魔王国の歴史。建国20年にも満たないが、当初想定されていたより周辺国家との問題は無かった。どさくさに紛れて、国土の一部を奪われたが、国土の所有権を放棄する事で周辺国家から魔王国として正式に認められる。
人間という食料が無くても国家を維持できているのは、無限に食える肉のお陰だ。周辺国家達は、魔王国に死刑囚や犯罪者達を送り込むという事をやっている。犯罪者を管理するのに掛かる金など無駄であり、それなら魔族の餌にしてやると売りつけてくる。
これに対して、魔族側は金品で買い上げる。当然、無実の民がそのような被害者にならないように魔王国が買い上げた後に
犯罪者であった場合は、魔王国の七崩賢
『ヒンメル~。畑が足りないのよ。これじゃあ、来年度の年を越せないわ』
『わかった。僕がいって耕してくるよ』
魔王国の収入源は穀物の輸出。後、ビールやワインといった嗜好品を人類に売る事で外貨を稼いでいる。想像以上に真っ当な稼ぎ方。魔法を使って発酵を早めたり、土壌を改良など色々と試行錯誤される。
無限に食える肉が定期的に補充される魔族達にとって、魔法の研鑽ついでにできる副産物で外貨が稼げるなら良いと言う事だ。
だが、このような平和的な魔族では困る。魔族とは人類の敵であるべき。つまり、定期的にその任をおった魔族や魔物が人類圏であばれる。
『ありがとう、ヒンメル。後……今朝からアルを見かけないけど、どこかに出かけたのかしら?』
『さぁ、僕も知らないね。可愛い子には旅をさせろというし、あまり過干渉は良くない。子供は自由であるべきだ』
アル。それは「ア」ウラとヒンメ「ル」の間に産まれた女の子だ。赤い髪に立派な角を持った魔族の子。二人の愛の結晶である。性格は、中二病まっしぐら。今は、仲の良い友達と便利屋と言った自営業をしている。
通称アルちゃんと呼ばれる彼女……その子が持つ魔法は、概念系の魔法だ。謎のBGMが鳴り響くとギャグキャラとして、全ての事象を爆発オチさせる。この状態となった彼女は、南の勇者とタイマンしても生き残れる程に理不尽な存在へと進化する。生き残る事だけを見れば無類の強さだ。
それから数時間が経過した頃、アウラの元に緊急の知らせが届く。駆け込んできた魔族は、アウラが娘を心配して付けていた監視だった
「た、大変です。アウラ魔王陛下。アル様が……このような手紙を残して、国外に出て行かれました」
『な、何やっているの!? 貴方、監視の任務を任せていたでしょ。もういいわ、えーーーと………う、嘘でしょ』
手紙の内容にアウラは、絶望した。
【お母様、お父様へ
良い感じの依頼があったから、ちょっと国外に行ってくるわ。イドフロントとか言う場所の地下施設を調査して欲しいと、周辺諸国から高額の依頼があったのよ。
この私に掛かれば、どんな場所でもイチコロよね。
お土産は期待してて良いわ。聖都も近いみたいだからついでに皆で観光してくるので一ヶ月くらいで帰るから】
魔族の便利屋の噂は、周辺諸国にも届いていた。ソレだけ、有能であったと言える。
アウラの脳内で蘇るトラウマ。イドフロントと言えば、ボンドルドの居城だ。更には、フリーレンや彼女の血縁たる化け物達がいる。アルの運が良くてもここから逃げ切る事は出来るのだろうかとアウラは考えた。
寧ろ、運が良ければ死ねるという答えしか見つからない。不幸なのは、活かされることだ。産まれて間もない娘を失うなどアウラには到底耐えられない。
想像しただけで、アウラの存在しない筈の心臓がドクドクする気がした。
『今すぐに、ナナチを呼びなさい!! 後、私はアルを追いかけるわ。ヒンメルには、必ず私が連れ帰ると伝えておきなさい』
ナナチの目を通じて、ボンドルドが情報を盗んでいるのはアウラも知っている。だから、その目を通じて、ボンドルドにアルが向かったので何もしないでくれとの懇願の手紙を見せ続けた。
………
……
…
ボンドルドは、悩んでいた。折角、お越し頂いたお客様へのお持てなしをどうすべきか。アウラとヒンメルの子供と言うだけで、非常に興味があるボンドルド。双方とも死者であり、その間に産まれた子供は果たして生者なのだろうか。
色々と研究したい。この謎が解明されれば、ボンドルドは更に一ステージ上に行けるだろう。
「どうぞ、隠れていないで顔を見せてください。貴方の御母様と御父様から、娘が見学に行くのでどうぞよしなにと言われております」
ボンドルドが優しい声でアル一行を迎え入れようとしている。
「なななな、なっ、何ですってーーーーー!!!???」
「アル様、声が大きいです」
「えぇ~、アルちゃん。さっきまでは、黎明卿なんてぶっ倒して正面突破だっていってたじゃん」
「あれ?なんか、黎明卿の雰囲気が
魔王国の未来を担う子供達。
大人として、彼女達をイドフロントに迎えるボンドルド。アウラが全力疾走して、ジャンピング土下座しにくるまで数時間。彼女達は、イドフロントで大切なお客様として持てなされる。
全魔族がアウラみたいに個性豊かになれば、本当の意味で人類と魔族が共存できるだろう。
愛を知った魔族。最愛のアウラの物語はこれからも続く。
色々と閑話を投稿し、満足しました!
多分もうネタは思いつかない><
アウラも幸せにしたからゴールでいいよね。