黎明のフリーレン   作:新グロモント

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閑話:一級魔法使い試験⑥

 ダンジョンを進み、ボンドルド一家はターゲットが居る場所を目指していた。広い迷宮内部でも、ターゲットの居場所はハッキリと分かる。その程度の魔法は、既に開発済み。

 

 そして、今回のターゲットである痴漢犯のガイアとボンドルド一家が対面を果たした。広い支柱が支える大部屋。そこで、ガイアは石像ガーゴイルを粉砕していた。二級魔法使いとしては十分な実力を持っている。

 

 ガイアもコチラに気が付いて笑顔を向けてきた。しっかりと、コチラに()を合わせる。ソレだけの行為でガイアは勝利を確信した。過去の経験から彼には、負けないという自負がある。

 

「これはこれは、黎明卿ボンドルド様ではありませんか。……あぁ、失礼しました。私は、帝国の第三王子ガイアと申します。以後、お見知りおきを。ここは私が排除済みで安全ですので、ご安心下さい。もしかして、少し早いですがお義父様(・・・・)とお呼びした方が良かったですか?」

 

「くっくっくっく、まさかコレほど心をえぐられるとは思いませんでした。私も娘を持つ身です……その言葉を何時かは聞く事になるでしょう。しかし、今この場であるとは、驚きを通り越して怒りすら覚えます」

 

 ゴゴゴゴと迷宮が震える。

 

 ボンドルドから絶大な魔力が放出される。数キロ先からでも感知できるレベルの大魔力だ。その魔力に耐えきれず天井が崩落してきた。巨大な岩がボンドルド一家の頭上に落ちてきたが、ボンドルドが拳一つで木っ端微塵に消し飛ばす。

 

「ボンドルドは、相変わらず馬鹿力だね。まぁまぁ、落ち着きなよボンドルド。こう言うときは冷静になるんだ。足下をすくわれるよ」

 

「凄い魔力です。流石は、生きる伝説の英雄です。それに、お義母様(・・・・)も大変美しい。エルフの方はみな美しいです。安心してください。娘さん達は私が幸せにしますので」

 

「ボンドルド、前言撤回だ。これは、私でも耐えきれない。今なら魔王でも一人で倒せそうだ」

 

 フリーレンがブチ切れる。魔力隠蔽とか最早彼女にとってはどうでも良かった。抑えきれない感情が彼女を支配する。普段、娘達からママと呼ばれる事が何よりも嬉しい彼女だったが、類義語をゴミから言われる事でコレほど精神にダメージがくるとは初めての経験だった。

 

 なにより、精神魔法を使って存在しない記憶を植え付けようとしている腐った根性が何よりも気にくわなかった。

 

 ガイアは、今まで格上の魔法使いも倒してきた。それは、存在しない記憶を植え付けて仲間になってからの不意打ち。また、数々の女性問題においても精神魔法を使って恋人であった記憶を植え付けるなど人道に反する事を数々行ってきていた。

 

「パパもママも駄目だよ。そんな本気で魔法を使ったら、消し炭も残らないんだから。もっと制御しないと!! 」

 

「流石は、私の未来の妻だ。帝国にくれば贅沢三昧を約束してやるぞ。よろこべ、未来の帝国后!! ただ、どちらかを愛人枠にしなければ国が成り立たないのが残念だ。私が国王になった暁には、お前達が頑張るなら他に妾を取らぬと誓ってやる」

 

「あんたのような男にアリスをあげるわけないでしょ!! 妹を守るのは、お姉ちゃんの役目なんだからーーー。プルシュカは、全力でお姉ちゃんを遂行する!!」

 

 大魔法使いの元で修行を積んだプルシュカ。並の一級魔法使いを遙かに凌ぐ魔法量を既に持っている。プルシュカも手加減など考える余裕はなかった。全力でお姉ちゃんを遂行する構え。

 

 今頃になりガイアは、お得意の精神魔法の効きが悪いと実感し始めた。魔法使いは、想像できないことは実現不可能。だが、想像できることは可能であるとの裏付けでもある。ガイアは、本気で精神魔法を使いボンドルド一家に対して、存在しない記憶を植え付けられると考えていた。

 

 その自信の裏付けには、彼は誰もが金と権力と贅沢が好きだと思っている人生経験からだ。その全てを持ち合わせ、魔法使いとして才能もある男の元に嫁げるのだから女なら誰でも幸せだと考えている。

 

「何をそんなに怒る!? 帝国の血族になれるんだぞ。そ、そうだアリスという少女よ。お前は贅沢が好きだろう」

 

「アリスは、そんな物に興味はありません。ぱぱ、まま、お姉ちゃん……他にも沢山の人と一緒に過ごしたい。パパが1000年間溜めた財産の7割を使って作り上げた光の剣スーパーノヴァで経験値にします。強化魔法です!」

 

 何だかんだで娘にクソ甘いボンドルド。娘の為に生まれ変わった勇者の剣の改修費用は、本気で彼を破産に追い込みそうになった。その製造費は、フリーレンでも知らない。

 

 その莫大な改修費用のおかげでスペックは史上最高クラス。アリスが使う強化魔法は、仲間を3割ほど強くする。上昇幅は、元のスペックに依存するため、化け物が更に化け物になる。

 

「今の私ならハイター様を越える僧侶です。さぁ、過剰回復になりますが安心して下さい。簡単には死ねない身体にして差し上げます」

 

「うは~、凄いね。細胞レベルで全盛期を維持しようとするまでの回復魔法。初めて見るよ……次は私だね。えーっと、Gはどこかな。あれ、いないな。居ないなら他の虫でもいいか。ムカデ人間は初めて作るよ」

 

 フリーレンが開発した転移魔法の犠牲者が一人増えた。コレを任意で行えるのだから、恐ろしい。融合と同時にショック死する可能性が非常に高いが、ボンドルドの回復魔法の恩恵で死なない。その上、フリーレンが人間の意識をハッキリと持つように改造もしている。

 

「あがががぁぁぁぁぁぁぁぁ。だずげてくれーー。いやだいやだいやだあぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「プルシュカ、こんな魔物見た事ある!! 今まで貴方の被害に遭った被害者の気持ちを込めて………人の尊厳を終わらす魔法(ゾルトラーク)!!」

 

 無色透明の人の尊厳を終わらす魔法(ゾルトラーク)によりガイアの肉体に病魔が浸透する。これにより、徐々に肉体を犯していき発病まで待ったなしだ。今まで女性の尊厳を無視してきた男だ。彼の末路を知った被害者達は心の内がスッキリしていくだろう。

 

………

……

 

 ゲナウ試験官がフリーレンが製造した元人間を確認する。

 

「コ…ロジテェ」

 

「当然の末路だが、惨いな。で、そろそろ出てきたらどうだ?」

 

 ボンドルド一家が通り過ぎた後に残されたガイアの成れ果て。その回収を任されているのがナナチだ。ナナチという謎生命体について、この試験を監督しているゲナウが警戒する。

 

 確かに、ボンドルド一家が残していったガイアという存在をどのように処理すればいいか困っていた。その最中に現れたのがナナチである。

 

「あぁ、すまねーな。コイツの回収をボンドルドから依頼されているナナチってもんだ。プルシュカの同級生で魔法学校の卒業生。ここに来る前は帝国の外交官をしていた」

 

「証拠を提示できるか。この化け物が何時暴れるか分からんぞ」

 

 化け物と呼ばれるガイアの成れ果てを見たナナチ。成れ果てという意味では、自身も同義であると少なからず同情はしていた。

 

「ボンドルド達に比べれば可愛いじゃねーか。ボンドルド達は、成長し続ける不老不死を実現した連中だぞ」

 

「妙に説得力のある言葉だな。分かった、ただし一人監視を付ける事は許容しろ。我々とて、黎明卿達の地雷を踏み抜くわけにはいかない」

 

………

……

 

 最深部前に付いたボンドルド一家。その先で待ち受けている存在に、思わず声を出しそうになる。だが、ソレは向こうも同じだった。

 

「フェルンじゃん。ここで何しているの?」

 

「フリーレン様。やっぱり、先ほどの魔力はそうですよね……まぁ、どうせ暇つぶしに試験に参加された口ですか。はぁ~、私は、人手が足りないからと言う事で試験の手伝いです。大陸魔法協会は報酬も良いので」

 

 フェルンが守る最深部では、先に到達した受験生達が半殺しにされていた。ギリギリ死なない程度に手足を打ち抜かれている。誰一人とて、彼女の後ろにあるゴールに辿り着けていない。

 

「我々全員で戦ってはつまらないでしょう。コチラは一人ずつでも構いませんか?フェルンさん。後、失格者の治療をして順番待ちします」

 

「お気遣い有り難うございます、ボンドルド様。では、アリスちゃんからでも、プルシュカちゃんからでもどうぞ……本気で行きます」

 

 弟子VS娘の試合をドーナツを食べながら観戦するフリーレン。どっちも頑張れ~と応援する。先陣を切ったのは、プルシュカだった。

 

「はいはーーい!! プルシュカ、一番手行きます!!っ…」

 

 プルシュカが一番手を宣言した瞬間、フェルンが床下を通してプルシュカを下から上に貫こうとした。だが、咄嗟に避けたのはプルシュカの勘がものを言った。

 

「今のを避けましたか。流石は、プルシュカちゃんです。大半の受験生は今の一撃でおわるんですけどね」

 

「フェルンお姉ちゃんは、油断も隙もないんだから……でも、ここにはパパもいるからプルシュカも本気で行くから。病気になったら治して貰ってね」

 

 無色透明の人の尊厳を終わらす魔法(ゾルトラーク)が多方向からフェルンに襲い掛かる。肉眼だけに頼る魔法使いならば、この一手で人生終了。魔法をしっかりと視認する必要がある。

 

 フェルンは防御魔法で的確に防ぎ、隙間を縫うような圧縮ゾルトラークが放たれる。恐ろしい事に誘導弾だ。防御魔法で防いで消滅させるか、攻撃魔法で打ち消す以外に逃げ道がない。

 

 ソレを見学するフリーレンは弟子の成長に喜ぶ。

 

「アレを誘導弾にするのか。流石はフェルンだね。多重で防御魔法を張らないと防げない。だけど、誘導性能があるから、防御魔法をかいくぐってくる。全方位防御魔法は魔力消費もキツいな~」

 

「子供の成長とは早い物です。魔王軍との戦争が無い時代にコレほどの魔法使いがいるのですから。プルシュカの必殺魔法です。これは、まずいですね………フェルンさん、防御魔法の強度を三段階くらい上げないと細切れで死にますよ」

 

 プルシュカの手元にルービックキューブみたいな細切れにされた四角形が現れた。

 

「前に大魔族からオマージュした魔力をぶつける魔法。旅先であったエッチなお姉さんから教わった大体なんでも切る魔法(レイルザイゼン)を組み合わせたプルシュカの必殺技!! 相手をサイコロステーキにする魔法」

 

 可愛らしいネーミングの魔法だが、切れ味抜群の魔力の刃で視界に収まる範囲全てをサイコロ状に粉砕する殺傷能力特化の魔法だ。魔法の特性を理解したフェルンの顔が引きつる。

 

 依頼達成率99%を誇るフェルンだが、その失敗の多くはフリーレン達が絡む事が殆どであった。彼女は、ゼーリエからの任務を全う出来ずに終わる。その内容は、全受験生を不合格にする任務であった……実際は、プルシュカとアリスにまた会うために彼女達を不合格にする物であり、彼女は後でゼーリエにクレームをいれる。




次は、アウラ建国物語かな。

()ウラとヒンメ()……この二人の遺伝子を持つ存在がいいれば、アルちゃんと呼ばれる事になるだろうか。なんか、変なBGMが流れているときだけ幸運で無敵になりそうな概念を持ってそうだわ。

ついに、ヒンメルの勇者の剣も抜くときが!?


作者思うんです、アウラはどれだけ弄っても良い。ヒンメルは、どれだけ盛っても良い。

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