気が付けばルビコン3   作:ぶーく・ぶくぶく

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5月病なので頑張って執筆した。
他の事は知らない。

もし、私の願い事が叶うならば~
エルデンリングの新作よりもAC6のDLCを下さい(血涙

一人多かったのを修正。うちは619はロストだったね。
ごめんよ、619。


白い閃光。やっと動き出す事態

 

一息つけそうだ。

ちょっと、イグアスの様子を覗き見してみよう。

 

 

「イグアス、対処を」

「対処対処、うるせぇッ!」

 

 

…なんでや?

ヒアルマ―採掘場で調査ドローンから観測データを抜きながら、アーキバスのMTを破壊するだけなのになにやってるんだ?

 

少し黙って通信を聞いてみる。

 

「イグアス、(敵MT3時方向から攻撃です)対処を」

「イグアス、(敵機が接近していますが、観測データ奪取できます)対処を」

「イグアス…」

 

音声通話の転送速度の遅さに慣れてない上、状況の把握をイグアスも俯瞰出来てるとの誤解から指示を省略しているのが噛み合っての「対処」「対処」っぽい。

 

どうしよう?

 

教えてやった方が良いのだが、いつか敵対するかもしれない相手だ。

こんな時、ネストの皆はどうしたか…?

 

…親切丁寧に教えてたな。

 

狩り甲斐のある相手になる事を期待して。

でも、これは俺にとっては現実だし、勝てる可能性を減らすのは間抜けだよな。

 

『…レイヴン?』

 

訝し気なエアの声が脳裏に響く。

間抜け…間抜け…か。

 

今更だな。

 

チート転生憑依なんて誰もが憧れる浪漫を実現しといて常識的な解法は無しだ。

ごすとエア、お姉ちゃん’ズとのハッピーエンドを目指す俺が、今更、イグアスとAMの強化を躊躇ってどうする?

相手が強いなら、それに合わせたアセンを組むのが俺たち(ネスト)流だ。

 

二人の通信に割り込んだ。

 

「ケイト。イグアスはAIじゃないから状況の認識にムラがある。音声通話の転送速度が遅くても、言葉を足さないと十分にオペレートできない。少し変わってくれ」

 

「野良犬?「独立傭兵レイヴン?」」

 

「イグアス。そのMT2機と4脚MTを手早く片付けたら、少し戻って調査ドローンに接続してくれ。後続が来る前にデータを抜ける」

困惑していたイグアスに指示が浸透するのを確認して続ける。

「…40秒だ。それ以上掛けると後続がくる。ドローンからデータを抜けないが、G5なら余裕だよな?」

 

「ハッ、わかりやすいじゃねぇか!」

 

自尊心をくすぐってやるとイグアスの闘志が燃え上るのが感じられる。

見違える動きで肩ガトリングを撃ちながら、アサルトブーストでMTに突っ込んでいくヘッドブリンガー。

肩ガトリングでMT1機を撃墜し、もう1機に接近。至近距離でミサイルをぶっ放し、足を止めずに4脚の懐に滑り込む。

 

ガキン!

 

左腕のパイルバンカーは既に装填済だ。

アサルトブーストの慣性で滑りながら、下から掬いあげるようにパイルバンカーで4脚の胴体をぶち抜く。

 

「どうよ!」

「イグアス、やっぱり近接の方が適性あるよ」

「ち、その上からの物言い気に喰わねぇな」

「まだまだ俺の方が強いからねー。ほらほら早くドローンに接続して」

 

そう言いながら、今のイグアスとならどう戦うか?どんな方に強くなったら、どう戦うか頭の片隅で考えている自分がいる。

 

「それより手前ぇどこから見てる?」

「あ?そこの崖の上だよ」

 

ここ片付けたら、どっかで休憩しようと続けながらオペレートをケイトに返す。

イグアスと二人、MTを蹴散らし、帰還してきたヘリと4脚MTも片付ける。

 

通信を傍受していたエアから、彼らは残ったデータを本部に送信しようとしていると聞かされ、少し離れた場所にいる部隊へ襲い掛かる。

 

流れ的に封鎖機構の強襲艦が襲ってくる頃合いかな?

 

 

   /*/

 

 

激しく吹雪く空を無数の強襲艦が覆いつくす。

随伴する子機の数も物凄い。

 

こちらに向かって攻撃はしてこない。

 

どこかへ向かっているのか…1点を目指して飛んでいるようだ。

 

 

「ルビコンに不法侵入した全ての勢力に告ぐ。

 ただちに武装解除し、封鎖圏外へと退去せよ。

 これ以上の進駐は惑星封鎖機構への宣戦布告と見なし、例外なく排除対象とする。

 

 繰り返す。例外はない」

 

 

オープンチャンネルと外部音声で広域放送している。

採掘所の崖に音声が反射してエコーし、不気味な声に聞こえてくる。

 

「!? 野良犬ッ! この方向はッ!」

「!?」

 

イグアスの声に広域レーダー画面を呼び出し、確認する。

 

「この方向は…ッ!」

 

ベイラムの降下船の降下合流ポイント。

ウォルターが同乗している船!!

 

機体を飛ばし、崖の上から更にブースターを吹かして飛ぶ。

足りない!高度がッ!!

 

こちらを相手にする気はないのか、ぐんぐんと高度を上げていく強襲艦隊。

 

こんな事なら、カッコつけないで改造したツイン・コーラルジェネレータを積んでくるんだった。

 

イグアスも出来る限り高度を稼ぎならがミサイルやライフルを撃ちまくるが、強襲艦隊は俺たちを無視して先へ進む。

 

 

「仕方ない、イグアス。低空を飛んで追い掛けよう。この速度のままなら先回りだって出来る筈だ」

「そうか!仕方ねぇ、追うぞ!」

 

 

追い掛けようって言ったの俺なんだけど…。

 

 

   /*/

 

 

『レイヴン、高速飛行物体が接近中です。速度マッハ3.2』

『今どき戦闘機?』

 

機動兵器とミサイル技術の発展で戦闘機は廃れてるこの世界で珍しい。

背面飛行しながら、メインカメラのズームを使って飛翔してくる機体を確認する。

 

「器用な真似しやがる」

 

イグアスのボヤキを聞き流しながら、ズームアップした飛行物体を観察する。

それは白い…白い機体だった。

 

 

「…白いAC?」

 

 

頭部が胴体に収納されているように見えた。

コア背部に大きくせり出したブースターユニットは一般的なものではない。

大きく張り出した両肩。両手にライフル。

 

操作した事はない。

けれど、動画で何度も見た事がある。

 

 

「ホワイトグリント・ラインアーク?」

 

 

俺の呟きに白い機体から通信が答えた。

 

「助けに来たよ、レイヴン!」

 

気の抜けた軽い声は俺に敗北して、下請けになったブランチの元レイヴンの少女のものだ(今はコードネーム・リンクスを名乗ってる)。

 

「リンクスか!なんだ、その機体!?」

「RaDのメカニックにアストナージって名前の人がいてさー。行けるかも!ってダメ元でワンオフ頼んだら…出・来・ち・ゃ・た★」

「アストナージ!?アストナージって、あのアストナージか!?」

「本人かはわかんないけど、腕はイレギュラーだったよ」

 

スパロボのアストナージなら、確かに改造してつくれそうだが…うらやま…げふん。

 

そうこうしているうちに長距離侵攻用大型ブースタ。ヴァンガード・オーバードブーストを切り離し、強襲艦の上甲板に取り付いたホワイトグリントは艦橋を両手のアサルトライフルでハチの巣にすると、誘爆する前に次の艦へ飛び移る。

 

密集していたが故に一度取り付いたホワイトグリントを振りほどく前に、白い機体の八艘飛びで次々と強襲艦が撃沈されていく。

 

「…失敗した。左手、パイルバンカー持ってくれば良かった」

 

左右重量のバランス調整までは間に合わなかったので、両手が同じ武器になったらしい。

 

「でも! このジェネレータ良いじゃない!」

 

赤い噴射炎を吹き出しながら、息継ぎなく強襲艦を落としていくホワイトグリント

間違いなく。

俺が使わないで置いてきたツイン・コーラル・ジェネレータを搭載している。

 

 

「野良犬…なんだありゃ?」

 

イグアスの疑問はもっともだ。

 

「あれはヴァンガード・オーバードブーストを装備したAC。『長射程と高火力を誇る大型目標に対して超高速で接近、その懐に入り込むことで損害を最小限に抑え、また、火力を封じる』のをコンセプトに開発された(たぶん)前世紀の遺物」

 

「ドーザーの技術者に作らせたんだって」

 

「あんな高機動パイロット持つのかよ」

「一応、最新型の強化人間らしいし…」

 

20艦はあった強襲艦隊を事も無げに撃沈したホワイトグリントが俺たちの元に降りてくる。

 

「いやーすっきり!」

 

そんな一言ですませて良い戦果ではないが、流石はイレギュラーの名を名乗っていただけはある。

プシュっと空気の漏れる音と共に三重の複合装甲が花開く蕾のように開くと、全身からボタボタとゼリー状の液体を滴らせながらリンクスの小柄な身体が姿を現した。

ボディラインが露わになるピッチリパイロットスーツの表面を流れるゼリー状の耐Gジェルが艶めかしい…うーん、もう少しメリハリがある方が俺は好みかな。

 

「耐Gジェル式のコックピット入れたんだ」

 

俺の言葉にヘルメットを脱ぎながらリンクスは応える。

「これいいわよね。それにジェネレータも…なんで使わないの?」

「ジェル式は乗り降りのメンテナンスが大変なのと、カスタムパーツは機体の換装に手間かかるから。それと趣味」

ジェルが髪につかないように髪をまとめたリンクスはジェルのついた手で髪をかきあげようとして、直前で気が付いて手を止めた。

 

「趣味か…」俺の言葉に笑うリンクス「…じゃー仕方ないね」

 

「おい…それで良いのか」

リンクスの言いように疲れたように突っ込みを入れるイグアスにリンクスは視線を向ける。

 

「G5だっけ?そうだよ。独立傭兵なんて趣味じゃなきゃやってられないもん。

 稼ぐならもっとマシな仕事は一杯あるじゃない?」

 

そう言って笑い掛ける。

 

「殺し屋のおじいちゃんだって『これ以外、術を知らんからだ』とか言いながら好きで殺し屋やってるんだよ。

 ようは手段の為に目的を選ばない困ったちゃんが世の中には一定数いるってこと」

 

風に舞う粉雪に彩られ、天使のように微笑みながら最低な事を口にする少女(リンクス)だった。

 

眩しそうに目を細めながら「そうか…それなら俺は…」とイグアスが呟く。

このチョロイン、まーた悪い影響受けてるよ。

 

 

/*/

 

 

強襲艦隊を潰したので(俺たち何もしてないけど)、一息入れてレッドガンの本体との合流を目指す。

戦闘は激しいものだったようだが、リンクスによって強襲艦隊が潰れされた事で大きな被害もなくベイラムの誇る大型降下船(ドロップシップ)は着陸できたようだ。

 

降下船への物資や人の搬入や搬出で後方部隊は大忙しだ。

 

降下船の周囲に広げられたキャンプの一角に俺たちは駐機した。

イグアスのヘッドブリンガーは降下船内部の整備ハンガーに収容され、コックピット周りの改修(強化人間仕様へ)を受けるらしい。

 

機体から降りてテントに案内されたが、一応俺たち独立傭兵なのでリンクスは機体に残っている。エアも輸送ヘリに留守番だ。

 

 

「よくやった!G13!」

 

 

テントでは、ミシガン総長にナイル副長。

我等がウォルターに、表情が柔らかくなった気がする617,620のお姉ちゃん’ズ。コールドコールおじいちゃんがいた。

 

「お前たちが強襲艦隊を落としてくれたおかげで本隊は然したる被害もなく降下できた。礼を言うぞ!」

「落とした強襲艦回収に部隊を出して下さい。大体ブリッジ壊したけど、誘爆してない艦は使えるから、ドーザーや独立傭兵が集まってくる前に」

 

もうナイル副長か五花海あたりが手配してるだろうなと思いながら口にする。続けて

 

「あと、ヴァンガード・オーバードブーストはうちのリンクスのなんで回収したら返却お願いします」

 

と、お願いしておく。

唸るほどあった筈のカネなんだけど、昨日の連絡でウォルターが全部使い切ったと言うので節約せねばならない。

何に使ったんだろ?

 

頷くミシガン総長を横目にコールドコールおじいちゃんが、ずいっと前に出てくる。

 

「坊主。これで依頼は達成、だな」

 

「はい、ありがとうございました。後払い分の報酬です」

 

そういってレアメタルが詰まったアタッシュケースを差し出す。

コールドコールおじいちゃんは簡易机の上でアタッシュケースを開いて中身を手早く確認する。

 

「少々多い、な」

アタッシュケースの中身をねめつけながら俺に問うコールドコール。

「お姉ちゃんたちの教導を丁寧にして貰ったと聞いたので…その分の上乗せです」

「ほう」

「それと…(おそらく)半世紀以上、独立傭兵してる『生き残り』への敬意と憧れを込めて」

 

俺の言葉にコールドコールは興味を引かれたようにじっと俺を見つめる。

数舜の後に瞳に不思議な光を宿して口を開いた。

 

「若いのに幾千の修羅場を潜ったような空気を纏った不思議なカラスよな。…お主とは、戦いたくないな」

「俺は機会があれば、貴方とも戦いたい」

 

返答にくつくつと笑いだすコールドコール。

 

「穏やかな海面のようでありながら、血が匂い立つのを隠しもせんか」

 

長生きのコツ…はな。お主のような鬼とは戦わぬ事よ

 

またな、カラスよ。

 

依頼があればまた受けてやろう。

 

バチンとアタッシュケースを閉めると、重さ数十キロはあるそれを軽々と片手で持ちコールドコールはテントから出て行った。

 

 

/*/

 

 

「G13! 古強者(ベテラン)に気に入られたようだな!」

「ミシガン、その話は後だ」

 

今度はナイル副長が口を開く。

 

「…G13レイヴン。お前たちからの情報提供で本社と我々(レッドガン)の通信を改竄している存在(オールマインド)がいると確信できた。その功績を認め、お前が望むならば正式にレッドガンにお前を迎え入れても良い」

 

まさか断りはしまいな?との強い圧を感じる。

ちらっとウォルターを見るが、621に選択を任せるとの意志を感じる。

 

「大変ありがたい申し出なんですが、工場買い取ってスタートアップしたところなんで…『またの機会』にお願いします」

「起業しているのは想定外だったな。上場したら買い取ってやろう」

 

俺は小さく笑ったナイル副長に神妙に頷いて見せた。

 

「その時は是非」

 

ナイル副長が一歩引くと今度はミシガン総長が重々しく口を開いた。

 

「…俺たちは一旦コーラル捜索を止め、この惑星の傭兵支援システム・オールマインドの解体と黒幕の抹殺を行う。ベイラムを虚仮にしたことが、どれだけ高くつくか教育してやらねばならない」

 

大企業は面子も大事にするが、中華系の色が強いベイラムは更に面子を気にするだろう。チャイニーズ・マフィア見たいなところあるし。

…オールマインド死んだな。

独立傭兵としては支援システムないと困るんだが、どうなるんだろ。

 

「そこでだ!G13、貴様はオールマインドの運営者について何か知らないか?」

「…運営者?」

「そうだ!AIが人間の指示も無くこんな事をする訳がないだろう」

「ああ!そーいう」

 

俺の初めて気が付いたと言う声にナイル副長がこめかみを押さえる。

 

「…傭兵を支援して利益を上げているのだから、その利益を受け取っている人間が何処かにいるだろう」

「サー!気にしてなかったです!…言われてみれば、その通りです!」

 

ナイル副長の溜息が重い。それでもナイル副長は続ける。

 

「影すらないなら、我々の見込み通りルビコン3の外にいると見るのが妥当か」

 

そうか。

 

俺は前世知識でオールマインドが自ら行動してると知ってるから気にもしていなかったけれど、組織として利益を上げてるならその利益を受け取ってる人間がいると考えるのが自然で、その人間が黒幕と考えるのか。

 

「俺はどうすれば?」

 

「今まで通り、傭兵支援システムを利用していれば良い。我々の連れてきた特α級のハッカーにオールマインドをハッキングさせ、中立の組織(ベイラム系独立傭兵支援システム)に書き換えさせる」

 

どうせ解体されるなら、エアにハッキングして貰って神経工学開発課とか工場幾つかをうちの工場の子会社に改竄して貰って手に入れるのも良いな。エアにお願いしておこうっと。

 

「アーキバスが黙っていないだろうが、そこはお前のハンドラーがヴェスパーに働きかけるそうだ」

「ウォルターが?」

 

ここで、これまで沈黙していたウォルターが口を開いた。

 

「そうだ。621、お前にはV.IIスネイルに直接面会のアポをとって貰いたい」

「わかりました。…日時は?」

「なるべく早い方が良い。…これは、アーキバス創業家の意向でもあると伝えてくれ」

 

株主会じゃなくて、創業家?

ウォルターなにしたんだろ?

 

輸送ヘリで留守番しているエアに通信を入れて、スネイルにメッセージを送って貰う。

ついでにさっきの思い付きをバレないように交信で伝えて、オールマインドの工場の幾つかを押さえてくれるようにお願いした。

 

「…メッセージ送信しました。明日には返事がくると思います」

 





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