黎明のフリーレン   作:新グロモント

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帝国って名前からして胡散臭いよね。
フリーレンを抹殺リストに載せてるレベルの国だから。


閑話:一級魔法使い試験②

 帝国首都にある政治機関は、現在大荒れだ。国王や宰相、外交官などが深夜にも関わらず叩き起こされて一堂に会する。今回取り上げられる問題は、ソレだけ重要だ。

 

 国王も何が起こったのか把握出来ていない。これから報告を受ける身であり、今から胃が痛くなっていた。彼の推測では、魔族関連や国境問題だと考える。国家を揺るがす問題ではあるが、睡眠時間を削る程かと思っていた。

 

 外交官の一人が、今回の緊急会議の概要を説明する。

 

「ガイア様がまたやらかしました」

 

「はぁ~、またアイツか。いい加減にしろと何時も言っているのに。で、今度は何処で問題を起こしたんだあのバカ息子は。隣国の公爵令嬢にでも手を出したか?国内なら良いのだが……」

 

 王家の土地と財産、権力で今までも何度ももみ消してきた。本当に女癖が悪いと国王は思っており、何とかしたいと本気で考えていた。他に好きな事が出来れば、変わるのでは無いかと思い魔法に専念させたところ、思わぬ才能があり余計に悪くなる。

 

「それが、色々と要領を得ない所もあるのですが複数箇所からガイア様について、責任が問われています。全部で五通有りますが、どれからお聞きになさいますか?」

 

「五通もか!? あのバカ息子め。比較的軽い奴からじゃ。いいな、直ぐに謝罪と賠償金を包んで詫びに行け。最悪、爵位も検討する。で、最初の一人は誰からだ」

 

 国王は腹をくくった。一体、どんなビックネームが出てくるんだと。

 

「その~、国王陛下。5年ほど前に我が国にあるフランメ様の結界魔法をメンテナンスして下さったプルシュカ様を覚えておりますか?」

 

「あぁ、覚えている。気持ちよい性格をしたとても良い子じゃったな。……えっ、まさか、そんなこと無いよな?彼女は、国賓じゃぞ。フランメ様の結界魔法を唯一メンテ出来るお方だぞ」

 

 国王は、5年前を思い出していた。結界修復のお礼は、不要との事で晩餐会に招待した思い出。実に良い子だったと。あのような子供を守る為に大人が居るのだと思えるほどに。

 

「残念ながら。原文をそのまま伝えます。『帝国なんて大っ嫌い!! プルシュカの妹のアリスのお尻を触ったのに謝らずに愛人にしてやるとか、使い捨てないでやるとか。その言葉をプルシュカにまで言うんだから、もう知らないんだから』との事です」

 

「ぐああぁぁぁぁぁ、心が痛い。……ちょっとまて、外交官。ワシは一番軽いのからと言っただろう?」

 

「えぇ、ですから軽いので行きました。次は、魔王を討伐したフリーレン様からの苦情です。『私の娘の尻を鷲づかみにしたのは許さないからな。言っておくが、帝国の王族と名乗ったんだ。本人がやったとかじゃ許さない。帝国の総意で娘に痴漢したんだ。このような形で恩を仇で返されて残念だったよ。謝罪は要らないよ』との事です」

 

 前王から聞かされていた魔王軍との戦争。その中で活躍した勇者PTの魔法使いから苦情が届くなど青天の霹靂だった。子供の頃より聞かされた物語の主人公からクレームが届いたんだ。驚くのは当然だ。

 

「あ、あの馬鹿息子が~!! なんでフリーレン様の娘に粉かけているんだ。まさかと思うが、フリーレン様の娘ってプルシュカとアリスというんじゃないよな」

 

「その通りです。話の文脈から考えて……次は、大陸魔法協会のゼーリエ様からの苦情です。『よくも私の可愛い後継者の尻を鷲づかみにしたな。帝国とは、1000年ほど交流を断つ。来年の年始から帝国関係者からの話は一切うけない。謝罪も不要だ』との事です」

 

 帝国の魔法使いの質は高い。だが、それは大陸魔法協会があってこそだ。ゼーリエという全知全能に近い彼女と交流を持つことでソレが実現している。その関係が他国に流れてしまえば力関係が変わってしまう。周辺諸国にでかい面出来なくなる。

 

「あのバカ息子の首一つで収まらないかな。次で四人目なんだろう……誰なんだ、一体」

 

「黎明卿ボンドルド様からの苦情になります。『私の娘の尻を鷲づかみにして、愛人にしてやるとか、使い潰さないでやるとか……非常に残念です。帝国とは良い関係を築けていたと思いましたが、私の一方的な思い違いでした。来年の年始より教会は、帝国と絶縁します。本当なら宣戦布告して、全滅戦争も視野にいれておりましたが、止められました。優しい娘達に感謝してください。謝罪は不要です』」

 

 黎明卿ボンドルドと言えば北側諸国の英雄として生きる伝説。その娘に痴漢をした事が国家主導で行われたと相手に理解されており、帝国側としては冗談ではなかった。被害がでかすぎる。

 

 大陸魔法協会のゼーリエ、人々の生活を支える教会、黎明卿ボンドルド、勇者PTの魔法使いフリーレン、フランメの結界の継承者プルシュカといった面々からの断交。これには国王も目眩がしてきた。倒れなかったのは、国民の生活を守るという強い意志があったからだ。

 

「もう、ワシは驚かないぞ。これ以上のビックネームはいないだろう。五人目はだれなんだ」

 

「……その、これは手紙というより教会の女神様像付近に現れた啓示です。『私の祝福を持つ勇者アリスに不敬を働いた帝国は、許しません』と。教会の高位な司祭からは、女神様からの言葉だと」

 

 数千年ぶりの出来事であり、世間を騒がすに十分な事だった。だが、その内容が帝国にとっては死の宣言に等しい。この言葉が大陸全土に知られれば、帝国は世界の敵となってしまう。

 

………

……

 

 帝国で働く若き有能外交官ナナチ。魔法学校を良い成績で卒業したナナチは、帝国で就職を果たした。一度見たら忘れられない容姿をしており、外交官として印象戦略は完璧だった。

 

 そんなある日、ナナチの上司が新しい仕事を持ってきた。

 

「ナナチ君。君は確か、魔法学校卒業でプルシュカという生徒の同級生だったね」

 

「まぁそうだが、それがどうかしたんか」

 

 嫌な予感がするナナチ。

 

「実は、我が国の馬鹿王子がアリスという少女に痴漢行為をした。その結果、プルシュカ様、フリーレン様、黎明卿ボンドルド様、ゼーリエ様、女神様から帝国宛にクレームをもらった。つまりは、その謝罪に君に行って欲しいんだ」

 

「バカじゃねーか。お前等、下半身で動くバカかよ。なんで、よりにもよって、そんな化け物みたいな連中の怒りを買ってんだよ。オイラは、もう逃げるからな。お前さん達も死にたくなけりゃ直ぐに荷物纏めて逃げな。オイラには分かるぜ、お前さんが考えている事より斜め上の酷い事が起こるって……あばよ」




次話では、一級魔法使い試験を始めるかな。
試験中での事故は付きものです。

死ねなかったりする事もあるでしょうが、自己責任ですよね。
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