努力……それは先に進むために必要な物。
どんな困難が立ち塞がっても、積み重ねた分だけ経験となり、己の力となる。
だが、世の中には例外と言う物が隣り合わせである。努力を積み重ねても……相手によっては、簡単に無にされてしまう場合もある。
――――
『ねぇねぇ! 何してるの?』
『日菜ちゃん、知らない人に無闇に声を掛けたらダメ』
『???』
幼い頃、妹が公園で見知らぬ男子に声を掛ける。
『僕は……
『じゃあテル君だね! 一緒に遊ぼうよ! お姉ちゃんもいいでしょ?』
『日菜ちゃんってば……私は別に良いけど……』
『え? えっと……』
突然の展開で彼は困惑してるが、日菜はノリノリで私と彼の腕を掴む。
『じゃあ行こう!』
『わっと……』
『日菜ちゃん、そんなに引っ張らないで……』
幼馴染となる男子、白波輝との初めての出会いだった。
『ね、ねぇ輝君……』
『テル君! 向こうに良い物があるよ!』
『どこ~?』
『こっちこっち!』
『おっと……』
『……』
輝君に話しかけようとしたら、妹に先を越されてしまった。
この時の私は、もっと努力して輝君を振り向かせようと思った。
――――
私の名は氷川紗夜。
私には双子の妹が居る、名は氷川日菜。昔から何をしても成功する天才。
周りからすれば憧れとなる存在だけど……私にとっては努力を全て無にする存在。見ているとイライラするの……。
「お姉ちゃん! 今日ね!」
「日菜、勝手に部屋に入ってこないでと言ってるでしょ!」
「ご、ゴメン。でもさ……るんっ♪って嬉しいことが有ったからさ! お姉ちゃんにも聞いて欲しいなって!」
「うるさいって言ってるでしょ!!」
「!?」
私は日菜の声にイライラして怒鳴った。
「大した用が無いなら、さっさと出て行って!」
「ご、ゴメン……じゃあね」
日菜は悲し気な顔をして、部屋を出て扉を静かに閉めた。
「何でいつも……私の心に土足で踏み込むのよ……! 私の努力も知らないクセに……!!」
昔からそうだった。
――――
『お母さん、お父さん! 今日ね、先生に絵を褒められたの!』
『あら、凄いわね』
『良い絵じゃないか』
数年前、小学校の時に描いた絵を両親に褒められて嬉しかった。
『あ、お姉ちゃん上手! アタシのも見て!』
『!?』
後から来た日菜も絵を持って私達に見せて来た。
その出来栄えは、プロに匹敵するクオリティだった。
『おお、凄いな日菜は!』
『将来はイラストレーターも行けるわね!』
『えへへ~♪ お姉ちゃんも見て見て!』
『……私、部屋に戻るね』
『お姉ちゃん?』
私は自分の努力が一瞬で崩れ落ちた事実に耐えられず、その場を去った。
『テスト、99点』
『アタシ100点だよ!』
別の日、学校でテストが返されて家で親に見せている。
『2人共、頑張ったじゃないか』
『ええ、頑張ったわ!』
『やったね、お姉ちゃん!』
『……』
まただ……また日菜に負けた。日菜以上に勉強してるのに……何で?
『お姉ちゃん?』
『私、もっと勉強を頑張らないと……』
『あ……』
この場を離れたくて部屋に戻った私。また……こんな辛い想いをしなくちゃいけないの……!?
『お姉ちゃん……』
――――
『……』
高校受験を控える中学3年の頃、受験勉強の合間を見つけてはギターの練習に没頭している。
『私には、ギターしかない。絶対に日菜が相手でも譲らない』
『お姉ちゃ~ん!』
『!! 入って来ないで!』
『!?』
私は勝手に部屋に入って来た日菜に怒鳴った。
『いつも何なの!? 邪魔ばかりして……!!』
『じゃ、邪魔なんて……』
『高校になったら、お互いに必要以上に干渉して来ないでちょうだい』
『ど、どうして……!?』
『いいから言うことを聞きなさい!!』
『わ、分かったよ……ゴメンね』
日菜は謝罪して、ゆっくりドアを閉める。
『もう……こんな想いをするのは、ゴメンだわ……』
――――
「……」
時が流れ、今では高校2年生となった私。あの日と境に、日菜とは殆ど干渉していない。
「そう言えば、小学校を卒業してから……彼にも会ってないわね」
今、どうしているのだろうか……バンドの練習での帰り道でそう思う私。
「紗夜ちゃん……?」
「え?」
私を呼ぶ低い声が後ろから聞こえた。
「……!! 輝君……!?」
後ろに居たのは……幼馴染、輝君だった。
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こ
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