気が付けばルビコン3   作:ぶーく・ぶくぶく

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AC6楽しいー。
私も燃え上がりたい。

火を付けろ。そこかしこに。



チャプター1
気が付けばバルテウス戦


 

/*/

 

 

あなたは

 

第4世代 旧型の強化人間…

 

あなたには私の「交信」が届いているのですね

 

 

私はルビコニアンのエア

 

 

目覚めてください

 

 

あなたの自己意識が…

 

コーラルの流れに散逸する。その前に

 

 

 

ハッと目が覚めた。

 

 

 

自分は自室でゲームをしていて、そのまま寝落ちしていた。

夢の中でゲームそのものの声を聴いて、目が覚めたのだ。

 

身体は何か拘束されているのか動かせない。

…いや…これは…ACのコックピット!?

 

 

視界にはゲームで見ていたようなUIが並んでいる。

 

 

耳元でCOMの音声が聞こえる。

人の声だが、機体のCOMの音声だと何故か理解った。

 

『強化人間C4-621。生体反応を確認』

 

ブーストを吹かせながら、ウォッチポイントの屋上に機体がどすんと着地する。

 

「オートパイロットを解除。

 ハンドラーへの通信を…」

 

周囲は先ほどの爆発の影響で煙が立ち上り、設備から火が立ち上ってるところもある。

COMの音声が不自然に途切れ、エアの声が脳内に響く。

 

 

『レイヴン。

 敵性機体の接近を確認しました』

 

 

正面の遠方上方からオレンジ色の噴射炎を上げて、円形の物体が向かってきている。

エアの声が続く。

 

 

『あなたの脳波と同期し…「交信」でサポートします』

 

 

正面空中で、ガチャンと半円のミサイルランチャーを展開したのは初見で殺されたバルテウスだった。

 

 

 

え?

 

 

俺、フロムゲーに憑依?転生?したの?

 

 

え?

 

 

いきなりバルテウス戦?

 

 

え?

 

 

「メインシステム。戦闘モード再起動」

 

 

淡々としたCOMとエアの声が脳内に響く。

 

 

ちょっッまッ…そこは普通、621として起動するとこからじゃないの!?

 

 

バルテウスのミサイルランチャーはもう火が入っている。

 

 

ああもう!やるしかない!

 

 

ACの操縦は身体が覚えているようだった。

 

 

問題は主観でさっきまでプレイしてたACアセンと同じ機体構成である事。

こんなテンプレ主人公になれると知ってたら、ガチアセンで待ってたのに!

 

 

よりにもよって、ルビコン神拳やってる時に!

 

 

『どうしました、レイヴン?』

訝し気なエアの声にある意味で棒読みで答える。

 

(あーうん。誠に申し上げ難いのですが、今この機体非武装なんだ)

 

『はぁ…残念です。レイヴン』

 

はい。ファースト溜息いただきました!

 

(待って!諦めないで!諦めたらそこで試合終了ですよ!)

『私としても、折角、交信できた人を出会って2秒で亡くしたくはないですが…』

 

言ってる間にもブースター全力噴射でアサルトブースト。

 

一瞬で接近したらフレームの隙間から見えるバルテウスの頭部を蹴って、追尾してくるミサイルを赤いアサルトアーマーで迎撃。

回避行動に移るバルテウスをパンチホーミングで追いかけ、左右のパンチを執拗に頭部(あご)を狙って交互に打ち込む。

 

生身の人間じゃないので脳震盪は起こさないが、これだけ密着されていればショットガンもグレネードもミサイルも使えまい!

 

 

『パルスアーマー消失!?』

 

 

エアちゃんの驚愕の声が脳内で弾ける。これは癖になる奴だ。

パルスアーマー消失で堪らず後退するバルテウスを赤い噴射煙を吹きながらアサルトブーストで追いかける。

 

間に合えぇぇぇ!

 

限られた行動しか出来ないゲーム内とは違って、自由度の増した操縦性能で2脚なのに逆脚のようなドロップキックをバルテウスにお見舞い出来た。

 

吹っ飛ぶバルテウス。

 

バルテウスはゴロゴロ転がり、カメのようにひっくり返る。半球状のミサイルフレームが邪魔をしてなかなか起き上がれないバルテウスに余裕たっぷりに近づく。

 

(ふ…拳よ、ルビコンと共にあれぃ!)

『あのレイヴン、攻撃のチャンスでは?』

 

(エネルギー切れでーす)

『…レイヴン?』

 

3,2,1

 

エネルギー復元とバルテウスが起き上がるのは、ほぼ同時だった。

この機体のジェネレータはかつて技研が開発したコーラル内燃型試作ジェネレータ。負荷の高いコーラル兵装の運用を想定して出力を確保しており、限界まで燃焼することで急激に回復するのだ。

 

ぶっちゃけルビコン神拳と相性が悪い。

 

ほんと!なんで!

ああ、時を戻せるなら、こうなるのがわかっていたのなら、大豊のジェネレータとかにしといたのに!

 

アサルトブーストで突っ込みながら、機体を左右に振ってグレネードとショットガンをかわす。ゲームでは感じられない高Gが身体に掛かるが全身固定されてるコックピットと強化された身体のおかげでなんてこともない。

 

ミサイルランチャーのフレームを掴んで、中の機体の視界確保の為か空いている隙間に機体を捻じ込んで、バルテウスの頭部にキック。

そのままフレーム内部に入り込んで、頭部にパンチ!パンチ!パンチ!パンチ!パンチ!パンチ!

 

あれ?

 

頭部が大分ひしゃげて胴体との間に隙間できてる?

 

なら!

 

格闘専用とも言えるこのAA-J-123 BASHO(旧型ACの腕部パーツ)腕で全力の貫き手!

そして、抉じ開けた隙間に両手を突っ込んで、ミチミチブチブチとケーブル類が千切れる音を響かせながら胴体と頭部を泣き別れにする!

 

バキッと音を立てて内部のジョイントかフレームが逝った音がして、頭部が引きちぎられた。

 

首を捥がれても流石は無人機。

たかがメインカメラがやられただけだ!とばかりにまだ動く。

 

なら!

 

「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ…」

 

つぶやきながら右の貫き手をバチバチと火花を散らす首の断面に叩き込む。

流石に貫き手は想定されてないのか、芭蕉腕の指先がひしゃげていく感覚が伝わってくる。

その指先が何か塊に触れた。

 

 

「ヘル・アンド・ヘブン!!」

 

 

ぐっとその塊を握りしめ、数多のケーブルをブチブチと引きちぎりながら無理やり摘出する!

 

次の瞬間、キュゥゥゥンと唸るような音を立てながら、機体機能が停止していく。

爆発もしなかったところを見ると運よく無人機の制御ユニットを摘出できたようだ。

 

 

『敵機システムダウン。完全停止です』

 

 

エアのオペを聞きながら、俺は渾身のどや顔でカッコつけた。

 

 

「生きる資格、それは藻掻き足掻くことで…勝ち取るものだ!」

 

 

『…なるほど…つまり、人とは生きる為に戦う形をしているのですね』

 

なにやら感じ入ったようなエアの声。

あれ?なんかエアに不味いこと学習させちゃった?

 

 

『ところでレイヴン』

(なんでしょう?)

『…あなたの機体は、コーラルを動力に使っているのですか?』

 

ヤバイ…なんて答えよう。

 

(えーっと、その、技研で半世紀前に作られた。ジェネレータで…そうコーラルの生体物質としての自己増殖性を利用したもので、エアちゃんみたいなCパルス変異波形を閉じ込めて焼いてるものじゃないから…)

 

あせあせあせ。

 

『…レイヴン』

あたふたする俺の脳内にエアの声がとても冷たく響く。そして、震える声が続いた。

 

 

『…あなたは…私が実態の無いルビコニアンだと…知っていたのですか?』

 

 

あああ!やっちまったーーー!

 

だよねぇ。ルビコニアンってぼかしてたのに脈絡もなく言い当てたらおかしいよねぇ。

 

 

(コーラルの奔流に巻き込まれて、致死量のコーラルを浴びた時に脳になんか焼き付いてきて…被曝する前はこんなに意識がはっきりもしてなかったんだけど…信じる?)

 

上目遣いに様子を伺いたいが、相手は脳内なのでそれも出来ない。

 

はぁ、と幾度目かの溜息が聞こえた。

 

『あなたは嘘をついている様子もないですし、コーラル散逸した誰かの記憶が脳に転写される…そんな事もあるかもしれませんね』

 

 

うん、まあ、その記憶がルビコン3に無い筈のものなんだけどね。

 

 

/*/

 

 

バルテウス戦は結果だけ言うと楽勝だったね。流石は周回勢。

機体構成(アセン)が自分の奴と同じだったこともあるし、OS機能も拡張済だったおかげでもある。

エアちゃんの声を聴きながら、コーラルで真っ赤に染まった空を見上げ、ウォルターに連絡を入れる。

 

 

…とりあえず、バルテウスの残骸は拾って帰ろう。

 

 

迎えの輸送大型ヘリを見上げながら、残骸を拾って戻った俺は機体をハンガーに固定する。

621のハンガーはゲーム中の演出でもあったように大型輸送ヘリの中だった。

ハンガーの整備台にACを固定し、機体から降りると杖をついた男性が俺を迎えてくれた。

 

「…621。よくやった」

 

その男性こそがこの身体の飼い主。ハンドラー・ウォルター。

ちゃんと褒めてくれる出来た上司だ。

 

解放者ルートは涙で画面が見えなかったよ。

 

「非武装で出撃して行った時は目を疑ったが、無事に済んでなによりだ」

 

あーそうだよね。そうなるよね。

 

「はい。心配かけて、すみませんでした」

 

ウォルターに申し訳なく思い頭を下げる。

 

「…621。お前、自我が…?」

 

俺が憑依する前の621はどんな行動を取っていたんだろう?思い出せるか後で回想してみよう。

さて、今はなんと言うべきか。

 

「ごす…いや、ウォルター…その、致死量のコーラルを浴びた所為なのか。「人格」と「記憶」が生えて?きました」

 

「!それは記憶が戻った…と言うことか」

 

眼を見開き驚くウォルターだが、その瞳に面倒な事になったと言う色は無く。俺の機能回復を喜ぶ色が見えて…

ああ、やっぱフロムゲーにあるまじき善人なんだなと思いを強くする。

 

「それが人が地球から出ることも出来ていない時代の…平和な国で惚けてる「記憶」なんですが…」

「それは…本当に「記憶」なの…か?」

 

「わかりません。わかりませんが、あなたの猟犬としての性能に問題はないようです」

 

とりあえず、こう言っておけば変な言動しても大目に見て貰えるだろう。

バルテウス戦は本当に死ぬ戦闘だったのが、現実感がないのかそれとも621に憑依したからなのか、戦う事への恐怖は感じなかった。

 

「…そうか。とりあえず今は休め。それがお前の仕事だ」

 

一人の人格を持った人間を猟犬として使うことへの禁忌か。瞳に沈痛な色を浮かべてウォルターはそう言った。

やっぱり、ごす。フロムゲーの登場人物に向いてないよ。

 

 

「俺は野暮用を済ませてくる」

 

 

俺もその間に野暮用を済ませてこよう。

皆殺しENDは回避だ。回避。

 

 

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