気が付けばルビコン3   作:ぶーく・ぶくぶく

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事前調査から先に進んでいなかったw




やっと中央氷原

 

 

飲みから帰った翌日、スウィンバーンから機体を組み直したいと言われた。

 

元々盾で受けて戦うスタイルのスウィンバーンに軽4脚は辛かったようだ。

なんだよ。

第七世代、もっと本気だせよ。

 

パーツを発注したら、オールマインドもといケイトからメッセージが届いた。

 

「見なさい。やはり一流企業に勤めていた人間にはオールマインド(製品)の素晴らしさが理解るのです」

 

 

頭部:VE-44B(ロップイヤー頭)

胴体:07-061 MIND ALPHA(オールマインド製品)

腕部:AA-J-123 BASHO(近接パワー)

脚部:LG-033M VERRILL(ベイラムの重4脚)

 

右腕:44-141 JVLN ALPHA(特殊バズーカ)

左腕:44-143 HMMR(超電磁ヨーヨー)

右肩:BML-G1/P07VTC-12(垂直12連装ミサイル)

左肩:SI-29: SU-TT/C(基本はガン盾でいい盾)

 

内装

ブースタ:BC-0600 12345(RaD製品ホバリングQBで安く速く動きたい)

火器管制:FCS-G2/P12SML(ミサイルのマルチロック型)

ジェネレータ:AG-T-005 HOKUSHI(息切れさえしなければ万能選手)

 

 

まさかの両腕オールマインド製武器。

 

コアパーツもオールマインドとはびっくりだ。

軽4脚から重4脚への転身。やっぱりあの空力バカ機体は好みに合わなかったか。

 

スウィンバーンは堅実な戦いするから、やっぱりかーと思う。

 

じゃーなんであんな機体渡したかって?ロマンだよ、ロマンを感じて欲しかったのさ。

 

ホバリングで移動し、ガン盾構えながら、バズーカとミサイルで詰めて、ヨーヨーをぶち込む感じだろうか。

拠点(工場)防衛しながら指揮も取ると考えれば、ガン盾にロップイヤー頭でスキャンして遮蔽物越しに垂直ミサイルをお見舞いする防御高めのアセンは悪くない。

 

反対する理由もないから、スウィンバーンにOK出した。

 

それは兎も角、今のスウィンバーンは傭兵でもないのだけどパーツ売ってくれるのか。

BAWSと一緒で金を積めば、どこにでもパーツを降ろしてくれるとは…。

 

運用データは欲しいと言っていたが…それで良いのか、オールマインド。

 

 

/*/

 

レッドガン基地は慌ただしく隊員たちが動き回っていたが、どこか閑散としていた。

こまごまとした荷物は箱に詰められ、整理され、言うなれば引っ越しの準備のように見えた。

 

そんなレッドガン基地を訪れたのは取引のある独立商人を経由して届けられたG2ナイルからの連絡を伝える為だ。

大型降下船で来るそうで、その合流座標の入った(バレない様にエアに中身を盗み見して貰った)ストレージをミシガンに手渡す。

 

「良く来たな、G13!お前も知っての通り、レッドガンは基地を放棄し全戦力をアーレア海を超えて、中央氷原に展開する。愉快な遠足の始まりだ!」

「運べるものは全て持っていきますが、建物など残るものもあります。それら資材を貴方に売っても良いと考えています」

 

ミシガンの声に五花海が続ける。

 

「あ、じゃあ買います」

 

提示された金額はかなりの額だったが、そのまま飲んで売買成立。

値段交渉するつもりだったらしい五花海は怪しい丸眼鏡の奥で驚いていた。

 

「…それで解放戦線はアーキバスを襲うのに忙しいから、しばらくこっちには来ないと思う」

「都合の良い話だな。だが、その間に遠足を済ませてしまうとしよう。G13!貴様に頼みがある」

 

びしっと背筋を伸ばして、ミシガンの言葉を待つ。

 

「貴様にG5を預ける。二人で先行しアーレア海を越え、アーキバスの前線基地を潰して回り、奴らの観測データを抜き取って来い」

「上陸作戦の援護か…イグアスと二人でヴェスパーを足腰立たなくなるまで叩きのめしても良いんだよね」

「良いぞ!出来るものならな!」

 

敬礼し、ミシガンへニヤリと笑って見せる。

良い感じにまとまったと思ったら、五花海が口を歪ませ嫌そうに言葉を発した。

 

「…独立傭兵レイヴン。私が言うのもなんですが、バランス外交は嫌われますよ」

「あーうん。ありがとう。そのつもりはないんだけど、依頼全部受けてたらこうなった」

 

頬を掻きながら苦笑する。フロム主人公に憑依転生したからには依頼は全部yesといきたい。

そんな俺に五花海はやれやれと言った様子で続けた。

 

「精々叩き潰されないように気を付ける事ですね」

 

 

/*/

 

 

アーレア海を越える。

 

この距離の壁を越える為、アーキバスは現地勢力の船を利用したり、撃墜鹵獲したルビコプターを輸送用に改造したり、補給物資を直接に中央氷原に投下したりと様々な手段を取っていた。

 

対して寡兵のレッドガンは船団を組んで一気にアーレア海を越えるつもりだ。

 

効率は良いが一網打尽にされる可能性が高く危険な賭けだ。

これを成功させる為に強化人間であり、カーゴランチャーで射出しても死なないイグアスと俺を先に中央平原に送り込んで攪乱させるようだ。

 

イグアスだけなら、ホーム輸送ヘリがAC2機積めるからヘリで飛んでけば良いのだが、黙っておこう。

 

グリット086上部。

誘導路が作られたカーゴランチャーでは、命知らずで金を惜しんだ独立傭兵たちが次々とカーゴランチャーで射出されていっている。

強化人間でもなく耐G機能付きパイロットスーツも着ていない彼らは射出時の加速度で絶命して、着陸地点で待機しているRaDメンバーたちにハイエナされる。

 

安全は金で買うんだよ。

 

「おい、野良犬。なんでヘリを使わねぇ」

 

順番待ちに飽きてきたのかイグアスの若干不機嫌そうな声がヘッドブリンガーから聞こえる。

 

「総長がカーゴランチャーで飛んでけって言ってたから」

「したら、向こうに渡ってからのオペレーションは誰がするんだ」

 

エアと助っ人に雇ったオペレーターはヘリで中央氷原に向かっているが、そこに気がついたか。

 

「ヘリは補給物資積んだからAC積めないんだよ。あっちまでは別行動だね」

「そうかよ。チッ、なんで俺がこんな…」

「あれ?イグアスは絶叫マシン怖い系?」

 

含み笑いで揶揄うとイグアスはムキになって否定してくる。

 

「あぁん!?んなわけねぇだろ!」

 

『そいつは良かった。名高いレッドガンのナンバー付きだ。楽しんで貰えるように加速度を少し上げておこうかね』

 

俺たちの通信にカーラが割り込んできた。

 

「カーラ。帰ってきてたんだ」

『いつまでも本拠地を空けてられないからね。あっちは任せてきたよ』

「知り合いか?野良犬」

「RaDの頭目…カーラだよ。仕事貰ったり、ACの改造頼んだりしてる。競合他社のパーツをバランス良く組み上げる良い腕してるよ」

「ああ、お前のAC節操ないもんな」

 

失礼な。

 

頭部:アーキバス

胴体:オールマインド

腕部:BAWS

脚部:RaD

 

至って普通の独立傭兵仕様じゃないか。

ジェネレータだけRaD製のダブル・コーラル・ジェネレータなのが秘密なだけだよ。

 

「相性で動かなくなったりすんだろ」

 

そんな21世紀初頭の自作PCみたいな…あるのかな?

 

「そんな困った事ないけどな」

 

言いながら、それぞれ隣り合ったコンテナに乗り込む。

 

『随分と余裕じゃないか?少しサービスして、最大20Gの弾道軌道の旅をプレゼントしてやるよ』

「20!?ふざ…」

「ちょッカーラ!?20は上げす…」

 

コンテナの外から拘束ボルトのロックする音が響く。

間髪入れずカーゴランチャーが射出された。

 

「けんなぁぁぁぁーーーー!!!」

「ぎぃぃぃぃぃぃーーーー!!!」

 

咄嗟にパイロットスーツの耐G与圧を最大まで上げるも、海越えの時以上の加速度に視界が真っ赤に染まった。

限界を突き抜け、真っ赤に染まった視界が暗転。コンテナの外を舞うコーラルの流れが見える。

 

 

…ああ、真っ赤な河が見える。

 

 

『体だけでも笑って見せるアンタらの…快適な空の旅を祈ってるよ』

 

 

そんなカーラの声が聞こえた気がした。

 

 

綺麗に〆たつもりだろうが、誤魔化されないからな!!

 

 

/*/

 

 

「…ああ、死ぬかと思った」

 

気圧差で空気の漏れる音を聞きながら、コンテナのハッチを空けて着陸?したコンテナからACで這い出す。

 

周囲を見回すと着弾したコンテナを開けて、動かなくなったACをハイエナしているRaDの構成員たちのMTが忙しそうに動いている。

イグアスのコンテナは…ああ、あれか。

 

「クソッタレ…ひでぇめにあったぜ」

 

お、生きてた。

 

「おーイグアス。生きてる~」

「手前の所為でひでぇめにあったぜ…くそ、まだ目がチカチカしやがる」

「カーラは面白可笑しいのが好きだからね」

「限度ってもんがあんだろ。…野良犬、機体は異常なしだ」

 

お互い機体のセルフチェックでは異常は無い様だ。

ただ、弾道軌道でカーマンライン付近を通過した影響かイグアスがコーラルの影響でか視界がチカチカすると言ってるのが気になる。

 

そんな中、ヘリのローターが風を切る音が大きく聞こえてくる。

 

「迎えに来ました。レイヴン」

「イグアス!私が来ましたよ!」

 

通信から姦しい女性の声が響く。

割と淡々としたエアの声に対して、ケイトの声はサウンドオンリーなのにドヤ顔が目に見えるような表情豊かなのはホントどうしてだろう。

 

見上げると、胴体コンテナが2連結している大型輸送ヘリ(うちのガレージヘリだ)と胴体コンテナが1つの輸送ヘリが着陸してくるところだった。

 

「ケイト!?」

「助っ人で雇った。イグアスのオペレーターを頼んだんだ」

 

驚いイグアスに答えたが、先に言え野良犬と罵られた。嬉しい癖に、解せぬ。

 

『レイヴン、イグアスは嬉しいのに何故怒っているのでしょう』

 

エアがコーラル脳内通信に切り替えて訪ねてきた。

イグアスにも聞こえる義体を使った音声通信を使わない程度には情緒が成長しているようだ。

 

『多分、照れ隠しだよ。嬉しいと素直に表現するのが恥ずかしいんだと思う』

『なるほど…人間の感情表現は複雑ですね』

 

視界がエアの言葉に合わせて、チカチカと赤く明滅するのにも慣れたものだ。

 

「…野良犬。なんか言ったか?」

 

唐突にイグアスから訝し気な声を掛けられる。

 

「え?何も言ってないよ?」

「そうか…なんか、話し声がした気がしたんだがよ」

 

『あれ…コーラル会話が聞こえてるの?』

『以前は交信していると耳鳴りがすると言っていましたね』

 

「…!まただ。野良犬の方から声がする気がするぜ」

「んー…イグアス。耳鳴りはする?」

「耳鳴り…いや、しねぇな」

 

「ひょっとしてカーゴランチャーでかっ飛んでくる時にアイビスの火の余燼のコーラル流を通過してきたから、なんか脳内のコーラルと干渉して耳鳴りが可聴領域に治まった…感じ、かも?」

「なんだそりゃ」

「いや、俺もコーラル式の強化人間だから俺の思考とかでコーラルが動いたのを聴覚で捕らえてるのかも」

 

耳鳴りは俺が近くにいる時が酷かったんだろ?そう続けるとイグアスはしばらく考え込んだ。

 

「そんなもんか…野良犬。なんか試しに考えて見ろよ」

 

『イグアスのばーかばーか。俺は野良犬じゃなくて飼い犬でーす。飼い犬に成り切れない負け犬ー!』

 

「…手前、なんか悪態ついてねぇか」

「凄い!あたりだ」

「馬鹿か!手前ぇ!」

 

まー悪い人?に誑かされないようにね。と忠告しておく。

イグアスにとっては意味不明な忠告。機体越しになんだそりゃ?って表情された気がする。

 

ワクワクしているだろう。ケイトもといオールマインドの事は気にしないで、それぞれのオペレーターの動かすヘリにACを乗せて、作戦領域を目指す。

 

 

/*/

 

 

ヒアルマー採掘場やらヨルゲン燃料基地を含めた中央氷原にあるアーキバスが拠点化したポイントを襲撃していく。

調査ドローンがあれば観測データを奪取し、燃料タンクがあれば…え?壊しちゃダメ?あとで奪ったらレッドガンで使う?

 

ふーん、破壊加点じゃなくて、破壊減点方式か。

 

ちょっと面倒だな。

どうせ、封鎖機構が本気だしたら奪われるのに…。

今更、ゲーム通りの展開もないか。

 

アーキバスを釘付けにするのが目的だから、完全破壊しないで次々と拠点を移動して襲撃する神速が求められる。

…これ、休憩時間とかどうなってます?

 

強化人間の強化たる所以を見せてやるぜ!

 

 

 

と、言うわけで二手に分かれてアーキバスの拠点を次々と襲撃している。

ヴェスパーの通信はエアが傍受して、暗号解除もしてるのでフロイトの展開先も筒抜けだ。

不自然にならない程度にフロイトを迂回して、襲撃を続けている。

 

メーテルリンクとペイターくんは撃墜してやった。

 

コックピットは避けたので死んでないようだが、崖の中腹に放り出してやったので救出に手間取っているようだ。

企業として出来る限り従業員は見捨てられないから、死人が驚くほど少なく負傷者が多い襲撃にてんやわんやしている。

 

V.VIメーテルリンク…彼女には、

 

「独立傭兵レイヴン。仮ナンバーを発行されてた身分でアーキバスに敵対しますか。…大人しく従順に過ごせば正規登用もあったでしょうに」

 

そんな事を言われて、その言い草に前世を思い出してしまった。

 

「なーにが正規登用だよ!お前たち(正社員)はいつもそう!みんなそう!そうやって契約やバイト(有期雇用)を見下しながらエサをチラつかせる!」

 

なんとかショックのあおりで就職失敗した過去がよみがえる。

不安、絶望…足掻いてもどうにもならない無力感、虚無感。胸に穴が開き、足元からバラバラに身体が消えていくような喪失感。

明日をも知れず、己の無力を嘆く事も、世の中へ怒りを向ける余裕もなかった。

 

…あの時は。

 

無拍子で間合いを詰めると、メーテルリンクのインフェクションの手足をパルスブレードで切り落とす。

状況が飲み込めないでいるメーテルリンクの乗ったコアを機体の両手で鷲掴みすると、ガックンガックン揺さぶり叫ぶ。

それはあの頃の魂の叫びだった。

 

「そんなん言うなら、さっさと正規雇用しろってんだ!自分たち(正社員)だけが社会人みたいな顔しやがって!」

「ちょッ!?やめッッ!?」

「俺だって!働けるもんなら長いものに巻かれて正社員してぇよ!それを!それを!」

「…て…タスケ…」

 

前世を思い出し、感情が高ぶる。

インフェクションだったコアを地面に押しつけ、ガンガンと殴り…ああ俺、こんなん思ってたんだと頭の片隅で思いながらも衝動は止められない。

コアは近接(バショー)腕でボコボコに殴られ、揺さぶられ、内部は酷いありさまだろう。

 

そして、V.VI メーテルリンクを見るも無残な姿に変えた独立傭兵レイヴン(おれ)がユラリと機体を立ち上がらせると、それまで遠巻きに見る事しか出来なかったMTやACたちが小さく悲鳴を漏らしながら後退った。

 

 

「…御社への圧迫面接(血祭り)を再開します。次の(正社員)どうぞぉ?」

 

 

「ひッ…ち、ちが、俺は派遣なんだ」

「お、おれはルビコン3限定の契約なんだ」

「く、来るんじゃなかったこんな惑星」

 

「き、貴様ら、そんな勤務態度では再教育センターだぞ!?」

 

青黒いヴェスパーカラーのACが踏ん張って叫んでいる。

 

志望(死亡)動機をどうぞぉぉッ!!」

 

「ひィ、ま、まて、まってくれえぇぇぇ」

 

ヴェスパー(正社員)と思しき機体を同じようにボコボコにすると残りのACやMTは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。

足元を見ると頑張って遮蔽を使いながら肉薄してくる歩兵くんがいる。

機体のセンサーを向けながら、「そんな頑張っても待遇は変わらないぞ」と声を掛ける。

 

給料分は働かないとな(俺がいないと現場が回らない)!!」

 

良いガッツだ。

だが、それ言い出すと薄給で使い潰されるぞ。

 

映像と音声を記録してヴェスパー基地に有望人材(社畜候補)とタグ付けで送信しつつ、対物ランチャーを構えた歩兵くんを瓦礫ごとまとめて蹴飛ばした。

 

 

「レイヴン、第四隊長(ラスティ)が向かってきています。早急に離脱しましょう」

 

 

エアの声で俺は正気に戻った。

ラスティ(スティールヘイズ)の方が足が速いため交戦距離に入る前に姿を消す必要がある。

俺は機体の戦闘モードを解除すると巡行モードに切り替えて、半壊したヴェスパーの拠点から離脱した。

 

機体のCOMボイスは安本ボイスから、ファイルーズボイスに変わっていた。

 

DLCでCOMボイス切り替え出たんだろうか。

 

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