黎明のフリーレン   作:新グロモント

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閑話:叡智と破滅は紙一重③

 一度目と二度目の敗北を味わったフリーレン。

 

 嘗て強敵と戦った勇者PT時代を思い出し、試行錯誤して攻略を進めていく。その楽しさを思い出し始めていた。フリーレンは、ここで初心に返る。家族とは相互理解が大事。一方的に母親だと言う事を子供が知っても、駄目だという事だ。

 

 つまり、ここで、自分が母親である事を子供に証明する魔法を作れば良いと結論に至った。……至ってしまった。

 

 頭脳明晰なフリーレンは、何を考えたのかと言うと女性の出産経験の数値化だ。これにより、更に出産した子供の名前まで紐付く魔法を作れば完璧だと考えた。そして、誰の子供かハッキリさせる為にも、経験人数や相手の名前まで表示する魔法を作り上げてしまう。

 

 これで、母親も子供に対して誰の子供だとハッキリ言える。子供も誰が両親かハッキリする。誰もそこまで作り込めなど一言も言っていないのに、今までの経験と叡智と時間と金を費やして開発する。誰のためでも無い、自分と家族のために…という名目だ。途中から、目的を忘れて、コレも必要かなと思った物をドンドン盛り込んだ。

 

 出来上がったのが『女性の経験人数、性病歴、出産歴が分かる魔法』。

 

「むふ~、完璧だ。私だって人の心が分かるんだからね。コレでも人妻なんだから男性が求める事なんて分かっているんだから。それと、女性のためにも『男性の経験人数、性病歴、経済力、顔面偏差値、身体能力、将来性、テクニック(叡智)レベルが分かる魔法』を作ってあげた。これで夫婦円満な家庭が出来ちゃうな。昨今の異次元の少子化対策に貢献しちゃう」

 

 ゾルトラークは、人類の戦争で用いられて物理的に一番人殺しに使われた魔法。その解析改修に貢献したのがフリーレン。昨今開発した魔法は、間接的、精神的に人類を一番殺した魔法といっても過言ではない。元勇者PTの魔法使いは、救った人間以上の人類の死因に関係している可能性が出てきた。

 

 この魔法の唯一の優しさは、魔力量を除外している事だ。魔力なんて無い人もいるから、こればかりは仕方が無いと思う、僅かな優しさをここで見せている。

 

「男性版の魔法は基準値に誰を設定しようかな……まぁ、ボンドルドでいっか。ボンドルドを100とした場合の数値を算出と。自画自賛じゃ無いけど、よく出来た魔法だと思うんだよね」

 

 改心の出来映えとなった魔法。

 

 フリーレンは、コレをブライタルチェック魔法として魔王国経由で世の中にばらまいた。その数は、各1000冊ずつだ。少しでも、世の中の子供達に幸せを見つけて欲しいという彼女なりの贈り物だった。

 

………

……

 

 数ヶ月後。

 

 世界の婚姻率が大幅に低下する。更には、魔法学校においても虐めが横行。世に出回っている恐ろしい魔法が各所で使われて、疑心悪鬼をうむ。この事態を重く見た各国が遂に、アーニャという人物が作った魔道書を国家主導で回収に入った。

 

 既に、複製版まで出回り始めて事態の終息には長い時間が掛かる。

 

 そんな人類の危機など興味すら無いフリーレン。

 

 朝の食卓で皆が集まっている時にフリーレンが自慢げにある魔道書を見せびらかす。

 

「むふ~、今世間を騒がせている伝説の魔道書を仕入れ(・・・)てきたよ。『女性の経験人数、性病歴、出産歴が分かる魔法』。凄いでしょ、入手に苦労したんだから」

 

「プルシュカ、この展開は三回目だから、オチが見えちゃった」

 

「フリーレンお姉ちゃん。オチが分かっちゃうボケほどつまらない物はないです」

 

「酷いよ。今度こそ、大丈夫だから。プルシュカとアリスは私が産んだって証拠を出すから!! 女性の経験人数、性病歴、出産歴が分かる魔法」

 

 別に証拠など無くても、その点に関してプルシュカもアリスも疑っていない。ただ、精神的に幼いフリーレンに成長して欲しいと本気で思っている。

 

 なにより、見たくも無い母親の性経験を見ることになる子供の方がダメージが大きい。一応信じているけど、万が一があったらどうするんだと。下手すれば、家族崩壊もあり得る。

 

 そして表示されてしまう。フリーレンの性経験。

 

 ****(ボンドルド)………ピーー回(プレイ履歴)

△△△(ボンドルド)………ピーー回(プレイ履歴)

○○○(ボンドルド)………ピーー回(プレイ履歴)

 といった感じで男性名が表記される。回想機能付きとか恐れ入った仕様だ。馬鹿と天才は紙一重と言うが、まさにソレを体現していた。これは、アカン魔法だ。

 

 出産履歴には、プルシュカとアリスの名前があった。父親の欄にもボンドルドと明記されている。これにより、二人は確実に二人の子供であると証明される。

 

「むふ~、これでママが誰だか分かったかな。今なら、謝ったら許してあげるよ。ボンドルドも証明の為に使ってね」

 

「どっちを?」

 

 ボンドルド♀は、どちらの魔法を使えば良いのだろうか彼本人も考えた。その問いに一瞬フリーレンですら考え込む。どちらが正解なんだと。だが、ボンドルドが男であったことを思い出し、男性用の魔法を使うように促す。

 

 正直、子供達の前で男性親がコレを使うのは拷問では無いだろうか。

 

「あのさ~、フリーレンお姉ちゃん。例え、家族であっても知らなくて良い事もあると思う。ママ(ボンドルド)って、男性と女性を行き来しているんだから、絶対に想定外の結果になると思うよ」

 

「アリスは、面白そうなので敢えて女性版(・・・)を使って欲しいです」

 

 理解ある娘達だと思ったが、アリスの方は小悪魔だった。

 

 だが、ボンドルドとしては、女性版は現時点でなんとしても避けなければならない。ソレだけの理由があった。その事にアリスは感づいている。

 

 ボンドルド♀になった際、とある筋から断れない依頼が舞い込んできた。それは、恩人からの依頼で、断るという選択肢はない。とある魔法の実戦手伝いという名目で、1年以上に渡り家を空けた時がボンドルド♀にはあった。最低でも10ヶ月10日間も拘束される依頼だったが、前後期間も考えて一年間の時間をとった。

 

 依頼主がせいこう(・・・・)報酬として、イドフロントの復興費用の半額を負担してくれる。これには、ボンドルド♀も大助かりだ。当座の金の問題が解決し、更には依頼主も暇を見つけて、手伝ってくれるというのだから。

 

「分かりました、男性版を使いますね。アリス……後で、少しお話ししましょう」

 

「はーい。まま(ボンドルド)

 

 ボンドルド♀とアリスの謎のやり取りが終わり、男性版の魔法が唱えられる。そして浮かび上がる。ボンドルドの経験人数や各所パラメータが!!経験相手の大半が個体名+(ボンドルド)となっていた。

 

 フリーレンもある程度予想していたとは言え、コレは酷いと思った。ここまでして、延命して来たのかと……少し申し訳ない気持ちになったと同時に、無理させてきたんだなと少し心が痛くなる。

 

「申し訳ありません、フリーレンさん。このような結果しか提示できずに」

 

「良いんだよ、ボンドルド。私は、ボンドルドが誰を愛そうがどんなに汚れようが構わない。最後に私の横に居れば良いんだ」

 

 真剣な顔で素晴らしい一言を言うフリーレン。

 

 その言葉に子供達も思わずフリーレンを見直した。流石は、母親だと。

 

「ママ、素敵!! 格好いいよ」

 

「アリス、ままの事を見直しちゃいました」

 

「むふ~、そうでしょ。ようやく、本当のママが分かってくれて嬉しいよ」

 

 子供を抱きしめるフリーレン。ようやく苦労が報われたと安堵と安心感を得ていた。

 

 その裏で世界がヤバイ事になっているのを彼女は知らない。史上三人目の魔王として、アーニャ討伐隊が組まれていることなど…。そして、現勇者であるアリスに各国から協力要請があった。

 

 これから始まる。アリスの魔王討伐物語。

 




PT募集と言えば、酒場と定番が決まっていますよね。

男性エルフ「私は、モンクとして前衛で戦えます。え?今のインフレした時代では力不足ですか……分かりました。私も地味な魔法ですが一つだけ誇れる魔法があります。今からお見せしましょう。『世界』ッ!時よ止まれ!」

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