気が付けばルビコン3   作:ぶーく・ぶくぶく

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COAMの使い道が欲しいぃ


飲み屋おーるまいんど

 

 

工場防衛の殴り合いの後、イグアス、ケイト、レイヴン、エアの4人で飲みに繰り出す事になった。

だって、ケイトが誘ってきたんだ。

傭兵同士親睦を深めましょうとか言ってさ。何企んでるのか気になるじゃん。

 

襲撃の後始末の後、指定のオールマインドの共同ドックで合流。

 

オールマインドの共同ドックに併設されている食堂…柄の悪い傭兵しか利用しないので、一日中酒臭い。

コーラルドラッグは提供していない。

 

顔をボコボコにした男二人と、ケイトとエアと言う美人二人はとても悪目立ちした。

 

ケイトはオールマインドの受付みたいな事もやっているので顔を知られている上に、酒場に出入りとかしてなかったようで連れ立ってる男誰だ?となったのだ。

 

取り合えず絡んどけとモブに絡まれたので、イグアスと二人でボコボコにしてやった。強化人間舐めんな。

 

G5と悪名高いレイヴンと言う事で納得されたけど、同時に引かれた。

尊敬はされないか…まーそうだよね。

 

綺麗な女の子に4人掛けの席に案内される。

 

傭兵とのインターフェイスに最初は端末と配膳ロボットを使っていたそうだが、ガラの悪い連中が余りに壊すので見目麗しい人型に切り替えた経緯があるとか。

 

夜の相手もしてくれるが、それにはオールマインドに有益な情報やら資源を見つけてこないとダメらしい。

 

相手して貰った傭兵の感想は反応が今一だそうで…人間のお姉さまには敵わないらしい。

ある程度の独立思考は出来ても、オールマインドの制御下だし、官能AIじゃないからそういうデータも無いだろうしな。

官能AIと義体はRaD製品の評価が高いとか。

 

それでも、一部の傭兵には好評らしい。

 

データ取りに協力した傭兵が昔いて、その好み(性癖)に合う人間には好評なんじゃないかと言われてる。

協力した傭兵…スッラとかオキーフかな?

 

スッラ先輩、死んでて良かったね。

 

生きてたら、俺はスッラ先輩の性癖解放!とか言って弄ってたよ。

取り合えず、メイド服はスッラ先輩の趣味と言う事にしておこう。

 

特に拘りも無いので、ルビコン・ビール(勿論合成だ)と料理を幾つか注文する。

 

ほとんどがミールワームを加工したものだが、このミールワームの野菜巻き串を頼んでみよう。

ミールワームの幼生の内蔵を抜いて、そこに野菜を詰めた串焼きだ。

 

野菜分でとてもお高い。

値段的にちゃんとした野菜なのか。それとも3Dプリンタ製の難消化性デキストリンとか使った野菜っぽいナニカなのか。どきどきだ。

 

野菜の肉巻き串と思えばフツーフツー。

 

 

/*/

 

 

乾杯の後、雑談をどう切り出すかと考えていたら、以外にもケイトが口火を切った。

 

「エア。どうして、KRSVを使うのを止めてしまったのですか」

 

武装採掘艦護衛で苦労したからか、エアは機体を組み直す手配をし、マルチENライフルKRSVを倉庫に仕舞うよう整備スタッフに告げていたのだ。

不満そうなケイトにエアは眉を八の字にして、困ったように答えた。

 

「エネルギー負荷が重いのと本体重量が重すぎて、機体が振り回されるからです」

「し、しかし、その重さと引き換えにするだけの威力がありますよ」

「フルチャージの威力は魅力的ですが、8発しか撃てないのでは継続的な戦闘に支障が出ました」

 

あんな大群は見た事ないと解放戦線の人たちも言っていたが、ヘリアンサスだけでも20機を超えていたからなぁ。

エアも結構チャージショットを使っていたので、継続戦闘に不安があったのだろう。

 

「貴女なら外す事はないのですから、8発でも問題ない筈」

「外さないなら、コストの安いバズーカで良いです」

 

赤いルビコン・ビールを口にしながら、にべもないエア。

これはあれだな。

 

戦闘後のチェックで俺が弾代にびっくりしてたからだな。

ある程度は予想していたが、KRSVの弾代はランセツと比べると高かったのだ。

 

「し、しかし、時代はレーザーとプラズマ。EN兵器ですよ」

 

確かにルビコン3外でのACトレンドはレーザー、プラズマ兵器とその防御だが…。

ぶっちゃけEN兵器防御特化にすると楽なのはチャティ(メインルーム)を相手にするザイレム軌道修正)くらいだしなぁ。

C兵器は爆発系の方が楽だし、別に実弾でも全部倒せるし…。

 

KRSV2丁に分離しないかな。重量もEN負荷も重すぎるんだよね…とか思っていたら、イグアスが揶揄うように口を挟んだ。

 

「そうすっと、俺は時代遅れなのか」

 

ベイラムは実弾主義のベイラム陣営だからね。

 

「イ、イグアス。ち、違います。むむしろイグアスは質量兵器でEN特化型のACを落としていくのがカッコ良いのです」

「へ、煽てても何も出ねぇぞ」

 

あたふたとするケイトをニマニマと眺めながらルビコン・ビールを呷るイグアス。

チョロない?

 

ケイト(オールマインド)は本気で焦ってるのか。

まあ、スッラも、オキーフも言う事聞かなくて苦労したのだろう。

イグアスには恋愛営業かける事にしたのだろう。

 

オールマインドがイグアスに絆されてくれると俺的に推せるのだが。

 

対面でイチャイチャする二人を眺めつつ、出来立てのミールワームの野菜巻き串を頂く。

 

お、ミールワームの野菜巻き串美味いぞ。

皮の部分が脂肪で中身が赤身肉で牛肉っぽい。野菜はシャキシャキ新鮮でオールマインドも食料生産プラントを独自で持っているのが窺える。

 

ああ、ルビコン・ビールうめぇ。

 

なんか俺のだけ、やけに赤いんだけどコーラル混入してたりしないよね?

気のせいか脳みそパチパチしている気がする。

 

「レイヴン、私の機体。組んでくれませんか?」

 

目の前でイチャつくイグアスとケイトを尻目にエアは、すっと肩を寄せ、見上げる上目遣い。自然な動作の艶めかしさ。どこで覚えてきたのだろうと心配になるが、悪い気はしない。と言うかドキドキしっ放しだ。

サイズの合ってない俺のジャンパーから覗くパイロットスーツの双丘に目が釘付けになる。

 

 

「え、良いの。…支援と言っても、ヘイト取る場合もあるし…」

 

 

視線を誤魔化すようにグビグビとルビコン・ビールを飲みながら、取り出した端末を操作してアセン画面を表示する。

 

 

「ハンドミサイルとレーザードローンで支援する感じで、機体は前に使った足の速いRaDとエルカノちゃんぽんテスト機を使おう」

 

 

俺の言葉にぴくりとケイトが反応する。肩を震わせ、俯きながら地獄の底から響くような怨嗟の声が漏れる。

 

「…強化人間C4-621レイヴン。貴方もですか?どうして、オールマインド製品を使わないのですか?」

 

ショックが大きすぎるのか、最初の方は声が完全にオールマインドだった。

 

「オマちゃんパーツは性能は良いけど、重量に無頓着すぎるんよ」

「…使ってやりてぇが、俺も整備の都合があるからなぁ」

 

俺の言葉に、イグアスもルビコン・ビールを飲みながら続く。

ちゃんとした(?)メーカーであるエルカノやBAWS製品と違って、オールマインド製品はローカルのプロショップ製品みたいな位置づけなんだろう。

オールマインドの共同ドックや地元企業(?)であるRaDなら兎も角、星外の企業では使って貰えないか。

 

「ふん。良いです。良いです」

 

そっぽを向きながら、ジョッキからごっごっごっとビールをかっ喰らうケイト。

ぷはっと一息ついて、座った目でイグアスに向き直る。

 

「…営業不振でオールマインドを首になったら、イグアスに着いていくだけです」

「おい…良いのかよ?」

 

不意打ちだったのだろう。

ポカンとした表情を浮かべたイグアスはそれだけを絞り出した。

 

「(イグアスは)どの道、いずれルビコン3から出て行ってしまうではありませんか。…それとも、私をルビコン3に置いていくつもりだったのですか?」

「そ、そんな事ねぇ!俺は本気だ!俺はッ本気でお前を…ッ」

 

寂しげな表情を浮かべたケイトは、つっと視線を落として上目遣いに()()を作りながら、しっとりとした様子で言葉を紡ぐ。

それに慌てたようにイグアスは立ち上がりながら言葉を絞り出したが…。

 

 

「…あ、続けて続けて」

 

 

対面で俺とエアと二人、ワクテカしながら熱視線を向けていたのに気づかれてしまった。

 

 

「うるせぇ!見せ物じゃねぇッ!」

 

 

「相席でそれ言うなよ」

 

 

折角良い雰囲気だったのに正気に戻りやがって…脳波会話でエアと相談する。

 

(どうしよう。エアの目の前でハニートラップが発動してる)

『どうしようと言われても…レイヴン。男女間の機微等の人間関係については貴方の方が詳しいですよ』

 

そう脳波通話を打ち切って、エアはいつの間にか頼んでいた真っ赤なコーラル・フロートをストローで飲みながら、ツーンと言い放つ。

 

そう言われても、ここでバラすのはイグアスが余りにも…かと言っても、後になればなるほどダメージが…。

…不穏分子なのは分かってるから、泳がせて監視しとけば良いか。

 

うん。ミシガンと五花海に任せよう。

 

まーそれにそんなに製品のシェアが取れなくて苦労してるなら、少しくらい協力しても良いか。

今はRaDの世話になってるとは言え、弾薬とか共同ドックとかでオールマインドには世話になってるし。

 

「…そんな進退窮まるほど困ってるなら、コアくらいは使っても良いよ」

 

俺の言葉にぱっと振り返り、満面の笑顔をぶち込んでくれるケイト。

こいつ分かっててやってやがるんじゃないかと一瞬疑う。

 

「強化人間C4-621レイヴン。流石です!愛してますよ!」

「…レイヴン。コアは生存率に直結しますよ。安易な変更は認められません」

 

エアの視線が冷たい。チョマッ!?…浮気じゃないよ!?

 

CC-2000 ORBITERは大型複合センサーを使えるようになって、スキャン性能が大きく向上したのだけど…センサーボールが正面についているので耐久性が心もとない。そもそも探査用だし。

作業用ウィンチ付きで色々と戦闘以外には便利なんだけど。

 

便利なんだが…戦闘の方が多いしなぁ…。

 

「ああ、もう!イグアス、そんな目で見るな!とらないよ!」

「手前がおかしなこと言い出すからだろ」

 

普段より2つくらい低音のイグアスボイス。

おかしなことを言ったのはケイト・マークソンの方ではないか。

なんで俺が睨まれなければならない。

 

「おかしくねぇよ!MIND ALPHAは傾斜装甲を採用してて、生存性は優秀な中量コアだから使っても良いつってんの!」

 

今使ってるのは惑星探査機用の作業機のコアだから戦闘向けのに交換しようと思っていたと続ける。

 

「ただ、同じくコア理論に忠実なBASHOコアのブースタ効率と比べると残念なんだよね。ブースタ効率がもうちょっと良いと嬉しいから、オールマインドにフィードバックしてよ」

 

あと軽量化。

オールマインド製品はブラッシュアップが足りないのか何でもかんでも重い傾向がある。

使用レポートを提出してくれればアップデートや改修の参考にしてくれるそうだ。

 

「MELANDER C3 はその当り優秀で羨ましい」

「は、そうだろよ」

「なんでイグアスが得意げに語るんだよ。開発したのはイグアスじゃないだろ」

 

MELANDER C3のパーツ持ってると言うとめんどくさくなりそうだったので、話を変える。

 

「そう言や、以前のミッションで救助した…アブクマだっけ?機体どうなったのか知ってる?」

 

「ああ、壁の偵察に出てV.VIIに撃墜された奴か。予算の都合でRaDってトコのACパッケージに乗り換えぜ」

 

「それって…お買い上げありがとうございます。かな?」

「なんだそりゃ」

「多分、俺がアセンブルしたパッケだと思うわ、それ」

 

ナイル副長が戻ってくるまで補給が厳しいから、ナンバー無しの隊員の補給はCOAMで解決してるのかな。

MTじゃなくて、わざわざ現地調達でAC用意する辺り優秀な隊員なんだろう。恩を売って置いて良かった。

 

「でも、イグアスそれ喋っちゃダメな奴だと思うぞ。聞いたの俺だけど」

 

俺の言葉に余計な事をしゃべらされたと気づいて、不機嫌になるイグアス。

 

「五花海か手前」

「独立傭兵だからね。売れるものは売らないと弾代どころか…気が付くと借金で首が回らなくなる」

 

「…ふーん。内装と武装はベイラムとファーロン製にしたんだ。ジェネはBAWS製品か」

 

エアのアセンブルを仮組していたタブレットに、アブクマの機体情報を呼び出して項目をチェック。

そこにある事が分かっていれば、何度か基地に言った際にエアが作ったバックドアで一発だ。

 

「デカくて嵩張るものは星に入れるの苦労するからの構成かな

 情報料に何か…あ、あれにしよう」

 

ポケットを探ってストレージを取り出すと、タブレットに接続する。

 

「RaDのオービター(胴体:CC-2000 ORBITER)は戦闘用ACのOSにするとコアの大型複合センサーが使えなくなるけど、使えるようにするドライバあるから使いなよ」

 

OS組み込み用のデータの入ったストレージを差し出す。

 

「いいのかよ?」

「機体構成を教えて貰ったしね。彼、偵察員なんでしょ。きっと役に立つよ」

「わかった。渡しとく…別に、野良犬が直接渡しても良いんだぜ?」

 

「いーや、これは情報料だから」

 

「アセンブル…しゃべって不味かったか?」

 

ストレージに手を伸ばしながら、神妙な表情をしているイグアス。

野良犬に教えを乞うとか成長してる!これは後々強敵になりそうだ!

 

「ランク外の傭兵なら問題ないだろうけど、俺とかエアとかケイト相手だと不味いね。そこから色々と分かる事あるし」

「くそ…またミシガンにしごかれる」

 

「それでも外出を制限されないんだから、イグアスは期待されてるんだねぇ」

 

イグアスって機体もMELANDER C3だし、パーソナルカラーもミシガンと同じなんだよね。

 

「あ?なんだ気色わりぃ」

「普通は今までのやらかしで外出禁止にされるよ。なのにこうして自由に外出させてくれてるのは、失敗からも学んで成長するのを期待されてるって事だよ」

 

「けっ、そうかよ。偉そうに」

 

 

とんでもない。

上司、同僚に恵まれて羨ましいって言ってるの。

 

 

もっとも、ミシガン総長よりうちのハンドラーの方が良い上司だけどね!

 

 

 

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