気が付けばルビコン3   作:ぶーく・ぶくぶく

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私の貯金は2億5千万COAMです。



ハッキング対策(物理

 

ゲームの打ち上げパーティは盛況だった。

特に昨年度の大豊娘娘のポスターなんかを景品にしたビンゴ大会は盛り上がった。

 

エアに『レイヴン。あなたもあのような女性が好みなのですか?』と聞かれた時は返事に困った。

 

(俺はエアが好きだよ)

『…えッ、あ、え、わ、わた、しですか…。あ、ありがとうございます』

 

視界の赤がチカチカ点滅している。

脳深部コーラル管理デバイスのセーフティが作動しそうな雰囲気。

 

『…ですが、私には身体が無いので性交は出来ません』

エアの落ち込んだ脳内に響く。

(な、なんでそんなこと知ってるの!?)

 

『あなたの端末にそのようなデータが多数ありましたので』

(ば、バカな…閲覧後に削除したハズ…)

 

『すみません。あなたと同期しているので、閲覧中に一緒に見ていました』

 

 

あ、(∩゚д゚)アーアーきこえなーい。

 

 

ちょっとこの世界の肌色面積多目画像を興味本位()で閲覧していたのを一緒に見られていたとか死にそう。

ウ、ウォルターにはバレてないよ、ね。

 

うわわわ、気まずい。

 

(ち、つなみにその時、俺が何考えてとかまでは…)

『いえ、そこまでは…ああ、脳波が高揚?興奮…ですね。していた様子はわかりました』

 

(よし!この話はここで終わろう!僕の精神の為に!)

『そうですか?わかりました』

 

 

ま、まあ、今は(俺が暴れまくって)警備がボロボロのところをジャンカー・コヨーテスに襲撃されてる。その対応が先だ。

 

 

…内通者がいるんだろうな。なんか襲撃してくる前にハッキングドローンが仕掛けられてるし。

 

 

そんなわけで、カーラに上層に案内する前にジャンカー・コヨーテスの掃除を依頼されてる。

 

了承すると、俺は自分の機体ではなく修理されたマッドスタンプに乗り込む。

うっ、コーラル臭い。

 

「コックピットでもコーラルキメてたのか。酔いそう…」

 

何故か自分の身体に寄り添うような赤い神経節のようなモノが見える。

コーラルを少し吸った所為で知覚が拡大されてる?

 

『レイヴン。どうして別の機体で出撃するのですか?』

 

エアの疑問、もっともだ。

 

自分の機体は強化人間仕様で全身固定の上で、神経接続するので操作にタイムラグは無い。

対して、マッドスタンプは普通仕様なので、座席にシートベルトで身体を固定。モニターで情報を受け取り、フットペダルとレバー操作その他スイッチ類で操作する。

 

(なにかあった時に普通仕様のACも動かせるように…かな)

アーキバスの再教育センターから脱走する時とか。

『あなたは用心深いのですね』

 

ふむふむ。シート位置を調整しながら操作手順を確認する。

 

手動操作のやり方も脳に焼き付いてるようだ。問題なく操作できる。

多少不便だけど、MT車を運転するような楽しさがある…と、思う。

 

 

「独立傭兵レイヴン。マッドスタンプ出る!」

 

 

表にRaDと大きく描かれた隔壁が開く。すでに目の前まで攻め込んでいるコヨーテス連中に見つかった。

 

 

「ACが出て来たぜ!」

「ありゃぁ間抜けのラミーか?」

 

マッドスタンプのカラーリングそのままの機体に誤認しているようだ。

 

 

頭でっかちに見えるアンバラスな機体構成。

黄金像。

それがこのアセンの名だ。

 

 

頭部:VE-44B(アーキバスのアンテナ頭

胴体:DF-BD-08 TIAN-QIANG(大豊の重量コア

腕部:AA-J-123 BASHO(BAWSの近接格闘腕

脚部:EL-TL-10 FIRMEZA(エルカノの軽量2脚

 

右腕:EL-PW-00 VIENTO(エルカノのニードルガン

左腕:HI-32: BU-TT/A(タキガワの導きの初期ブレ

両肩:BO-044 HUXLEY(ベイラムの実弾オービット

 

ブースタ:BC-0200 GRIDWALKER(RaDが委託を受けて開発

FCS:FC-006 ABBOT(本当は技研のが使いたかった

ジェネレータ:DF-GN-06 MING-TANG(回復はお任せ!大豊の明堂

 

拡張機能:アサルトアーマー

 

 

軽量2脚に重量級のコアがのっている。なのに姿勢安定性が高い。

樹大枝細の体現にして軽二格闘機の理想、機能美の化身。

 

見た目と裏腹にヒロイックな機動戦が出来る名アセン…だと思う。

 

元のマッドスタンプとの共通点がコアパーツしかないが。

 

マッドスタンプのコアが大豊のと知った時から、やってみたかったのだ。

ラミーのふり作戦。

 

 

『レイヴン…楽しそうですね』

 

 

あ、趣味で出撃したのがバレたか?

 

 

/*/

 

 

隔壁を抜けて直ぐにいたACにアサルトブーストで突撃。ニードルガンとキックで仕留める。

 

「…こいつ、なんか速くないか?」

「本当に間抜けのラミーか?」

 

「知るか!パンチャーとキッカーを突っ込ませろ!」

 

突っ込んできたRaDのカスタムMTを実弾オービットとニードルガンで次々と撃ち落とす。

ターゲットの切り替えが神経接続よりも遅れる。

 

こんなんでフロイトは戦ってるのか。…でも、神経接続にはない楽しさがある。

 

「間抜けのラミーだけで…」

「な、なn」

「こいつ、はy」

 

セリフを言い切るには速さが足りなかったな!

 

残った4脚MTの砲撃を伸身宙返りで避けながら、オービットとニードルガンを上面に撃ち込み続け、4脚MTの背後に着地。

ぶぅんと音を立てて、パルスブレードが発振する。

 

着☆剣!

 

導きのパルスブレード2連撃で4脚MTは爆発した。

 

 

「前衛がやられた?」

「こいつ間抜けのラミーじゃないね。RaDの新入りか?」

 

「関係ねぇ!ミサイルで撃ち落とせ!」

 

 

スティールヘイズにも負けない高機動。多少の被弾はモノともしない姿勢安定性。

実弾オービットも小まめに出し入れすれば火力の落ちる時間も最低限に抑えられる。

 

ミサイルを掻い潜り、オービット*2とニードルガンでMTを蹴散らし、接近したら通路から蹴り落とし、パルスブレードで切り刻む。

 

 

さあ、次は設置されたハッキングドローンの排除だ。

 

 

「セキュリティの突破率は10%。うちのFWに対してこの速度。並列で5機ってところか」

 

 

カーラからの通信を聞きながら、グリット086の内部を飛んでハッキングドローンを捜索する。

ハッキングドローンの近くには無人のガードメカが防衛についているが、障害にもならない。

 

「…4脚まで入り込んでる」

「閉所では難しいのかい?」

 

「そんなことはないよ。羽目を外し過ぎたかな」

 

狭い通路をアサルトブーストをドヒャドヒャ吹かして突撃だ。

手際よくハッキングドローンを破壊し、5機目を蹴とばして破壊する。

 

 

(これで5機。全てのハッキングドローンを破壊しました)

 

 

エアのカウントを聞いてると、カーラから通信が入る。

 

「連中の主要取引先のサーバーをついでに焼いておいた。これで連中もしばらくは…待ちな。レーダーに敵影。増援か?」

 

ここまではゲーム通り。

オールマインドはちょっかい掛けてくるのだろうか。

そもそもコヨーテスの主要取引先にオールマインドが入ってたら、カーラのカウンタープログラムに焼かれるのだろうか?

 

…オールマインドだしなぁ。焼かれた仕返しにゴーストを嗾けてきたってのもありそう…。

 

隔壁を抜け、外部通路に出ると機体のレーダーにも敵影が映る。

敵味方識別信号を確認する。

 

(ACヘッドブリンガー。識別名G5、イグアスです)

「コヨーテスも傭兵を雇ったみたいだね。歓迎してやりな、ビジター」

 

カーラに返事をしながら、オープンチャンネルで出来るだけアホっぽく呼びかける。

 

「イグアスじゃん!小遣い稼ぎか?」

「あ?手前、野良犬か?なんだ、そのふざけた機体は?」

 

ベイラム純正フレームを使っているイグアスの感覚では、そう見えるのだろう。

 

「大豊の樹大枝細の体現にして軽二格闘機の理想、機能美の化身がわかんないとは…」

 

マニュアル操作で器用にACで肩を竦めて見せる。

 

「やれやれだ。G5も大した事ないな」

 

機体越しでも、イグアスの額に青筋が浮かんだのが見えた。

 

 

「…へっ、こないだのはラッキーパンチだったって証明してやる。くたばりな、野良犬」

 

 

あれだけシミュレータでも負けといて良く言えるものだと感心する。

ACの純正度の差が戦力の絶対的な差ではないって事を教えてやろう。

 

戦闘開始と同時に横へ機動し始めるイグアス。

こっちが近接戦闘アセンなので引き撃ちは有効な戦術だが、イグアス引き撃ちばっかりなんだよね。

 

横から砲撃してくれるヴォルタはいないぞっと、クィックブーストやホーミングブレードキャンセルで緩急をつけて削っていると…

 

『新たな敵性反応です!』

 

カメラには映らないが、レーダー上に4機反応が現れた。

近距離に現れた機体はプラズマ鞭を振り回し、遠くの機体はレーザーライフルで狙撃してくる。

 

(モニター欺瞞形式のジャミング!ハッキングされてる!?)

『ハッキング!?対処します!』

 

時間差でチャージショットを撃ち込まれるのは、普通のクィックブースト回避では次のクィックブーストが間に合わない。

キャンセルを噛ませて、無理やり疑似2段ブーストをかけて回避。

 

イグアスは?…シールドで受けてる。

 

「背に腹か。おい、野良犬」

「2機任せたよ」

「手前ぇッ」

 

近くの2機はイグアスに押しつけ、遠くから狙撃してくる2機にアサルトブーストで突撃。

機体を振り回しながら、所属不明()のゴーストに接近する。

 

オービット展開。ニードルガンを連射し、そのまま間合いを詰めてキックで吹き飛ばす。

 

 

吹き飛ぶゴーストをホーミングブレードで追いかけ、そのままパルスブレードでぶった切る。

 

 

先ず1機。

オービットを格納しつつ、ブレードの後隙を射撃動作でキャンセルし、背後からのレーザーを回避。

 

急激な回避行動、方向転換に機体がビリビリと震える。

ブースターは良い仕事をしてくている。

 

次の1機の上を逆さになって飛び越えながら、オービット展開。ニードルガンと合わせて上から銃撃。

背後に着地。アサルトブースト。

 

キックからの流れはさっきと同じ。

 

 

受け持ち終わり!

 

 

同時にエアの声が脳内に響く。

 

『レイヴン。モニター欺瞞への対処完了しました』

(!本当だ!あいつらが見える!エア!すごい!)

 

さっきまでは見えなかった距離のゴーストが見えるようになっている。

 

『システム解析や改竄には多少の心得があります』

得意そうなエアの声。視界の赤がチカチカ点滅する。身体があったら、どや顔をしていそうだ。

 

(いや多少では出来ないからね。エア、凄いよ)

 

 

モニターに映るゴーストと映っていたイグアス。

イグアスは2機相手に押し込まれている。

 

アサルトブーストで近づき、背後から射撃しつつ、パルスブレードでぶった切る。

 

あと1機!

 

ブースト全開で突撃キック。

吹き飛ばしたところにオービットとニードルガンを叩き込む。

 

イグアスも撃ってるから、パルスブレードでぶった切るのは巻き添えを食いそうだし。

最後の1機は空中で火花を散らし、通路に叩きつけられて、ゴロゴロ転がっていくとそのまま動かなくなる。

 

『所属不明機体の排除を確認』

 

「邪魔者は消えた。次は手前だ!野良犬!」

 

イグアス、どうしてこんなに噛みついてくるんだろう。

ガリア多重ダムだけじゃなく、シミュレータでも負かして、ここでも先にゴースト倒して見せたのに…。

 

やっぱり、強化手術で情緒が一部壊れてるんだな。

 

威勢の良い声と違って、イグアスの戦術は引き撃ちだ。

そして、シールド展開してるから左手の武器が使えていない。

 

また、機動力の違いでヘッドブリンガーは黄金像を引き離せない。

近距離の撃ち合いではパルスブレードを持ってるだけで圧力になる。

 

『レイヴン。被弾しています』

 

「クソッ!またか。また耳鳴りがしやがる。

 手前を倒せば、すっきりするだろうよ」

 

横移動するヘッドブリンガーに100mを切る距離まで接近。

流石にヘッドブリンガーの速射型リニアライフルが当り始める。

 

それにしても、エアの発言に合わせての耳鳴り。

 

コーラルが足りなくて交信不良を起こしてるのだろうか。

621ボディが致死量のコーラルを浴びるまで交信できなかった事を考えると実はイグアスの方が主人公適性高いのでは?

 

「ダメダメ。これで引き撃ちしかしないとかタンクの下位互換だよ」

 

こちらも両肩のオービットを展開し、ニードルガンを撃ち込んでいる。

速射型リニアライフル1本しか使っていないヘッドブリンガーとは火力が段違いだ。

 

「くそッ!」

 

とっさに機体を切り返し、距離を取ろうするイグアス。

発動に一瞬の間が空くが、そこにつけ入る火力の無いヘッドブリンガーだ。黄金像をアサルトブーストで加速、キックを叩き込む。

 

 

「引けば老いるぞ!臆せば死ぬぞ!」

 

 

コックピット内部で叫びながら、一瞬でACS負荷限界まで追い込むとパルスブレードを一閃。

 

 

「クソッ!邪魔さえ入らなければ…これで勝ったと思うんじゃねぇぞ!」

 

 

脱出しながらのイグアスの捨て台詞。

ここで緊急脱出は上手になったねぇと言ったら、頭ペイターになってしまうので、お口チャック。

 

ゴーストの機体は、カーラに回収され解析に回される事となった。いつかオールマインドの足元を掬う事になるだろう。

そして、暗号通信は秒でエアに解析された。

 

エアちゃんの演算能力って、どうなってるんだろう?

 

 

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