新生魔王軍……約100年前に存在したと言われる魔王が再臨したと世界に激震が走る。各地に隠れ潜み静かに人間を貪り食っていた魔族達にとってこれ以上の朗報は無かった。嘗て存在した大魔族達はほぼ死に絶え、今では100年以上生きている魔族は希だ。
そこに一筋の光が差し込む。
魔王として名乗りを上げたのは、嘗て七崩賢と呼ばれ、魔族の裏切り者とまで言われたアウラ。だが、彼女は周囲からの誹謗中傷に耐え、この時を待っていた。今こそ、魔族の国を作り安寧の地を作ると高々と宣言する。
ソレに呼応し、魔族や知恵ある魔物達が続々と帝国国境に集結し始めた。
集結した魔族達は、勝利を確信した。アウラの側に控える者達の驚異的な魔力……遠くからでも肌がピリピリする程であり、思わずひれ伏したくなる衝動に駆られている。
集結する数万の軍勢を前に堂々とするアウラ。彼女の背中には、カートリッジがある。その為、魔力を外部補給する事で生前と変わらぬ力をふるえる。魔族の為、早々に立ち上がり馳せ参じた猛者から箱詰めにされる。これにより、アウラが使う魔法の
そして、全軍を前に紹介される新生七崩賢。当然だが、出所したてのアウラには七崩賢達に匹敵するような者達を集めるような人望も伝手もない。そもそも、魔族が長生き出来ない時代になっているのだから、研ぎ澄まされた魔法を持つ者は居ない。
だから、代わりに手を挙げたのがフリーレン一行だった。名義貸しで、お膳立てくらいは手伝ってあげるのが人情と言う奴だ。全員がノリノリで変身魔法を使う。
一人目は、
二人目は、
他にも中の人繋がりで全員がアウラに表向き従う形を取る。フリーレン、ボンドルド、プルシュカ、アリス。そこに、アウラ魂型人造魔族ナナチ、ミーティ、ファプタの三名が加わる。
『ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。こうするしか無かったの』
小声でアウラが呟く。誰に許しを求めているのかさっぱりだ。力ある魔族は、順番にアウラに呼び出され、
「これは、思ったよりも順調です。アウラさん、ストレスは身体に毒です。もう、一人の身体では無いのですから、ご自愛ください。魔王陛下」
『……そうよ。私は、私のためにこの場に来たのよ。大事な者以外全て捨てる覚悟を思い出しなさい、アウラ!! 』
母は強い。まさにその通りであった。アウラが一皮剥けた瞬間だ。
開戦の時が迫る。新年になったと同時に新生魔王軍は帝国へと侵攻を始める。新年になると、帝国は各国との関係が切れる。そして、ソレまでの間は帝国民が国外に逃げる時間でもあった。開戦後に帝国国内に残っている者達は、国際法上では全て兵士扱いとなる。
嘗ての魔王軍とは違い人間の法に則り戦争を行う新生魔王軍は理性的だった。すべては、アウラの魔法のお陰だ。
………
……
…
新生魔王軍のトップにして、現魔王陛下となったアウラによる開戦演説が始まった。
『我々は一人の魔王を失った。しかし、これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ!
人類に比べ、魔族の勢力は数百分の1以下である。
にもかかわらず今日まで生き抜いてこられたのは何故か?
諸君!魔族が正義だからだ。これは諸君らが一番知っている。
我々はエンデを追われ、各地に散り散りにさせられた。
そして、一握りの人類が我々に匹敵するレベルにまで魔法を使うようになり100余年、
隠れ潜む我々が食事の自由を要求して何度踏みにじられたか。
魔族一人一人の自由のための戦いを魔王が見捨てるはずはない。
立てよ国民!! 今こそ、我々の手で安寧の地を手に入れる』
と言う風に、謎のオマージュされた宣言を聞いた魔族達は感動していた。原稿文を用意したのはボンドルドであったのは言うまでも無い。
集まった魔族達から絶大な支持を得たのは間違いないアウラ。魔族達は、命を賭けて聖戦に望む。無限に食える謎肉で腹も満たされ、演説でやる気も満ちた。魔族達に恐い物はない。
ウォォォォーーー
地響きがする程の歓喜極まる雄叫びが響く。その声は、帝国側にもしっかりと届いていた。だが、帝国側も準備は出来ている。新生魔王軍が集まる場所の国防結界の強度を高め、内部から魔法攻撃で魔族達をなぶり殺しにすべく準備は万全。
新生魔王軍でもこの国防結界を力技で突破するには甚大な被害が出る。そう、力技ならば…。アウラが、新生七崩賢の力の一端を見せるといい国防結界を指さす。
変装したアリスが待ってましたと偽装した光の剣スーパーノヴァのフルチャージを始める。周囲の魔力を吸い上げ充電率がドンドン上昇する。
「光ーーーーーーよ!!!!!!」
消滅魔法の頂点であるアリスの砲撃。帝国の国防結界だけで無く国境に築かれていた城壁まで消滅させる。お膳立てとの約束である為、この砲撃での人的被害は0。これより、新生魔王軍と帝国軍との存亡を掛けた戦いが始まる。
アウラに幸あらんことを。