黎明のフリーレン   作:新グロモント

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一応、閑話:フェルン・ゾル○○○クの続編?


閑話:宝箱を判別する魔法(ミークハイト)

 久しぶりに死にかけたボンドルド。天文学的な被害総額に、内心半泣き状態だった。だが、生きていればやり直せるのが長寿の特権。再度立て直すには、半世紀以上掛かるであろうと見積もりをしている。

 

 だが、ボンドルドには当座の問題を片付ける必要がある。それは、反逆して脱走した『K-423』の処遇についてだ。あれほどの傑作は、二度と作れないと自信を持って言えるレベル。製造材料も吹き飛ばされて、集める事も出来ない。

 

 その上、『K-423』を野放しにもできないので製造責任者として、然るべき対応をしている。処分を外注していた。最悪、時間稼ぎになれば良いと思っている。当然、それ相応の対価を用意しているので相手もソレを理解していた。

 

 最終決戦に向けて、準備を進めるボンドルド。この二週間で傷も癒えて、体力も取り戻した。後は、標的を狩るだけ。その為、フリーレン、プルシュカ、アリスまで駆り出されている。

 

「何度映像を見ても凄いね。ボンドルドは、少しは自重って言葉を覚えた方が良いよ。あれは、間違いなく作ったらいけない物だよ。あの空間魔法にも酷似しているアレは、私でも解析できないと思う」

 

「パパ!! プルシュカにもあの魔法教えてよね!! すっごーーーっく、格好いい!? 指をパチンってのも、もう最高よね」

 

「アリス気が付きました。もし、ぱぱが今回の作戦を成功したら、ぱぱ、まま、妹が同時に出来るって。アリスがお姉ちゃんです」

 

「えぇ、そうですね。皆さん、ご協力ありがとうございます。私達、家族の絆が試される時がきました。大丈夫です、私は必ず勝負に勝ちます。妻と子供が見ている前で、恥ずかしい姿は見せられませんから」

 

 ボンドルド一家が円陣を組み、家族が手を合わせる。実に微笑ましい光景だった。

 

 だが、この事態は全てボンドルドが引き起こしていた。そもそも、無謀とも言える実験で出来上がった一万体以上の実験体の死体。その屍の山のお陰で出来上がった奇跡の産物を手に入れようとしている悪魔の所行でもある。

 

………

……

 

 ゼーリエの弟子の中でも最高レベルの実力を持つ5人と近接担当のシュタルク。文字通りズタボロにされていた。攻撃魔法は、軒並み亜空間に収納される。ヴィアベルの拘束魔法も全身が視界に収まる必要があるため、空間を開く事で簡単に逃れてしまう。ユーベルの大体なんでも切る魔法(レイルザイデン)でも亜空の矛は切断に至らなかった。

 

 だが、その中でも彼等も歴戦の一級魔法使い。戦いの中で、活路を見出しつつあった。

 

「攻撃の収納と放出は同時には行えない。……けど、聞いてないわよ。こんな化け物だなんて。フェルン、早く脳天ぶち抜きなさいよ」

 

 エーレが石を弾丸に変える魔法(ドラガーテ)で飽和攻撃を行っている。だが、全て亜空間に収納される。

 

【………来たか】

 

 フェルン達との戦いの最中、ボンドルド一家がその場に歩み寄る。

 

「皆さん、時間稼ぎご苦労様です。誰も死んでいないだけで十分です。後は、引き取ります。……さて、制御できない兵器に存在価値などありません。それに、私の知識をそのまま持って行かれると少々不都合があります。卑怯とは言わないでください。今の私よりスペックは遙かに上なのですから、コチラもそれ相応の方法で対応させてもらいます」

 

「ねぇ、ボンドルド。銀髪と女の子が好きすぎだからって何もあそこまで露骨な子を作らなくてもいいのに。ここに、お姉さんがいるでしょ」

 

「パパ、プルシュカも銀髪だよ。えへへ」

 

「アリスだけ仲間外れです。アリスは、要らない子ですか」

 

 戦いに来た空気がぶちこわしになる。

 

 人様の性癖をここでバラさないでもいいのにとボンドルドは思っていた。『K-423』も露骨に嫌な顔をしている。

 

 父親としてアリスにそんなことはありません。誤解ですと必死に理解を求めるが、この状況下では苦し紛れにしかなっていなかった。

 

【私に勝てると思っているの? この肉体のスペックは、貴方が一番知っているはず。それに、光の剣の予備パーツを加工した亜空の矛。そして、100を越えるゴーレム(崩壊獣)

 

 アリスがボンドルドを非難の目で見る。数に限りが有る予備パーツを勝手に持ち出して、加工している。更に、それが内緒にされている。ボンドルドもここまで貶められるとは思っていなかった。父親の株価がドンドン下がる。

 

「絶対に許しませんよ、私。どこまで、押し込めている私から知識を引き出せているかは分かりませんが、十全では無いでしょう。私が勝算も無く、この場に来るなどありません……よ」

 

 フリーレンがボンドルドを転移魔法で『K-423』の真横に飛ばした。失敗転移魔法をこの短期間で短距離の転移魔法に改修させたフリーレンは天才だ。

 

【無駄だ。手の内など分かっている】

 

「いいえ、それはありえません。私が来た時点で逃げなかった。それが、貴方の敗因です。計画通り、頼みましたよ……ゼーリエ様」

 

 『K-423』が遙か上空にいるゼーリエの存在を視認した。普段引き籠もって出てこないゼーリエだが、この女神様案件にも等しい事態に重い腰を上げる。

 

 亜空間が開き大量のゴーレムが出撃する。だが、この場にはフリーレンとプルシュカ、アリスに加え、一級魔法使い達もいる。彼等にかかれば、100体など十分処理できる数だ。

 

「ボンドルド、私はお前を狂人だと思っていた。だが、アレは間違いだ。狂人ですむ訳がない。お前は、そんな低次元な存在ではない。お前は、人間にして女神の領域に踏み込んだ天災だ」

 

 ボンドルドと『K-423』を囲むように周囲地面が盛り上がる。地上にいる彼女は飛び出そうとするが壁が出来る方が早かった。周囲は囲まれて、天幕が降ろされる。

 

【結界魔法か……無駄だ。私も枢機に還す光(スパラグモス)を使える。内部から焼き切る事など容易い】

 

「そうでしょう。貴方を真っ当な方法で倒すのは、難しい。だから、私はこう考えました。真っ当で無い方法で倒そうと。それがこの方法です。大事な事ですが、ここは結界魔法で覆われておりますが、どういう場所か分かりますか?」

 

【関係無い。私と一対一ではお前に勝ち目は無い】

 

「そうでしょうね。ですが、私一人でも足止めは可能です。外の声に耳を傾けてください。別に私が貴方に勝利しなくても、家族で勝てば良いんです」

 

 ボンドルドは、閉じ込められた空間で『K-423』にアドバイスする。

 

 この閉鎖空間。距離的にも『K-423』に有利な環境だ。この場所で戦っては、ボンドルドに勝ち目などない。

 

「「「宝箱を判別する魔法(ミークハイト)」」」

 

 可愛らしいエルフの親子が声を揃えて魔法を唱えた。

 

 この瞬間、『K-423』の顔が初めて青ざめた。ここは、タダの閉鎖空間ではない。ここは、宝箱の中。そこにフリーレンの血族が使う概念魔法。99%の確立で中身をミミックに変貌させる驚異の魔法だ。

 

「貴方を殺すのは難しい。それこそ、概念系の魔法が必要になります。知っていますか?フリーレンさん達が宝箱を判別する魔法(ミークハイト)を使うと宝箱の中身が変化するんです。その際、二つの生命があった時にどのような現象が起きるか……貴方は知らないでしょう。実験したのは先日ですから」

 

【やめろぉぉぉーーーー】

 

 『K-423』が必死の抵抗をする。だが、ゼーリエ様謹製の宝箱だ。そこに、私が命懸けで内部から開かない魔法を掛けている。簡単に破れる物ではない。

 

「私達は元々一つの存在ではありませんか。二つに分かれた物が一つに戻るだけです」

 

【違う!! 二つに増やしたんだ。いやだいやだぁぁぁぁぁ……】

 

 二つの生命が一つの生命へと混ざり合う。どちらの精神が強いか。それ次第で運命は決まる。『K-423』の中には、押し込められたボンドルドがもう一人居る。心にボンドルド*2を持って精神が耐えられる存在は居なかった。

 

 宝箱を開けたエルフ三人は、超特大の宝箱に飲み込まれる。その中で、紫色のサイリウムを付けた女性を救い出した。パパでもあり、ママでもあり、娘でもありという複雑な家庭環境を作り上げた人類最古の大魔法使い……彼の名はボンドルド。




ネタは出し切った!

一休みして次のSSを考えます。

フリーレンが最終回でつらたん。
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