100万人の犠牲を払わずに世界を救う麦わらの一味   作:キラトマト

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第8話 5周目開始! 15年ぶりの再会と弱さの理由

「ロビンちゃん!!」

 

「おぉ〜ロビン! 次はお前か〜」

 

 いつものルール説明を終え、ゲームマスターは新たなルールを追加したことを説明する。

 

「この周回より、職業ルーレット、またレベルアップを廃止いたしま。また、これまでに参加されていた方々の職業別のスキルも使用不能とさせていただきま」

 

 それに加え、いくつかの条件はあるものの『1度行ったことがある場所であれば一瞬でワープできる』ファストトラベルという機能が追加された。

 

「つまりこの世界には私たちの知らない生き物もいるってこと? フフ、面白そう」

 

 ロビンはクエストとは別で、この世界について興味津々であった。

 

「カハベルちゃ〜んに、会いに行こうぜ〜!!」

 

「一人で行ってろクソコック」

 

「はぁ〜? 全員一緒にしかいけねェっつってんだろ??」

 

「でも、このクエストのジフォンバフォってのも、ヴァイクダマニアってのも分かんねぇし、1回行ってみないか? コルトネル」

 

「そうね。聞いた限りじゃこの世界じゃ情報が命みたいだし」

 

 チョッパーとロビンの後押しもあり、コルトネルへとファストトラベルした麦わら御一行。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

「カハベル様ですか? 夕方には戻ると思います」

 

「おぉ! わかった! じゃあ後で来る!」

 

 と、それまでクエスト『ジフォンバフォをヴァイクダマニアで捧げる』に出てくる固有名詞の情報収集や自己鍛錬などを行い時間を潰した麦わらの一味。どちらもジフォン島に行けば分かると言われ、6日後に訪れるラドドーボからそこへの船を待つこととなり、まずはカハベルの元へと向かったのだった。

 

「!!」

 

 カハベル本人に似ている少女を2人連れた彼女はルフィ達を見ると驚いたような表情をし、それからすぐに顔を上げて口を開いた。

 

「お久しぶりです。勇者様方……15年ぶり……ですね」

 

「おぉ〜前のあれから15年も経ってたのか〜! よっ、久しぶりだな!!」

 

「その子供はどうしたんだ?」

 

 ゾロの問いかけに彼女ははにかみながら答える。

 

「私の子供……えへへへー可愛いでしょ〜?」

 

「!?!?」

 

 その顔にサンジはノックダウン、石のように固まってしまった。

 

「んで、騎士はもう辞めたのか?」

 

「あぁ、騎士はもう引退したよ。7年前かな……。今は後任の育成をしている。そうだ、こんなところじゃなんだし、私の家で話そうか」

 

 食事を終え、娘達を寝かせたカハベルは語り出す。

 

「私は最強の騎士になりたかった。強い父や兄たちに憧れて私もなりたいって……。だけど『手段』と『目的』の違いがわかってなかったんだな……」

 

「3人にとって強さは手段だった。国を守るための……。でも私にとっては強さそのものが目的だった。漠然と強くなりたかった」

 

「熱意が燃える限り、その目的には一生たどり着かない……。だけど……」

 

 そう言うと彼女は身体そっくりの義手を取り外した。

 

「戦場で右手を失ったとき……もう心の中に燃える熱意(もの)は残ってなかった……。折れた。……皮肉だよね? 右手切断が私の夢の終着点だった……。私は……弱くなった」

 

「私が勇者様たちとの旅から帰った頃、デオック王国の、大陸統一の動きが苛烈になった。コルトネル(ここ)は周囲の国々に伝令を送って連合軍の成立に奔走した。結果一年後に私たち22カ国の連合軍とデオック王国の間で大きな戦争が起きた。私も……4回遠征した」

 

 一呼吸おいてカハベルは重い口を開いた。

 

「……地獄だったよ。……戦場は……あそこでは7割が投石と弓矢で死ぬんだ。あなたたちに教わった武装色で免れた子もいた。でも大半が間に合わずに……」

 

「剣や武装色の研鑽なんか役に立たない。『矢の直撃』っていう一発の不運で全部が無駄になる。……何十年鍛えようが、だ。それが終わったら接近戦。だけどあそこは多人数対多人数の戦場……誰かと戦ってる最中に視野の外で攻撃されれば、間に合わない」

 

 彼女は話題を変える。

 

「人は大勢が同時に死んだ時、人として認識されることはない。人格も個性もない『物』として扱われるんだ。夥しい死者数のうちの"1"。どうやって死んだのかも語られることの無い、ただの数字」

 

 ロビンはアラバスタでの戦争が、もしかしたらこんな結果になっていたかもしれないという事実から少し表情を暗くする。

 

「……20万……それだけの人数がこの14年で死んだ。こちら側が5万……王国側が推定15万……。死体が腐って病気が蔓延、それで農夫が死んで畑が枯れる。王国側の死者の半分以上が非戦闘員らしい」

 

「剣を持つ手を振り上げて振り下ろしたら、一つの命が終わる。そんなやり取りを繰り返して、4回の遠征で私は、30人以上も殺してきた。いや……正確には遠征3回か……4回目は長女を産んだ一年後だった……」

 

「子供を産んで……育てたらもう……ダメだな。子供を育てる大変さを知って……振り上げた腕を下ろすのに、一瞬躊躇った……その時だった。右手を失ったのは」

 

「私は弱くなった……」

 

「ンなことねェよカハベルちゃん……守るもんがある奴ぁ、誰よりも強えェ」

 

「ふふ……サンジさん。あなたのそういうところが、好きになってたかもしれないな……」

 

 サンジは吸っていたタバコをブッと吹き出す。

 

「なッ……それはいけねェカハベルちゃん。あなたには夫がいるはずだ」

 

「"だった"って言っただろ? それに夫は5年前の戦争で……」

 

 サンジ撃沈。しかし彼女は横に座っていたサンジの口にキスをした。

 

「……先におばさんになっちゃって────────ごめんね」

 

 !?!? あまりの予想外の出来事にロビンですら飲んでいた紅茶を吹き出す。しかしサンジは冷静に答える。

 

「レディに年齢なんて関係ねェ。それに……この唇はこれから出逢う誰かの為にとっておけ」

 

 人は出会い、別れを繰り返しながら成長する。彼女もまた、勇者と出会い、変わっていった。ルフィ達はこれからも、成長を続けていく。




ゲームルール
ファストトラベルの条件
・全員が生存状態であり、一箇所に集まっていること
・全員一緒にしか移動できない
・この世界の人・生物・建物の移動は不可
・一度使用した後、再度しようには24時間の待機時間(クールタイム)必要
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