報わられない姉、阻む妹   作:D・MAKER

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 タイトル通り、回想から始まります。


Ep1:回想

 努力……それは先に進むために必要な物。

 どんな困難が立ち塞がっても、積み重ねた分だけ経験となり、己の力となる。

 だが、世の中には例外と言う物が隣り合わせである。努力を積み重ねても……相手によっては、簡単に無にされてしまう場合もある。

 

――――

 

『ねぇねぇ! 何してるの?』

『日菜ちゃん、知らない人に無闇に声を掛けたらダメ』

『???』

 

 幼い頃、妹が公園で見知らぬ男子に声を掛ける。

 

『僕は……(てる)白波輝(しらなみてる)

『じゃあテル君だね! 一緒に遊ぼうよ! お姉ちゃんもいいでしょ?』

『日菜ちゃんってば……私は別に良いけど……』

『え? えっと……』

 

 突然の展開で彼は困惑してるが、日菜はノリノリで私と彼の腕を掴む。

 

『じゃあ行こう!』

『わっと……』

『日菜ちゃん、そんなに引っ張らないで……』

 

 幼馴染となる男子、白波輝との初めての出会いだった。

 

『ね、ねぇ輝君……』

『テル君! 向こうに良い物があるよ!』

『どこ~?』

『こっちこっち!』

『おっと……』

『……』

 

 輝君に話しかけようとしたら、妹に先を越されてしまった。

 この時の私は、もっと努力して輝君を振り向かせようと思った。

 

――――

 

 私の名は氷川紗夜。

 私には双子の妹が居る、名は氷川日菜。昔から何をしても成功する天才。

 周りからすれば憧れとなる存在だけど……私にとっては努力を全て無にする存在。見ているとイライラするの……。

 

「お姉ちゃん! 今日ね!」

「日菜、勝手に部屋に入ってこないでと言ってるでしょ!」

 

「ご、ゴメン。でもさ……るんっ♪って嬉しいことが有ったからさ! お姉ちゃんにも聞いて欲しいなって!」

「うるさいって言ってるでしょ!!」

「!?」

 

 私は日菜の声にイライラして怒鳴った。

 

「大した用が無いなら、さっさと出て行って!」

「ご、ゴメン……じゃあね」

 

 日菜は悲し気な顔をして、部屋を出て扉を静かに閉めた。

 

「何でいつも……私の心に土足で踏み込むのよ……! 私の努力も知らないクセに……!!」

 

 昔からそうだった。

 

 

――――

 

『お母さん、お父さん! 今日ね、先生に絵を褒められたの!』

『あら、凄いわね』

『良い絵じゃないか』

 

 数年前、小学校の時に描いた絵を両親に褒められて嬉しかった。

 

『あ、お姉ちゃん上手! アタシのも見て!』

『!?』

 

 後から来た日菜も絵を持って私達に見せて来た。

 その出来栄えは、プロに匹敵するクオリティだった。

 

『おお、凄いな日菜は!』

『将来はイラストレーターも行けるわね!』

『えへへ~♪ お姉ちゃんも見て見て!』

『……私、部屋に戻るね』

『お姉ちゃん?』

 

 私は自分の努力が一瞬で崩れ落ちた事実に耐えられず、その場を去った。

 

『テスト、99点』

『アタシ100点だよ!』

 

 別の日、学校でテストが返されて家で親に見せている。

 

『2人共、頑張ったじゃないか』

『ええ、頑張ったわ!』

『やったね、お姉ちゃん!』

『……』

 

 まただ……また日菜に負けた。日菜以上に勉強してるのに……何で?

 

『お姉ちゃん?』

『私、もっと勉強を頑張らないと……』

『あ……』

 

 この場を離れたくて部屋に戻った私。また……こんな辛い想いをしなくちゃいけないの……!?

 

『お姉ちゃん……』

 

――――

 

『……』

 

 高校受験を控える中学3年の頃、受験勉強の合間を見つけてはギターの練習に没頭している。

 

『私には、ギターしかない。絶対に日菜が相手でも譲らない』

『お姉ちゃ~ん!』

『!! 入って来ないで!』

『!?』

 

 私は勝手に部屋に入って来た日菜に怒鳴った。

 

『いつも何なの!? 邪魔ばかりして……!!』

『じゃ、邪魔なんて……』

『高校になったら、お互いに必要以上に干渉して来ないでちょうだい』

『ど、どうして……!?』

『いいから言うことを聞きなさい!!』

『わ、分かったよ……ゴメンね』

 

 日菜は謝罪して、ゆっくりドアを閉める。

 

『もう……こんな想いをするのは、ゴメンだわ……』

 

――――

 

「……」

 

 時が流れ、今では高校2年生となった私。あの日と境に、日菜とは殆ど干渉していない。

 

「そう言えば、小学校を卒業してから……彼にも会ってないわね」

 

 今、どうしているのだろうか……バンドの練習での帰り道でそう思う私。

 

「紗夜ちゃん……?」

「え?」

 

 私を呼ぶ低い声が後ろから聞こえた。

 

「……!! 輝君……!?」

 

 後ろに居たのは……幼馴染、輝君だった。

 

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 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
 こ
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