溜めといてソレ!?薄いって俺だけ!!」

 

 ほら、やっぱりみんな変わらないじゃないか。ギャースカ騒がしいのも前からだ。

 

「宇井戸!僕は男!ねえ復唱して!!」

 

「ところでさ、もし女の子にちんちんついてたらそれってバフになるのかな?」

 

「この流れでそんな質問する!?情緒どーなってんの!?」

 

「なあ前原……俺って影薄いのかな……」

 

「ん、んなことねーって!自信持ってけ!?」

 

 *2ちなみに僕はデバフだと思う。まあでも、殺せんせーのおかげで前よりもみんなと仲良くなれたのは事実だ。ビッチセンセーも烏間センセーも、僕らの日常の一部になりつつある。ドタバタと騒がしい日常だが、こんな縁を結んでくれたあの触手には少しだけ感謝してもいいのかもしれない。

 

 ☆

 

 翌日、なぜかビッチセンセーのこの教室残留をかけた攻防が勃発していた。昨日あんなこと考えるんじゃなかった。盛大にフラグをたててしまったみたいじゃないか。

 

 殺し屋屋ロヴロ。

 

 烏間センセーの話によるとあのオッサンは殺し屋の斡旋とかをしている元腕利きの殺し屋なんだそうだ。ビッチセンセーに殺しの技術を教え、ここに斡旋したのもあのオッサンらしい。それで、なんでそんな人がこんなとこにいるのかと言えば、答えは明快。現場視察だそうだ。ビッチセンセーの仕事の成果が上がってこないから様子を見に来たと。しっかり仲介業者みたいなことしていた。

 

 で、その結果ビッチセンセーにはこの仕事は荷が重いみたいな結論になって、無理やり撤収させようとしたところ殺せんせーがなんやかんやして今の状況、と。

 

「──迷惑な話だが君等の授業に影響は与えない。普段通り過ごしてくれ」

 

 僕らに状況説明を終え、烏間センセーは頭が痛そうにそう締めくくった。そう言われても、授業中ずっと烏間センセーを観察している変なオッサンとビッチの視線は気になる。僕らですらそうなんだ、巻き込まれた烏間センセーの心労は比にならないだろう。

 

「――カラスマ先生~♡」

 

 話も体育の授業も終わり、教室に戻ろうとしたときに聞こえた甘ったるい声。どうやら先に仕掛けたのはビッチセンセーのようだ。

 

「おつかれさまでした~♡喉乾いたでしょ?ハイ冷たい飲み物!!」

 

 コレはきつい。知り合い、しかも本性のしれている相手にこのムーブ。ビッチセンセーの最もすごいところはこの胆力じゃないか?僕なら恥ずかしくてできそうにない。現に烏間センセーにもバレバレであり、今も無様に足をくじいたふりを思いっきりシカトされている。あっ三村君たちに諫められた。

 

「なんというか、アレがハニトラの達人とは認めたくないな……」

 

「うん。そこら辺にいる野球部のエース狙いマネージャーみたいだ」

 

「あー、あぁ……あ~~……」

 

 話してた岡島君だけじゃなく近くにいた倉橋さんにも確かに……みたいな共感が存分に詰まった相槌をされてしまった。

 

「というか、ハニトラしか手札ないのかあの人」

 

「ね~」

 

 烏間センセーに効くわけがないんだからハナからやめときゃいいのに。それとも、切れるカードがアレしかないんだろうか。なら欠陥が過ぎるぞこの勝負。

 

「どうなっちゃうのかなぁビッチ先生……」

 

 少し不安そうな声。倉橋さんは矢田さんと二人でビッチセンセーによくなついてるし、もしかしたら僕らよりも心配が強いのかもしれない。

 

「宇井戸君はどう思う……?」

 

「えぇ……?そりゃ単純に考えたらビッチセンセーが烏間センセーに一撃とか無理だと思うけど」

 

「だよねぇ……」

 

 よかった。急に振られたから咄嗟に返答してしまったけど間違ってなかったらしい。

 

「てかさ、あのロヴロって人ビッチ先生に暗殺術教えた人なんだろ?それってだいぶ不利じゃないか?」

 

「うん。僕もそう思う。ビッチセンセーが機敏な動きしてるの見たことないし、ワンチャンハニトラしか──」

 

 ハニトラしか教えられてなかったり、と言いかけて僕は思った。

 

 ──ビッチセンセーにハニトラ仕込んだのあのオッサンなんだよな?

 

 今まで僕はビッチセンセーのハニトラの数々を目撃してきたし耳にしてきた。ねっちょりしたチューだとかその身体をつかったテクニックだとか。それを全部あのオッサンが仕込んだということはつまり……。

 

『あっは~ん……こっこうですか先生?』

 

『違うイリーナ、よく見ろこうだ。……うっふ~ん♡

 

『な、なるほど……!』

 

『決め手は腰のソリだ。手を頭の後ろで組み脇を見せ、腰で扇情さに拍車をかけるッ!』

 

 僕の脳を駆け巡るありえたかもしれない過去の光景。なんて惨たらしい現場だ。想像しただけで吐き気が止まらなくなってきた。あれ?ってことは、ビッチセンセーの悪癖ってつまり……

 

「……えっ!?宇井戸君!?どうしたの酷い顔だよ!?」

 

「今の会話から何を受信したんだおい!?」

 

 ……はっ!?

 

「た、助かった……!?」

 

「何が!?」

 

 思わずあたりを見渡す。近くには心配した顔の岡島君と倉橋さんだけ。

 

「お、おい……どうしたんだ宇井戸?」

 

 おそるおそるといった声色で尋ねてくる岡島君。心配させちゃってるみたいだ。なんて説明したらいいか分かんないけど、とりあえず安心させなきゃの一心で口を開く。

 

「いや、ちょっと扇情的でディープなキスが……」

 

「なにがあったァ!?!?」

 

「うわーん!宇井戸君壊れちゃったよー!」

 

 まずい。まとまらない頭で起こった出来事を伝えようとしたところ、取り返しがつかなくなった。

 

「あ、ちょっ……倉橋さ……ガクガクしないで……!」

 

 まだ回復してないんだ!吐く!それ以上揺らされると吐くから!!

 

「くっ倉橋落ち着け!?とりあえず手を放せじゃなきゃ宇井戸が死ぬ!!」

 

「せっかく仲良くなれたのにビッチ先生だけじゃなくて宇井戸君までいなくなっちゃやだよー!」

 

「……うぷっ」

 

「待て待て頑張れ傷は浅いぞ宇井戸ォ!?」

 

 岡島君の奮闘で大惨事は免れた。

 

 ☆

 

 その後、僕らが知らない間にビッチセンセーの師匠ことロヴロさんは烏間センセーに挑み敗北したらしい。元腕利きの殺し屋を、警戒しているとはいえ簡単に対処してしまうとは。うすうす感じてたけど烏間センセーも大概化け物だ。

 で、それじゃビッチセンセーもやっぱ無理かな……なんて思ってた昼休みのことだ。

 

 外でひとり食事をとっている烏間センセーにビッチセンセーが仕掛けた。

 

 この方法がまた驚きだった。最初は懲りずにハニトラを仕掛けているのかと思っていたのだが、ソレはブラフ。ビッチセンセーが用いたのは得意のハニトラを逆手にとった脱いだ服と周りの木を使ってのカモフラージュを駆使してのワイヤートラップ。僕らも初めて見たその機敏な動きに烏間センセーもまんまと引っかかったようだった。

 

 そして、ついにビッチセンセーは烏間センセーの上を取ったのだ!

 

 だが、それでも烏間センセーは負けていなかった。マウントを取ったビッチセンセーの振り下ろすナイフをすんでで掴んで見せたのだ。恐ろしい反応速度だった。絶対にあたる場面だっただろうアレ。ホントに同じ人間か?

 

 ぜったいぜつめい!

 

 あわやそんなふうに思われた一幕だったが、その数秒後。なぜか烏間センセーの手が緩み、ビッチセンセーのナイフが烏間センセーにあたる。グニョンと曲がる対殺せんせー用ナイフ。

 

 とどのつまり、ビッチセンセー残留決定。

 

「当たった!」

 

「すげぇ!!」

 

 沸き立つクラスメイト。みんなもビッチセンセーの残留が嬉しそうだ。

 

 そうして、なにやらロヴロさんとビッチセンセーが会話をして、その後にビッチセンセー渾身のガッツポーズ。正式に残留が決まったのだろう。

 

 そんな微笑ましい光景。希望にあふれた一幕。

 

 だけど、僕はビッチセンセーとロヴロさんの2ショットを直視するには弱すぎた。

 

「――ガフッ!?」

 

「う、宇井戸ォ!?」

 

 想像で大ダメージだったんだ。しばらくは直視なんてもってのほかなのだ。

 

*1
ドリブルもうまい

*2
ところでさ、もし女の子にちんちんついてたらソレってお得ってことになるのかな?




読者の人はこの作品をどのジャンルに位置付けているのか気になることを白状します

♡を使ったエッチな描写があります。r18にはならないようにしているつもりですが、♡拒絶症をもつ方々はご注意ください。拒絶症じゃない方々はムラムラしすぎないようにしてください
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