龍門 市外 ロドス拠点
「「※龍門スラング」」
部屋の内部から、金髪のお嬢様と近衛局隊長の声が響き渡る。
「一体、私はいつまで捕まってればいいのやら?」
「すみませんね。うちの隊長たちが......」
そう応じるのは、鬼の盾を持つ一本角の巨女。
「ホシグマちゃんだっけ?こう見えても、ムサシちゃんは忙しい人なので解放していただけるとありがたいんですが?」
「小官としても、そうしたいのですが、過去の龍門の犯罪リストにあなたと似た顔があったためもう少し辛抱してください」
「うーん、人違いもいいところね。私はそんなことをする人じゃありません」
全く、ひどい勘違いである。この品行方正、見敵必殺を掲げるムサシちゃんが犯罪をするわけがないじゃないですか。
「ははは、ところで龍門の麺麺という店はご存じで?」
「もちろん、あそこのラーメンは絶品なのです」
具材、麺、どれをとってもおいしかったが、一番はやはりスープ、魚介の出汁がよく聞いておりまた食べたくなる一品なのです。
あー、思い出すだけでお腹が空いてきます。
「過去に、そこの店から、変わった風貌の刀を持った女がよく食い逃げをしていくという通報がありまして――――」
「失礼な、ちょっと、手持ちがなかったので、ツケにしただけじゃないですか」
そうです。毎回、店に行ってはツケにしていた気もしますが、問題ないでしょう。
なにせ、無い袖は振れないので!
「――――やはり、もう少し捕まってもらう必要がありそうですね」
「......誘導尋問は卑怯では?」
「卑怯というか、ほぼ自爆な気もします。それ以外にも、余罪があるのでしばしはご覚悟を」
あれー、私そんなに悪いことしてないよ......
そうして、ホシグマちゃんは部屋の中に入っていった。この手錠早くとってくれないかなぁ
◇◆◇
しばらくして
「ホシグマッ、工作員が奴らに捕まった。救出に向かう!」
「ッ了解!ロドスにいる我が隊員に通達。正面に集合せよ」
内部から大きな声が響く。
どうやら、あちらさんの兵士君が捕まったみたいです。
これは、もしかすると、恩を売るいいチャンスなのでは?
ムサシちゃんに電流走ります。
兵士君を助けるムサシちゃん。
結果として、隊長ちゃんからの好感度爆上がりからの釈放。
うーん、我ながらいいアイディアです。
「隊長ッ、ムサシはどうします」
「そんなもんは後だ、残った隊員にでも見張らしておけッ!」
アレ......?
私、ここに放置ですかパターンですか
「ムサシさん、すいません。こちらで隊長方が返ってくるまで、こちらで捕まっててもらえませんか?」
「おかしいです。こんなの間違ってます」
「すみません。必要なものがあれば持ってきますので、なにとぞご容赦を......」
そう言って、近衛局の彼に、止まっている車に案内される。
あれぇ、私の華麗なる釈放プランが......
いっその事、自棄になって、
麺類を片っ端から要求でもしましょうか
「隊長に悪気はないんです......捕まったアイツだって、こんな末路を迎えるってことは覚悟していたはずですし」
「えーと、こんなこと聞くのは野暮なのですが、巻き込まれたのって」
「近衛局に入る前からの、まあある意味、舎弟というか兄弟みたいなもんです」
ああ、本当に、野暮なこと聞いたわね。
知り合いが、気づいたら事件に、この世界ではよくある―――――そんな出来事
「あっ、でも、大丈夫です。隊長ならきっと助け出してくれるって......信じてますので」
そう言って、彼は、うつ向く
マスクの中の顔は見えないが―――――――
―――――――ああ、
ちょっと、気に食わないわね
「本当に、信じるだけでいいのかしら」
「えっ?」
「サムライならば、欲しいものは切って奪え。コレが武士のモットーです」
「へっ?」
「―――――というわけで、速そうな乗り物を要求します」
そういうと、手首にはめられた手錠から抜け出し、
車のドアを蹴って開け、
手軽な乗り物を探す。
「いや、勝手に動かれては......」
「大丈夫でーす。君も一緒に来るのだから」
そんな、ポカンとされても困ります。
あの隊長ちゃんの命は、「見張ってろ」です。
つまるところ、彼が居れば、私がどこにいても問題はありません!
ちょっと、言った自分でも、無理がある気がしますがまあいいでしょう。
「おっと、あの赤いバイクとか速そうでいい感じです」
「いや、ソレ、ホシグマ隊長の私物ゥ......」
彼がなんか言っているようですが気にしません。
今から、彼女たちより早く、場所に着くには、兎にも角にも、
速そうな乗り物が一番です。
慣れた手つきで、バイクのエンジンに火を入れ、
エンジンを起こす。
もごもご言っている彼を無理やり後ろに押し込め、
ハンドルに手をかける
「さて、ひとっ走り行きましょう。もちろん、案内は任せました!」
晴天の下、彼女は走り出す。
残されたモノは、コイル音のみ
◇◆◇
「いや、コレどこ走ってんですかッ!」
そう絶叫する彼が言う通り、
いくつかの道路を通り、
屋根を走り抜け、
壁を走る。
彼の言った場所と自分の記憶が正しければ、たぶんこれが最短です。
「ようやく、モーターのコイルが温まってきたところです」
「いや、それ温まったらダメな―――――――」
「もう、そろそろで、到着でーす。舌かまないようにね」
そういって、見えた倉庫に突っ込む
衝突、 瞬間―――――に彼を掴み、脱出
バイクは、倉庫の入り口に突っ込み爆散
人の物ですが致し方なし
「まあ、陽動には十分でしょう」
「ええぇ」
今の爆発で中にいた何人かを殺れたなら、なおヨシ
横でうなっている彼のケツを蹴り上げてから、
盛大に空いた入り口から中に侵入します。
「ハロー、レユニオンさん。美少女剣士ムサシちゃんですよー」
見たところ敵は、多数。
どうやら先の爆発は予想以上に敵を集めてしまったようです。
「いやー、ムサシちゃんモテモテで――――――――」
―――――――まずは、正面の敵に膝蹴り。
いくら、相手がしゃべってるからってちょっと気を抜きすぎです。
「なっ、侵入者だ、捕まえろッ!」
今更、反応しても遅い。
てか、いいんですかー、ムサシちゃんだけに構って?
「敵は一人だ。数で潰せば問題ッ―――――――」
「すまんが、敵は二人だ」
敵の指揮官に入るは、盾を使った一撃
ナイス、不意打ちです。
流石、エリートな近衛局は違いますね。
そんなことを考えながら、指揮官が倒された敵を掃討していく。
「突入するなら、一言言ってくれ」
「でも、そのおかげで上手くいきましたし」
「はぁ、アンタといると気苦労が絶えそうにないな」
私と組む人は、みんないつも同じことを言っているような気もします。
敵を屠りつつ、とらわれた兵士君探し、続行です。
◇◆◇
「数が、多いッ!」
「うーん、確かに。有象無象とはいえここまでいると厄介ですッ!」
敵を隊員君とシバきつつ、中へ進む。
正直、頭をつぶしたとはいえ、数の暴力は辛いものがあります。
ならば、仕方ないです。
刀をしまい、
適当なレユニオンの兵士君を捕まえ、
首をホールド
あとは、ポケットからこっそりと薬を打ちこみ
「やいやい、止まるがよい、兵士君たち」
「なんだ、人質か?そんなものに、我らは屈しないぞッ」
レユニオンの兵士がそんなことを言ってきます。
人質......?
ちょっと、それは考えが甘いです。
「残念ながら、このムサシ。少し妖術が使えましてね、ほら、この通り―――――」
「体が、熱い、あああ――――――ッ!」
捕まっている兵士君が騒ぎ出す。
無理やり、彼を抑えたまま、
できるだけ悪役顔で、
言い放つ
「なんと、体の原石を活性化させることができるんです」
「「「「――――――――ッ!」」」」
うーん、効果はてきめん。
後は、
「ムサシちゃんは、ここで果てても構いませんが、あなた方は、こんなところで死にたいんですか?」
「......ッ撤退だ、撤退するぞ」
そういうと、兵士君たちはいなくなっちゃいました。
うーん、鮮やかな逃げ足。
ムサシちゃんのために、もうちょっと残ってくれてもいいんですよー。
捕まえた兵士君を、気絶させて、無力化しておきましょう。
「なあアンタ......本当にそんなことができるのか」
「何を言ってるんですか、隊員君。あれは兵士君に医療用強心剤を打ったにすぎません」
「なんだ、ただのハッタリか」
なんだとは、なんですかー
今のは、軍師孔明も誉めるレベルのハッタリです。
「いや、誰だよ。まあ、アンタのおかげで敵は片付いた。後は探すだけだな」
「うむ、さっさと囚われの隊員ちゃんを見つけましょう」
むむむ、なんですか。その視線は、
もしかして、華麗なムサシちゃんに、惚れちゃいましたか
「いや、なんというか......アンタ、自由だな」
「ヘッ?」
「俺も、そんなに強ければ、―――いや、すまない。探索を続けよう」
◇◆◇
あの後、奥で工作員君を発見。
隊員君に応急処置を任せる。
見た感じ、衰弱してるけど、ギリギリ生きていますね。
我ながら、紙一重。
なんという、強運。
「これでムサシちゃんも――――――」
「―――――どうして、ここに貴様がいるッ」
「ヘッ?」
突如、横から、鋭い声が飛んでくる。
あれ、どうも、隊長ちゃん。ムサシちゃんです。
隊員君を助けて安堵したあまり、周囲の警戒がおろそかになっていましたね。
これは、精進案件デスね。
しかして、この場をどう乗り切るべきか。
本当のことを言うと、また捕まりそうですし、
かといって、隊員君のせいにするのは気が引けます。
ならば、やはりッ
「偶然ッ!」
「そうか、ならば後ろの隊員にでも聞くとするか。オイッ、貴様ッ!」
「は、はいッ!」
鬼のような形相で、後ろの隊員君に詰めかける隊長ちゃん
どうやら、矛先が隊員君に向いただけみたいですね。
あれ、これじゃあ、恩を売るとかいう話ではないのでは?
「どうして、この場にいるッ!貴様の任務はなんだッ!」
「じ、自分の任務は、ムサシを監視するのが役目ですッ」
いや、剣幕に隊員君おびえちゃってます。
流石のムサシちゃんも、ブルってきましたし
なんか悪い気がしてきましたので、
ここは潔く、ムサシちゃんが犠牲になりましょう
「そうだな、ならば何故貴様はこの場にいる」
「それは、ムサシちゃんが、かっ―――――――」
「―――――――自分が彼女を連れてきましたッ!」
へっ......?
隊員君、何を言っているんです。
「何故、そんなことをした?」
「自分が、彼を、助けたいと思ったからです」
「いいか、貴様のやったことは――――――――、」
「―――――――工作員を危機にさらし、軽率だったかもしれませんッ!
ですが、私は、この行動を恥じておりませんッ!」
聞こえるのは、足音、そして燃える炎の音だけ
「まったく、馬鹿者が。後日、始末書を出しておけ。今は、動ける人材が惜しい」
なんか、知らないうちにいい感じに、話が収まっています。
正直、いつものムサシちゃん的に、またお話パターンかと思いました。
「これはムサシちゃんがバイクで駆け付け、救い出した甲斐があったものですね」
「そうなのですか。あなたが私のバイクで――――――」
――――刹那、背後から感じる殺気
「なんのォッ!」
「すみません。レユニオンの残党兵かと思い手が滑ってしまいました」
転がることで難を得たが、
先程いた場所には、深々と鬼の盾が刺さっていた。
コンクリ―トは、ひび割れ先程の威力を物語っている。
その盾を振り下ろした隊員――――――ホシグマ
表情は笑顔であるが
その眼は、笑ってはいなかった。
うん......
「本当にごめんなさいッ!」
その間、わずか2秒
ムサシ、迫真の土下座を、敢行である。
◇◆◇
「ということがあったのです」
「そうか、あとは署で聞いてやる」
「殺生なッ!」
そんなこんなで、また捕まり、今回は隊長ちゃんの車でドナドナです。
後ろには、妙に視線が怖いホシグマちゃんもいます。
まあ、乗ってきたバイクは爆発しちゃったし、仕方ないですね。
押し付けられた、請求書はロドスに送っときましたし、多分大丈夫でしょう。
「全く、ただでさえ切羽詰まっている時に、これ以上仕事を増やさないでもらいたい」
「いやー、そーですケド。でも、隊員君救いましたし......」
「今回の件は、近衛局の問題だ。ロドスとの協力関係とは、関わりのない問題だ」
うぐ、そういわれるとそんな気もします。
しかし、このままでは......また捕まってしまいます。
慣れているとはいえ、ムショ暮らしは嫌です。
どうにかして、釈放してもらわなければ―――――――
「――――――だが、感謝はしている。正直、自分たちでは間に合わない可能性があった」
「感謝は、結構。ムサシちゃんは、やりたいことをやっただけなので」
そう、きっぱりと言い切る。
恩は欲しかれど、今回の件はやりたくてやっただけである。
結果として、彼が救われた。
ただ、それだけの
それだけの話なのです
「そうか、ならば―――――――
そういうと、隊長ちゃんは無線機を取り
――――――これより容疑者は取り調べのため、近衛局ビルまで輸送する」
そう言って、スイッチを切った。
「なッ隊長、近衛局ビルは」
「この状況だ、途中でレユニオン襲撃により、容疑者の一人見失っても誰も怒るまい」
「全く......無理やりすぎです」
後ろで、盛大なため息が聞こえた気がします。
心なしか、視線も緩んだ気が......
「ムサシ、あの時はカッとなってしまい、すまなかった。今回の一件、
私からも感謝を伝えておく。隊員を――――舎弟を救ってくれてありがとう」
「――――――ッ!」
そういうのは、反則なのです、2人とも、
全く、ムサシちゃんには、誰かに振るう剣などないのです。
急に無言になったサムライを乗せて、
車は進む。
先は、龍門・近衛局ビル
空は、また曇りだしている
作者です。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
さて私語となのですが、小説を書くとき脳内で展開を作るのは好きなのですが、それを言語化するのにものすごい時間がかかってしまうのが悩みです。いっその事、脳で考えたことが言語化できれば楽なのになあぁと思う日々。でも、それって少しの邪念が混じっただけで駄文が出来上がる説もあります。
バグパイプ「邪悪を壊滅しうるは勇猛さッ!」
彼女の破城槌の一撃は、敵を貫通し、
その、太ももは、ムチムチであり
やはり、軍服×少女×ごつい武器こそが最強というのが―――――
考えたこと書いただけですけど、どうやっても駄文ができますね。
はい、以上です。
皆様の感想が作者のモチベになっています。前回も感想ありがとうございます。