サブタイトル詐欺になっているが、問題ない!!
一級魔法使いの一次試験……それは、書類選考で合格した者達が集まっている。その中で一際目立つ、集団がいる。カートリッジをフル装備し見るからに不機嫌な獣化したボンドルドとフリーレン。フリーレンは同じ事が起こらないようにと、可愛い娘二人を両脇に抱えていた。
「アリスは、メイドにジョブチェンジしてみました。いっぱいお掃除(意味深)して、レベルカンストを目指します。でも、まま、ちょっと苦しい」
可愛らしいメイド服を着たアリス。ソレに付き添って、プルシュカもメイド服にて一次試験に参加する。妹だけ目立つ格好だと可哀相だと思っての姉の行動だ。微笑ましい限りだ。
今回の一次試験会場には、無我の境地の痴漢を極めたガイアもいる。何だかんだで、二級魔法使いであり王族でもある。世間一般的な評価では、人格面を除けば中々だった。流石に彼も壁際に居るボンドルド一家に近づけない。
「実に良いな。あの二人を娶れば、英雄ボンドルドとエルフがもう一人セットで付いてくるとか、お得なハッピーセットじゃないか」
会場内の気温が5度くらい下がった。
ガイアは、完全に都合の良いストーリーを脳内で描いていた。それが決して叶わない事だとはしらない。常日頃の行動がこのような化け物を産んでしまう。
重い空気の一次試験会場……試験官を務めるメトーデが壇上に上がる。そして、チラチラと何度もアリスとプルシュカの方を確認する。
「ゴホン、一級魔法使いの一次試験を始めます。一次試験を受験するに辺り最低限の実力を有しているか確認をします。魔法使いにとって、拘束魔法と精神魔法への対策は必須です。コレが出来ていない受験生は、受ける資格すらありません。女性は、私が対応します。男性は、ゲナウ試験官が対応します」
「っえ!?」
ゲナウがメトーデが勝手に始めた実力検査に戸惑う。だが、直ぐに理解してしまった。権力の私的利用だ。こいつは、本当に合法的にエルフ三人をペロペロするつもりでいる。
………
……
…
「まずは、フリーレンさんから少しぎゅーーーーーとしますね」
「相変わらずだねメトーデ。私は、もう二児のお母さんなんだよ」
スーーーーハーーーーと、フリーレン臭を嗅ぐメトーデ。これが一級魔法使いである。この場に居る全員が目指している魔法使いの頂点。変態しかなれないと影で噂されていることが現実であったと理解した生徒も多い。
「はぁ~、何時嗅いでも落ち着きます。最近、ゼーリエ様成分しか補給できて無くて辛かったです。次は、プルシュカちゃんですね。やはり、上から順番に行かねば失礼ですから……さぁ、プルシュカちゃんママだと思って胸に飛び込んできて良いですよ」
「よーーし、プルシュカが成長した事を見せちゃうんだから。メトーデママ、プルシュカだよ~えい!!」
ポフンという柔らかい音がした気がする。
金を払っても手に入らない幼女エルフの抱き心地を堪能するメトーデ。やはり、ゼーリエ様に付いてきて良かったとしみじみ実感していた。匂いを嗅ぎ触感を楽しむ。メイド服を着たプルシュカを抱けるなんて彼女は幸運だ。
「幸せですね。安心して下さい……アリスちゃんには、我々とは別に三名の一級魔法使いが護衛に付いております。試験中に同じような事は二度と起こりません。さぁさぁ、次はアリスちゃん。うーーん、これから毎日お小遣いあげるんでメイド服で過ごして貰えませんか?」
「へ、変態さんです。アリスは、これから変態さんに食べられちゃいます。助けて、パパ、ママ、お姉ちゃん、
アリスには、メトーデはまだ早かった。ゼーリエ様の中でもヤバイ奴筆頭なだけはある。勇者アリスを引かせたんだ。ガイアという奴とは別ベクトルでヤバイ。
メトーデとしては多少強引でも抱きつきたかったが……状況がソレを許さなかった。
ボンドルドが
フリーレンが失敗転移魔法をいつでも発動できるように準備する。
プルシュカが
ゼーリエがこの世から対象を消滅させる魔法を準備する。
「メトーデさん、残念です。アリスに指一本でも触れる事は許しません。娘はまだ幼いです」
「二度と可愛い子を抱けない身体にするよ。蠅人間ってあまり作った事無いけど、長生きできないよ。悪いけど本気だよメトーデ。今は、虫の居所が悪いんだ」
「駄目だよ、メトーデさん。アリスは、プルシュカ以上にそう言うことに敏感なんだからね」
「メトーデ。欲張りすぎるのは良くないぞ。何事にも限度がある。というか、お前は今まで拘束魔法耐性も精神魔法耐性も何も確認していなかっただろう。ただ、自己満足のためだけに行動していたな」
この布陣には、メトーデも降参する。
「分かりました。今回は大人しく手を引きます。私は諦めませんからね……あ、皆さんは合格で良いですよ。結果なんて調べる前から分かっていますので」
「ゼーリエ様、良く彼女をクビにしませんね」
ボンドルドがメトーデの行動を容認しているゼーリエに少し驚いていた。だから、素直に疑問をぶつけてみる。
「性癖以外に関しては、優秀なんだよ。事務処理、戦闘能力、僧侶の才能もある。無能な味方ほど脅威はないが、有能な味方も厄介だとは知らなかった」
「お察しします。ゼーリエ様には我々もお世話になっておりますので、人が要りようでしたら何時でもご連絡下さい。アンブラハンズ達が何時でも大陸魔法協会をご支援します」
アンブラハンズがボンドルドで有ることを知っているゼーリエ。確かに、メトーデに匹敵する便利ユニット。そいつ等が5人でも居れば、ゼーリエの事務処理が圧倒的に楽になる。
「考えておく。それと、二次試験はダンジョン攻略。お前が過去に壊したダンジョンだ。攻略に際し、受験者同士の戦いもあるだろう。偶然、『事故』が発生しても誰も関与しない」
「ソレは素晴らしい。『事故』は恐いですからね。後、大陸魔法協会から帝国に対してクレーム有り難うございます。便利な目を通じて情報を貰いました。それと、女神様も今回の一件には大変興味をお持ちだとも」
ゼーリエも女神様も同じエルフだ。興味がある話題は同じだったという事だ。その内、どちらもプルシュカとアリスのおばーちゃんだぞって争いが始まりそうな予感をボンドルドは感じていた。
エルフだから遡れば血筋的に一つになりそうだが……それはありなんだろうか。
◇◇◇◇
その夜、ボンドルドのもとにナナチが訪れる。当然、目を通じてソレを知っていたボンドルドは快くナナチを受け入れた。旧友ナナチの急な来訪にプルシュカも喜ぶ。このモフモフが最高なんだと。ぬいぐるみ的な存在のナナチはフリーレンとアリスからも歓迎された。
「オイラ頼みがあるんだ、ボンドルド」
「あれ?ナナチとパパって知り合いなの?プルシュカ、初耳だよ」
全員が疑問に思う。プルシュカの同級生で一度も接点がないはずなのに、なぜか知り合い。これには、訳があった。
「あぁ、お伝えしておりませんでしたね。ナナチ……正式名称は、アウラ魂型人造魔族第一号。私が、オレオールで預かったアウラさんの魂の破片と人間と魔族を融合させたハイブリットな魔族です」
「うわ~、流石はボンドルド。やっぱり、裏で研究してた。でも、魂の欠片を使っていると言うことは………<<アウラ、夜食を作って>>」
「止めろよ、フリーレン。オイラは、フリーレンとボンドルドの命令には逆らえないんだからな。身体が勝手に夜食を作り始める~」
面白いと料理を作るナナチと戯れるプルシュカとアリス。それから、遊び疲れたプルシュカとアリスが眠りにつく。
………
……
…
真剣な顔でナナチが話を始めた。
「はぁはぁ、子供ってのは体力あるな。で、本題だ……帝国に魔族の国を作ってやりてーんだ。今じゃ、魔族は狩られる一方だ。生き残った数少ない魔族は、イドフロントで家畜みたいに扱われている。今が最初で最後のチャンスかもしれねー。女神様に見捨てられ、大陸魔法協会に見捨てられ、教会に見捨てられ、ボンドルドとフリーレンが見捨てた今しかチャンスはねーーんだ」
「流石は、七崩賢ですね。仰る通りだと思いますよナナチ。ですが、ソレを見過ごすメリットが我々にはない。魔族が増える事によるリスクの方が遙かに大きいのでは?」
「そうだよね、私も魔族は大嫌いなんだ。魔族の国?冗談じゃ無いよ。折角、滅ぼす寸前まで追い詰めたのに繁殖させてどうするんだ」
この話、ボンドルドとしては悪い提案では無いと思っていた。寧ろ、場合によってはコチラから提案しようとも考えていたほどだ。だが、ナナチ側から提案が合ったと言う事は恩を大量に上乗せして売りつけられる。
「そんな事は分かっている。だから、オイラに出来る事なら何だってやる。だから、何もしないで見逃してくれねーか」
「条件付きで許可しましょう。まぁ、フリーレンさんも安心して下さい。魔族という共通の敵がいたから人類は纏まっていた、コレは事実です。平和の世になり、国家が蓄えてた軍事力は何処へ向かうでしょう……それは人類へです。次の時代、人類同士の殺し合いになるのは明白です。だが、共通の敵が居るなら別」
ボンドルドは、手を出さない代わりにある条件を突きつけた。
①:無抵抗の一般人や女子供を無闇に殺さない事
②:適度に人類を攻撃して敵という立場を維持する事
③:魔族の数と質、魔法といった個体に関する全ての情報を管理して提出する事
④:全ての魔族は、ゼーリエ、フリーレン、プルシュカ、アリス、ボンドルドの命令に絶対服従する事
⑤:現状に猜疑心や反骨心を持たない事
⑥:①~⑤の条件に反しない限り魔族は可能な限り自己保存に努める事
「わかったと言いたいが、全ての条件をどうやって守らせれば良いんだ」
「ご安心下さい。適任者を一人知っております、貴方もよく知る人物ですよ。なーに、問題ありません。女神様に愛され、私より上手にルールの上書きを出来るアリスなら天獄に囚われた次期魔王様を救出できます」
「おぃ、それってまさか!!」
「えぇ、貴方の本体ですよ。彼女もまさか自分自身に売られるとは思っていないでしょう。どのような顔をされるか今から楽しみです。当然、貴方から説明してくださいね。同じ存在ですから、きっと分かってくれますよ」
同じ存在であるアウラに事の詳細を告げに行くナナチの気は重かった。だが、ソレだけで済むはずが無い事をナナチはまだ知らない。
<<アウラ結婚しろ>>のパワーワードを使える日も近いでしょう。