気がつくと私はどこか研究室らしき場所にいた。
ビーカーにフラスコ・・・・・あ、遠心分離機やその他様々。
目の前にある物を私は知っていた。なんせ実際に使った事があるのだから。
けどひとつだけ解らない事があった。
それは私の名前と容姿。これだけはいくら考えてもわからない。
もしかして私、死んでる?・・・・・いやいやこんなに意識はハッキリしてるのにそんな訳・・・・・。
だったら今の私はどんな存在なんだろう───?
───。
「良かった・・・・・なかなか起きないから心配したのよ!!お母さんの事わかる!?」
私、眠っていたの?それにお母さんって・・・・・え?
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・。
「・・・・・誰?」
───。
片田舎の大きな屋敷に住む青髪の少女、セルカ・ユークリウス。それが私でした。
とりあえず記憶喪失?らしく起きる前の記憶は無い。
そんな私は今、状況を把握すべく読書の真っ最中です!
うん、本があってよかった。人類の叡智万歳!
「よしっと、こんなもんかな。」
書庫の本を粗方読み終えたのでこれまで得た情報を一旦整理しよう───。
パレッティア王国───。
それが私が今いる国の名前でこの世界の人々は魔力を有している。
魔力を有しているって事は当然魔法もあるわけで・・・・・。
でも、その魔法はこの国では基本的には貴族は使えるけど、平民は使えない・・・・・と。
私はこれがどうしても納得いかなかった。
だって・・・・・
魔力があるのに魔法が使えないのはおかしくない───?
だったらどうにかして皆が平等に使えるようにすればいい。
けど、実現するためにはまだ知識が足りない。
なら、やることは1つ!
思い立ったら即行動、それが私のいいところであり悪いところでもありました。
───。
「リエル───!!!」
部屋から飛び出し廊下を走っていた私は真っ先に背がさほど変わらないポニーテールのメイドさんを見つけて飛び付いた。
「お嬢様、そんなに慌ててどうしたんですか?」
「えっとね!その・・・・・」
「何か言いたいのはわかりましたから少し落ち着きましょうか。」
リエルに言われるがままにとりあえず深呼吸・・・・・、うん、落ち着いた。
「それで、今日はどうしたんですか?」
「やりたい事が見つかったの!!」
「それは良かったですね。」
「うん!だから今からお父様達に言いに行こうと思うんだけど!!」
「そう言われましても旦那様にもお仕事が・・・・・ちょっと待ってくださいね。」
そう言うとリエルは少し考え込み頷くと・・・・・
「今の時間でしたら先程他の方がお茶菓子を運んだところを見かけたのでご休憩に入ったのかもしれませんね。」
「じゃあ今なら大丈夫かな!・・・・・そうだ、あれってもう少しかかるんだっけ?」
「頼んでおいた物ですね。あれから1週間程経っていますし後で仕立て屋さんの方に一緒に行きましょうか?」
「うん、それじゃ、ちょっと言ってくるね!!」
「行ってらっしゃいませ。」
そうリエルと一旦別れて廊下を再び駆け出し執務室の扉を勢いよく開けた私はこう言い放ちました。
「お父様、お母様、私、王都に住みたい!!」
間もなくしてお父様の怒号が屋敷中に響き渡ったのでした。
それから数年後───。
「う~ん、どこがダメだったのかな・・・・・?ここの部分もこれ以上直しようが無いし・・・・・」
王都のお偉いさんの所に資料を持ち込んだはいいもののまた変なのが来たとか言われなんとか見てもらえたけど・・・・・
こんなものが何の役にたつんだ・・・・・?だってえぇぇぇ!!
これだから魔法にしか興味の無い人は!!支援さえしてくれればいくらでも証明してみせるっての!!
とは言ったものの制作する資金も場所もいい所が無いし一回帰る?・・・・・いやいや見栄を張って王都まで来て学院まで通わせてもらってるのに・・・・・って何弱気になってんだ私!
「・・・・・いて、どいて、どいてえぇぇぇぇ!!」
考え事をしていた私がその声に気付くはずもなく。
「お嬢様、上!!」
・・・・・上?
気付いた時には既に遅く何かと激突し吹っ飛んでいました。
「った〜、何なんだよも〜。」
「あ〜、やっぱまだだめか〜。箒も折れちゃってるからまたどこかで調達しないと・・・・・。」
「ほら前を見て無いから。大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だけど・・・・・そんな事より散らばった資料集めないと!!」
「あ、ごめんね、私も手伝うよ!」
「2人ともありがと!」
「・・・・・こんな考え方もあるんだ・・・・・これは私も気付かなかった・・・・・。」
先程突っ込んできた白金色の髪の少女が手に取った一枚を読んでいました。
「もしかして、君、これに書いてあることわかるの?」
「うん、私も同じような事してるし。」
同じような事?そういえば学院とかでそんな人物がいるって噂を聞いたような・・・・・もしかしてこの子となら・・・・・。
「ねえ、私の研究・・・・・」
「ねえ、私の魔学・・・・・」
「「一緒にやってみない!?」」
───。
パレッティア王国には1人の王女がいました。
しかしその王女、王族でありながら魔法が使えず、それどころか様々な奇行を繰り返す為噂が絶えません。
名をアニスフィア・ウィン・パレッティア。
これが私とアニスの初めての出会いでした───。