普通に中学生してたら超展開に巻き込まれたヤツ 作:はごろも282
今日は月に一度の全校集会!僕らE組も山奥のボロ校舎じゃなくてきれいな本校舎に立ち入れるトクベツな日!
重い足取りのクラスメイトと本校舎に足を踏み入れた途端、さあ大変!僕らに待っていたのは熱烈な歓迎会!本校舎みんなして僕たちに笑いかけてくるの!僕ったら、にんきもの~!
はじまった全校集会ではまさかまさかで先生からも特別扱い☆
生徒会もE組のプリントだけ忘れちゃうなんて、も~お茶目さん!
でもね!今日はいつもと違ったの!新任の烏間センセーやビッチセンセー、殺せんせーが色々やったせいで、本校舎の歓迎も台無しになっちゃった!これにはクラスメイトもにっこり、笑顔が戻ってよかったわ!
はい、というわけで全校集会だ。いつものように学校単位でコケにされるのを耐えていたら教師陣が鼻をあかしてくれた。だいたいそんな感じだ。
今は集会が終わって山奥まで戻る途中。僕らは重役出勤者なのだ。
クスクス
このとおり、校舎を出るまで笑い声はやまない。集会中にちょっとナニかあったところで根本的僕らの扱いはとくに変化ない。
「あれ、宇井戸だ……」
「宇井戸って、あの?」
「そーそー。この前、不良の足首もって川でジャバジャバしてるヤツの隣で座ってたよ」
「ドンじゃん……」
「オレも先週、コンビニで不良に囲まれてるのみたよ」
「うわ、マジの喧嘩じゃん……」
「ああ、浦島太郎の亀みたいになってた」
「ボロ負けじゃん……」
お、どうやら僕の話をしているみたいだ。しかし、なんて不名誉な話題なんだろう。
そんな声を聞きながら、前を歩く磯貝君に声をかけることにした。
「聞いた磯貝君?僕の話題だったよ」
「あぁ、聞いてたよ。名指しは堪えるよな……」
「なんか、有名人みたいだよね。手振っちゃおうかな」
「あれーそんな感じなのか!?」
試しに手を振ってみると慌てたように目をそらされた。認知されたくないのか、面倒なファンみたいな奴らだ。
「……なあ、喧嘩やめないか?」
「してないよ!?まえに絡まれてるだけって言ったよね!?」
「なんでジャンプ買いに行っただけで絡まれるんだよ」
「しらないよ!僕が聞きたいよ!」
いや本当に聞きたい。昔から僕は不良に絡まれやすい体質なのだ。不幸体質と言ってもいいかもしれない。小学校の時は不良発見器の那月君でぶいぶい言わせたものだ。
「ジャンプ買った日は……なんか低千穂牧場のカフェオレと和紅茶オレを間違えた腹いせとかだったかな」
「思ったよりも宇井戸の過失がない!?」
「すごいっしょ。歩くサンドバック部門があれば優勝狙える逸材だよ?僕は」
「なんて悲しい自慢なんだ……」
「なあ、じゃ―さっきの噂はどうなんだ?」
磯貝君と話していたところに、背後から岡島君が割り込んできた。どうやら聞き耳を立てていたらしい。磯貝君、僕、岡島君。出席順の連続3人だ。
それにしても、さっきの噂とはどれのことだろう?
「川で不良が~ってヤツだよ多分。な、岡島?」
「そそ。なんともヤベー話だったよなー」
ああ、それのことか。といっても、話すことなんてそんなにない。
「アレはなんていうか……小学校時代の負の遺産だね」
「「???」」
おっと、どうやら理解できていないみたいだ。うーむ……そういえば過去話はそんなにしたことがなかったな。
「いやね、簡単に言うと小学校の同級生」
「昔の同級生に絡まれてた!?」
「しかもシレっと返り討ちにしてるなオイ」
「あ、違うよ。ノされたのは知らないヤツで、不良を川でバシャバシャしてたのが同級生」
「「なお悪いわ!!」」
僕も頭がおかしいと思う。だから話してこなかったのだ。わりと真面目な生徒ばかりのこの中学にはそういうタイプの人種はいないからね。
「僕の悪友みたいなヤツでね。行動からわかるように凶悪で残忍で傍若無人で人を人とも思わぬクソヤローみたいな人間なんだ」
「友人になんて言い草を」
「なんでそんな評価のヤツとつるんでたんだ……」
「どうせ会わないだろうから気にしなくていいよ。僕はソレに振り回されてただけの被害者だってことだけ覚えといてくれたら」
「お、おう……」
「図らずも宇井戸のことが深掘りできてしまった……」
どうやら二人とも面食らってるみたいだ。僕も友人からそんな話をされたら驚くだろうから、当然と言っちゃ当然だ。
「まーそんな昔の話するタイミングもないからね。あんまり」
「それは確かにそうかもなー。今は暗殺にいっぱいいっぱいだし」
「俺と前原は幼馴染……ってそれは知ってるか」
磯貝君と前原君の仲がいいのは普段の生活を見ていれば一目瞭然だ。イケメン同士そろってこの学校に入学とは、天も与えすぎだろう。そろってE組なことには触れまい。
「でもさ、秘密と言えばあのタコだよね」
「あー!それは間違いないわ」
「あのタコどこから来たんだろうね」
「結局、殺せんせーが一番の秘密主義ってことか」
最終的に殺せんせー議論で校舎前の道のりを使い切った。最終着地点は星を救うために生まれた人工生命体が反逆の意思を持ったモノだった。
☆
集会も終わって数日。いつもと同じような暗殺日課を過ごしていると、唐突にその時はやってきた。
「「「さて、始めましょうか」」」
なにをだろう、という疑問を抱いたのは僕だけではないはずだ。少なくとも、5、6人に分身して声がダブって聞こえるような状況に対する回答くらいは提示してもらいたい。
「学校の中間テストが迫ってきました」
「そうそう」
「そんなわけでこの時間は」
「高速強化テスト勉強をおこないます」
ご丁寧にそれぞれの分身体から声を発する殺せんせー。無駄に高度なテクニックだ。そ、それにしても……
「ハイレベルな一人会話だ……」
「聞こえてますよ宇井戸君!余計なこと言わない!」
名指しで注意されてしまった。自分でもうすうす思っていたのか中々の反応速度だった。やらなきゃいいのに。
僕らの目の前に殺せんせーの分身が現れる。どうやら個別で苦手科目を指導するみたいだ。人によって違う文字のハチマキを巻いている。凝っている。
一家に一台殺せんせー、いらない。
「何で俺だけNARUTOなんだよ!!」
「寺坂君は特別コースです。苦手科目が複数ありますからねぇ」
後ろからそんな声が聞こえて来た。寺坂君は一つに絞ることすらできなかったらしい。かわいそうなヤツだ。みんなの前でバカのレッテルを貼られてしまっている。
「それにね、寺坂君だけではないんですよ」
「あぁ!?」
殺せんせーに促されるままに視線が動く寺坂君。僕と目があった。
「さ、宇井戸君も頑張りましょう」
僕の目の前の殺せんせーが元気に言う。そのおでこには寺坂君とお揃いの木の葉の額当て。
「……奇遇だね。寺坂君も火影コース?」
「うるせーよ!!」
「寺坂君は上忍コースです」
「聞いてねーよタコ!!」
寺坂君は上忍コースだった。
にしても、寺坂君はということは、僕は火影コースでいいんだろうか。ふむ、この違いはなんだろう。確かに寺坂君よりはマシな点数が取れるだろうけど(どんぐり)
「せんせー、火影って誰ですかー?」
「そうですねぇ……柱間コースにしましょうか」
「センセー無理でーす。せめて綱手にしてくださーい」
人類には到達できない地点までやらされるところだった。僕がジャンプ読者なばっかりに深めのネタまで入れられている。
そんな感じで、僕らはノートと教科書を開いた。
「……はっ!!さっきの一人会話は一人影分身トランプの!?」
「宇井戸君。集中してください」
不良の友人を出すつもりがないことを懺悔します